リワークとは|医療・職リハ・福祉・企業内の4種類と選び方を解説
更新日:2026/05/31
リワークがどんな場所で、うつ病で休職中の復職準備に何から取り組めばよいのか――休職中の本人やご家族にとって、最初に迷うポイントです。
リワークとは「Re(再び)+Work(働く)」を語源とする復職支援プログラムの総称で、医療リワーク・職リハリワーク・福祉系リワーク・企業内リワークの4種類があります。運営主体・対象・費用・期間がそれぞれ異なり、選び方で復職までの道筋も変わります。
本記事では、リワーク4種類の違いを比較し、選び方の視点・利用までの流れ・自立訓練の活用法について紹介します。
リワークとは|定義・目的・対象
ここから、リワークの基本的な位置づけを整理します。
リワークの定義
リワーク(Re-work)は、こころの不調により休職中の方が、職場復帰を目指して取り組むリハビリテーションプログラムの総称です。
「再び(Re)働く(Work)」を語源とし、復職支援プログラム、職場復帰支援プログラムとも呼ばれます。
日本うつ病リワーク協会(医療リワークを実施する精神科医療機関の全国組織)の整理によれば、リワークの目的は「単なる休養や時間経過による回復ではなく、構造化されたプログラムを通じて、再発しにくい働き方の土台を作ること」とされています。
リワークの目的
リワークが目指すものは、大きく次の3つに整理できます。
目的1|生活リズムの再構築:休職中に乱れがちな起床・就寝・食事・通所のリズムを、就労時と同じパターンに戻していきます。
目的2|体調管理・自己理解の深化:気分の波・疲労のサイン・ストレス対処法を自分の言葉で言語化し、再発時の早期対処を可能にしていきます。
目的3|業務遂行能力の段階的回復:休職前と同じ集中力・対人対応力・スケジュール管理力を、模擬作業やグループワークを通じて段階的に取り戻していきます。
リワークの対象
リワークの主な対象は、うつ病・適応障害・双極性障害・不安障害など、こころの不調により休職中で、主治医から「リハビリ段階に入ってよい」と判断された方です。
休職中の方が中心ですが、運営主体によっては「退職後・離職中で再就職を目指す方」も対象に含まれます。
利用にあたって最も大切なのは、必ず主治医に相談し、症状が安定し、外出や日常活動が可能な段階に入っていることを確認することです。
「リワーク」と「復職」の関係
リワークと復職は混同されがちですが、別の概念です。
復職は「休職していた職場に正式に戻ること(労務上の手続きを伴う出来事)」を指します。
リワークは「復職に向けた準備期間に行う支援プログラム」を指します。
リワークを利用したからといって自動的に復職できるわけではなく、復職の最終判断は主治医の診断書と職場(人事・産業医)の判定によって行われます。
リワークは「復職判定の材料を整える時間」「復職後の再発を防ぐための土台作りの時間」と位置づけられます。
リワーク4種類の違い|比較表
リワークは運営主体ごとに4種類に整理されます。それぞれ目的・費用・期間・参加形態が異なります。
4種類の比較表
| 項目 | 医療リワーク | 職リハリワーク | 福祉系リワーク | 企業内リワーク |
|---|---|---|---|---|
| 運営主体 | 精神科クリニック・病院デイケア | JEED 地域障害者職業センター | 就労移行支援・自立訓練など | 企業の人事・産業保健 |
| 対象者 | 通院中の患者 | 雇用保険被保険者で休職中の方 | 障害福祉サービス受給者証を持つ方 | その企業の休職中従業員 |
| 主な目的 | 症状の再発予防・治療継続 | 復職支援・職場適応 | 復職/再就職/生活基盤の整備 | 自社への円滑な復職 |
| 費用 | 健康保険適用(自立支援医療で1割負担、月額上限あり) | 原則無料(雇用保険から支出) | 障害福祉サービス費(9割以上が自己負担0円) | 企業負担(本人費用なし) |
| 利用期間 | 数か月〜1年程度 | 標準12〜16週間 | 自立訓練2年・就労移行2年 | 数週間〜数か月 |
| 場所 | 医療機関内 | 各都道府県の地域障害者職業センター | 福祉事業所 | 自社の研修室・別室など |
| 主治医の役割 | 主治医が直接関与 | 主治医の意見書が必要 | 主治医の意見書・診断書が必要 | 主治医・産業医が連携 |
医療リワーク|医療機関で治療と並行して行う
医療リワークは、精神科クリニックや病院のデイケアとして実施されるプログラムです。
主治医・看護師・作業療法士・臨床心理士・精神保健福祉士などの医療スタッフが、グループワーク・認知行動療法・作業療法・心理教育を組み合わせたプログラムを提供します。
健康保険が適用され、自立支援医療(精神通院医療)の対象になるため、自己負担は原則1割(所得に応じた月額上限あり)に抑えられます。
「症状の再発を予防しながら、治療と並行して復職準備を進めたい」方に選ばれる傾向があります。
日本うつ病リワーク協会の加盟医療機関は全国に200以上あり、地域差はあるものの、首都圏・関西圏では選択肢が比較的多いです。
職リハリワーク|JEEDの地域障害者職業センターで行う
職リハリワークは、独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が運営する「地域障害者職業センター」で実施されるプログラムです。
正式名称は「職場復帰支援(リワーク支援)」で、各都道府県に1か所(東京・大阪は複数)設置されています。
対象は「雇用保険の被保険者で、現在休職中の方」とされ、利用にあたっては事業主・主治医の同意と連携が前提となります。
費用は原則無料で、標準的な支援期間は12〜16週間です。
「事業主と連携して、職場への円滑な復職を目指したい」方、「専門の職業カウンセラーから職業準備性の評価を受けたい」方に選ばれる傾向があります。
職リハリワークでは、本人・主治医・事業主の三者を結ぶ「コーディネート機能」が特徴で、復職後の職場適応まで継続的に支援される設計です。
福祉系リワーク|障害福祉サービスで生活基盤から整える
福祉系リワークは、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービス事業所が提供するプログラムです。
主に就労移行支援事業所、自立訓練(生活訓練)事業所、就労継続支援B型などが該当し、それぞれ目的が少しずつ異なります。
- 就労移行支援:原則2年以内に一般就労を目指す訓練の場
- 自立訓練(生活訓練):原則2年(最大3年)で生活基盤・対人スキル・自己理解の土台作りを行う場
- 就労継続支援B型:雇用契約を結ばずに自分のペースで生産活動に参加する場
費用は世帯収入による負担上限月額が設定されており、生活保護・低所得世帯は0円、9割以上の方が自己負担なしで利用されています。
「復職を急がず、生活リズムや自己理解の土台からゆっくり整え直したい」方、「医療リワーク・職リハリワークの利用条件に合わない(退職済み・雇用保険対象外)方」に選ばれる傾向があります。
関連ページ
– 自立訓練(生活訓練)とは|対象者・利用期間
企業内リワーク|自社の人事・産業保健が主導する
企業内リワークは、企業の人事部門や産業保健スタッフ(産業医・保健師)が中心となって、社内で実施するプログラムです。
「試し出勤」「リハビリ出勤」「慣らし勤務」などの名称で運用されることが多く、休職中の従業員が段階的に職場に戻る形を取ります。
費用は企業負担で、本人の経済的負担はありません。
「自社の業務に直結する形で復職準備を進めたい」方、「医療リワーク・職リハリワーク・福祉系リワークと並行して、実際の職場慣らしも行いたい」方に活用されています。
ただし、企業内リワークは法的な義務ではなく、制度の有無や運用は企業ごとに大きく異なります。
ご自身の勤務先に企業内リワーク制度があるかは、人事部門または産業医に確認することをおすすめします。
4種類の使い分けの考え方
「どのリワークが自分に合うか」は、次の3つの軸で整理すると判断しやすくなります。
軸1|雇用関係の有無:休職中で雇用関係が継続している方は医療リワーク・職リハリワーク・企業内リワークが選択肢に入ります。退職済みの方は福祉系リワークが中心になります。
軸2|医学的ケアの濃さ:症状の波が大きく治療継続が必要な段階の方は医療リワークが基本になります。症状が安定してきた段階では職リハリワーク・福祉系リワークも視野に入ります。
軸3|復職までの時間軸:3〜6か月で復職を目指す方は職リハリワーク・企業内リワーク、6か月〜2年かけて土台から整えたい方は福祉系リワーク(自立訓練・就労移行)が選択肢になりやすいです。
実際には、医療リワークと企業内リワーク、医療リワークと福祉系リワークなど、複数を組み合わせて利用される方も少なくありません。
組み合わせの判断は、必ず主治医・産業医・支援者と相談したうえで決めることが大切です。
どんな人がリワークに通っている?年代・診断別の利用者像
リワークを利用される方の像は、年代や診断によって幅があります。
30代|キャリア中盤での休職・復職パターン
30代の利用者像で代表的なのは、入社5〜10年目で責任ある立場に就いた頃に、業務量の急増・部署異動・対人関係の変化をきっかけにうつ病・適応障害を発症し、休職に至るパターンです。
「いったん休んだものの、復職してまた同じ環境に戻ることへの不安が強い」「次に倒れたらキャリアが終わるのではという焦り」を抱えながら、リワークに参加される方が多くいらっしゃいます。
就労支援の現場安定せず退職を決意し、就労移行支援事業所のサポートを経て障害者雇用での再就職に至るパターンが紹介されています。
このパターンに共通しているのは、「焦らずに体調を安定させる時間を作ったこと」「自分の特性と職場環境のミスマッチを言語化したこと」「復職後の働き方を主治医・支援員と一緒に設計したこと」の3点です。
40代|管理職・育児・介護の重なりでの休職パターン
40代の利用者像では、管理職としての責任・育児や介護の重なり・親世代の健康問題などが複合的に重なり、長年蓄積した疲労が一気に表面化するパターンが見られます。
「自分が倒れたら家族が困る」という焦りで早期復職を試み、再発を繰り返してしまうケースも少なくありません。
40代になると、若い頃と比べて体力の回復にも時間がかかるため、リワークでも「ゆっくり段階を踏む」設計が重視される傾向があります。
50代以上|定年再雇用・キャリアチェンジを視野に入れたパターン
50代以上の方では、定年や再雇用を視野に入れた働き方の見直しが背景となるケースが見られます。
「定年まで5〜10年、無理なく勤め上げたい」「再雇用後のポジションを意識した働き方に切り替えたい」という動機で、リワークを「これからの働き方を設計し直す機会」として活用される方もいらっしゃいます。
診断別の傾向
リワークを利用される方の診断は、うつ病・適応障害・双極性障害・不安障害が中心です。
うつ病:休職者数が最も多く、リワークの主要な対象です。後述するように再発率の高さから、再発予防プログラムの重要性が指摘されています。
適応障害:特定のストレス要因(職場環境・対人関係・業務内容)と関連して発症する診断で、配置転換や働き方の見直しと組み合わせた支援が中心になります。
双極性障害:気分の波(うつ状態と躁状態)への対処を学ぶことが中心になり、医療リワークでの長期的な治療継続と並行することが多いです。
不安障害(パニック障害・社交不安障害など):対人場面・通勤場面での不安への段階的な慣らしが組み込まれる傾向があります。
関連ページ
– 適応障害の休職とは|流れや過ごし方
リワークが必要とされる背景|うつ病再発率・休職の現状
「なぜリワークが必要なのか」を、公的データを通じて整理します。
うつ病の再発率は60%
業界最大手の就労移行支援事業所が公開している就職事例関連情報では、うつ病の再発率は60%とされており、再発を繰り返すとさらに再発率が高くなることが指摘されています。
つまり、いったん回復して復職しても、再発予防のための準備をせずに以前と同じ働き方に戻ると、再び休職に至るリスクが高いということです。
リワークは、この再発リスクを下げるために設計されたプログラムであり、「症状の改善」と「再発予防の土台作り」の両方を目指す位置づけです。
厚生労働省「労働安全衛生調査」に見るメンタルヘルス休業
厚生労働省「令和5年 労働安全衛生調査(実態調査)」によれば、過去1年間にメンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者がいた事業所の割合は13.5%とされています。
また、退職した労働者がいた事業所の割合は6.4%とされており、メンタル不調は休業だけでなく退職にも結びつく深刻な課題として位置づけられています。
JEEDの職リハリワーク実績
独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が公開している地域障害者職業センターのリワーク支援(職場復帰支援)の実績では、年間数千名規模の利用があり、終了者の復職率は高い水準で推移しているとされています。
ただし、職リハリワークは雇用保険被保険者で休職中の方が対象であるため、退職済みの方・パート/アルバイトで雇用保険に加入していない方は利用が難しいケースもあります。
「自宅療養だけ」では復職後の再発が止まりにくい
休職して自宅で療養することで、いったんは症状が落ち着くケースは多くあります。
ただし、自宅療養だけでは「就労時と同じ生活リズム」「対人場面での負荷耐性」「業務遂行に必要な集中力」を取り戻すには不十分とされ、復職直後に体調を崩して再休職に至るケースが報告されています。
リワークが提供するのは、「自宅療養と職場復帰の間にある段階」をかたちにしたプログラムであり、復職判定の材料にもなる客観的な評価機会という位置づけです。
自立訓練(生活訓練)の活用|リワーク前の生活基盤づくり
エンラボカレッジが運営する自立訓練(生活訓練)は、4種類のリワークのうち「福祉系リワーク」に位置づけられるサービスですが、純粋な復職支援プログラムとは少し違う特色を持ちます。
ここからは、自立訓練を「リワーク前の生活基盤づくり」として活用するという観点で、その役割を整理します。
自立訓練(生活訓練)とは
自立訓練(生活訓練)は、障害者総合支援法第5条第15項に基づく障害福祉サービスで、地域生活を送るうえでの「生活面の自立」を支援するサービスです。
原則2年(最大3年)の利用期間が設定されており、生活リズム・対人スキル・自己理解・体調コントロールなど、「働くうえで/生きていくうえで土台になる部分」に集中的に時間を使えます。
費用は障害福祉サービス制度に基づき、世帯収入による負担上限月額が設定され、9割以上の方が自己負担0円で利用されています。
「リワーク前の生活基盤づくり」と
医療リワーク・職リハリワークが「復職に直結する訓練」に重点を置くのに対し、自立訓練は「働くうえで/生きていくうえで本当に必要な土台」に時間を費やせる設計です。
「いきなり医療リワークや職リハリワークに進むのは不安」「復職を急ぐ前に、生活と気持ちをもう一度整え直したい」「自分の特性をもう少し理解してから次を考えたい」――こうした思いを持つ方にとって、自立訓練は復職準備の前段階として有効な選択肢になります。
エンラボカレッジでは、自立訓練(生活訓練)と就労移行支援を運営しており、自立訓練からそのまま復職に進む方、自立訓練を経て就労移行に進む方、自立訓練を経て医療リワークと併用される方など、多様な活用がされています。
4ステージのカリキュラム
エンラボカレッジの自立訓練では、ステージ1〜4の4段階で「自分を知る・学ぶ→学んだことができる→学びを応用できる→自信を持ち、次に進める」というカリキュラムを組み立てています。
| ステージ | 期間 | ねらい |
|---|---|---|
| ステージ1 | 1〜6か月 | 自分を知る・学ぶ |
| ステージ2 | 7〜12か月 | 学んだことができる |
| ステージ3 | 13〜18か月 | 学びを応用できる |
| ステージ4 | 16〜24か月 | 自信を持ち、次に進める |
休職中の方が「2年間しっかり土台を作って復職に向かう」場合も、「数か月で生活リズムを整えて職場に戻る」場合も、ご本人の状態と希望に合わせて使い方を設計していけます。
8つのプログラムで「自分の取扱説明書」を作る
エンラボカレッジでは、8つのプログラム(感情学/コミュニケーション/My Lab./アクティビティ/Life Lab./ソマティック Lab./Social Lab./スキルアップ)を組み合わせてプログラムを提供しています。
なかでもMy Lab.は、利用される方が『自分/支え方マニュアル』という独自成果物を作る時間で、復職後の職場でも継続して活用できるツールです。
「自分の凸凹」「働くうえで配慮してほしいこと」「調子が悪いときの対処法」を言語化しておくことで、復職後の上司・人事担当者とのコミュニケーションがスムーズになり、再発時の早期対処にもつながります。
メリット・デメリット|選ぶ前に押さえておく
リワークを検討するうえで、メリットだけでなくデメリットも整理して把握しておくことが、ご自身に合う形を選ぶ助けになります。
メリット1|再発リスクを下げる土台作りができる
リワークの最大のメリットは、「症状の改善」だけでなく「再発予防の土台作り」までを射程に入れている点です。
休職中の自宅療養だけでは身につけにくい「就労時の生活リズム」「対人場面での負荷耐性」「業務遂行に必要な集中力」を、段階的に取り戻していけます。
メリット2|復職判定の客観的材料になる
リワークでの参加状況・課題への取り組み・スタッフによる評価は、主治医・産業医・人事担当者にとって、復職可否を判断する際の客観的材料になります。
「本人は『もう働ける』と感じているが、客観的にはどうか」を判断する材料があることで、復職判定のミスマッチを減らせます。
メリット3|同じ状況にある仲間と出会える
リワークはグループ形式で実施されることが多く、「同じように休職を経験した方々」と一緒に取り組みます。
「自分だけが特別な経験をしているわけではない」と感じられること、他の参加者の工夫から学べることは、孤立感を抱きがちな休職期間において大きな支えになります。
デメリット1|利用条件が運営主体ごとに異なる
医療リワーク(通院中の患者が対象)、職リハリワーク(雇用保険被保険者で休職中の方が対象)、福祉系リワーク(受給者証が必要)、企業内リワーク(その企業の従業員のみ)と、それぞれ利用条件が異なります。
「退職済みのため職リハリワークが使えない」「自分の勤務先には企業内リワーク制度がない」など、希望する形式が利用できないケースもあります。
デメリット2|地域・事業所による差が大きい
医療リワークの提供医療機関は地域差が大きく、地方では選択肢が限られる場合があります。
福祉系リワーク(就労移行支援・自立訓練)も、事業所ごとにプログラム内容・支援姿勢に差があるため、複数事業所の見学・体験が推奨されます。
デメリット3|数か月〜年単位の時間が必要
医療リワーク・福祉系リワークは数か月〜2年単位の期間が想定されており、「すぐに復職したい」というニーズには合いません。
ただし、「焦って復職して再発を繰り返す」よりも、いったん時間を取って土台を作るほうが、長い目で見て安定した就労につながるという考え方が、リワークの基本にあります。
デメリット4|「ゴール」を見失いやすい
リワークは「復職」を目指す場でありながら、グループに馴染んだり、参加自体が目的化してしまうケースも報告されています。
定期的に主治医・支援員と「次のステップ」を確認し、復職のタイミング・条件・職場との調整を計画的に進めることが大切です。
利用までの流れ|主治医相談から開始まで
リワークの種類によって細かい流れは異なりますが、おおむね共通するステップを整理します。
ステップ1|主治医に相談する
最初に必ず行うのが、主治医への相談です。
「リワークに通いたいと考えている」「どの種類のリワークが自分に合いそうか」「いつ頃から開始できそうか」を率直に伝え、医学的な見立てを受けてください。
主治医の判断によっては「もう少し休養期間が必要」とされる場合もあります。本人が「もう働ける」と感じても、症状の安定度合いは外見だけでは判断しづらいため、専門家の評価を尊重することが再発予防の第一歩になります。
ステップ2|利用する種類を決める
主治医・産業医・人事担当者・地域の支援機関と相談しながら、4種類のリワーク(医療・職リハ・福祉系・企業内)のうち、どれを利用するかを決めていきます。
判断材料には以下が含まれます。
- 現在の雇用関係の有無(休職中か退職済みか)
- 主治医・産業医の見立て(医学的ケアの濃さが必要か)
- 復職までの希望時間軸(3〜6か月か、年単位か)
- 居住地域での選択肢(医療リワーク・職リハリワーク・福祉系リワークの提供状況)
- 自社の企業内リワーク制度の有無
ステップ3|申込・見学・体験
医療リワーク:かかりつけ医療機関のソーシャルワーカー・看護師に申込意向を伝え、申込手続きを進めます。他の医療機関を希望する場合は、紹介状を主治医に依頼します。
職リハリワーク:お住まいの都道府県の地域障害者職業センターに直接連絡し、初回面談を予約します。事業主・主治医との連携手続きも並行して進めます。
福祉系リワーク:地域の就労移行支援事業所・自立訓練事業所を見学し、体験利用を行います。多くの事業所では見学・相談は無料です。
企業内リワーク:人事部門・産業医に相談し、社内制度の対象になるか確認します。
ステップ4|必要書類の準備・申請
医療リワークは健康保険適用、自立支援医療(精神通院医療)受給者証があれば自己負担1割(月額上限あり)に軽減されます。
職リハリワークは事業主・主治医の同意書、本人の利用申込書が必要です。
福祉系リワークは市区町村の障害福祉課で「障害福祉サービス受給者証」の申請が必要です。申請から交付まで1〜2か月程度かかります。
企業内リワークは社内の規程に基づき、人事部門・産業医との手続きを進めます。
ステップ5|プログラム開始・段階的な参加
利用開始後は、いきなりフルタイムで通うのではなく、週2〜3日・半日からなど、段階的に通所日数・時間を増やしていく形が一般的です。
参加状況・体調の変化を定期的に主治医・産業医・支援員と共有し、復職判定に向けた評価を進めていきます。
ステップ6|復職判定・職場復帰
リワーク終了が見えてきた段階で、主治医・産業医・人事担当者・支援員が連携し、復職可否の最終判定を行います。
復職時には「試し出勤」「短時間勤務からの段階的拡大」「業務内容の調整」「配置転換」など、職場と協議しながら段階的な復帰プランを設計します。
費用|健康保険・障害福祉サービス・自立支援医療
リワークの費用は、種類によって大きく異なります。
医療リワークの費用
医療リワークは健康保険適用で、自己負担は原則3割です。
ただし、自立支援医療(精神通院医療)の受給者証を取得すれば、自己負担は1割に軽減され、世帯所得に応じた月額負担上限が設定されます。
自立支援医療の月額負担上限:
- 生活保護世帯:0円
- 市町村民税非課税かつ本人収入80万円以下:2,500円
- 市町村民税非課税かつ本人収入80万円超:5,000円
- 市町村民税課税世帯(一定以下):医療保険の自己負担限度額
- 市町村民税課税世帯(一定以上):月額20,000円(「重度かつ継続」の場合)
詳細はお住まいの市区町村の障害福祉課にご確認ください。
職リハリワークの費用
職リハリワークは原則無料です(雇用保険から運営費が支出されています)。
ただし、施設までの交通費・昼食代などの実費は本人負担になります。
福祉系リワークの費用
福祉系リワーク(就労移行支援・自立訓練・就労継続支援B型)は障害福祉サービスとして提供され、世帯収入に応じた負担上限月額が設定されています。
- 生活保護:0円
- 低所得(市町村民税非課税世帯):0円
- 一般1(市町村民税課税世帯のうち所得割16万円未満):9,300円
- 一般2(上記以外):37,200円
実態としては、9割以上の方が自己負担0円で利用されているとされています。
企業内リワークの費用
企業内リワークは企業負担で運営され、本人費用は発生しません。
ただし、休職期間中の給与・手当の支給状況は企業・健康保険組合の規程によります。傷病手当金(健康保険から支給)の手続きについては、人事部門・健康保険組合にご確認ください。
選び方|5つの判断ポイント
「どのリワークが自分に合うか」を判断する5つのポイントを整理します。
ポイント1|雇用関係が継続しているか
現在も会社に在籍しており休職中の方は、医療リワーク・職リハリワーク・企業内リワーク・福祉系リワークのいずれも選択肢に入ります。
退職済みの方は、職リハリワーク・企業内リワークは原則対象外となるため、医療リワーク・福祉系リワークが中心の選択肢になります。
ポイント2|主治医の見立てがどうか
主治医が「まずは治療継続が優先」と判断する段階では、医療リワーク(治療と並行できる形式)が基本になります。
「症状はおおむね安定し、業務遂行能力の段階的回復が課題」と判断される段階では、職リハリワーク・福祉系リワーク・企業内リワークが選択肢として広がります。
判断は必ず主治医とご相談ください。
ポイント3|復職までの希望時間軸はどれくらいか
3〜6か月で復職を目指したい場合は、職リハリワーク(標準12〜16週間)や企業内リワークが時間軸に合いやすいです。
6か月〜2年かけて土台から整えたい場合は、福祉系リワーク(自立訓練2年・就労移行2年)が選択肢に入ります。
医療リワークは数か月〜1年と幅があり、症状や進捗に応じて柔軟に期間が決まります。
ポイント4|「復職」と「再就職」のどちらを目指すか
現職への復職を最優先する場合は、企業内リワーク・職リハリワーク(事業主との連携が前提)が選びやすいです。
「いまの職場での復職にはこだわらず、自分に合う環境への再就職も視野に入れたい」場合は、福祉系リワーク(特に就労移行支援)が選択肢として広がります。
ポイント5|「働く前に土台から整える時間」が必要かどうか
「いきなり復職プログラムに参加するのは不安」「生活と気持ちをもう少し整え直してから次を考えたい」と感じる方は、自立訓練(生活訓練)から始める道筋が合うことがあります。
エンラボカレッジでは、こうした「土台作り」のフェーズから関わり、その方の状態・希望に合わせて、復職/再就職/進学などの進路を一緒に整理していきます。
エンラボカレッジでの「復職を見据えた土台作り」の関わり方
エンラボカレッジは、神奈川県・東京都・大阪府・宮崎県で自立訓練(生活訓練)と就労移行支援を運営している事業者です。
医療リワーク・職リハリワーク・企業内リワークは提供していませんが、自立訓練を「リワーク前の生活基盤づくり」として活用される方、就労移行支援を経て復職/再就職に向かわれる方を支援してきました。
「就職ありき」ではない設計
エンラボカレッジは、就職をゴールに据える事業所とは異なり、「生活する力・社会で生きる力を身につける」ことを中心に置いています。
- 復職したい方には、生活リズム・体調管理・自己理解の土台作りからサポート
- 退職して再就職を目指す方には、自立訓練から就労移行への接続を一緒に整理
- 学校に戻りたい方には、生活基盤を整えてからの復学・進学を一緒に検討
「あなたが進みたい方向」を一緒に決めていく姿勢が、エンラボカレッジの特色のひとつです。
復職を視野に入れた自立訓練の使い方
休職中の方が自立訓練を利用される場合、以下のような使い方が見られます。
「最初の3か月は生活リズムを整えることに集中」→「次の3〜6か月で対人スキル・自己理解を深める」→「最後の3〜6か月で復職を見据えた働き方の設計」――こうした段階的な進め方を、ご本人・主治医・支援員で相談しながら組み立てます。
医療リワークと並行して通われる方、企業内リワークの前段階として利用される方もいらっしゃいます。組み合わせの可否は、主治医・産業医・支援員にご確認ください。
11拠点で見学・無料相談を受付
エンラボカレッジでは、神奈川・東京・大阪・宮崎の11拠点で、自立訓練(生活訓練)と就労移行支援の見学・無料相談を随時お受けしています。
「リワークを検討しているが、まずは生活と気持ちを整えたい」「自立訓練と他のリワークの違いを一緒に整理してほしい」「家族と一緒に話を聞いてみたい」――こうしたご相談も歓迎しています。
リワーク前の土台作りの実例|自立訓練(生活訓練)エンラボカレッジ利用者の事例
※以下は自立訓練(生活訓練)エンラボカレッジを利用された方の支援事例です(医学的な症例研究ではありません)。
事例1|自立訓練で土台を整えて復職へ向かった40代のケース
うつ病とADHDのある40代の方が、自立訓練(生活訓練)で土台を整え、安定した就労に向かったケースがあります。
「働き続けることに自信を持てない時期があったが、生活リズム・自己理解・対人スキルを2年かけて整え直し、自分のペースで次のステップに進むことができた」というプロセスは、休職中の方が復職を考える際の参考になります。
事例2|休職をきっかけに「感情コントロール」から始めた再出発のケース
休職をきっかけに自立訓練の利用を始め、「感情コントロール」から再出発を図った方のケースもあります。
「休職してただ療養するのではなく、自分の感情の波・思考のクセを言語化し、再発しにくい働き方の土台を作っていきたい」という動機で、自立訓練を活用された事例です。
業界全体の支援傾向|公的データと業界事例の参考
うつ病からの復職・再就職の流れには、業界全体で次のような傾向が報告されています。
就労支援の現場就労移行支援事業所のプログラムを経て、自分の特性に合った職場での再就職を実現したケースが紹介されています。
このケースに共通する特徴として、「焦って復職を試みず、いったん退職して時間をかけて体調と自己理解を整え直したこと」「次の職場では『無理のない働き方』を最優先したこと」が指摘されています。
退職という選択肢を選ぶかどうかは、必ず主治医・産業医・人事担当者と十分に相談したうえで判断していただく必要がありますが、「いまの職場での復職にこだわらない」という発想も、再発予防の観点では検討する価値のある選択肢のひとつです。
よくある質問(FAQ)
リワークと精神科デイケアは違うのですか?
精神科デイケアは医療機関で実施されるグループ活動の総称で、目的は「症状の安定」「社会機能の回復」「再発予防」など幅広くあります。
医療リワークはデイケアの一形態で、特に「復職」を目的とした構造化プログラムを指します。
精神科デイケアの詳細は、精神科デイケアとは|目的・対象・プログラムで整理しています。
リワークに通えば必ず復職できますか?
復職の最終判断は、主治医の診断書と職場(人事・産業医)の判定によって行われます。
リワークの参加実績は判定の重要な材料になりますが、「リワークに通えば自動的に復職できる」という保証ではありません。
ご本人の体調・職場側の受け入れ態勢・業務内容の調整可否など、複数の要素が絡みます。
リワークの費用はどれくらいかかりますか?
種類によって異なります。
- 医療リワーク:自立支援医療を活用すれば月額数百円〜2万円程度(所得により上限あり)
- 職リハリワーク:原則無料(雇用保険から運営費が支出)
- 福祉系リワーク:世帯収入により0円〜37,200円(9割以上が0円)
- 企業内リワーク:本人費用なし(企業負担)
退職してもリワークは利用できますか?
医療リワーク・福祉系リワークは退職後も利用できるケースがあります。
職リハリワークは雇用保険被保険者で休職中の方が対象のため、退職後の利用は難しいことが多いです。
退職を検討する際は、必ず主治医・人事担当者と十分に相談したうえで、退職後の選択肢を整理しておくことをおすすめします。
うつ病で休職中ですが、リワークはいつ始めるべきですか?
開始のタイミングは、症状の安定度合いによって主治医が判断します。
一般的には、「自宅で生活リズムが整ってきた」「外出や日常活動が無理なくできる」段階に入ってから検討されるケースが多いとされています。
「もう働ける」と本人が感じても、症状の安定は外見だけでは判断しづらいため、必ず主治医とご相談ください。
うつ病の休職全般については、うつ病で休職をするにはどうすれば良い?流れ・手続き・過ごし方もあわせてご覧ください。
リワークと自立訓練の違いは何ですか?
リワークは「復職に直結する訓練」に重点を置く支援プログラムの総称です。
自立訓練(生活訓練)は障害福祉サービスのひとつで、「働くうえで/生きていくうえで本当に必要な土台」(生活リズム・対人スキル・自己理解・体調コントロール)に時間を費やせる設計です。
両者は対立する関係ではなく、自立訓練を「リワーク前の土台作り」として活用される方、自立訓練と医療リワークを並行される方もいらっしゃいます。
家族や周囲はどう関わればよいですか?
家族の関わり方は、「過度に励まさない」「過度に心配しすぎない」「ご本人の判断とペースを尊重する」が基本です。
リワークに通われる方の家族向けに、家族会・家族プログラムを提供している医療機関・事業所もあります。
「どう接していいか分からない」「自分も疲れてきた」と感じる場合は、地域の精神保健福祉センター・保健所・家族会へのご相談もご検討ください。
リワーク中に体調が悪化したらどうなりますか?
リワークの過程で体調が悪化することは珍しくありません。
その場合は、すぐに主治医・支援員に相談し、いったん休む・通所日数を減らす・プログラム内容を調整するなどの対応を取ります。
無理を続けて症状を悪化させるよりも、「いったん戻って体調を整え直す」ほうが、結果的に再発予防につながります。
まとめ
リワークは休職中の復職準備プログラムで、医療・職リハ・福祉系・企業内の4種類があります。選び方は、雇用関係の有無・主治医の見立て・復職までの時間軸の3軸で整理すると判断しやすくなります。
次の一歩として、まず主治医に「リワーク開始が適切な段階か」を相談し、利用条件に合う種類を絞り込むところから始めるとスムーズです。
「リワークの前に生活基盤を整えたい」「自立訓練との違いを整理してほしい」というご相談は、エンラボカレッジ(自立訓練・就労移行支援)の無料相談で承っています。
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この記事について【作成・監修】
本記事は、自立訓練(生活訓練)事業所「エンラボカレッジ」を運営する株式会社エンラボの専門職スタッフが作成・監修しています。
【在籍資格】
精神保健福祉士・社会福祉士・臨床心理士・作業療法士・理学療法士
【現場での実践】
自立訓練(生活訓練)・就労移行支援などで、診断名・特性に合わせた個別支援を提供しています。
【運営会社】
株式会社エンラボ/設立2015年4月/神奈川県を中心に首都圏・関西・宮崎で11拠点運営






