大人の発達障害とは|特徴・原因・診断・相談先までやさしく解説

更新日:2026/05/31

仕事のミスが続く、人間関係でいつも疲れてしまう、片づけや段取りが極端に苦手――こうした困りごとが社会人になってから自覚され、「大人の発達障害かもしれない」と感じる方が増えています。

発達障害は生まれつきの脳機能の特性で、学生時代までは周囲の支援で補えていた苦手さが、仕事量や対人関係の複雑さの中で表面化するケースが少なくありません。

本記事では、大人の発達障害の3タイプ(ASD・ADHD・LD)の特徴・原因・診断までの流れ・病院の探し方・相談先について紹介します。

大人の発達障害とは?

「大人の発達障害」という言葉は、医学用語というよりも、社会的に広く使われている呼び方です。

ここから、発達障害の定義と、大人で問題になりやすい3つのタイプを整理します。

発達障害者支援法ではどう定義されている?

発達障害者支援法では、発達障害を「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」と定義しています。

ポイントは「症状が通常低年齢において発現するもの」という部分で、大人になってから初めて症状が出るわけではなく、子どもの頃からの特性が大人になってから困りごととして自覚されるパターンが大半です。

行政上の定義であり、医療上の診断とは別の枠組みですが、福祉サービスや支援制度の対象範囲を決める基準として広く使われています。

大人で目立ちやすい3つのタイプ

主な発達障害は、医療上の分類で次の3タイプに整理されます。

ASD(自閉スペクトラム症):対人コミュニケーションの苦手さと、こだわり・感覚過敏が中心の特性。かつての「自閉症」「アスペルガー症候群」「広汎性発達障害」が、現在はASDという連続体(スペクトラム)の中で整理されています。

ADHD(注意欠如多動症):不注意(集中の続きにくさ・忘れ物)、多動性(じっとしていられない)、衝動性(思いつきで行動する)の3要素が、年齢や状況に不釣り合いに目立つ特性。

LD・SLD(限局性学習症):全般的な知的発達に大きな遅れはないものの、「読む」「書く」「計算する」など特定の領域に困難が集中する特性。

3タイプは独立して現れることもあれば、重なって現れることもあります。ASDとADHDの併存はとくに多いとされており、「自分はどちらか分からない」と感じる方も少なくありません。

子どもの発達障害との大きな違いは、大人の場合は「学業」よりも「仕事」「人間関係」「自己管理」の場面で困りごとが顕在化する点です。

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「グレーゾーン」とは

医療機関を受診しても「発達障害の特性は見られるが、診断基準を完全には満たさない」と説明されるケースがあります。

俗に「グレーゾーン」と呼ばれる状態で、診断名は付かないものの、特性に伴う困りごとは抱えている――というパターンです。

グレーゾーンの方も、職場・家族・支援機関への配慮の説明や、自己理解の整理に取り組むメリットは変わりません。

「診断名が付くかどうか」を待つよりも、「いまの困りごとに合った工夫を見つける」ことに重心を置くと、生活の立て直しが進みやすくなります。

なぜ「大人になってから気づく/診断される」のか

「子どもの頃には何も言われなかったのに、なぜ大人になってから?」と感じる方は少なくありません。

ここから、大人になってから気づかれやすい背景を整理します。

学生時代は家族や周囲が支えてくれていた

学生時代までは、家族・先生・友人が無意識のうちに苦手さを補ってくれていることが多くあります。

宿題のスケジュール管理を親が手伝う、忘れ物を友人が声をかけて気づかせてくれる、得意な科目で苦手な科目をカバーする――そうしたサポートが日常的に機能していた方は、「自分が困っている」という感覚自体を持ちにくい状況にあります。

社会人になると、自分でスケジュールを管理し、自分でタスクを進め、自分で対人関係を構築する必要が増えます。

これまで周囲が補ってくれていた部分が一気に自分の責任になることで、苦手さが「困りごと」として表面化しやすくなります。

仕事量や人間関係が急に複雑になる

学生時代までの対人関係は、クラス・部活・友人グループといった比較的固定的な範囲です。

社会人になると、上司・先輩・同僚・取引先・顧客と、立場や年齢の異なる多様な人と、暗黙のルールに従って関わる必要が出てきます。

「空気を読む」「察する」「立場で言葉を使い分ける」――こうしたスキルが求められる場面が急増することで、ASD特性のある方の困りごとが目立ちやすくなります。

ADHDの方は、複数のタスクを並行して進める必要、締切に追われる場面、優先順位を自分で決めて動く場面で困りごとが表面化しやすい傾向があります。

転職・昇進・結婚など役割の変化が引き金に

「これまでは何とかなっていた」のに、転職・昇進・結婚・出産・親の介護などのライフイベントを機に困りごとが急に大きくなる――というパターンも多くあります。

新しい職場の手順を覚える、管理職としてチームを率いる、家事と仕事を両立する、家族の予定を管理する――こうした「これまでより一段複雑な役割」を担う場面で、特性に由来する苦手さが追い切れなくなることがあります。

20代後半から30代にかけて、最初の転職や昇進のタイミングで初めて医療機関を受診する方が増える傾向があるとされるのは、こうした背景があると考えられます。

情報に触れる機会が増えた

近年は、発達障害に関する書籍・Webコンテンツ・SNSでの当事者発信が増え、「自分にも当てはまるかもしれない」と気づくきっかけが増えました。

「友人や同僚が診断を受けた」「テレビで取り上げられた特性が自分にそっくりだった」という経緯で医療機関にたどり着く方も少なくありません。

「気づくきっかけ」が増えたことで、これまで「自分は人より要領が悪いだけ」と思って過ごしてきた方が、特性として捉え直す機会を得やすくなっています。

実例:仕事のつまずきから自分の特性に気づいた20代

就労支援の現場では、新卒でエンジニアとして入社したものの社内のストレスチェックで高ストレス判定を受け、産業医面談で「うつ・発達障害の傾向」を指摘されて退職に至った20代の方が、就労支援を経て自分の特性を理解し、好条件での再就職につながったケースが紹介されています。

「困りごとが大きくなってから初めて特性に気づく」というパターンは大人の発達障害ではよく見られ、特性に合った働き方を整え直すことで状況が安定するケースが多いとされています。

エンラボでも、20代でADHDの特性に気づき、自立訓練を経て就職準備を進めたプロセスを紹介しています。

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ASD(自閉スペクトラム症)の大人の特徴

ASDの大人の特性は、対人コミュニケーション・こだわり・感覚の3つの軸で整理できます。

対人コミュニケーションで困りやすいこと

ASDの大人で多く見られる対人面の特徴には、次のようなものがあります。

  • 相手の表情・声色・しぐさから気持ちを読み取りにくい
  • 場の雰囲気や暗黙のルールを察するのが苦手
  • 比喩・冗談・皮肉などの遠回しな表現を文字どおり受け取りやすい
  • 言葉を字義どおり受け取って指示の意図とずれてしまう
  • 雑談が苦手で、目的のない会話に消耗しやすい
  • 一方的に自分の関心事を話し続けてしまうことがある

職場では「指示が曖昧だと動けない」「複数の上司から異なる指示を受けると混乱する」「電話応対や接客で疲弊しやすい」といった困りごとにつながりやすい傾向があります。

こだわりや興味の偏りはどう現れる?

特定の手順・物事への強いこだわりや、興味の偏りもASDの特性のひとつです。

  • 決まった手順から外れると強い不安を感じる
  • 自分のルーティンが乱されると動揺する
  • 興味のある分野には深く集中するが、関心のない分野はまったく手につかない
  • 急な予定変更に対応するのが極端に苦手

職場では「決まったルーティンの仕事は得意」「変更の多い業務や臨機応変な対応が求められる業務は苦手」というメリハリにつながりやすい傾向があります。

感覚の感じ方にも偏りがある

ASDの方の多くは、感覚の感じ方に偏りがあるとされています。

  • 蛍光灯の光・パソコンのモニターのちらつきが強く感じる
  • オフィスの雑音・電話の音・人の話し声で集中が途切れる
  • 服のタグや特定の素材が肌に合わない
  • 強い匂い(香水・タバコ・食べ物)で気分が悪くなる
  • 痛みや疲労に気づきにくい(感覚鈍麻)

職場では「オフィスでの集中が続かない」「会議で疲弊する」といった困りごとにつながりやすく、在宅勤務やパーテーション・耳栓などの環境調整で改善する場合があります。

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ADHD(注意欠如多動症)の大人の特徴

ADHDの大人の特性は、「不注意」「多動性」「衝動性」の3つに整理されます。

不注意ではどんなことが起きる?

大人のADHDでもっとも目立ちやすいのが、不注意に関する特徴です。

  • 集中が長く続かず、ケアレスミスが多い
  • 細部への注意が向きにくく、書類の見落としが起きる
  • 整理整頓が苦手で、机・カバン・自宅の中がすぐに散らかる
  • 約束や予定を忘れる
  • 必要な物(鍵・財布・スマホ)をしょっちゅう失くす
  • 締切ギリギリまで手が付かず、間に合わなくなる

職場では「同じミスを繰り返す」「報告・連絡・相談を忘れる」「複数業務の同時並行が難しい」といった困りごとにつながる傾向があります。

大人の多動性は「内側の落ち着かなさ」が中心

子どもの多動性は身体の動きとして目立ちやすいのに対して、大人の多動性は内面的な落ち着かなさとして現れることが多いとされています。

  • 会議や打ち合わせ中にじっと座っているのが苦痛
  • 貧乏ゆすり・ペンを回す・髪を触るなどの動作が止まらない
  • 頭の中で常に複数のことを考えていて思考が休まらない
  • 退屈な状況に長時間とどまることが極端に難しい

職場では「長時間のデスクワークで疲弊する」「単調な業務が続かない」といった困りごとにつながる傾向があります。

衝動性ってどんな現れ方?

思いつきで行動してしまう傾向も、ADHDの大人で見られる特徴のひとつです。

  • 会議で思いついたことをすぐに発言してしまう
  • 相手の話を最後まで聞かずに割り込んでしまう
  • 計画より先に行動が出てしまい、後で困る
  • 衝動買いをしてしまう
  • 一時的な感情で大きな決断(転職・退職など)をしてしまう

職場では「衝動的な発言で人間関係を損ねる」「衝動的な転職で同じパターンを繰り返す」といった困りごとにつながる傾向があります。

「得意なこと」も明確にある

ADHDの方には、特性に由来する得意なことも明確にあります。

  • 興味のある分野には驚異的な集中力を発揮する(ハイパーフォーカス)
  • 発想が豊かで新しいアイデアを思いつきやすい
  • フットワークが軽く即断即決ができる
  • 短期集中型の業務やクリエイティブな仕事で力を発揮する

「苦手なこと」と「得意なこと」のメリハリが大きいのがADHDの特徴で、得意を活かせる環境にハマると大きな成果を出せる傾向があります。

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実例:ADHDの特性に気づくまで仕事が3か月続かなかった20代

就労支援の現場では、仕事が3か月続かず、1年間の引きこもりからうつ状態に至り、初めて受診した精神科でADHDと診断された20代の事例も紹介されています。

「コミュニケーションがうまくいかない」「同じパターンで離職を繰り返す」――こうした経験が積み重なってから初めて医療機関にたどり着くケースは、大人のADHDでよく見られるパターンです。

エンラボでも、ADHDの特性に気づき自立訓練で感情コントロールを身につけて安定就職を実現したプロセスを紹介しています。

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LD・SLD(限局性学習症)の大人の特徴

LD(SLD)は、全般的な知的発達に大きな遅れはないものの、「読む」「書く」「計算する」など特定の領域に集中して困難が現れる特性です。

子どもの頃に気づかれなかったケースで、大人になってから業務上の困りごととして表面化することがあります。

「読む」ことが苦手なタイプ

  • 文字や単語を読むのが極端に遅い
  • 文字の形が似ているもの(「わ」と「ね」など)を読み間違える
  • 文章を読むと行をとばしてしまう
  • 何度読んでも内容が頭に入りにくい

職場では「マニュアルを読むのに時間がかかる」「メールや書類の処理に倍以上の時間がかかる」といった困りごとにつながる傾向があります。

「書く」ことが苦手なタイプ

  • 文字を正確に書き写すのが難しい
  • 漢字が覚えられない
  • 文章として組み立てて書くのが極端に困難
  • 板書やメモを取るのに時間がかかる

職場では「議事録の作成に時間がかかる」「報告書の文章をまとめるのが苦手」といった困りごとにつながる傾向があります。

「計算する」ことが苦手なタイプ

  • 数の概念や位取りの理解が難しい
  • 暗算ができない
  • 簡単な計算でもミスが多い
  • グラフや表の読み取りが苦手

職場では「経費精算でミスを繰り返す」「数値を扱う業務でストレスが大きい」といった困りごとにつながる傾向があります。

職場で取り入れやすい工夫

LDのある大人の方が職場で取り入れやすい工夫には、次のようなものがあります。

  • 読み上げソフトを活用する
  • 音声入力で文章を作成する
  • 数字を扱う業務はExcelの数式・電卓・会計ソフトに任せる
  • 重要事項は録音して後で文字起こしする
  • 業務内容を「読み・書き・計算が少ない仕事」中心に組み立てる

LDのある方は、得意な領域(口頭でのコミュニケーション、身体を使う作業、創造的な発想など)で力を発揮しているケースも多くあります。

「苦手な領域だけで自分を判断しない」「ICTツールで補える部分は補う」という姿勢が、長く働くうえでの土台になります。

大人の発達障害の原因として分かっていること

「親の育て方が悪かったから」「子どもの頃にストレスが多かったから」――そう思っている方がいらっしゃるかもしれませんが、発達障害の原因はそうした後天的なものではないと考えられています。

脳機能の発達のアンバランスさが背景

発達障害は、生まれつきの脳機能の発達のアンバランスさによる特性とされています。

特定の脳の領域(前頭前野・小脳・大脳基底核など)の働き方や、神経伝達物質(ドーパミン・ノルアドレナリンなど)の働きの違いが、特性の背景にあると考えられています。

ただし、「この脳の部位がこう違うから発達障害」という一対一の関係が解明されているわけではなく、複数の要因が組み合わさって特性として現れると整理されています。

遺伝の関わりはどれくらい?

家族内で発達障害の特性が見られるケースが多いことから、遺伝的要因の関与もあるとされています。

ただし、「ある遺伝子があると必ず発達障害になる」というものではなく、複数の遺伝子の組み合わせや、環境要因との相互作用が関係していると考えられています。

「親の育て方が原因」ではなく、「もともと持って生まれた特性」と整理することで、本人も家族も自分を責める方向ではなく、特性とどう付き合うかに目を向けやすくなります。

環境との相互作用も大きく影響する

発達障害そのものは生まれつきの特性ですが、特性に伴う困りごとがどれくらい大きくなるかは、環境との相互作用で変わるとされています。

「特性に合った環境」では困りごとが小さくなる一方で、「特性と相性の悪い環境」では困りごとが大きくなり、二次障害(うつ病・不安症など)につながりやすくなる――というのが、近年広く共有されている見方です。

「特性を変える」ではなく、「特性に合う環境を整える」「特性に合う工夫を見つける」という方向で取り組むことが、生活の安定につながります。

「親の育て方が原因」ではない

ひと昔前は「親の愛情不足」「育て方の問題」が発達障害の原因として語られることがありましたが、現在の医学的見解ではこれは否定されています。

ご本人にとっても、ご家族にとっても、「自分のせい」「家族のせい」と責める必要はなく、「もともとの特性を踏まえて、これからどう付き合っていくか」を起点に考えていくほうが建設的です。

注意欠如・多動症(ADHD)のある方の例

大人の注意欠如・多動症(ADHD)のある方が受けている合理的配慮としては、スケジュール管理や指示の抜け漏れなどに関するものが多いようです。

 

例として、

 

  • スマホのアラームやリマインダーアプリを活用する
  • 時間になったら上司や同僚に声をかけてもらう
  • 朝礼時に一日の予定を上司と一緒に確認する
  • ホワイトボードなど見える場所に予定を書いてもらう
  • チームを組んで仕事をさせてもらう

 

などがあります。

 

このようにツールの使用など自身でできる対策もあれば、職場の人に協力してもらって困りごとを減らしていく方法もあります。

自閉スペクトラム症(ASD)のある方の例

大人の自閉スペクトラム症(ASD)のある方は、業務指示の方法やコミュニケーション面での合理的配慮が多いようです。

 

例として、

 

  • 指示を出す人を一人に固定する
  • 絵や図など視覚的にわかりやすいマニュアルをもらう
  • 職場の暗黙のルールを明文化してもらう
  • イヤーマフなど感覚過敏への対策ツールの使用を認めてもらう
  • 席を奥の方にして刺激を少なくしてもらう

 

などがあります。

 

自閉スペクトラム症のある方も、職場の人に協力してもらうことや、感覚過敏へのツールの使用など自身で工夫していく方法があります。

学習障害(LD)のある方の例

大人の学習障害(LD)のある方の合理的配慮は、ツールを使用を活用する場合が多くあります。

 

例として、

 

  • 文字読み上げソフトの使用の許可をもらう
  • 指示を録音することを許可してもらう
  • その他にも苦手を補うアプリなどの使用許可をもらう
  • マニュアルの漢字にフリガナを振るなどわかりやすくしてもらう
  • 新しい業務を覚えるときは実際にやって見せてもらう

 

といったことがあります。

 

学習障害のある方は、上手くツールを使っていくことと、職場で許可をもらうことが大事になってきます。

 

ここに挙げたものは一つの例で、実際には一人ひとりの困りごと、職場環境、業務内容、職場として対応できる範囲など多くのことを考慮したうえで合理的配慮が実施されます。

 

合理的配慮を相談するときのポイントとしては、「どんなことに困っていて」「何があれば働きやすいか」を具体的に伝えることです。そうすると職場の方にも伝わりやすくなり、希望する合理的配慮の実施にもつながります。

 

自分だけで整理するのが難しいと感じる方は、支援機関も活用していくといいでしょう。

 

また、現在の職場で希望する合理的配慮を受けることが難しいといったときは、転職を視野に入れていくことも方法の一つです。

大人の発達障害の診断の進み方|概要と受診のヒント

発達障害(ASD・ADHD・LDなど)の診断は、医師がDSM-5-TRまたはICD-11の診断基準に照らし、本人や家族からの聞き取り・行動観察・心理検査などを組み合わせて総合的に判断するとされています。チェックリストの結果だけで決まるものではなく、複数回の受診が必要になる場合もあります。

大人が診断を受ける場合は、子どものころのエピソードや学校の記録、家族・パートナーからの客観的な情報があると診断の助けになるとされています。受診先は、発達障害の診療経験がある精神科・心療内科を選んでみるのがひとつの方法です。

診断基準の詳細項目・大人が診断を受けるまでの4ステップ・知能検査(WAIS)・費用や期間の目安については、診断にしぼってまとめた以下の記事をご覧ください。

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発達障害の診断方法とは|診断基準・受診の流れ・診断後の相談先まで

どこの病院に行けばいい?

「どの病院に行けばいいのか分からない」――これが、大人の発達障害で最初につまずきやすいポイントです。

ここから、病院・相談先の選び方を整理します。

精神科と心療内科はどう違う?

精神科と心療内科は、扱う領域に違いがあります。

精神科:うつ病・統合失調症・不安症・発達障害など、心の病気・脳機能の特性を中心に扱う診療科です。発達障害の診断・治療を専門的に行えるのは精神科とされています。

心療内科:もともとは心理的ストレスに由来する身体症状(過敏性腸症候群・緊張性頭痛など)を扱う診療科ですが、現在ではうつ病・不安症などのメンタル不調も診療する医療機関が多くなっています。

発達障害の診断を受けたい場合は、まず精神科を選ぶことをおすすめします。

心療内科でも発達障害の診断を行っているところはありますが、医療機関ごとに対応範囲が異なるため、事前に電話で「大人の発達障害の診断を受けられるか」を確認すると安心です。

対応している医療機関はどう探す?

発達障害の診断ができる医療機関を探すには、次の方法があります。

方法1|発達障害者支援センターに相談する:全国に設置されている発達障害者支援センターでは、地域の発達障害を扱う医療機関の情報を持っており、相談すると紹介してもらえるケースがあります。

方法2|国立精神・神経医療研究センターの「発達障害ナビポータル」を使う:発達障害情報・支援センター(国立障害者リハビリテーションセンター内)が運営するポータルサイトで、地域の医療機関や支援機関の情報をまとめています。

方法3|かかりつけの医師に紹介してもらう:内科や心療内科などのかかりつけ医がいる場合は、その医師に相談して紹介状を書いてもらう方法もあります。

方法4|自治体の精神保健福祉センターに相談する:各都道府県・指定都市に設置されており、メンタルヘルス全般の相談に応じています。地域の医療機関の紹介を受けられます。

予約前に確認しておきたいポイント

医療機関に予約を入れる際、次の点を確認しておくと安心です。

  • 大人の発達障害の診断を行っているか
  • 初診の予約はどれくらい先まで埋まっているか(数か月待ちの医療機関も多い)
  • 初診時に必要な持ち物(母子手帳・通知表・身分証など)
  • 初診の所要時間と費用の目安
  • 知能検査や心理検査を行っているか(行っていない場合は別途連携先を案内されることが多い)

「いざ予約しよう」と思っても、初診まで2〜6か月待ちの医療機関も少なくないため、気になり始めた段階で早めに予約を入れることをおすすめします。

発達障害者支援センターも頼れる

各都道府県・指定都市に設置されている発達障害者支援センターは、本人・家族・支援者を対象に、発達障害に関する相談を無料で受け付けています。

「診断を受けるか迷っている」「医療機関に行く前に話を聞いてほしい」「家族にどう伝えたらいいか分からない」といった段階のご相談にも対応しています。

医療機関を受診する前のステップとしても、診断後の生活面のサポートとしても活用できる窓口です。

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大人の発達障害の相談先や相談方法・支援機関

大人の発達障害の治療・対処

発達障害そのものを「治す」治療法は、現時点では確立されていません。

そのうえで、特性に伴う困りごとを小さくするために、いくつかの治療・対処の選択肢があります。

薬を使う治療はある?

ADHDに対しては、効果が認められた薬剤がいくつか保険適用で使われています。

主な薬剤としては、メチルフェニデート徐放剤(コンサータ)、アトモキセチン(ストラテラ)、グアンファシン(インチュニブ)、リスデキサンフェタミン(ビバンセ)などがあります。

ASDやLDそのものに対する薬物療法は、現時点では確立されていません。

ただし、ASDに伴う不安・睡眠の困難・気分の落ち込み・易刺激性に対しては、それぞれの症状に合わせた薬物療法が選択肢になります。

薬の選択・服用は、必ず医師の指示のもとで行ってください。「合う薬」「合わない薬」は個人差が大きく、自己判断での増減や中断は避ける必要があります。

心理療法やカウンセリングも有効

特性に伴う考え方のクセや不安・抑うつに対しては、認知行動療法をはじめとする心理療法が有効とされています。

「自分の特性を理解する」「困りごとへの対処スキルを身につける」「二次障害の症状を緩和する」――こうした目的で活用されています。

医療機関で心理士による心理療法が行われるケースのほか、地域の精神保健福祉センター・民間の心理相談機関での提供もあります。

環境を整え直すアプローチ

特性そのものを変えるのではなく、「特性と相性のよい環境」を整えるアプローチも、大人の発達障害では重要な選択肢になります。

職場では、業務内容の見直し・在宅勤務の併用・パーテーションや耳栓による感覚調整・指示の文書化・タスク管理ツールの導入などが、環境調整の具体例です。

「合理的配慮」として、職場に申し出ることも可能です。障害者手帳の有無にかかわらず、申し出はできます。

自己理解と工夫を積み重ねる

医療的なアプローチと並んで重要なのが、「自分の特性を理解し、自分に合った工夫を積み重ねる」ことです。

「どんな場面で困りやすいか」「どんな環境なら集中できるか」「疲れたときのサインは何か」「回復にはどんな方法が効くか」――こうした自己理解の整理を、本人・支援者・主治医と一緒に進めていくことが、長期的な安定につながります。

自立訓練(生活訓練)や就労移行支援などの福祉サービスは、自己理解の整理と工夫の獲得を支援する場として活用されています。

二次障害との関わりは?

大人の発達障害でとくに注意したいのが、二次障害との関係です。

二次障害とは

二次障害とは、発達障害の特性に伴う困りごとが積み重なった結果として、別の精神疾患(うつ病・不安症・適応障害・睡眠障害など)が併存して現れる状態を指します。

「発達障害の特性そのもの」よりも、「二次障害の症状」のほうが本人の生活に大きな影響を及ぼしているケースも少なくありません。

医療機関での診断時に、「うつ病・適応障害として治療を受けてきたが、背景にASD・ADHDの特性があったと分かった」というパターンもよく見られます。

併存しやすい代表的な二次障害

大人の発達障害で併存しやすい二次障害には、次のようなものがあります。

うつ病:仕事や人間関係でうまくいかない経験が積み重なり、気分の落ち込み・興味の喪失・睡眠障害などが続く状態。

適応障害(適応反応症):環境の変化や強いストレスに対して、不安・抑うつ・身体症状が現れる状態。

不安症(パニック症・社交不安症・全般不安症など):強い不安・パニック発作・特定の場面での不安が継続する状態。

睡眠障害:寝つけない、途中で目が覚める、朝起きられないなど、睡眠リズムの乱れ。

依存症(アルコール・ギャンブル・ゲームなど):不安や抑うつから逃れるための行動が習慣化し、自己コントロールが難しくなる状態。

二次障害の予防には、「困りごとが小さいうちに環境調整や支援につなぐこと」が重要とされています。

受診のタイミングを見逃さないで

「もう少し頑張れるはず」「自分の努力が足りないだけ」と無理を重ねて、二次障害が深刻化してから医療機関を受診するパターンは、大人の発達障害ではよく見られます。

次のサインが出てきたら、自己判断で無理を続けず、早めに医療機関を受診してください

  • 朝起きられない日が続く
  • 食欲がない/過食が止まらない
  • 仕事に行こうとすると涙が出る/身体が動かない
  • 強い不安や動悸が頻繁に起こる
  • 自分を責める思考が止まらない
  • お酒・ゲーム・買い物などへの依存が強くなった

「気合いで乗り切る」では解決しない段階に入っていることも多く、医療的な介入で大きく改善するケースが多いとされています。

実例:適応障害と発達障害が併存していた30代の事例

就労支援の現場では、新卒入社後にコミュニケーションがうまくいかず人間関係に悩み、適応障害と自閉症スペクトラム障害(ASD)の併存と診断された方が、就労支援を経てフリーランスとして働く道を模索したケースが紹介されています。

「発達障害だけ」「適応障害だけ」ではなく、両方が併存しているケースが大人の発達障害では多く、両面のケアが必要になります。

エンラボでも、ASDとうつ病が併存していた方が「困っているのに伝わらない」状態から、自分を理解してもらえる場所に出会うまでのプロセスを紹介しています。

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ASDとうつで”困っているのに伝わらない”私が、自分を理解してもらえる場所に出会った

大人が使える支援制度をチェック

医療機関での治療と並行して、福祉サービス・障害者雇用制度・経済的支援などの制度を活用することで、生活の選択肢が広がります。

精神障害者保健福祉手帳って何ができる?

発達障害は、精神障害者保健福祉手帳の対象になります。

手帳を取得すると、税金の控除、公共料金の割引、障害者雇用枠での就職、福祉サービスの利用などが可能になります。

申請は、市区町村の障害福祉課で行います。医師の診断書(初診から6か月以上経過してから作成可)が必要で、申請から交付まで概ね1〜3か月かかります。

「手帳を取りたくない」と感じる方も多くいらっしゃいますが、利用できる制度の幅が広がるメリットがある一方で、取得自体は任意で、後から返納することもできます。

通院費が軽くなる「自立支援医療」

精神科・心療内科への通院にかかる医療費の自己負担を、原則1割に軽減する制度です。

長期的な通院が必要な場合は、経済的負担を大きく減らせる制度として活用できます。

申請は市区町村の障害福祉課で行い、医師の診断書が必要です。

障害福祉サービスにはどんな種類がある?

発達障害のある方は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスを利用できます。

主なサービスには次のようなものがあります。

  • 自立訓練(生活訓練):生活リズム・対人スキル・自己理解の土台作り。原則2年(最大3年)。
  • 就労移行支援:一般就労を目指す訓練。原則2年。
  • 就労継続支援A型・B型:雇用契約あり/なしで継続的に働く場。
  • 就労定着支援:就職後の職場定着をサポート。最長3年。
  • 相談支援:サービス利用計画の作成・関係機関との調整。

利用には市区町村が交付する「障害福祉サービス受給者証」が必要で、障害者手帳がなくても自治体の判断で利用できるケースがあります。

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自立訓練(生活訓練)とは|対象者・利用期間
自立訓練はなにをする場所?プログラムの内容や他のサービスとの違い

障害者雇用枠で働く選択肢

発達障害のある方が障害者雇用枠で就職する場合、特性に応じた配慮を受けながら働ける環境を選びやすくなります。

「障害をオープンにして働く(オープン就労)」「障害を伝えずに働く(クローズ就労)」のどちらを選ぶかは、本人の状況・希望・職場との相性で決めていきます。

オープン就労の場合、ハローワークの障害者専門窓口・地域障害者職業センター・障害者就業・生活支援センター・就労移行支援事業所などの支援機関を活用できます。

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発達障害のある人が転職するには?進め方や大事なポイント

統計データから見る大人の発達障害

厚生労働省「生活のしづらさなどに関する調査(平成28年)」では、医師から発達障害と診断された者の数は推計48万1千人とされています。

うち18歳以上は推計約36万人とされており、子どもの数(12万1千人)よりも多くなっています。

成人の発達障害の認知が広がるにつれて、医療機関を受診する方・診断を受ける方の数は近年大きく増えているという方もいらっしゃいます。

「発達障害の特性を持つ大人は決して少なくない」「医療・福祉・就労の各分野で大人の発達障害に対応する仕組みが整ってきている」――この事実を知っておくと、ご自身の選択肢を広げるうえで参考になります。

出典:厚生労働省「平成28年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)結果」

「もしかして」と感じたら何から始める?

「もしかして発達障害かもしれない」と感じた段階で、次の一歩として進めやすい行動を整理します。

まずは困りごとを書き出してみる

医療機関を受診する前に、まずは「自分がいま困っていること」を具体的に書き出してみると、整理が進みます。

  • 仕事のどんな場面で困っているか
  • 家庭・対人関係のどんな場面で困っているか
  • いつ頃から困っているか
  • これまでにどんな工夫を試したか/その結果はどうだったか
  • 子どもの頃に同じような困りごとはあったか

書き出した内容は、医療機関の初診や相談機関での面談で、自分の状況を伝えるための材料になります。

無料で話せる相談先から選ぶ

「いきなり病院は気が重い」という方は、まずは無料で相談できる窓口から始めるのも選択肢です。

  • 発達障害者支援センター(各都道府県・指定都市)
  • 精神保健福祉センター(各都道府県・指定都市)
  • 自治体の障害福祉課
  • 障害者就業・生活支援センター(働きながら相談したい場合)
  • 地域包括支援センター(高齢の家族と一緒に暮らしている場合)

初回の相談は無料で、診断前でも対応してもらえる窓口がほとんどです。

「自分の状況に合った医療機関を紹介してほしい」「家族にどう伝えたらいいか分からない」「働きながら通える支援機関を知りたい」――こうした相談にも応じてもらえます。

診断を視野に入れたら医療機関へ

困りごとが大きく、診断を視野に入れている場合は、医療機関を受診してください

精神科・心療内科のうち、大人の発達障害の診断を行っている医療機関を選びます。

初診まで2〜6か月待ちのケースもあるため、気になり始めた段階で早めに予約を入れることをおすすめします。

診断結果を踏まえて支援を組み合わせる

診断結果(または「グレーゾーン」との説明)を踏まえて、自分に合った支援の組み合わせを選んでいきます。

  • 薬物療法・心理療法の継続
  • 障害者手帳・自立支援医療の申請
  • 福祉サービス(自立訓練・就労移行支援など)の利用
  • 職場での合理的配慮の申し出
  • 家族・支援者との情報共有

「すべてを一度に始める」必要はなく、「いま一番困っていること」から順に取り組むのが現実的です。

エンラボカレッジでの「自己理解から始める」アプローチ

エンラボカレッジは、神奈川県・東京都・大阪府・宮崎県で自立訓練(生活訓練)と就労移行支援を運営している事業者です。

発達障害の特性に伴う困りごとがある方の自己理解とライフスキルの獲得を、独自プログラムを通じて支援しています。

8つのプログラムで「自分の取扱説明書」を作る

エンラボカレッジでは、感情学/コミュニケーション/My Lab./アクティビティ/Life Lab./ソマティック Lab./Social Lab./スキルアップの8つのプログラムを軸に、「自分を知り、人との関わり方を学ぶ」カリキュラムを組み立てています。

なかでもMy Lab.は、利用される方が『自分/支え方マニュアル』という独自成果物を作る時間で、自分の凸凹と必要なサポートを言語化していく取り組みです。

「自分はどんな場面で困りやすいか」「どんな環境なら集中できるか」「ストレスのサインは何か」「回復にはどんな方法が効くか」――こうした自己理解を、自分の言葉で整理していきます。

完成した『自分/支え方マニュアル』は、卒業後の進路先(企業・就労移行支援事業所・医療機関など)でも継続的に活用できるツールとして、多くの卒業生が活用されています。

4ステージの段階的なカリキュラム

エンラボカレッジの自立訓練(生活訓練)は、4ステージ構成で「自分を知る・学ぶ→学んだことができる→学びを応用できる→自信を持ち、次に進める」というプロセスを段階的に進めていきます。

「いきなり就職を目指す」のではなく、まずは生活リズム・対人スキル・自己理解の土台を整えるところから始める設計です。

「働く前にまず生活と気持ちを整えたい」「自分の特性をちゃんと理解してから次を考えたい」――そう感じる発達障害のある方に活用していただいています。

卒業後の進路は多様

エンラボカレッジでは、卒業後の進路を「就職」だけに絞っていません。

就労移行支援事業所への移行、就労支援センターを活用した就職、休職中の職場への復職(リワーク的活用)、大学・専門学校への復学・進学、就労継続支援A型・B型の利用など、ご本人の希望と状況に応じた多様な進路を一緒に検討していきます。

「すぐに就職したい」方には合わない場合がありますが、「自分のペースで土台を整えたい」「将来を含めて多様な選択肢を一緒に考えたい」という方には、選択肢のひとつとして検討いただけます。

大人の発達障害の実例|自立訓練(生活訓練)エンラボカレッジ利用者の事例

※以下は自立訓練(生活訓練)エンラボカレッジを利用された方の支援事例です(医学的な症例研究ではありません)

事例1|ADHDの20代が自立訓練で就職準備を進めた

20代でADHDの診断を受けたあと、就労移行支援に進む前に「まず生活リズムと自己理解を整えたい」と自立訓練を選択された方の事例です。

ステージ1〜4のカリキュラムを進めながら、自分の凸凹を整理し、『自分/支え方マニュアル』を作成。卒業後は就職活動に進まれています。

詳細は発達障害(ADHD)の20代が自立訓練で就職準備を進めた方法をご覧ください。

事例2|ADHDの私が自立訓練で感情コントロールを身につけ安定就職

就労移行支援後に仕事が続かなかった方が、自立訓練で感情コントロールを身につけて安定就職を実現されたプロセスです。

詳細は就労移行支援後に仕事が続かず…ADHDの私が自立訓練で感情コントロールを身につけ、安定就職を実現をご覧ください。

事例3|ASDとうつで「困っているのに伝わらない」状態から自分を理解してもらえる場所へ

ASDとうつ病が併存していた方が、「困っているのに伝わらない」状態から、自分を理解してもらえる場所に出会うまでのプロセスです。

詳細はASDとうつで“困っているのに伝わらない”私が、自分を理解してもらえる場所に出会ったをご覧ください。

よくある質問(FAQ)

大人になってから発達障害になることはありますか?

発達障害は、生まれつきの脳機能の特性とされており、大人になってから新たに発症することはないと考えられています。

「大人になってから気づかれる」というのが正確な表現で、子どもの頃から続いていた特性が、社会人になってからの仕事量や対人関係の複雑さの中で困りごととして自覚されるパターンが大半です。

Web上の簡易判定で発達障害かどうか分かりますか?

Web上のチェックや書籍のチェックリストは「気づきのきっかけ」にはなりますが、診断の代わりにはなりません。

発達障害の診断ができるのは医師(とくに精神科医・心療内科医)に限られます。

気になる症状や困りごとがある場合は、医療機関を受診してください。

何科を受診すればよいですか?

第一に検討するのは精神科です。発達障害の診断・治療を専門的に行えるのは精神科とされています。

心療内科でも対応している医療機関はありますが、事前に「大人の発達障害の診断を受けられるか」を電話で確認することをおすすめします。

診断にはどれくらい時間がかかりますか?

初診から診断確定までは、数週間から数か月かかるのが一般的です。

知能検査や心理検査を行う場合は、検査結果が出るまでに数週間かかります。

子どもの頃の様子の確認に時間がかかるケースもあり、「1回の受診で確定」というケースは多くありません。

障害者手帳は取らなくてはいけませんか?

障害者手帳の取得は任意で、義務ではありません。

取得すると税金の控除・公共料金の割引・障害者雇用枠の利用などのメリットがありますが、取得しないことで困ることがなければ申請しない選択もあります。

職場や周囲に開示するかどうかも、本人の判断で決められます。後から返納することも可能です。

大人の発達障害は治りますか?

発達障害そのものを「治す」治療法は、現時点では確立されていません。

ただし、ADHDの一部の症状には保険適用の薬があり、心理療法・環境調整・自己理解の積み重ねによって、特性に伴う困りごとを小さくしていくことは十分に可能です。

「治す」よりも「特性とうまく付き合う」「特性に合う環境を整える」という方向で取り組むことが、生活の安定につながります。

仕事を辞めたほうがよいですか?

「発達障害かもしれない」と感じたタイミングで、すぐに辞職を決める必要はありません。

まずは医療機関の受診と支援機関への相談を進めながら、いまの職場で続けられる工夫(業務内容の調整・合理的配慮の申し出など)を試してみることをおすすめします。

そのうえで、「いまの職場では続けるのが難しい」と判断した場合に、休職・転職・福祉サービスの利用などを検討していく流れが現実的です。

衝動的な退職は同じパターンを繰り返しやすいため、必ず支援者・医師と相談してから決めてください。

家族にどう伝えたらよいですか?

家族への伝え方に悩む方は少なくありません。

「いきなり診断結果を伝える」よりも、「最近こういう困りごとが続いていて、医療機関に相談しようと思っている」と段階的に共有していくほうが、家族も受け止めやすい傾向があります。

ご家族との共有が難しい場合は、発達障害者支援センターや精神保健福祉センターで、家族向けの相談も受け付けています。

二次障害(うつ・不安症など)の症状が強いときは、どうすればよいですか?

二次障害の症状が強いときは、まず医療機関でその症状の治療を優先することが多くなります。

うつ・不安症の症状が落ち着いてから、改めて発達障害の検査・診断に進む流れが一般的です。

「発達障害の診断を急ぐ」よりも、「いまの症状を安定させる」ことを最優先に、主治医と相談しながら進めてください。

自立訓練と就労移行支援、どちらを選べばよいですか?

「すぐに就職を目指したい」場合は就労移行支援、「まず生活と自己理解の土台を整えたい」場合は自立訓練(生活訓練)が、それぞれの目的に合いやすいとされています。

「いきなり就労移行は不安」と感じる方は、自立訓練から始めて、土台が整ってから就労移行に進む二段階の使い方も可能です。

ご自身の状況に合うかどうかは、見学・体験で確かめることをおすすめします。

まとめ

大人の発達障害は、生まれつきの脳機能の特性が、社会人になってからの仕事量・対人関係の中で困りごととして顕在化した状態です。ASD・ADHD・LDの3タイプがあり、併存するケースもあります。

次の一歩は、気になる症状があれば医療機関(とくに精神科)を受診すること、並行して発達障害者支援センターなどの公的窓口に相談することです。二次障害が深刻化する前に動くことが、生活の安定につながります。

「特性を理解して、働き方を含めて土台から整え直したい」という方は、自立訓練(生活訓練)も選択肢のひとつです。エンラボカレッジでも見学・無料相談を随時お受けしています。

ご見学・無料相談のご案内

エンラボカレッジでは、自立訓練(生活訓練)と就労移行支援の見学・無料相談を、神奈川・東京・大阪・宮崎の11拠点で随時お受けしています。

「大人の発達障害かもしれないと感じているが、どこから手をつけたらよいか分からない」「医療機関と並行して、生活面の支援も受けたい」「家族と一緒に話を聞いてみたい」――そうしたご相談も歓迎しています。

ご見学・無料相談のお申し込みは、エンラボカレッジ公式サイト、またはお電話(050-5538-0786/平日10:00-18:00)からお気軽にどうぞ。

事業所の雰囲気・プログラムの実際・通っている方々の様子を、実際に見てから判断いただけます。

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更新日:2026/05/31 公開日:2023/08/04

この記事について【作成・監修】

本記事は、自立訓練(生活訓練)事業所「エンラボカレッジ」を運営する株式会社エンラボの専門職スタッフが作成・監修しています。

【在籍資格】
精神保健福祉士・社会福祉士・臨床心理士・作業療法士・理学療法士

【現場での実践】
自立訓練(生活訓練)・就労移行支援などで、診断名・特性に合わせた個別支援を提供しています。

【運営会社】
株式会社エンラボ/設立2015年4月/神奈川県を中心に首都圏・関西・宮崎で11拠点運営

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