発達障害の診断方法とは|診断基準・受診の流れ・診断後の相談先まで
更新日:2026/05/31
自分や家族に発達障害の特性がありそうだけれど、診断はどう受ければよいのか、ネット上のチェック項目だけで判断してよいのか――受診を検討する段階で、迷いが生まれやすいテーマです。
発達障害の診断は、本人の困りごとや生育歴を医師が聞き取り、必要に応じて心理検査を組み合わせながら、国際的な診断基準にもとづいて医療機関で行われます。確定診断は医療機関での受診が前提です。
本記事では、発達障害の診断基準(DSM-5-TR/ICD-11)・受診先の選び方・診断後に使える支援先について紹介します。
発達障害とは|診断方法を理解する前提知識
発達障害の診断方法を整理する前に、まずは「発達障害とはどのような状態を指すのか」を確認しておきます。
発達障害の定義(発達障害者支援法)
発達障害者支援法では、発達障害を「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であって、その症状が通常低年齢において発現するもの」と定義しています。
つまり、発達障害は「生まれつきの脳機能の発達のかたよりにより、社会生活に持続的な困難が生じる状態」を指す概念として位置づけられています。
関連ページ
– 厚生労働省「発達障害者支援施策」
主な3つの分類
発達障害は、主に次の3つに分類されます。重なって併存することも多く、特性の出方や程度は人によって異なります。
ASD(自閉スペクトラム症):対人コミュニケーションや相互的なやりとりに難しさがあり、興味・行動のパターンに限定的・反復的な特徴が見られる状態です。感覚の過敏さ・鈍さを併せ持つケースもあります。
ADHD(注意欠如多動症):不注意(集中の持続が難しい・忘れ物が多い)、多動性(じっと座っているのが難しい)、衝動性(思いつきで行動する)のいずれか、または組み合わせが、生活上の困りごととして現れる状態です。
LD/SLD(限局性学習症):知的発達には大きな遅れがないにもかかわらず、読み・書き・計算など特定の学習領域に著しい困難が生じる状態です。
このほかにも、発達性協調運動症(DCD)・チック症・吃音症などが、発達期に現れる神経発達症群として整理されています。
関連ページ
– 大人のADHDとは|特徴・症状・診断方法
– 大人のASD(自閉スペクトラム症)|症状・特徴
「大人になってから気づく」ケースも増えている
幼少期に診断されるケースが多い一方で、社会人になってから職場での困りごとをきっかけに受診し、発達障害と診断されるケースも増えています。
「子どものころから違和感はあったが、学生時代までは何とかなっていた」「就職して業務量や対人関係が複雑になり、急に立ち行かなくなった」というパターンが代表的です。
大人になってから気づくケースの整理は、大人の発達障害?特徴・原因・診断・治療法で詳しくまとめています。
二次障害(うつ・不安など)が併存することがある
発達障害の特性そのものよりも、特性によって生じる社会生活上の困難の積み重ねから、うつ病・不安症・適応障害などの精神疾患を併存するケースが少なくありません。
「会社に行けなくなった」「不眠が続く」といった二次的な症状をきっかけに受診し、その背景に発達特性があったと判明する流れも、医療現場ではよく見られるパターンです。
二次障害が前面に出ている場合は、まず現在のつらさを和らげる治療を優先しつつ、生活への影響をふまえて発達特性のアセスメントを進める、というステップが取られます。
診断基準|DSM-5-TRとICD-11の位置づけ
発達障害の診断には、国際的に用いられている2つの診断基準が用いられます。
それぞれの位置づけと、診断時にどのように使われるかを整理します。
DSM-5-TR(米国精神医学会)
DSM(精神疾患の診断・統計マニュアル)は、米国精神医学会(APA)が作成している精神疾患の診断基準です。
最新版はDSM-5-TR(2022年公開、日本語版2023年)で、症状の種類・期間・社会生活への影響などの観点から、各疾患の診断基準を体系的に整理しています。
DSM-5-TRでは、ASD・ADHD・LD/SLDなどは「神経発達症群(Neurodevelopmental Disorders)」というカテゴリに整理されており、医療現場での実務的な診断に広く用いられています。
ICD-11(世界保健機関)
ICD(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)は、世界保健機関(WHO)が作成している国際的な疾病分類です。
最新版はICD-11で、WHO総会で2019年に承認、2022年から段階的に発効しています。
ICD-11では「神経発達症群(Neurodevelopmental disorders)」のカテゴリのなかに、自閉スペクトラム症・注意欠如多動症・発達性学習症などが整理されており、行政・公的統計の場面で標準的に用いられます。
日本では、厚生労働省が公表する人口動態統計や患者調査などの公的統計、医療機関の診療報酬請求などでICDが活用されています。
「診断基準」は医師が総合的に運用するもの
DSM-5-TRやICD-11は、いずれも症状・期間・生活への影響などの観点から複数の条件を整理した「診断の枠組み」です。
これらの基準を満たしているかどうかを判断するのは、診断基準を熟知した医師であり、本人の問診・行動観察・生育歴の聴取・心理検査の結果などを総合的に評価したうえで診断に至ります。
つまり、診断基準そのものが自己回答だけで完結する診断ツールとして一般向けに公開されているわけではなく、医師が臨床判断のなかで運用する枠組みである点が重要です。
「ネット上のチェック項目で何項目あてはまったから発達障害」と即断するのではなく、生活上の困りごとがある場合は医療機関での相談を起点としていただくと安心です。
ASD・ADHD・LDそれぞれの簡易チェックリスト(DSM-5-TR)
DSM-5-TRでは、ASD・ADHD・LDがそれぞれ独立した診断基準として整理されています。医師が診断時に確認する代表的な項目を、タイプ別に整理します。
ASD(自閉スペクトラム症)の簡易チェックリスト
- ☑ 会話のキャッチボールや感情の共有が難しい(社会的・情緒的な相互関係)
- ☑ 非言語的コミュニケーション(視線・表情・身振り)の使い分けが難しい
- ☑ 人間関係を築き、維持し、理解することが難しい
- ☑ 反復・常同的な行動、決まった習慣や限定的な興味、感覚過敏/鈍麻のいずれかが見られる
ADHD(注意欠如多動症)の簡易チェックリスト
ADHDのDSM-5-TR診断基準には、不注意の9項目・多動性/衝動性の9項目があります。各項目の具体内容や、何項目以上で診断対象となるかの基準、診断ステップについては、ADHDの診断にしぼってまとめた以下の記事をご覧ください。
関連ページ
– ADHDの診断とは|診断基準・受診の流れ・診断後の支援先を解説
LD・SLD(限局性学習症)の簡易チェックリスト
- ☑ 読字の正確性・流暢性、文章理解のいずれかに困難(読字障害)
- ☑ 綴り字・文法・作文構成のいずれかに困難(書字障害)
- ☑ 数の感覚・暗算・計算の正確性・数学的推論のいずれかに困難(算数障害)
- ☑ 知的発達には大きな遅れがないにもかかわらず、特定領域だけ年齢相応のレベルに達しない
※上記はDSM-5-TRで医師が診断時に参照する基準の要点を整理したものであり、自己診断目的ではありません。気になる場合は精神科・心療内科などの専門機関にご相談ください。
受診前に行えるセルフ振り返り|「受診の目安」として活用する
「いきなり受診するのは抵抗がある」「まず自分の状態を整理してから相談したい」という方には、受診前のセルフ振り返りが役立ちます。
ただし、これらはあくまで「受診を検討する目安」であり、確定診断の代わりにはなりません。
振り返りの観点
セルフ振り返りで意識したい観点は、次のような項目です。
- 子どものころから現在まで、繰り返し感じてきた困りごとがあるか
- 学校・職場・家庭など複数の場面で、その困りごとが現れているか
- その困りごとによって、学業・仕事・対人関係・生活全般に支障が出ているか
- 周囲との関係性で疲れやすい、人付き合いが続きにくいと感じることが多いか
- 集中が続かない、忘れ物が多いといった困りごとが、努力では補いきれないと感じるか
- 興味のかたよりや感覚の過敏さで、日常生活がつらくなる場面があるか
これらに複数あてはまる場合や、生活への支障が続いている場合は、医療機関や支援機関への相談を検討するタイミングと考えられます。
セルフ振り返りの限界
セルフ振り返りには、次のような限界があります。
第一に、発達障害の症状は他の疾患(うつ病・不安症・睡眠障害・甲状腺疾患など)と似た現れ方をすることがあり、自己判断では区別が難しいケースが多い、ということです。
第二に、自分自身の状態を客観的に振り返ることは、もともと「自分の特性が把握しづらい」傾向を持つ方にとっては特に難しく、過大評価や過小評価が起こりやすいということです。
第三に、診断には生育歴や複数の場面での行動観察など、本人以外からの情報も重要な材料となるため、自己回答だけでは判断材料が不足する、ということです。
これらの理由から、セルフ振り返りはあくまで「受診のきっかけ」「医療機関で伝える困りごとの整理」として活用していただき、確定診断は医療機関に委ねることをおすすめします。
受診時に持参すると役立つメモ
受診の際に、次のような情報をまとめたメモを持参すると、医師との相談がスムーズに進みます。
- 現在困っていること(具体的な場面・頻度・期間)
- 子どものころのエピソード(学校生活・対人関係・忘れ物・集中の持続など)
- 家族から見た本人の様子(可能なら家族にも同行を依頼)
- これまでに受診した医療機関・服用中の薬・既往歴
- 生活上のリズム(睡眠・食事・就労状況)
母子手帳・通知表・職場での評価コメントなど、過去の客観的な記録があれば持参するとさらに有効です。
大人が診断を受けるまでのステップ
大人の発達障害を確定するためには、まず医療機関を受診する必要があります。自己判断やセルフチェックだけでは確定できないため、専門の医師による評価が欠かせません。診断は一度の面接や検査だけで終わるものではなく、複数の情報を組み合わせて総合的に判断されます。
1. 医師による初診・問診
最初に行われるのは医師による問診です。子どものころから現在までの生活の様子や困りごと、家族歴などが丁寧に聞き取られます。具体的なエピソードも診断の参考になります。
2. 心理検査や行動観察
必要に応じて心理検査(知能検査WAIS-IV/WISC-V、ASD評価AQ・ADOS-2・ADI-R、ADHD評価CAARS・Conners 3・ASRSなど)が行われます。これにより症状の特徴や日常生活での影響の度合いを客観的に把握します。また、診察室での様子や会話の流れも行動観察として重要な材料になります。
3. 他の病気との鑑別
発達障害と似た症状を示す疾患も少なくありません。そのため、医師は必要に応じて血液検査や心理検査を組み合わせ、他の病気(うつ病・不安症・睡眠障害・甲状腺疾患など)が影響していないかを確認します。
4. 総合的な診断
問診・検査・観察結果を総合的に判断し、DSM-5-TRやICD-11の基準にもとづいて発達障害かどうかを診断します。診断がついた場合には、治療や支援の方法について説明があり、薬物療法やカウンセリング、生活改善などが提案されます。初診から診断確定まで1〜数か月程度かかるケースが一般的で、心理検査の予約状況によってはさらに時間を要することもあります。
受診時のポイント
大人になってからの診断では、客観的な情報が非常に重要です。
- メモの持参:診察時に緊張してうまく伝えられないことがあるため、事前に「困っているエピソード」や「子どものころの様子」をメモしておくと役立ちます。
- 周囲の証言:子どものころの通知表や、家族・パートナーなどからの「客観的な視点」が診断の助けになることがあります。
大人の発達障害診断は「テストの点数だけで決まる」のではなく、生活全体の様子や他の疾患との違いを踏まえて慎重に行われます。早めに受診することで、自分の特性を理解し、より適切な対処や支援につなげることができます。
受診先の選び方|精神科・心療内科・専門外来など
「どこに受診すればよいのか分からない」という声は多く聞かれます。
発達障害の診断・治療を扱う代表的な医療機関の種類を整理します。
精神科
精神疾患全般を扱う診療科で、発達障害の診断・治療も対応領域に含まれます。
統合失調症・うつ病・双極性障害・不安症など、二次的に現れる精神疾患の治療も並行して行えるため、二次障害を伴うケースで選ばれることが多い診療科です。
「精神科は敷居が高い」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、近年は予約制で落ち着いた待合空間を整えるクリニックも増えており、はじめての受診でも比較的入りやすい環境が整いつつあります。
心療内科
ストレスや心理的要因が関与する身体症状(頭痛・腹痛・睡眠障害など)を中心に扱う診療科です。
「不眠」「胃の不調」「動悸」など身体症状を入口に受診し、その背景に発達特性があると判明するケースが少なくありません。
発達障害の専門的なアセスメントを行うかどうかは医療機関の方針によるため、ホームページで「発達障害の診療を行っている」と明記されているか、事前に確認しておくと安心です。
発達障害を扱う専門外来
大学病院や総合病院に併設されている「発達外来」「神経精神科」などでは、発達障害のアセスメントに特化した検査体制を備えているケースがあります。
待ち時間は数か月単位で発生することが多いものの、心理検査や多職種チームによる総合評価を受けたい場合に選択肢となります。
紹介状(診療情報提供書)が必要なケースが多いため、まずはかかりつけ医や地域の精神科・心療内科を経由して紹介を受ける形が一般的です。
児童精神科(児童・思春期年代の場合)
中学生・高校生など児童・思春期年代の場合は、児童精神科が選択肢となります。
成人とは発達段階が異なるため、児童・思春期に対応した経験を持つ医師がいるかどうかが、医療機関選びの大切なポイントです。
成人になってから受診される場合でも、児童期からの経過を確認するために、過去の児童精神科への通院歴があれば情報共有が役立ちます。
受診先を探すときの相談窓口
「自分の住む地域で発達障害の診療をしている医療機関を知りたい」という場合は、次の相談先を活用できます。
- 発達障害者支援センター:都道府県・指定都市が設置している発達障害の専門支援機関で、地域の医療機関情報の提供や受診相談に応じています
- 保健所・保健センター:地域の精神保健相談窓口として、医療機関情報を提供しているケースがあります
- かかりつけ医:内科や心療内科のかかりつけ医に相談し、紹介状を作成してもらうルートも有効です
- 市区町村の障害福祉課:障害福祉サービスの相談を起点に、医療機関情報を案内してもらえるケースがあります
国立障害者リハビリテーションセンター内の発達障害情報・支援センターでは、全国の発達障害者支援センターの情報がまとめられています。
診断にかかる費用と保険適用
「診断にはいくらかかるのか」「保険は使えるのか」も、受診を検討する際に気になるポイントです。
健康保険の適用
発達障害の診断・治療は、公的医療保険の適用対象となります。
初診料・再診料・処方料などは保険診療として扱われ、医療費の3割(年齢や所得により1〜2割)が自己負担となります。
心理検査の費用感
心理検査の費用は、検査内容と医療機関の方針によって異なりますが、保険適用となる検査の場合、3割負担で1回あたり数百円から数千円程度となるケースが多いです。
複数の検査を組み合わせて実施する場合や、保険適用外の検査を選択する場合は、自費負担となる金額も変動します。
検査の予約時に「保険適用かどうか」「自己負担額の目安はいくらか」を医療機関に確認しておくと安心です。
自立支援医療(精神通院医療)
うつ病・不安症など精神疾患の治療として継続的な通院が必要な場合、自立支援医療(精神通院医療)制度を利用できる可能性があります。
この制度を利用すると、通院医療費の自己負担が原則1割に軽減され、所得に応じた月額自己負担上限額が設定されます。
申請窓口は市区町村の障害福祉課で、医師の診断書と申請書を提出して受給者証の交付を受ける流れです。
「診断後、継続的な通院が見込まれる」場合は、主治医に制度の利用可否を相談してみることをおすすめします。
診断書発行の費用
職場への報告や障害者手帳の申請、各種支援制度の利用に必要な診断書は、医療機関ごとに発行手数料が設定されており、1通あたり数千円から1万円程度となるケースが多いです。
診断書は保険適用外(自費)となるため、用途を医師に伝えたうえで必要な内容の書類を発行してもらう形になります。
診断後に利用できる支援|公的サービスと支援機関
「診断を受けたあと、どんな支援を利用できるのか」を整理します。
診断結果を活かして使える公的サービス・相談先・支援機関は複数あり、本人の状況や希望に応じて組み合わせていく形になります。
精神障害者保健福祉手帳
発達障害は、精神障害者保健福祉手帳の対象に含まれます。
手帳を取得すると、所得税・住民税の控除、公共交通機関の運賃割引、携帯電話料金の割引、各自治体独自のサービスなどが利用できるケースがあります。
申請には、初診から6か月以上経過したのちに医師に診断書を作成してもらい、市区町村の障害福祉課に申請する流れです。
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– 双極性障害とADHDの違い|診断基準・併発・手帳・年金
障害福祉サービス
発達障害の診断を受けた方が利用できる障害福祉サービスには、次のようなものがあります。
- 自立訓練(生活訓練):生活リズム・対人スキル・自己理解の土台作りを行うサービス
- 就労移行支援:一般就労を目指して、訓練・就職活動・職場定着を支援するサービス
- 就労継続支援A型・B型:雇用契約のもとで/雇用契約を結ばずに、働く場を提供するサービス
- 就労定着支援:就職後の職場定着を継続的に支援するサービス
利用には、市区町村の障害福祉課で交付される「障害福祉サービス受給者証」が必要となります。
関連ページ
– 自立訓練(生活訓練)とは|対象者・利用期間
– 就労移行支援とは|対象・利用料・内容
発達障害者支援センター
都道府県・指定都市が設置する発達障害の専門相談機関で、本人・家族・支援者からの相談を受け付けています。
医療機関情報の提供、福祉サービスの紹介、就労に関する相談、家族支援、関係機関の調整など、ワンストップで相談できる窓口として位置づけられています。
「どこに相談すればよいか分からない」という段階の方も、まず地域の発達障害者支援センターに連絡してみると、次の一歩が見えやすくなります。
関連ページ
– 大人の発達障害の相談先・相談方法・支援機関
ハローワーク・就業生活支援センター
就労に関する相談・求職活動の支援については、ハローワーク(公共職業安定所)の障害者専門窓口、障害者就業・生活支援センターが利用できます。
ハローワークでは、障害者雇用枠での求人紹介、職場実習の調整、職業訓練の案内などを行っています。
障害者就業・生活支援センター(通称:ナカポツ)は、就労面と生活面の両面から相談を受け付ける機関で、地域の支援機関のハブとして機能しています。
自助グループ・ピアサポート
同じ診断や似た特性を持つ当事者同士で支え合う自助グループ・ピアサポートも、診断後の支援の選択肢となります。
「同じ立場の人と話せて気持ちが楽になった」「具体的な工夫の情報交換ができた」という声があり、医療や福祉サービスでは得にくい安心感や実用的な情報が得られる場として活用されています。
地域の発達障害者支援センターや精神保健福祉センターで、地域の自助グループ情報を案内してもらえることがあります。
診断を受けるかどうか迷っている方へ|判断の整理
「診断を受けるかどうか自体を迷っている」「診断名がつくことに抵抗がある」という方も少なくありません。
診断を受ける/受けない、それぞれの一般的な観点を整理します。
診断を受けるメリット
第一に、自分の状態に名前がつくことで、これまでの困りごとを「努力不足」「性格の問題」として抱え込まずに済むようになるケースがあります。
第二に、診断名があることで利用できる公的支援(精神障害者保健福祉手帳・障害福祉サービス・自立支援医療など)が広がり、生活や就労の選択肢が増えるケースがあります。
第三に、職場や学校で合理的配慮を求めやすくなり、本人に合った環境調整が進めやすくなるケースがあります。
第四に、家族や周囲が「本人の困りごとは特性に由来するもの」と理解し、関わり方を見直すきっかけになるケースがあります。
診断を受けることへの不安と整理
一方で、診断を受けることに対しては、次のような不安が挙げられることがあります。
- 診断名がつくことで自分や家族の捉え方が変わってしまうのではないか
- 職場や周囲に知られたくない
- 「障害」とラベリングされることに抵抗がある
これらの不安は自然なもので、診断を受けるかどうかは本人の判断が尊重される領域です。
ただし、「受診すること」と「診断名を周囲に伝えること」は別の選択として整理できます。診断を受けたうえで、誰に開示するか・どこまで開示するかは、本人が場面ごとに選んでいける問題です。
迷っている場合は、まず受診そのものについて医師や相談機関と話し合い、診断のメリットと不安を整理してから判断する、という二段階の進め方も可能です。
「グレーゾーン」の場合
医療機関で問診・心理検査を受けても、診断基準を完全に満たすとはいえず、「特性はあるが診断には至らない(いわゆるグレーゾーン)」と説明されるケースもあります。
この場合でも、生活上の困りごとがあるならば、特性に合わせた工夫・支援機関の活用は十分に意味があります。
「診断がつかなかったから何もできない」のではなく、「特性の傾向を把握できたから、それを前提に環境を整えていく」というスタンスで支援機関と関わっていく方も少なくありません。
エンラボカレッジの自立訓練でも、発達障害の診断を受けていない方の利用は可能で、特性の整理と環境調整を一緒に進めていけます。
エンラボカレッジでの「自己理解と環境調整」のアプローチ
エンラボカレッジは、神奈川県・東京都・大阪府・宮崎県で自立訓練(生活訓練)と就労移行支援を運営している事業者です。
「発達障害の診断を受けた」「診断を受けるかどうか迷っている」「特性はあるが診断はついていない」――いずれの段階の方からも、ご相談を受けています。
8つのプログラムで「自分の取扱説明書」を作る
エンラボカレッジの自立訓練では、8つのプログラム(感情学/コミュニケーション/My Lab./アクティビティ/Life Lab./ソマティック Lab./Social Lab./スキルアップ)を組み合わせています。
なかでもMy Lab.は、利用される方が『自分/支え方マニュアル』という独自の成果物を作る時間で、卒業後の進路先(就労移行支援・障害者雇用・復職・進学など)でも継続して活用できるツールです。
「自分の特性をどう人に伝えればよいか分からない」「配慮を依頼する言葉が見つからない」という状態でも、ステージ1〜4の4段階のカリキュラムを通じて少しずつ言語化していけます。
診断の有無にかかわらず利用できる
エンラボカレッジは、発達障害の診断を受けていない方も利用可能です。
「特性はあると感じているが、診断のためにまず生活を整えたい」「診断を受けるかどうか迷っているので、まず特性の整理から始めたい」という方も、自立支援医療受給者証や主治医意見書をもとに、自治体の判断で障害福祉サービス受給者証が交付されるケースがあります。
詳しくは住所地の市区町村障害福祉課にご確認いただくか、エンラボカレッジ各拠点までお問い合わせください。
発達障害の診断と支援につながった実例|自立訓練(生活訓練)エンラボカレッジ利用者の事例
※以下は自立訓練(生活訓練)エンラボカレッジを利用された方の支援事例です(医学的な症例研究ではありません)。
事例1|ASDの20代女性が自立訓練を通じて自己理解を深めたケース
ASD(自閉スペクトラム症)の特性のある20代女性が、自立訓練(生活訓練)の利用を通じて自己理解を深め、安定した就労へとつなげていったケースがあります。
「自分の特性をどう人に伝えればよいか分からない」という状態から、訓練のなかで自分の凸凹を整理し、配慮を依頼する言葉を持てるようになるまで、約半年〜1年程度の時間をかけて取り組まれました。
事例2|ADHDのある20代男性が就職準備に取り組んだケース
ADHDのある20代男性が、自立訓練を活用して就職準備に取り組まれたケースもあります。
集中の持続が難しい・忘れ物が多いといった困りごとを、訓練のプログラムを通じて整理し、自分に合った工夫を身につけながら次のステップへ進まれました。
業界全体の支援傾向|公的データと業界事例の参考
就労支援の現場例として、次のような傾向が報告されています。
第一に、「新卒で入社後、業務量や対人関係の複雑さに対応しきれず、産業医面談などをきっかけに発達障害の傾向を指摘されて受診する」というパターンが20代を中心に多く見られます。
第二に、「3か月程度で離職を繰り返してきた背景にコミュニケーションの困難があり、初めての精神科受診でADHDの診断を受ける」というケースも報告されています。
第三に、「適応障害や不安症などの精神疾患の治療を進める過程で、背景にあった自閉スペクトラム症が判明する」というケースも見られます。
これらの傾向に共通するのは、「困りごとを抱えて医療機関を受診したことで、特性が言語化され、合理的配慮や支援につながった」という流れです。
「気になる困りごとがある」「これまで頑張ってきたけれど限界を感じている」という状態であれば、自己判断で完結させず、医療機関や支援機関への相談を起点とすることが、解決の入口となるケースが多いと整理できます。
よくある質問(FAQ)
発達障害の診断はどの診療科で受けられますか?
精神科・心療内科・発達障害を扱う専門外来などで受診できます。児童・思春期年代の場合は児童精神科も選択肢となります。「発達障害の診療に対応しているか」を事前にホームページや電話で確認したうえで予約することをおすすめします。地域の医療機関情報は、発達障害者支援センターでも案内を受けられます。
インターネット上の質問項目だけで診断は確定しますか?
確定しません。ウェブサイトや書籍に掲載されている質問項目は、「受診を検討する目安」として活用できますが、確定診断は医療機関で問診・行動観察・心理検査などを総合して医師が行うものです。気になる項目があてはまる場合は、自己判断で完結させず、医療機関にご相談ください。
受診から診断確定までどれくらいかかりますか?
医療機関や本人の状況によりますが、初診から診断確定まで1〜数か月程度かかるケースが多いとされています。心理検査の予約が混み合っている医療機関では、さらに時間を要することもあります。診断は1回の受診で確定するとは限らず、複数回の通院を経て確定するケースが一般的です。
診断にはどんな検査が行われますか?
問診・行動観察・心理検査が組み合わされます。心理検査には知能検査(WAIS-IV/WISC-Vなど)、ASDのアセスメント(AQ/ADOS-2/ADI-Rなど)、ADHDのアセスメント(CAARS/Conners 3/ASRSなど)が用いられることがあります。実施する検査は医療機関の方針や本人の状態によって異なります。
診断書は何のために必要ですか?
精神障害者保健福祉手帳の申請、自立支援医療の申請、障害福祉サービスの利用、職場での合理的配慮の依頼、学校での支援申請などに用いられます。診断書は保険適用外(自費)となり、1通あたり数千円から1万円程度の発行手数料がかかるケースが多いです。用途を医師に伝えて、必要な内容の書類を発行してもらいます。
診断を受けると保険に入れなくなりますか?
民間の生命保険・医療保険の加入条件は保険会社ごとに異なりますが、診断歴があることで加入や告知に影響が出るケースもあるとされています。診断前に保険加入を検討している場合は、保険会社や代理店に事前に確認しておくとよいでしょう。一方で、すでに加入している保険については、診断を受けたことで遡って契約に影響が出る形ではない場合も多いとされています。詳細は契約内容の確認をおすすめします。
自分で受診したいと思っても、家族の理解が得られない場合
家族の理解が得られない場合でも、本人の判断で受診することは可能です。発達障害者支援センターや保健所などに相談し、家族向けの説明資料や面談を活用しながら理解を求めていく方法もあります。また、家族の同席がなくても受診はできますので、まずは医療機関に一人で相談に行くという選択肢もあります。
診断を受けたら必ず服薬が始まりますか?
必ずしも服薬が始まるとは限りません。ADHDの場合は中枢神経刺激薬や非刺激薬を選択肢として検討するケースがありますが、本人の状態・希望・生活への影響をふまえて医師と相談しながら決めていきます。ASDに対する根本的な薬物治療は確立されておらず、二次的なうつ・不安症などに対する治療として薬物が用いられることが中心です。服薬の有無や種類は、必ず医師との相談のうえで決定してください。
グレーゾーン(診断に至らなかった場合)はどうすればよいですか?
「特性はあるが診断には至らない」と説明された場合でも、生活上の困りごとがあるなら特性に合わせた工夫や支援機関の活用は可能です。発達障害者支援センター・自立訓練・就労移行支援などは、診断の有無にかかわらず利用できるケースがあります。市区町村の障害福祉課で、利用できるサービスを相談してみることをおすすめします。
仕事をしながら受診できますか?
可能です。多くの精神科・心療内科は予約制で、土曜日や夕方の診療枠を設けているクリニックもあります。心理検査については平日昼間の時間帯になることが多いため、検査の際は職場と相談のうえで日程調整を行う形が一般的です。「通院のために職場に伝える必要があるか」は、本人の判断に委ねられます。
まとめ
発達障害の確定診断は、医師が問診・行動観察・心理検査をDSM-5-TR/ICD-11の基準で総合評価して行うものです。ネットの自己チェックは「受診の目安」にとどまります。
次の一歩としては、生活への支障がある場合は精神科・心療内科・発達障害者支援センターに相談し、診断後は手帳・自立支援医療・障害福祉サービスなど使える制度の確認を進めてみてください。
エンラボカレッジでは、診断の有無にかかわらず「自己理解と環境調整」のご相談を受け付けています。まずは見学・無料相談からお気軽にお問い合わせください。
ご見学・無料相談のご案内
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この記事について【作成・監修】
本記事は、自立訓練(生活訓練)事業所「エンラボカレッジ」を運営する株式会社エンラボの専門職スタッフが作成・監修しています。
【在籍資格】
精神保健福祉士・社会福祉士・臨床心理士・作業療法士・理学療法士
【現場での実践】
自立訓練(生活訓練)・就労移行支援などで、診断名・特性に合わせた個別支援を提供しています。
【運営会社】
株式会社エンラボ/設立2015年4月/神奈川県を中心に首都圏・関西・宮崎で11拠点運営





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