知的障害と発達障害の違いとは|定義・手帳・相談先・支援機関を整理
更新日:2026/05/31
知的障害と発達障害は、混同されやすい一方で、診断基準も使える手帳も支援制度もそれぞれ異なります。
知的障害(DSM-5では「知的発達症/知的能力障害」)は知的機能と適応機能の遅れが中心、発達障害(DSM-5では「神経発達症群」)は脳機能の発達のアンバランスさが中心と整理され、両方が併存する重複診断もあります。手帳の種類も知的障害が「療育手帳」、発達障害が「精神障害者保健福祉手帳」と窓口や判定機関が分かれ、自分だけで判断するのは難しい領域です。
本記事では、知的障害と発達障害の定義の違い・IQと適応機能・療育手帳と精神障害者保健福祉手帳の違い・相談窓口について紹介します。
知的障害と発達障害の違い|定義と診断基準
ここから、知的障害と発達障害それぞれの定義・診断基準を、DSM-5(米国精神医学会の診断基準)と日本の行政上の定義の両面から整理します。
知的障害(知的発達症)の定義
知的障害は、米国精神医学会の診断基準DSM-5では「知的発達症/知的能力障害(Intellectual Developmental Disorder / Intellectual Disability)」として分類されており、次の3つの基準で診断されます。
基準1:知的機能の欠陥がある(推論・問題解決・計画・抽象的思考・学習能力・経験による学習などについて、臨床評価と個別実施の標準化された知能検査で確かめられる)。
基準2:適応機能の欠陥により、個人的自立と社会的責任に関する発達的および社会文化的な基準が満たされない。
基準3:知的および適応の欠陥が、発達期(おおむね18歳まで)に始まる。
つまり、IQ(知能指数)の数値だけで決まるのではなく、「日常生活でどれくらい支援が必要か」という適応機能と合わせて判断される点が重要です。
日本の行政上の定義では、知的障害者福祉法に明確な定義は置かれていませんが、厚生労働省「知的障害児(者)基礎調査」では「知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、日常生活に支障が生じているため、何らかの特別の援助を必要とする状態にあるもの」とされています。
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– 知的障害とは?原因・種類・診断基準
発達障害(神経発達症)の定義
発達障害は、DSM-5では「神経発達症群/神経発達障害群(Neurodevelopmental Disorders)」として整理されており、次のカテゴリーが含まれます。
- 知的発達症/知的能力障害(知的障害)
- コミュニケーション症群(言語症・語音症・小児期発症流暢症など)
- 自閉スペクトラム症(ASD)
- 注意欠如多動症(ADHD)
- 限局性学習症(SLD/LD)
- 運動症群(発達性協調運動症・常同運動症・チック症群)
DSM-5の枠組みでは、知的障害も「神経発達症群」のひとつとして整理されている点に注意が必要です。
ただし、日本の行政・福祉の現場で「発達障害」というときは、発達障害者支援法に基づく次の定義が用いられるのが一般的です。
発達障害者支援法第2条:「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」
行政上の「発達障害」は、知的障害を含まないASD・ADHD・LDなどを指して使われることが多く、本記事もこの整理に従って、知的障害と発達障害を「別のもの」として比較しています。
大人になってから発達障害の診断を受けるケースは、大人の発達障害?特徴・原因・診断・治療法・相談先で詳しく整理しています。
簡易比較表|定義の違い
| 項目 | 知的障害(知的発達症) | 発達障害(神経発達症) |
|---|---|---|
| DSM-5の分類 | 神経発達症群のひとつ | 神経発達症群の総称 |
| 行政上の根拠法 | 知的障害者福祉法 | 発達障害者支援法 |
| 中心となる特徴 | 知的機能と適応機能の制限 | 脳機能の発達のアンバランス |
| 主な評価軸 | IQ+適応機能 | 特性(社会性・注意・学習など) |
| 発症時期 | 発達期(おおむね18歳まで) | 生まれつき(低年齢で発現) |
| 代表的な状態 | 軽度・中等度・重度・最重度 | ASD・ADHD・LDなど |
「知的障害は発達障害の一部か」という疑問
DSM-5の枠組みでは、知的障害は神経発達症群(Neurodevelopmental Disorders)のひとつに含まれるため、「広い意味では発達障害の一部」と表現されることがあります。
一方で、日本の発達障害者支援法では、知的障害は別の制度(知的障害者福祉法)で扱われるため、行政・福祉の現場では「知的障害」と「発達障害」を分けて呼ぶのが一般的です。
この記事でも、行政上の呼び方に合わせて「知的障害」と「発達障害」を別のカテゴリーとして整理しています。「DSM-5上は神経発達症群にまとめられているが、日本の制度では別」という二段構造を頭に入れておくと、後の手帳や支援制度の整理がスムーズです。
IQと適応機能|知的障害の判定軸
「IQがいくつだと知的障害なのか」と気になる方も少なくないかもしれません。
知的障害の判定で使われるIQと適応機能について、両者の関係を整理します。
IQ(知能指数)の目安
知的障害の重症度は、DSM-5ではIQの数値ではなく「適応機能」を重視した4段階で示されています。
ただし、参考の目安としてIQの範囲が示されており、おおむね次のとおりです。
軽度:IQおおよそ50〜70。日常生活はおおむね自立できるが、複雑な場面で支援が必要な場合がある。
中等度:IQおおよそ35〜49。日常生活に継続的な支援が必要となるが、簡単な作業や対人関係は身につく。
重度:IQおおよそ20〜34。日常生活の多くの場面で支援が必要となる。
最重度:IQおおよそ20未満。常時の支援が必要で、コミュニケーションや身辺自立にも大きな支援が必要となる。
「IQが70以下なら必ず知的障害」というわけではなく、適応機能の状況と合わせて医師が総合的に判断する仕組みです。
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– 軽度知的障害とは?特徴・原因・チェック・診断方法
適応機能の3領域
DSM-5では、適応機能を3つの領域で評価することが示されています。
概念的領域:記憶・言語・読み書き・数学的推論・実用的知識の獲得・問題解決など。学校や仕事の場面で、「学んだことを使えるか」「新しい状況で考えて行動できるか」に関わります。
社会的領域:他者の考えや感情への気づき、共感・対人コミュニケーションスキル・友情関係・社会的判断など。「相手の気持ちを推し量れるか」「場の空気に合わせて行動できるか」に関わります。
実用的領域:身辺自立、職業上の責任、金銭の管理、安全管理、医療上の判断、移動の管理など。「ひとりで暮らしていけるか」「働き続けられるか」に直結する領域です。
IQが同じでも、これらの適応機能の状況によって、必要な支援は大きく異なります。
IQだけで判断しない理由
IQの数値だけで知的障害が判定されないのは、「測定の場面では普通に答えられても、日常生活で同じスキルが使えるとは限らない」「IQには測定誤差があり、検査時の体調・緊張・経験によって変動する」「適応機能の支援が必要な状態かどうかは、IQの数値だけでは見えない」といった理由があります。
そのため、知能検査(WISC・WAIS・田中ビネー知能検査など)と、適応機能の評価(Vineland-II適応行動尺度など)の両方を組み合わせて判断されるのが一般的です。
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– 大人の軽度知的障害の特徴・仕事の困りごと
発達障害の3つのタイプ|ASD・ADHD・LD
ここから、発達障害(神経発達症)の代表的な3タイプを整理します。
「発達障害」と一言でいっても、ASD・ADHD・LDではそれぞれ特性も診断基準も異なります。
ASD(自閉スペクトラム症)の特徴
ASD(Autism Spectrum Disorder)は、DSM-5で「自閉スペクトラム症」として整理されており、次の2つの中核的な特徴を持ちます。
特徴1:社会的コミュニケーションと対人的相互交流の持続的な障害(言葉以外のコミュニケーションの理解の難しさ、対人関係の発展・維持・理解の難しさ、感情の共有の難しさなど)。
特徴2:行動・興味・活動の限定された反復的な様式(常同的または反復的な動作・物の使用・話し方、同一性へのこだわり、興味の限定、感覚過敏または感覚鈍麻など)。
「アスペルガー症候群」「広汎性発達障害」「自閉症」などは、DSM-5ではすべて「自閉スペクトラム症(ASD)」に統合されています。
大人のASDの特徴については、大人のASD(自閉スペクトラム症)|症状・特徴・セルフチェックで整理しています。
ADHD(注意欠如多動症)の特徴
ADHD(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder)は、DSM-5で「注意欠如多動症」として整理されており、次の2つの特徴の組み合わせで現れます。
不注意の特徴:細部への注意の難しさ、集中の持続の難しさ、話を聞いていないように見える、指示に従えず仕事を完了できない、課題や活動を順序立てて行うことの難しさ、努力の持続が必要な課題を避ける、物をなくす、外的刺激で注意がそれる、日々の活動を忘れがちなど。
多動性・衝動性の特徴:手足をそわそわ動かす、座っていることが難しい、不適切な場面で走り回るまたは登る、静かに遊べない、じっとしていられない、しゃべりすぎる、質問が終わる前に答える、順番を待つことの難しさ、他人を妨害または邪魔するなど。
不注意優勢型・多動性/衝動性優勢型・混合型の3タイプに分けて整理されることもあります。
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– 大人のADHDとは?特徴・症状・診断方法
LD/SLD(限局性学習症)の特徴
LD/SLDは、DSM-5で「限局性学習症」として整理されており、知的機能には全般的な遅れがないにもかかわらず、「読む」「書く」「計算する」のいずれか(または複数)の習得と使用に著しい困難がある状態を指します。
代表的な3タイプは次のとおりです。
読字の困難:単語の正確かつ流暢な認識、読解の難しさ。
書字の困難:綴り字の正確さ、文法・句読点の正確さ、書字表出の明確さや構成の難しさ。
算数の困難:数の感覚、数学的事実の記憶、計算の正確または流暢性、数学的推論の正確さの難しさ。
LDは「努力不足」「怠け」と誤解されやすい一方で、特性に合わせた学習方法・補助ツールが整うと能力を発揮しやすくなる、というのが近年の理解です。
発達障害は重なって現れることがある
ASD・ADHD・LDは、それぞれ独立して診断されるとは限らず、「ASDとADHDの併存」「ADHDとLDの併存」「ASDとLDの併存」など、複数の特性が重なって現れるケースが多くみられます。
DSM-5でも、ASDとADHDの併記診断が公式に認められるようになりました(DSM-IVまでは併記不可とされていました)。
大人になってから発達障害の特徴に気づくケースは多く、発達障害の特徴|大人の困りごと・場面別・診断別で整理しています。
重複診断(知的障害+発達障害)について
「知的障害と発達障害の両方が併存することはあるのか」と気になる方も少なくないかもしれません。
ここから、重複診断の考え方を整理します。
知的障害とASDの併存
知的障害と自閉スペクトラム症(ASD)が併存するケースは多くみられます。
研究によっては、知的障害のある方のうち2〜4割程度がASDの診断基準を満たすとも報告されています(医療機関や研究によって数値は異なります)。
逆に、ASDのある方のうち、知的障害の診断基準を満たす方の割合は、研究や時代によりばらつきがありますが、「知的障害を伴うASD」「知的障害を伴わないASD」の両方が存在する、と整理されています。
「知能水準と社会性の特性は別々に評価されるもの」と理解しておくと、診断や手帳の選び方を考えやすくなります。
知的障害とADHDの併存
DSM-5では、知的障害とADHDの併記診断が認められています。
ただし、ADHDの診断基準を満たすかどうかは「同年代の知的水準を考慮した上で、不注意・多動・衝動性の症状が標準を超えているか」で判断されるため、評価には経験豊富な専門医による慎重な見立てが必要です。
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– ADHDは見た目でわかる?特徴と困りごと
重複診断のときの手帳・支援制度
重複診断を受けた場合、療育手帳(知的障害が対象)と精神障害者保健福祉手帳(発達障害が対象)の両方を申請できるケースがあります。
ただし、自治体によって運用が異なるため、お住まいの市区町村の障害福祉窓口で確認することが必要です。
「両方の手帳を持っていれば支援が二重に受けられる」というわけではなく、活用したい制度(税制優遇・公共料金割引・就労支援サービスなど)に応じて、どちらの手帳が必要かを整理しておくとスムーズです。
自己判断の落とし穴
「自分の特性は知的障害寄りか、発達障害寄りか」を、インターネットの情報やセルフチェックだけで判断しようとすると、必要な支援にたどり着けないリスクがあります。
知的機能と発達特性の評価には、知能検査・発達検査・問診・行動観察などを組み合わせる必要があり、医療機関での専門的な評価が不可欠です。
「自分は知的障害ではないか/発達障害ではないか」と気になる段階の方は、まずは医療機関(児童精神科・精神科・発達障害専門外来など)を受診してください。
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– 発達障害の診断方法|セルフチェック・病院・診断基準・相談先
手帳の違い|療育手帳と精神障害者保健福祉手帳
知的障害と発達障害では、申請できる手帳の種類が異なります。
ここから、それぞれの手帳の概要と違いを整理します。
療育手帳(知的障害が対象)
療育手帳は、知的障害のある方を対象とした手帳で、児童相談所または知的障害者更生相談所での判定を受けて、都道府県知事または指定都市市長から交付されます。
法律で定められた手帳ではなく、各都道府県・指定都市の判断で運用されている点が特徴で、自治体によって名称(東京都では「愛の手帳」、青森県・名古屋市などでは「愛護手帳」、埼玉県では「みどりの手帳」)や判定区分が異なります。
判定区分は、自治体ごとに「A・B」の2区分、「1度・2度・3度・4度」の4区分などに分かれており、A(重度)・B(軽度)の2区分制が比較的多くみられます。
申請の窓口は、お住まいの市区町村の障害福祉課です。
精神障害者保健福祉手帳(発達障害が対象)
精神障害者保健福祉手帳は、統合失調症・うつ病・双極性障害・てんかん・薬物依存症・高次脳機能障害・発達障害などの精神疾患のある方を対象とした手帳で、都道府県知事または指定都市市長から交付されます。
知的障害を伴わない発達障害(ASD・ADHD・LDなど)のある方は、原則としてこの精神障害者保健福祉手帳の対象となります。
等級は1級(重度)・2級(中度)・3級(軽度)の3区分で、全国共通です。
申請の窓口は、お住まいの市区町村の障害福祉課で、医師の診断書(精神障害者保健福祉手帳用の専用様式)が必要です。
精神疾患の初診日から6か月以上経過していることが、申請の前提条件となります。
手帳の使い分け|重複診断の場合
知的障害と発達障害の両方が併存している方は、療育手帳と精神障害者保健福祉手帳の両方を申請できる場合があります。
ただし、自治体によって運用が異なり、「両方を同時に持つことを想定していない」自治体や、「両方持てるが、利用できるサービスは重複しない」運用をしている自治体もあります。
事前に市区町村の障害福祉課で、自分の状況に合わせた取り扱いを確認することをおすすめします。
手帳取得のメリット(概要)
手帳を取得することで利用できる主な制度は、次のとおりです。
- 障害者雇用枠での就職活動
- 税制上の優遇(所得税・住民税の障害者控除など)
- 公共料金・公共交通機関の割引
- 障害福祉サービスの利用(一部)
- 自治体独自の手当・サービス
「手帳を取れば就職や生活が必ず楽になる」というものではありませんが、選択肢を広げるツールのひとつとして検討する意味があります。
手帳の詳細は、お住まいの自治体や、後述する相談窓口で確認できます。
相談先・支援機関|どこに何を相談すればいいか
知的障害と発達障害は、相談できる窓口・支援機関の種類が幅広く、整理されていないと「結局どこに行けばいいのか」が分かりにくくなりがちです。
ここから、主な相談先を目的別に整理します。
医療機関|診断を受ける場所
診断を受けたいときの第一選択は、医療機関(児童精神科・精神科・発達障害専門外来)です。
知的障害の診断は、児童精神科・小児神経科・発達外来などで行われることが多く、知能検査(WISC・WAIS・田中ビネー知能検査など)と適応機能の評価を組み合わせて判断されます。
発達障害(ASD・ADHD・LDなど)の診断は、児童精神科(子どもの場合)・精神科・発達障害専門外来などで行われ、生育歴の聞き取り・行動観察・各種心理検査などを組み合わせて判断されます。
医療機関の選び方が分からない場合は、後述する発達障害者支援センター・保健所・かかりつけ医に相談すると、地域の専門医療機関の情報を得られます。
「自分は知的障害/発達障害なのではないか」と感じている方は、自己判断せずに、まずは医療機関を受診してください。
発達障害者支援センター|発達障害の総合相談
発達障害者支援センターは、発達障害者支援法に基づき各都道府県・指定都市に設置されている公的機関で、発達障害のある本人・家族・支援者からの相談を無料で受け付けています。
主な業務は、相談支援(生活上の困りごと・進学・就労など)、発達支援(個別の発達相談・療育の情報提供)、就労支援(就労に関する相談・関係機関との連携)、普及啓発・研修などです。
「どこに相談していいか分からない」というときの最初の窓口として、頼りになる機関です。
基幹相談支援センター・障害者就業・生活支援センター
基幹相談支援センターは、市区町村に設置されている障害者の総合相談窓口で、知的障害・発達障害・身体障害・精神障害など、障害種別を問わず相談を受け付けています。
障害者就業・生活支援センター(通称「なかぽつ」「就ぽつ」)は、就業面と生活面の一体的な相談支援を行う機関で、就職活動・職場定着・生活面の困りごとなど、幅広く相談できます。
どちらも無料で利用でき、必要に応じて医療機関・就労支援事業所・自治体窓口などへの橋渡しをしてくれます。
児童相談所・保健所・市町村保健センター
18歳未満のお子さんの場合は、児童相談所が知的障害の判定・療育手帳の交付・養育相談などを担当します。
成人の場合は、知的障害者更生相談所が判定機関となります。
保健所・市町村保健センターでは、精神保健福祉相談員・保健師による相談を受けられ、医療機関の紹介や、各種サービスへのつなぎを担っています。
「まず誰かに話を聞いてほしい」「医療機関にいきなり行くのは不安」というときの、入口の窓口としても活用できます。
障害福祉サービス事業所|日中の支援を受ける場所
診断と手帳が整ったあと、または手帳がなくても「日中の支援を受けたい」というときに利用できる障害福祉サービスがあります。
代表的なサービスは次のとおりです。
- 自立訓練(生活訓練):生活面・対人スキル・自己理解の土台作り。原則2年。
- 就労移行支援:一般就労を目指す訓練。原則2年。
- 就労継続支援A型:雇用契約のもとで働く。
- 就労継続支援B型:雇用契約を結ばず、自分のペースで生産活動に参加する。
関連ページ
– 自立訓練(生活訓練)とは|対象者・利用期間
– 就労移行支援(就労支援)ってどんなところ?
ハローワーク・障害者職業センター
就職活動の窓口としては、ハローワーク(公共職業安定所)の専門援助部門が、障害のある方の求人紹介・職業相談を担当しています。
地域障害者職業センターは、独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が運営する公的機関で、職業評価・職業準備支援・ジョブコーチ支援などの専門的なサービスを提供しています。
「どこから就職活動を始めればいいか分からない」というときは、まず地域のハローワーク(専門援助部門)か障害者職業センターに相談してみるのも選択肢のひとつです。
相談先のまとめ表
| 目的 | 主な相談先 |
|---|---|
| 診断を受けたい | 児童精神科・精神科・発達障害専門外来 |
| 何でも相談したい | 発達障害者支援センター・基幹相談支援センター |
| 手帳の申請 | 市区町村の障害福祉課 |
| 就職・職場の悩み | ハローワーク(専門援助部門)・障害者職業センター・障害者就業・生活支援センター |
| お子さんの相談 | 児童相談所・保健所・市町村保健センター |
| 生活面の支援 | 自立訓練・就労継続支援B型・地域活動支援センター |
| 就労前の訓練 | 就労移行支援・自立訓練(生活訓練) |
公的データから見る就労状況
厚生労働省「令和4年度障害者雇用実態調査」によると、雇用されている障害者数(事業所規模5人以上)は、身体障害者52万6,000人・知的障害者27万5,000人・精神障害者21万5,000人・発達障害者9万1,000人と報告されており、知的障害・発達障害のある方の雇用は近年も拡大傾向にあります。
知的障害者の平均勤続年数は9年1か月、発達障害者の平均勤続年数は5年3か月で、職場での合理的配慮や定着支援の整備とともに、長く働き続ける方が増えている状況です。
関連ページ
– 知的障害の方の就職・就職先・進め方
出典:厚生労働省「令和4年度障害者雇用実態調査結果」(https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000175892_00010.html、取得日2026-05-30)
子どもの場合の早期発見・早期支援
「子どもの発達が気になる」「学校から発達相談をすすめられた」という保護者の方も多いもいらっしゃいます。
ここから、子どもの場合の相談先と早期支援の流れを整理します。
乳幼児期|健診・保健センター
1歳半健診・3歳児健診などの乳幼児健診で、発達の遅れや特性が気にかかった場合、市町村保健センターの保健師に相談できます。
必要に応じて、発達相談の専門員・小児科医・児童精神科への紹介につながります。
「健診で何か指摘された」というときは、放置せずに、紹介された相談先に行ってみることをおすすめします。
就学前|児童発達支援
就学前のお子さんで、発達の遅れや特性のある方は、児童発達支援事業所(児童発達支援センター)で療育を受けられます。
療育は、発達の特性に応じた支援(ことばの練習・対人スキル・身辺自立など)を、専門スタッフのもとで受けられる仕組みで、市区町村が交付する「通所受給者証」で利用できます。
「療育を受けるべきか迷っている」段階の方は、まず市区町村の障害福祉課・子育て支援課・保健センターに相談してみてください。
学齢期|放課後等デイサービス・特別支援教育
学齢期(小学校〜高校)のお子さんで、発達の遅れや特性のある方は、放課後や長期休暇に「放課後等デイサービス」を利用できます。
学校での学習面・対人面の支援については、特別支援教育(通常学級での合理的配慮・通級指導教室・特別支援学級・特別支援学校)のなかから、お子さんに合った形を選んでいきます。
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– 特別支援学校の卒業|進路や就職先の探し方
思春期・青年期|本人の主体性を尊重した支援へ
中学・高校・大学・専門学校段階になると、本人が「自分の特性をどう理解し、どう向き合っていくか」を主体的に考えていく時期に入ります。
カサンドラ症候群(パートナーや家族がASDの特性により疲弊するケース)のように、周囲の困りごととして整理される話題も出てくるなど、本人と家族の双方が情報を得て、お互いに支え合う関係を整えていくことが大切です。
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– カサンドラ症候群とは|症状・原因・なりやすい人
エンラボカレッジの「自己理解を整える」アプローチ
エンラボカレッジは、神奈川県・東京都・大阪府・宮崎県で自立訓練(生活訓練)と就労移行支援を運営している事業者です。
ここから、知的障害/発達障害のある方が、自分の特性と向き合いながら次のステップに進むうえで、エンラボがどのように関わっているかをお伝えします。
自立訓練(生活訓練)で「自分を知る」時間を作る
エンラボカレッジの自立訓練(生活訓練)は、原則2年の利用期間のなかで、「自分を知る・学ぶ→学んだことができる→学びを応用できる→自信を持ち、次に進める」の4ステージで進めるカリキュラムです。
ステージ1〜2では、自分の特性(得意・不得意・感覚特性・対人傾向・体調の波)を整理する時間に充てられます。
「知的障害/発達障害の診断は受けたが、自分のことをまだうまく言葉にできない」「働く前に、まずは自分の取扱説明書を作りたい」というニーズに、長めの時間軸で応えていける設計です。
8つのプログラム|特性に合わせた学び
エンラボカレッジでは、8つのプログラム(感情学/コミュニケーション/My Lab./アクティビティ/Life Lab./ソマティック Lab./Social Lab./スキルアップ)を組み合わせています。
My Lab.プログラムでは、利用される方が『自分/支え方マニュアル』という独自成果物を作る時間が用意されており、自分の凸凹と必要な配慮を、家族・職場・支援者に伝えるためのツールとして卒業後も活用できます。
「知的障害/発達障害の特性を、自分の言葉で説明できるようになる」――そのために必要な時間と仕掛けを、8つのプログラムで提供しています。
知的障害/発達障害のある方の実例|自立訓練(生活訓練)エンラボカレッジ利用者の事例
※以下は自立訓練(生活訓練)エンラボカレッジを利用された方の支援事例です(医学的な症例研究ではありません)
知的障害/発達障害のある方が、自分の特性と向き合いながら次のステップに進まれた事例を2つ紹介します。
事例1|発達障害(ADHD)の20代が自立訓練で就職準備を進めたケース
20代のAさんは、ADHDの診断を受けたあと、すぐに就職活動を進めるのは難しいと感じ、まずは自立訓練(生活訓練)で生活リズムと自己理解を整える時間を取りました。
自分の特性(注意の続きにくさ・気分の波・対人疲労)を整理し、必要な配慮を言語化できるようになってから、就労移行支援を経て障害者雇用枠での就職につながりました。
関連ページ
– 発達障害(ADHD)の20代が自立訓練で就職準備を進めた方法
事例2|ASD(自閉スペクトラム症)の自己理解を経て安定就労に至ったケース
ASDの診断を受けた方が、自立訓練で自己理解を深めるプロセスを経て、安定した就労に進んだ事例です。
「自分の感覚過敏や対人疲労を整理し、必要な配慮を職場に伝えられるようになった」「相手と自分は別の感じ方をしている、と気づけた」といった気づきが、安定就労の土台になっています。
関連ページ
– ASDの自己理解。自立訓練から安定就労へ
よくある質問(FAQ)
知的障害と発達障害は同じものですか?
DSM-5(米国精神医学会の診断基準)では、知的障害も発達障害(神経発達症群)のひとつとして整理されています。
ただし日本の行政・福祉の現場では、「知的障害」と「発達障害」は別のカテゴリーとして扱われ、根拠となる法律も支援制度も別になっています。
「DSM-5上は同じ枠組み/日本の制度では別」と整理しておくと、手続きや相談の際に迷いにくくなります。
知的障害と発達障害は両方持つことがありますか?
あります。
知的障害と自閉スペクトラム症(ASD)が併存するケース、知的障害とADHDが併存するケースなど、重複診断は珍しくありません。
重複診断の場合、療育手帳と精神障害者保健福祉手帳の両方を申請できる自治体もありますが、運用が自治体ごとに異なるため、市区町村の障害福祉課で確認してください。
IQが低ければ必ず知的障害ですか?
IQの数値だけで知的障害は判定されません。
DSM-5では、知的機能(IQ)と適応機能(日常生活でどれくらい支援が必要か)の両方を評価して判断されます。
IQが70以下であっても、適応機能が十分であれば、知的障害の診断には至らないケースもあります。
大人になってから発達障害の診断を受けることはできますか?
可能です。
大人の発達障害の診断は、児童精神科の経験がある精神科医・発達障害専門外来などで受けられます。
生育歴の聞き取り・行動観察・心理検査などを組み合わせて判断されるため、診断には時間がかかることがあります。
詳しくは大人の発達障害?特徴・原因・診断・治療法・相談先もあわせてご覧ください。
療育手帳と精神障害者保健福祉手帳、どちらを申請すればいいですか?
知的障害のある方は療育手帳、知的障害を伴わない発達障害(ASD・ADHD・LDなど)のある方は精神障害者保健福祉手帳が、原則の対象です。
重複診断(知的障害と発達障害の両方)の方は、両方を申請できる自治体もあります。
どちらの手帳を申請するかは、医師の診断と自治体の運用に依るため、診断書を作成する医療機関と市区町村の障害福祉課に確認してください。
セルフチェックで「知的障害/発達障害かも」と思ったらどうすればいいですか?
セルフチェックの結果だけで自己判断せずに、まず医療機関(精神科・発達障害専門外来など)を受診してください。
医療機関に行く前に整理しておきたい場合は、発達障害者支援センター・保健所・基幹相談支援センターなどの公的相談窓口を活用するのも一案です。
知的障害や発達障害のある人は、どのような仕事に就いていますか?
知的障害のある方は、軽作業・清掃・配送・データ入力・販売補助などの定型業務に従事されるケースが多くみられます。
発達障害のある方は、ASD・ADHD・LDなどの特性によって向き不向きがあり、ITエンジニア・事務・専門職・接客・製造などさまざまな職種で活躍されています。
職種別の整理は、ADHDに向いている仕事|対処法・おすすめの仕事、ASD(自閉スペクトラム症)のある方に向いている仕事もあわせてご覧ください。
子どもの発達が気になる場合、まずどこに相談すればいいですか?
未就学のお子さんは、市町村保健センターの保健師、または1歳半・3歳児健診で相談できます。
学齢期のお子さんは、学校の特別支援教育コーディネーター、市区町村の教育相談、児童相談所などに相談できます。
「気になる段階で早めに相談しておくと、選択肢が広がりやすい」というのが、早期相談を勧められる理由のひとつです。
知的障害/発達障害のある方は、エンラボカレッジを利用できますか?
エンラボカレッジは、自立訓練(生活訓練)と就労移行支援を運営しており、知的障害/発達障害の診断のある方も含めて、ご利用いただけます。
ただし、ご本人の状態によっては、医療機関での治療を優先したほうがよいケース、別のサービス(就労継続支援B型・地域活動支援センターなど)のほうが目的に合うケースもあります。
「自分に合うか分からない」段階の方は、まず見学・無料相談で状況をご共有いただけますと、選択肢の整理がしやすくなります。
まとめ
知的障害は「知的機能と適応機能の遅れ」、発達障害は「脳機能の発達のアンバランス」が中心で、DSM-5上は同じ神経発達症群ですが、日本の制度では別カテゴリーとして扱われます。両者は重複することもあります。
次の行動として、「自分は知的障害か発達障害か」を自己判断せず、まずは医療機関(児童精神科・精神科・発達障害専門外来など)を受診してください。手帳は知的障害が「療育手帳」、発達障害が「精神障害者保健福祉手帳」で、申請窓口は市区町村の障害福祉課です。
エンラボカレッジでは「自分の特性をまず整理したい」「次の進路を整理してほしい」というご相談をお受けしています。お気軽にお問い合わせください。
ご見学・無料相談のご案内
エンラボカレッジでは、自立訓練(生活訓練)と就労移行支援の見学・無料相談を、神奈川・東京・大阪・宮崎の11拠点で随時お受けしています。
「知的障害/発達障害の診断を受けたが、自分のことをまだうまく言葉にできない」「次の進路の選択肢を一緒に整理してほしい」「家族と一緒に話を聞いてみたい」――そうしたご相談も歓迎しています。
ご見学・無料相談のお申し込みは、エンラボカレッジ公式サイト、またはお電話(050-5538-0786/平日10:00-18:00)からお気軽にどうぞ。
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なお、診断や治療に関するご相談は医療機関の領域となるため、まずは主治医・かかりつけ医・地域の医療機関を受診してください。
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この記事について【作成・監修】
本記事は、自立訓練(生活訓練)事業所「エンラボカレッジ」を運営する株式会社エンラボの専門職スタッフが作成・監修しています。
【在籍資格】
精神保健福祉士・社会福祉士・臨床心理士・作業療法士・理学療法士
【現場での実践】
自立訓練(生活訓練)・就労移行支援などで、診断名・特性に合わせた個別支援を提供しています。
【運営会社】
株式会社エンラボ/設立2015年4月/神奈川県を中心に首都圏・関西・宮崎で11拠点運営




