発達障害グレーゾーンの大人|特徴10例・仕事の悩み・相談先を解説
更新日:2026/05/30
「もしかして発達障害かも、でも診断はつかなかった」「仕事のミスや人間関係の疲れが続き、相談先が分からない」――そんな状況でこのページにたどり着いた方も多いのではないでしょうか。
「グレーゾーン」とは、発達障害の特性が一定程度みられるものの、診断基準を完全には満たさない状態を指す通称です。診断名がつかないために配慮を求めにくく、生きづらさを抱えやすい領域でもあります。
本記事では大人に見られやすい特徴を10例で整理し、仕事・生活の困りごと、相談先、福祉サービスの活用を順に解説します。
結論:発達障害グレーゾーンの大人は「診断はつかなくても、配慮や支援を活用できる」
第一に、「発達障害グレーゾーン」は医学的な診断名ではなく、ASD(自閉スペクトラム症)・ADHD(注意欠如・多動症)・LD(学習障害)などの特性が一定程度みられるものの、医師の診断基準を完全には満たさない状態を指す通称です。
第二に、診断名がつかないからといって、困りごとが軽いわけではありません。むしろ「特性は確かにあるのに配慮を求めにくい」「自分の特性を周囲に説明する言葉を持ちにくい」という難しさが、グレーゾーンの方に固有の生きづらさとして指摘されています。
第三に、診断名がなくても、医療機関での相談・自治体の発達障害者支援センター・障害福祉サービス(受給者証で利用可能なものを含む)など、利用できる窓口や制度は複数あります。
ここから整理できるのは、グレーゾーンの大人にとっての最初の一歩は「自分の特性を言語化し、無理なく続けられる働き方・暮らし方を整理する」ことであり、必要であれば医療・福祉・労働の各窓口に並行して相談していく、という姿勢が現実的だということです。
そのうえで、本記事では「グレーゾーンとは何か」「大人に見られやすい10の特徴」「仕事・生活の困りごと」「相談先と支援制度」「自立訓練(生活訓練)の活用」までを、順を追って整理していきます。
発達障害グレーゾーンとは|医学的位置づけと特徴
「グレーゾーン」という言葉自体は広く使われていますが、医学・行政上の位置づけを最初に整理しておきます。
グレーゾーンは医学的な診断名ではない
発達障害は、ASD(自閉スペクトラム症)・ADHD(注意欠如・多動症)・LD(学習障害)などの総称で、米国精神医学会のDSM-5や世界保健機関のICD-11といった国際的な診断基準に基づいて医師が診断します。
「グレーゾーン」は、これらの診断基準を完全には満たさないものの、特性が一定程度みられて日常生活に影響が出ている状態を指す通称として広まりました。
正式な医学用語としては「閾値下」「準臨床的(subclinical)」などと表現されることもありますが、医師が患者さんに説明する際は「グレーゾーン」「傾向はある」といった言葉が使われるケースが多いとされています。
「診断がつかない=困りごとが軽い」ではない
DSM-5などの診断基準は、特定の項目数を満たす必要があるため、「特性は確かに当てはまるが、基準項目をひとつ下回る」場合は診断がつかないことがあります。
しかし基準項目の数で困りごとの重さが決まるわけではありません。たとえば学生時代までは特性を「努力や環境調整」で補えていた方が、就職後に責任や対人接触が増えて困りごとが表面化するケースは少なくありません。
「診断がついた人より自分のほうが大変なときもある」「でも病院では“グレー”と言われるだけで、配慮を求める根拠がない」――そうした葛藤を抱えている方も多くいらっしゃいます。
大人になってから気づくケースが多い
発達障害は本来、発達段階の早期から特性が現れるものですが、軽度の場合は学齢期に見過ごされ、大人になってから「もしかして」と気づくケースが少なくありません。
きっかけとして多いのは、就職後に業務量や対人関係の負荷が増した、結婚や育児で生活管理の負担が増した、子どもの発達相談で自分の傾向にも気づいた、といったタイミングです。
「子どものころから違和感はあったが、それが特性に由来していると気づいたのは40代だった」というような声も、相談現場では聞かれます。
発達障害グレーゾーンの大人に見られやすい特徴10例
ここで紹介する10の特徴は、医学的な診断基準そのものではありません。ASD・ADHD・LDの傾向としてよく挙げられるものを、大人の生活場面に当てはめて整理したものです。
ご自身に当てはまる項目があるからといって、発達障害と診断されるわけではありません。気になる方は、後述の医療・公的相談窓口にご相談ください。
特徴1|マルチタスクが極端に苦手
複数の作業を並行して進めることが極端に苦手で、電話を受けながらメモを取る、会議で発言を聞きながら議事録を取る、といった場面で混乱しやすい傾向です。
ひとつの作業に集中しているときは高い精度を発揮できる方も多く、「シングルタスクなら強い/マルチタスクが入ると一気に崩れる」という偏りが特徴的です。
特徴2|段取り・優先順位づけが難しい
複数のタスクを抱えたとき、どれから手をつければよいか判断に時間がかかる、目の前のメールやチャットに反応してしまい後回しでよかった作業が進まない、といった傾向が現れます。
「やる気がない」のではなく、優先順位を比較する処理に脳の負荷がかかりやすい状態だと整理されています。
特徴3|うっかりミス・忘れ物が多い
会議の時間を間違える、提出物の締切を忘れる、財布や鍵を頻繁になくす、といったうっかりミスや忘れ物が日常的に起こりやすい傾向です。
注意の配分が難しいため、「いま目の前にあるもの」に意識が集中して、他のことが意識から抜け落ちやすい構造があると考えられています。
特徴4|暗黙のルール・空気を読むのが苦手
職場や友人関係での「言われていないが察するべきこと」を読み取るのが苦手で、悪気なく場の流れと異なる発言をしてしまう、雑談のテンポについていけない、といった傾向です。
「自分は普通に話しているつもりが、相手の表情が変わって理由が分からない」――そうした経験を繰り返してきた方も少なくありません。
特徴5|感覚過敏(音・光・におい・触覚)
蛍光灯のちらつきが疲れる、オフィスのざわめきで集中できない、強いにおいや特定の生地に過敏に反応する、といった感覚過敏がみられるケースがあります。
「周囲が気にならないのに自分だけ気になる」「日中の感覚刺激で疲れ切ってしまい、家に帰ったら何もできない」――こうした疲労感の蓄積が、二次的な不調につながることもあります。
特徴6|こだわりの強さ・予定変更への戸惑い
決めた手順を変えられると混乱する、急な予定変更で気持ちの切り替えに時間がかかる、自分のやり方を変えることに強いストレスを感じる、といった傾向です。
「マイルールが多いと言われる」「変更があったときの動揺が長引く」と感じる方もいらっしゃいます。
特徴7|時間感覚のずれ(過集中・遅刻)
興味のある作業に没頭すると数時間あっという間に過ぎる「過集中」と、興味の薄い作業では時間の見積もりが大幅にずれる、という両極端な時間感覚が特徴的です。
朝起きてから出かけるまでの段取りに時間がかかり遅刻が多い、締切直前にしか着手できない、といった生活上の影響も出やすい領域です。
特徴8|対人疲労が極端に強い
会話の場では普通に振る舞えるものの、終わったあとの疲労感が周囲よりも大きく、半日休まないと回復しない、といったパターンが見られます。
「相手の表情・声色・言葉の意味を同時に処理し続けている」「無意識に場の空気を解釈し続けている」ことが疲労の背景にある、と整理されることが多い領域です。
特徴9|読み書き・計算など特定領域の困難(LD傾向)
知的能力全体には大きな偏りがないにもかかわらず、読み書き・計算など特定の領域でのみ苦手さが目立つケースがあります。
長文の意味を一度で理解しにくい、数字の桁を見間違える、メモを取りながら聞くことができないなど、特定の処理が極端に難しいと感じる方もいらっしゃいます。
特徴10|不安・抑うつ・睡眠の乱れ(二次的な不調)
特性そのものというより、特性に伴う「無理の積み重ね」から、不安感・抑うつ気分・睡眠の乱れといった二次的な不調が現れるケースが多くあります。
不眠・気分の落ち込み・出勤前の動悸などが続く場合は、発達特性の検討と並行して、まず心療内科や精神科で体調を整える相談をすることが優先されます。
仕事の悩み|グレーゾーンの大人が職場で抱えやすい困りごと
「大人 発達障害 グレーゾーン 仕事」というキーワードで検索される方の多くは、職場での具体的な困りごとを抱えていらっしゃるはずです。
代表的な5つのパターンを整理します。
悩み1|マルチタスクと優先順位で消耗する
複数案件を並行で抱える業務スタイルでは、優先順位の判断と切り替えにエネルギーを使い続けるため、業務時間内の疲弊が大きくなりやすい状態です。
「同僚は同時に複数のタスクを進めているのに、自分だけ追いつけない」「ひとつ片づけているうちに別の依頼が積み上がる」――こうした状態が続くと、自己否定感に発展するケースもあります。
対処の方向性としては、業務の見える化(タスク一覧の作成)、優先順位の上司への相談、所要時間のバッファ確保などが現場で取り入れられています。
悩み2|会議・電話・口頭指示で情報が抜ける
会議の議事録、電話のメモ、上司からの口頭指示など、聞きながら書くタイプの作業で情報が抜けやすい傾向があります。
録音の許可を得る、要点を後でテキストで送ってもらう、口頭指示の内容を復唱する、といった工夫で抜けを減らす実践が見られます。
悩み3|雑談・飲み会・休憩中の対人接触で疲れる
業務時間より、業務の合間の雑談・休憩室での会話・歓送迎会などのほうが消耗するパターンも多く報告されています。
「業務はこなせているのに、雑談の場で疲れ切ってしまう」「休憩室に居場所がない」――こうした困りごとは、配慮を求めにくい領域でもあります。
悩み4|納期感・段取りで上司との認識がずれる
「いつまでに、どの粒度で出せばよいか」の認識が上司とずれやすく、結果として手戻りが多くなるパターンです。
完璧を目指して時間をかけすぎる方、逆に最小限で出して指摘を受ける方、両方のパターンが見られます。
着手前に「ここまでの粒度で、いつまでに、どの形式で」を確認する、途中段階で短時間のすり合わせを入れる、といった対処がよく挙げられます。
悩み5|長く続かない・離転職を繰り返す
特性と業務内容の相性が悪い職場で無理を続けた結果、心身の不調から離職に至り、転職を繰り返すパターンも少なくありません。
「自分はどこに行っても続かない」と自己否定的に捉えられがちですが、特性と業務の相性、配慮の有無、職場文化などの環境要因も大きく関与しています。
転職の前後で、自分の特性と業務内容の相性をいったん整理する時間を取ることが、長く続けられる職場との出会いに近づきます。
働き方の見直しや復職・転職に関する整理は、発達障害のある方の転職・進め方もあわせて参考にしてください。
生活の困りごと|家庭・人間関係・お金まわり
仕事以外の領域でも、グレーゾーンの方が抱えやすい困りごとには共通したパターンがあります。
家事・生活管理が回らない
掃除・洗濯・買い物・調理など、「複数の家事を回しながら時間管理する」ことが極端に苦手で、家の中が片づかない、冷蔵庫の食材を腐らせてしまう、といった生活上の困りごとが起こりやすくなります。
「一度に全部やろうとして燃え尽きる」のではなく、家事を細かい単位に分解し、できる範囲から取り組む工夫が現場では推奨されています。
お金の管理が難しい
衝動的な買い物が続く、固定費と変動費の見通しがつかない、クレジットカードの支払い管理が回らない、といったお金まわりの困りごとも頻出します。
家計簿アプリ・自動振替・現金管理など、本人に合ったやり方を選び、必要に応じて家族・成年後見制度・自治体の生活困窮者自立支援事業などの相談窓口に頼ることが選択肢となります。
家族・パートナーとのすれ違い
家族やパートナーから「言ったことを覚えていない」「急に予定を変えると不機嫌になる」「家事の分担が偏っている」と指摘され、関係性が悪化するケースが見られます。
特性を本人と家族で共有し、「何を/どのように頼みたいか」「何が難しいか」を言語化する作業が、関係性の修復の出発点になります。
友人・コミュニティとの距離感
学生時代から友人関係に苦手意識があり、社会人になってから「気の合うコミュニティを見つけられない」という相談も少なくありません。
自助グループ・当事者会・趣味のコミュニティなど、自分のペースで距離を取れる集まりから始めると、無理のない人付き合いを実感しやすくなります。
睡眠・体調管理の崩れ
仕事や対人接触の疲労が蓄積した結果、入眠困難・中途覚醒・朝起きられないといった睡眠の乱れが続くケースが多くあります。
体調の悪化はあらゆる困りごとの背景になりやすいため、まずは医療機関で睡眠と気分の状態を整える相談を優先することが推奨されます。
相談先|医療機関・公的窓口の使い分け
「相談したいけれど、どこに行けばよいか分からない」――この状態のまま時間が経ってしまうケースが、グレーゾーンの大人には特に多くみられます。
主な相談先と、それぞれの役割を整理します。
相談先1|心療内科・精神科
ASD・ADHDなどの発達特性に関する診察や、不安・抑うつ・睡眠の乱れといった二次的な不調の治療を行う窓口です。
「発達障害の評価ができるか」「成人の発達に対応しているか」は医療機関によって異なるため、初診予約時に確認しておくと安心です。
発達障害の検査(知能検査・行動観察・問診など)には数時間〜複数回の通院が必要で、待機期間が長いケースもあるため、早めに動き始めることが現実的です。
相談先2|発達障害者支援センター
各都道府県・指定都市に設置されている公的窓口で、本人・家族・関係機関からの相談を無料で受けつけています。
医療機関の紹介、利用できる福祉サービスの案内、就労や生活に関する一般的な情報提供などを行っており、「どこに相談すればよいか分からないとき」の最初の窓口として活用しやすい場所です。
詳しくは発達障害者支援センター 完全ガイド|役割と相談方法で整理しています。
相談先3|障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)
働くことと生活の両面を支援する公的窓口で、就職活動・職場定着・生活面の相談を継続的にサポートする役割を担っています。
障害者手帳の有無を問わず相談を受けつける運用となっており、グレーゾーンの方でも活用しやすい窓口です。
詳細は障害者就業・生活支援センターとは|役割・相談の流れで整理しています。
相談先4|市区町村の障害福祉課
障害福祉サービス受給者証の申請窓口で、自立訓練(生活訓練)・就労移行支援・就労継続支援などの利用相談を受けつけています。
障害者手帳がない場合でも、自立支援医療受給者証や医師の意見書をもとに受給者証が交付されるケースがあるため、まずは窓口で相談することをおすすめします。
相談先5|地域若者サポートステーション・ハローワーク専門援助部門
就労に向けた相談・職業紹介に対応する公的窓口です。
ハローワークには発達障害や精神障害のある方を担当する専門援助部門があり、グレーゾーンの方が相談しているケースもあります。
「診断はつかないが配慮を求めたい」「特性に合った仕事を一緒に整理したい」というご相談に、就労支援の専門員が対応する窓口です。
相談先6|民間カウンセリング・自助グループ
医療機関や公的窓口に加えて、民間のカウンセリングや当事者・家族の自助グループも選択肢になります。
公的窓口は無料・低額で利用できる一方、待機期間が発生しやすい領域でもあります。並行して民間サービスを活用するケースもあります。
手帳・支援制度・自立訓練(生活訓練)の活用
「グレーゾーンだから手帳は取れない」「福祉サービスは利用できない」と決めつけられているケースがありますが、実態はもう少し幅があります。
障害者手帳の取得可能性
精神障害者保健福祉手帳は、ASD・ADHD等の発達障害も対象となり得ます。診断書をもとに、症状による日常生活・社会生活への影響を総合的に評価して等級が決まる仕組みです。
「グレーゾーン」と医師から伝えられていても、診断書上で発達障害の診断名が付く場合には、手帳の申請対象となり得ます。手帳取得を希望する場合は、主治医に率直に相談することが第一歩です。
手帳の取得は本人の任意で、就職時の障害者雇用や、自治体ごとの各種サービス(医療費助成・交通費割引など)の活用につながります。
自立支援医療(精神通院医療)
精神科・心療内科に継続的に通う場合、自立支援医療制度を利用すると、医療費の自己負担割合が原則1割(所得により上限あり)になります。
手帳がなくても申請でき、主治医の意見書と申請書類を市区町村に提出する仕組みです。
聴覚過敏のある方の対処法例
聴覚過敏があって人の声など周囲の音に敏感に反応し、集中しづらかったり疲れやすかったりする方は、イヤーマフなどの聞こえてくる音を軽減させるアイテムを使う対処法があります。
あいまいな指示が理解しづらい方の対処法例
「なるべく急いでね」などあいまいな指示だとどう動いていいのかわからない、という方はあらかじめ「何時までなど具体的な数字で教えてほしい」と伝えておくといった方法があります。
スケジュール管理が苦手な方の対処法
スケジュール管理が苦手な方の場合は、TODOリストを使って今ある業務を視覚的に把握することや、アプリのリマインダー機能を使うといったツールを使って抜け漏れを防ぐ対処法があります。
このように、特徴や困りごとに応じて対処法を実行することで、仕事における困難さを減らしていくことができます。
他にも、インターネット上や書籍などで発達障害のある方の対処法例を見ることができますので、いろいろな事例を参考にして自分なりの対処法を探していくといいでしょう。
障害福祉サービス受給者証で利用できる支援
障害福祉サービス受給者証は、障害者手帳がなくても主治医の意見書をもとに自治体の判断で交付されるケースがあります。
受給者証で利用できる主なサービスとしては、自立訓練(生活訓練)・就労移行支援・就労継続支援A型・B型などがあります。
自立訓練(生活訓練)の位置づけ
自立訓練(生活訓練)は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスのひとつで、地域生活を送るうえでの「生活面の自立」を支援する仕組みです。
「就職を急ぐ前に、まず自分の特性を整理し、生活リズムや対人スキルの土台を整えたい」というニーズに対して、原則2年(最大3年)の期間で利用できる制度です。
グレーゾーンの大人が自立訓練を選ばれる代表的なケースとしては、次のようなパターンがあります。
「自分の特性を体系的に理解し、配慮を周囲に伝える言葉を整理したい」
「離転職を繰り返してきたので、いったん立ち止まり、働き方を見直したい」
「復職や転職の前に、生活リズム・睡眠・対人疲労の対処を組み立て直したい」
自立訓練の制度全体は、自立訓練(生活訓練)とは|対象者・利用期間で詳しく整理しています。
就労移行支援との違い
就労移行支援は、原則2年以内に一般就労を目指す訓練の場で、求職活動や職場実習が中心になります。
自立訓練は「生活と自己理解の土台作り」が中心で、就職活動そのものは主眼ではありません。
「いきなり就職活動から入るより、まず自分の特性と働き方の見立てを整理したい」というニーズには、自立訓練のほうが目的と合いやすい場合があります。
就労移行支援の概要は、就労移行支援(就労支援)ってどんなところ?で整理しています。
エンラボカレッジでの「グレーゾーンの大人」へのアプローチ
エンラボカレッジは、神奈川県・東京都・大阪府・宮崎県で自立訓練(生活訓練)と就労移行支援を運営している事業者です。
「発達障害の診断は受けていないが、特性に近い困りごとを抱えている」という方の相談を、これまで多く受けてきました。
その経験から、グレーゾーンの大人にエンラボがどのように関わっているかをお伝えします。
診断の有無を問わず相談を受けている
エンラボカレッジでは、発達障害の診断を受けていない方の利用相談も受けつけています。
障害福祉サービス受給者証の取得には主治医の意見書が必要となるため、必要に応じて医療機関の受診と並行して、利用までの道筋を一緒に整理しています。
「診断はついていないが、特性に近い困りごとがある」「就職や復職の前に、自分の状態を整理したい」――こうしたご相談を出発点に、見学・体験のなかで利用が適切かどうかを一緒に見極めていく流れになります。
8つのプログラムで「自分の特性」を言語化する
エンラボカレッジの自立訓練では、8つのプログラム(感情学/コミュニケーション/My Lab./アクティビティ/Life Lab./ソマティック Lab./Social Lab./スキルアップ)を組み合わせています。
なかでもMy Lab.は、利用される方が『自分/支え方マニュアル』という独自成果物を作る時間で、グレーゾーンの方にとって特に活用度が高いプログラムだと利用者から伺っています。
「診断がつかないからこそ、自分の特性を自分の言葉で説明できるツールがほしかった」「家族や職場に配慮を求めるときの根拠が、自分の中で固まった」――そうした声が寄せられています。
4ステージで「働き方の見立て」を組み立てる
エンラボカレッジでは、ステージ1〜4の4段階で「自分を知る・学ぶ→学んだことができる→学びを応用できる→自信を持ち、次に進める」というカリキュラムを組んでいます。
グレーゾーンの方が自立訓練を活用される場合、初期ステージで自分の特性と生活パターンを整理し、中期で対処法を実践し、後期で次の進路(復職・転職・進学・就労移行など)を具体化する、という流れが一般的です。
復職を目標とされる場合、自立訓練を「リワーク(復職支援)」的に活用するケースもあります。
詳しくは、利用者のプロセスを紹介した40代からの再スタート体験もご覧ください。
当てはまりにくい場面
逆に、「すぐに就職活動を始めたい」「特性の整理より、まず求職活動を進めたい」という方には、就労移行支援のほうが目的に合いやすい場合があります。
エンラボカレッジは「自立の土台作り」が中心となるため、目的との相性をご確認のうえで、ご検討いただけますと幸いです。
「いまの自分にどのサービスが合うか分からない」というご相談も歓迎しています。見学・体験のなかで、本人と家族・支援者で一緒に選択肢を整理していくことができます。
よくある質問(FAQ)
発達障害グレーゾーンと診断は、どう違いますか?
発達障害は、ASD・ADHD・LDなどの総称で、DSM-5やICD-11といった国際的な診断基準に基づき医師が診断します。
「グレーゾーン」はこれらの診断基準を完全には満たさないものの、特性が一定程度みられる状態を指す通称です。医学上の正式な診断名ではなく、医師が患者さんに説明する際に用いられる言葉として広まりました。
困りごとの大きさが診断項目の数で決まるわけではないため、診断がつかなくても支援や配慮を求めてよい領域です。
グレーゾーンの大人でも障害者手帳は取得できますか?
精神障害者保健福祉手帳は、ASD・ADHD等の発達障害も対象となり得ます。診断書をもとに症状による生活・社会への影響を総合的に評価して等級が決まる仕組みです。
「グレーゾーン」と説明されていても、診断書で発達障害の診断名が付く場合は、手帳の申請対象となり得ます。希望する場合は主治医にご相談ください。
障害者手帳がなくても福祉サービスは利用できますか?
障害福祉サービス受給者証は、障害者手帳がなくても主治医の意見書をもとに、自治体の判断で交付されるケースがあります。
受給者証で自立訓練(生活訓練)や就労移行支援などのサービスを利用できる場合があるため、市区町村の障害福祉課にご相談ください。
仕事の相談はどこにすればよいですか?
職場での配慮や転職を含めた働き方の相談は、障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)、ハローワークの専門援助部門、発達障害者支援センターなどが窓口になります。
詳しくは障害者就業・生活支援センターとは|役割・相談の流れもあわせてご覧ください。
グレーゾーンの大人は自立訓練(生活訓練)を利用できますか?
医師の意見書をもとに障害福祉サービス受給者証が交付された場合、自立訓練の利用対象となり得ます。
「就職を急ぐ前にまず自分の特性を整理したい」「離転職を繰り返してきたので、いったん立ち止まりたい」というニーズに自立訓練が選ばれるケースがあります。
詳しくは自立訓練(生活訓練)とは|対象者・利用期間もご覧ください。
大人になってから発達特性に気づいたのですが、いまから検査を受ける意味はありますか?
検査を受けるかどうかは本人の選択ですが、特性を整理することで、配慮の根拠を持って職場や家族に伝えやすくなる、二次的な不調(うつ・不安)の背景理解につながる、自分の選択肢を広げる材料になる、といった意義があります。
検査自体に数時間〜複数回の通院が必要となるケースが多いため、医療機関に事前に確認のうえ予約することをおすすめします。
二次的な不調(うつ・不眠)が強いときは、どこから手をつければよいですか?
不安・抑うつ・睡眠の乱れが強い時期は、まず心療内科や精神科で体調を整える相談を優先することが多くの専門職の共通見解です。
体調が落ち着いてから、特性の整理や働き方の見直しに進むほうが、本人にとっての負担が小さくなります。
家族がグレーゾーンの場合、家族はどう関わればよいですか?
家族から「指摘して直そうとする」より、「何が難しいか」「どう伝えればよいか」を一緒に整理する関わり方が、関係性の改善につながりやすいとされています。
発達障害者支援センター・障害者就業・生活支援センターでは、本人だけでなく家族からの相談も受けつけています。
仕事を辞めたほうがよいか迷っています。どう判断すればよいですか?
判断軸はひとつではありませんが、「現職を続ける/配慮を求める/いったん休む/転職する」の選択肢を整理してから判断することが、後悔の少ない選択につながります。
主治医・産業医・就労相談窓口など、複数の立場からの意見を集める時間を取ることが、判断材料を整える助けになります。
グレーゾーンの大人が利用できる経済的支援には何がありますか?
利用可能性のある制度として、自立支援医療(精神通院医療)による医療費負担軽減、障害者手帳取得時の各種助成、傷病手当金(療養により就労できない期間)、障害年金(一定の要件を満たす場合)、自治体ごとの生活困窮者自立支援などがあります。
個別の適用可否は、市区町村の窓口・主治医・社会保険労務士などに確認することをおすすめします。
まとめ
発達障害の「グレーゾーン」は医学的な診断名ではなく、ASD・ADHD・LDなどの特性が一定程度みられるものの、診断基準を完全には満たさない状態を指す通称です。
診断がつかないからといって困りごとが軽いわけではなく、むしろ「特性は確かにあるのに配慮を求めにくい」という難しさが、グレーゾーンの方に固有の生きづらさとして指摘されています。
大人に見られやすい特徴としては、マルチタスクの苦手さ・段取りや優先順位づけの難しさ・うっかりミスや忘れ物・空気を読むことの難しさ・感覚過敏・こだわりの強さ・時間感覚のずれ・対人疲労の強さ・特定領域の困難(LD傾向)・二次的な不調などが挙げられます。
仕事面では、優先順位の判断・口頭指示の取りこぼし・対人疲労・納期感のずれ・離転職の繰り返しなどが代表的な困りごととして報告されています。
相談先としては、心療内科・精神科、発達障害者支援センター、障害者就業・生活支援センター、市区町村の障害福祉課、ハローワーク専門援助部門、民間カウンセリング・自助グループなど、複数の窓口を併用することが現実的です。
障害者手帳の取得可能性、自立支援医療、障害福祉サービス受給者証で利用できる自立訓練(生活訓練)や就労移行支援などの制度も、診断や手帳の有無にかかわらず選択肢として残されています。
エンラボカレッジは自立訓練(生活訓練)と就労移行支援を運営する事業者として、「診断はつかないが特性に近い困りごとがある」「働き方を一度立ち止まって整理したい」というご相談を多く受けています。
エンラボカレッジ 横浜・エンラボカレッジ 相模大野・エンラボカレッジ 川崎など、神奈川・東京・大阪・宮崎の11拠点で見学・無料相談を受けつけています。
「自分に合う相談先や支援サービスを整理したい」「家族と一緒に話を聞いてみたい」――そんな方も、まずは一度お問い合わせください。
ご見学・無料相談のご案内
エンラボカレッジでは、自立訓練(生活訓練)と就労移行支援の見学・無料相談を、神奈川・東京・大阪・宮崎の11拠点で随時お受けしています。
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ご見学・無料相談のお申し込みは、エンラボカレッジ公式サイト、またはお電話(050-5538-0786/平日10:00-18:00)からお気軽にどうぞ。
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この記事について【作成・監修】
本記事は、自立訓練(生活訓練)事業所「エンラボカレッジ」を運営する株式会社エンラボの専門職スタッフが作成・監修しています。
【在籍資格】
精神保健福祉士・社会福祉士・臨床心理士・作業療法士・理学療法士
【現場での実践】
自立訓練(生活訓練)・就労移行支援などで、診断名・特性に合わせた個別支援を提供しています。
【運営会社】
株式会社エンラボ/設立2015年4月/神奈川県を中心に首都圏・関西・宮崎で11拠点運営




