ADHDの診断とは|診断基準・受診の流れ・診断後の支援先を解説
更新日:2026/05/31
集中が続かない、忘れ物やミスが減らない、片づけが終わらない――こうした困りごとが長引くと、ADHDの診断を考え始める方は少なくありません。
ADHD(注意欠如・多動症)の診断は自己判断で確定できるものではなく、精神科や心療内科の医師が国際的な診断基準にそって総合的に判断するものです。
診断基準(DSM-5-TR/ICD-11)の概要、受診から診断までの流れ、診断後に利用できる医療・福祉・就労の支援先までを、公的資料に沿ってお伝えします。
本記事では、ADHDの診断基準・受診の流れ・診断後に使える医療・福祉・就労の支援先について紹介します。
ADHD(注意欠如・多動症)とは?
まず、ADHDの基本的な位置づけを見ていきましょう。
ADHDってどんな名称・分類?
ADHD(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder)は、日本語では「注意欠如・多動症」または「注意欠如・多動性障害」と訳されます。
発達障害者支援法では、ADHDは「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害」と並んで、発達障害のひとつとして位置づけられています。
医学的には、DSM-5-TR(2022年改訂)では「神経発達症群/神経発達障害群」のなかの「注意欠如多動症/注意欠如多動性障害(ADHD)」に分類されます。
ICD-11(2022年発効)では「神経発達症群(Neurodevelopmental disorders)」の「Attention deficit hyperactivity disorder」に位置づけられています。
ADHDにはどんな特性がある?
ADHDの中核的な特性として、医学的に整理されているのは次の3つです。
不注意:注意を持続することが難しい、細かい点を見落とす、忘れ物や紛失が多い、課題や活動を順序立てて行うことが難しい、など。
多動性:じっとしていることが苦手、手足をそわそわ動かす、状況にそぐわない場面で動き回る、しゃべりすぎる、など。
衝動性:質問が終わる前に答えてしまう、順番を待つことが苦手、他者の会話や活動に割り込む、結果を考えずに行動する、など。
これらの特性の現れ方は人によって幅があり、同じADHDの診断でも、不注意が中心の方、多動性・衝動性が中心の方、両方が混在する方がいます。
子どもと大人で現れ方はどう違う?
ADHDは「子どもの障害」というイメージを持たれることもありますが、特性は成人期にも続くことが多く、近年は「大人のADHD」として診断を受ける方も増えてきました。
子ども期は多動性が目立ちやすい一方、大人になると多動性は目立たなくなり、不注意やプランニングの困難、感情の波などの形で現れやすくなるとされています。
「子どもの頃からの傾向に大人になって気づいた」「就職してから業務上のミスや時間管理の難しさで困り、初めて医療機関を受診した」というケースが多く見られます。
大人のADHDの特徴や症状の整理は、大人のADHDとは?特徴や症状・診断方法に関して解説します。もあわせてご覧ください。
障害・疾患が重なりやすいの内容
ADHDは、ほかの発達障害や精神疾患と併存することが多いとされています。
代表的な併存パターンには、自閉スペクトラム症(ASD)、学習障害(LD)、うつ病、不安障害、双極性障害、依存症などがあります。
「ADHDだけ」「うつ病だけ」と単独で診断されるとは限らず、複数の診断が重なる方も少なくありません。
そのため、診断の過程では「ADHDかどうか」だけでなく「ほかにどのような状態が重なっているか」を医師が丁寧に評価することが大切とされています。
ADHDと双極性障害の違い・併存の整理は、双極性障害とADHDの違い・併発・障害者手帳や年金で詳しく解説しています(※リライト前の旧記事です/2026年中に改訂予定)。
ADHDの診断基準ってどんなもの?
ADHDの診断は、医師が国際的な診断基準に沿って評価します。
本セクションでは、医療機関で用いられている2つの主要な診断基準の「概念」を整理します。
※本セクションは診断基準の存在と概要を一般的に紹介するものであり、自己診断のための材料ではありません。実際の診断は必ず医療機関で受けてください。
米国精神医学会の基準(DSM-5-TR)
DSM-5-TRは、米国精神医学会(APA)が発行する精神疾患の診断・統計マニュアルで、世界中の医療機関で用いられている診断基準のひとつです。
DSM-5-TRにおけるADHDの診断は、以下の枠組みで行われるとされています。
症状の領域:「不注意」と「多動性・衝動性」の2つの領域に、それぞれ複数の症状項目が定められています。
症状の数:それぞれの領域で一定数以上の症状が、診断の対象となる期間にわたって継続していることが必要とされます。
発症時期:症状が12歳以前から現れていたことが要件とされています。
場面の広がり:症状が2つ以上の場面(家庭・学校・職場・友人関係など)で見られることが必要とされます。
機能への影響:症状によって、社会的・学業的・職業的な機能に支障が生じていることが要件とされます。
他疾患の除外:症状が、ほかの精神疾患や物質の影響などでよりよく説明できないことが必要とされます。
これらを総合的に評価したうえで、医師が「ADHD」と診断するかどうかを判断します。
不注意の9項目チェックリスト(DSM-5-TR)
- ☑ 細部に注意を払えず、不注意な間違いをする
- ☑ 課題や遊びの活動で注意を持続することが難しい
- ☑ 直接話しかけられているときに聞いていないように見える
- ☑ 指示に従えず、課題や用務をやり遂げられない
- ☑ 課題や活動を順序立てることが困難
- ☑ 持続的な精神的努力を要する課題を避ける
- ☑ 課題や活動に必要なものをしばしばなくす
- ☑ 外的な刺激によってすぐに気が散る
- ☑ 日々の活動の中で忘れっぽい
多動性/衝動性の9項目チェックリスト(DSM-5-TR)
- ☑ 手足をそわそわ動かす/椅子の上でもじもじする
- ☑ 着席が求められる場面で席を離れる
- ☑ 不適切な場面で走り回ったり登ったりする
- ☑ 静かに余暇活動につくのが難しい
- ☑ 「じっとしていない」「エンジンで動かされているように」行動する
- ☑ しゃべりすぎる
- ☑ 質問が終わる前にうっかり答えてしまう
- ☑ 順番を待つのが苦手
- ☑ 他人の会話やゲームに割り込む
※上記9項目のうち、前半6項目は多動性、後半3項目は衝動性に関する項目です。医師が診断時に参照する基準であり、自己診断目的ではありません。気になる場合は精神科・心療内科などの専門機関にご相談ください。
世界保健機関の基準(ICD-11)
ICD-11は、世界保健機関(WHO)が発行する国際疾病分類の第11版で、2022年に発効しました。
ICD-11では、ADHDは「神経発達症群」のなかに位置づけられ、不注意・多動性・衝動性のパターンが持続的に現れ、複数の場面で機能に影響を与えていることが要件とされています。
日本国内の医療機関では、DSM-5-TRとICD-11のいずれか、または両方を参照して診断が行われています。
なぜ自己判定ではなく医師の判断が必要?
DSM-5-TRやICD-11の症状項目は、ご本人や家族が「あてはまる/あてはまらない」と判定して終わるものではなく、医師が問診・生育歴の確認・心理検査・関係者からの情報収集などを総合して、はじめて診断として成立するものです。
「症状項目に多く当てはまるから自分はADHDだ」と自己判断するのではなく、生活や仕事で困りごとを感じている場合は、医療機関の受診を検討することが第一歩になります。
ADHDの特徴や困りごとの一般的な整理は、ADHD(注意欠如・多動症)の特徴・特性とは?大人・子どもの特徴や症状や困りごともあわせてご覧ください。
診断は何のため?
診断は「レッテルを貼るもの」ではなく、その方が必要としている支援につなぐための医学的な評価です。
診断を受けることで、医療(投薬や心理療法)、福祉サービス(手帳・障害福祉サービス)、就労支援(障害者雇用・就労移行支援・自立訓練)など、利用できる選択肢が広がります。
逆に、診断を受けない選択をしたとしても、生活や仕事の困りごとを医師や支援者と整理し、対処法を考えていくことは可能です。
ご自身の状態と目的に合わせて、「診断を受けるかどうか」を医師と相談しながら判断する流れになります。
どんなときに受診を考える?
「どのタイミングで受診すればよいか」は、多くの方が迷う部分です。
本セクションでは、医療機関の受診を検討するきっかけとなりやすい場面を見ていきましょう。
仕事でのミスや時間管理に悩んでいる
大人のADHDの方が受診を検討する大きなきっかけのひとつが、職場での困りごとです。
ケアレスミスが減らない、締め切りに間に合わない、複数の業務を並行することが難しい、優先順位をつけられない、会議中に集中が続かない――こうした困りごとが繰り返されると、本人も周囲も「努力不足」「やる気の問題」と感じてしまい、苦しい状態が長引くケースが少なくありません。
「努力で解決しようとしてきたが限界を感じる」「上司や同僚との関係がうまくいかない」と感じたときが、医療機関への相談を考える時期にあたると整理できます。
ADHDの方の仕事の困りごとと工夫の整理は、ADHDに向いている仕事・続かない理由と対策もあわせてご覧ください。
家事や生活管理に困っている
家庭での生活面の困りごとが、受診のきっかけになるケースもあります。
部屋の片付けが続かない、書類の整理ができない、買い物に行っても必要なものを忘れる、料理で複数の工程を同時進行できない、お金の管理が難しい――こうした困りごとが日常的に重なると、自己嫌悪や家族との摩擦につながりやすくなります。
「家族から指摘されることが増えた」「生活そのものを維持することにエネルギーを使いすぎている」と感じる場合、医療機関での評価が次の一歩になることがあります。
対人関係や感情の波に悩んでいる
ADHDの特性は、対人関係や感情のコントロールにも影響することがあります。
「相手の話を最後まで聞けず、つい話を遮ってしまう」「感情の起伏が大きく、後で後悔することが多い」「衝動的に発言や行動をしてしまい、人間関係がぎくしゃくする」――こうした困りごとが続くと、本人の自己評価が下がり、二次的にうつ症状や不安症状が現れることもあります。
二次的な症状で苦しんでいる場合は、ADHDの評価と並行して、現在の精神状態への治療も必要になるケースがあります。
家族や職場から指摘された
ご自身では特性に気づきにくい方も、家族・パートナー・職場の上司などからの指摘がきっかけで受診を考える方もいます。
「家族から『一度、専門の医療機関で診てもらったら』と勧められた」「職場の産業医面談で発達特性の可能性を指摘された」――こうしたきっかけで医療機関を訪れる方は少なくありません。
第三者からの指摘は受け入れにくい場合もありますが、客観的な視点として一度受け止め、ご自身が「困っている」と感じる部分があれば、医療機関で相談してみる価値があります。
「もしかして」と自分で気づいた
近年は、書籍やインターネット記事、SNSなどでADHDの情報に触れる機会が増え、「もしかして自分も?」とご自身で感じて受診に至る方も増えています。
「子どもの頃から忘れ物が多かった」「学生時代から計画的に勉強することが苦手だった」「働き始めてから時間管理に悩み続けてきた」――こうした長年の困りごとが、特性として説明されることに気づくケースです。
ご自身で「困っている」「整理したい」と感じる気持ちが受診の動機として最も大切で、自己納得のために診断を受けることも選択肢のひとつです。
ただし、診断を受けるかどうかは医師と相談しながら判断する流れになるため、まずは医療機関に相談に行くことから始めてみてください。
大人がADHD診断を受けるまでの流れ
大人のADHD診断は、医師による問診、心理検査・行動観察、他疾患との鑑別、総合的な診断の流れで進められます。診断は一度の面接で確定するものではなく、複数の情報を組み合わせて判断される場合があります。
ADHDに特化した受診の進め方としては、子どものころの通知表や家族からの客観的な情報を持参することが有効とされています。また、ADHD評価尺度(CAARS/Conners 3/ASRSなど)を活用するケースもあります。
発達障害全般の診断ステップ(初診→心理検査→鑑別→総合判断)の詳細や、受診時に持参すると役立つメモの観点については、発達障害全般の診断記事をご覧ください。
関連ページ
– 発達障害の診断方法とは|診断基準・受診の流れ・診断後の相談先まで
ADHD診断の費用と期間の目安
ADHDの診断には健康保険が適用され、初診料・検査料は3割負担が一般的です。心理検査が複数組み合わされる場合、自己負担額が増えるケースがあります。
自立支援医療(精神通院医療)制度を申請すると、自己負担が1割に軽減される場合があります。
費用の内訳(初診料・心理検査料・診断書発行費用など)や、診断確定までの期間の目安については、発達障害全般の診断記事をご覧ください。
関連ページ
– 発達障害の診断方法とは|診断基準・受診の流れ・診断後の相談先まで
診断後の支援先(医療・福祉・就労)
診断を受けた後、利用できる支援は医療・福祉・就労の3領域にまたがります。
医療面ではどんな治療がある?
ADHDの医学的な治療には、投薬と心理療法(心理社会的支援)があります。
投薬:ADHDに対しては、複数の治療薬が承認されており、医師の判断のもとで処方されます。薬の効果や副作用には個人差があり、医師と相談しながら調整していく流れです。
心理療法・心理社会的支援:認知行動療法、ペアレント・トレーニング(子ども期の場合)、ソーシャルスキル・トレーニングなどが、状態や年齢に応じて行われます。
投薬と心理療法のどちらを中心にするか、両方を組み合わせるかは、医師との相談で決まります。
「薬は使いたくない」という方も、医師に率直に伝えることで、ほかの治療選択肢を検討してもらえることが多いとされています。
手帳や医療費の制度を使うに
ADHDの診断を受けた方が利用できる主な福祉制度を整理します。
精神障害者保健福祉手帳:ADHDなどの発達障害も、診断書をもとに精神障害者保健福祉手帳の対象となります。手帳の交付を受けると、税制上の優遇、公共料金の割引、障害者雇用枠での就職活動など、複数の制度を利用できるようになります。
自立支援医療(精神通院医療):精神疾患(発達障害を含む)の通院治療にかかる医療費の自己負担が、原則1割に軽減される制度です。所得に応じて月額の負担上限額も設定されます。
障害基礎年金・障害厚生年金:症状の重さや日常生活への影響が大きい場合、障害年金の対象となるケースがあります。申請には医師の診断書、初診日の証明、本人の状況を記した書類などが必要となり、社会保険労務士や年金事務所に相談しながら手続きを進める流れが一般的です。
各制度の申請窓口は、住んでいる市区町村の障害福祉課・保健福祉センターです。
ADHDの診断後の手帳・年金についての整理は、精神障害者保健福祉手帳とは|対象・取得方法・メリットもあわせてご覧ください(現行ページにメリット情報を含む)。
障害福祉サービスにはどんな選択肢がある?
障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスとして、診断後に利用できるものを整理します。
自立訓練(生活訓練):生活リズム・対人スキル・自己理解の土台作りを支援するサービスです。原則2年(最大3年)の利用期間で、就職を急がず、まず生活と気持ちを整えたい方に向いています。
就労移行支援:一般就労を目指す方向けの訓練サービスで、原則2年の利用期間です。職業訓練・職場体験・就職活動の支援を受けながら、一般企業への就職を目指します。
就労継続支援A型・B型:雇用契約のあるA型と、雇用契約のないB型に分かれ、福祉的な就労の場として機能しています。
就労定着支援:一般就労した方が、職場での課題を相談しながら長く働き続けることを支援するサービスです。
自立訓練(生活訓練)と就労移行支援の違いの整理は、自立訓練(生活訓練)とは|対象者・利用期間もあわせてご覧ください。
就職や転職の相談はどこにする?
就職や転職にあたっては、障害者手帳を取得することで「障害者雇用枠」での就職活動が可能になります。
ハローワークの「専門援助部門」では、障害のある方向けの求人紹介・職業相談・面接同行などのサポートを受けられます。
地域障害者職業センター(JEED運営)では、職業評価・職業準備支援・ジョブコーチ支援などのサービスを利用できます。
障害者就業・生活支援センターでは、就職活動から職場定着まで、一貫した相談窓口として機能しています。
障害者雇用の制度概要は、障害者雇用とは?一般雇用との違いや働くときのメリット・デメリットもあわせてご覧ください。
民間の窓口にも相談できる
公的な支援先のほか、地域には民間の相談窓口(家族会、当事者会、ピアサポートグループなど)もあります。
「公的な窓口では話しづらい」「同じ診断の方の体験を聞いてみたい」と感じる方は、地域の当事者会や家族会に問い合わせてみるのもひとつの選択肢です。
診断を受ける?受けない?
「診断を受けるかどうか」は、多くの方が迷う部分です。
本セクションでは、それぞれの選択のメリットと注意点を見ていきましょう。
診断を受けると何が変わる?
医療的な治療を受けられる:投薬や心理療法など、医学的な治療の選択肢が広がります。
福祉制度を利用できる:精神障害者保健福祉手帳・自立支援医療・障害福祉サービスなどの対象となり、経済的な負担の軽減や支援サービスの利用が可能になります。
障害者雇用枠での就職活動ができる:手帳を取得することで、障害者雇用枠での求人に応募できるようになります。
自己理解が深まる:「これまでの困りごとに名前がついた」「努力不足ではなく特性として説明される部分があると分かった」と感じる方が多く、自己理解と自己受容が進むきっかけになることがあります。
周囲への説明がしやすくなる:家族・職場に、自分の特性と必要な配慮を説明する際の根拠として使えます。
診断を受けるときに知っておきたいこと
診断は時間がかかる:初診の予約から診断確定まで数か月かかることが一般的で、すぐに結論が出るものではありません。
診断は支援につなぐ手段であり、終わりではない:診断を受けた後の生活・治療・支援活用が本題で、診断そのものはスタート地点です。
周囲への開示は自分で判断する:診断を受けた事実を職場・家族・友人にどこまで伝えるかは、ご本人の判断で決まります。すべてを開示する必要はなく、必要な相手に必要な範囲で伝える選択が一般的です。
診断を受けない道もある
「診断は受けないが、困りごとへの対処は進めたい」という方も少なくありません。
医療機関で「ADHDの傾向はあるが、診断の確定には至らない(または、診断の必要を感じない)」と判断されるケースもあります。
診断の有無にかかわらず、生活や仕事の困りごとを支援者と一緒に整理し、対処法を考えていくことは可能です。
「診断を受けることが目的ではなく、困りごとを軽くすることが目的」と捉え直すと、選択の幅が広がります。
診断後、どんな進路の組み立て方がある?
ADHD診断後の進路選択では、「医療継続」「福祉サービス活用」「就労準備」の3軸を並行で進めることが基本です。
「就労を急ぐ」のではなく「土台を整えてから次に進む」を選んだ方が、結果として長く働き続けられているケースが多く報告されています。
主治医・相談支援専門員・支援機関のスタッフと相談しながら、自分の体調と希望に合わせた段階設計が大切です。
業界全体の事例から見える傾向
就労支援の現場ます。
- 産業医面談やストレスチェックでの指摘をきっかけに受診し、診断後に転職・再就職を進めるケース
- 仕事が3か月続かず、引きこもりやうつ状態を経て初めて精神科を受診し、診断を受けて就労支援につながるケース
- 子どもの頃から困りごとがあったが、大人になってから職場での困難で初めて受診に至るケース
いずれのパターンも「診断を受けた後、自己理解を深めながら自分に合った働き方を探す」という流れが共通しており、診断は「終わり」ではなく「次のステップへの入口」として機能していることが分かります。
公的データで見る発達障害の就労状況
厚生労働省「令和5年度障害者雇用実態調査」によると、精神障害者(発達障害を含む)の雇用者数は近年増加傾向にあり、企業における障害者雇用に占める割合も拡大しています。
独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)の調査でも、発達障害のある方が地域障害者職業センター・就業生活支援センターなどを通じて、職業準備支援・ジョブコーチ支援を活用しながら就労につながるパターンが報告されています。
診断後に「ひとりで就職活動を進める」のではなく、これらの公的支援機関を活用することで、選択肢が広がりやすくなります。
診断後はどんな専門職が関わってくれる?
診断後の生活・就労を支える支援者として、複数の専門職が関わります。
主治医・医療スタッフ
診断と治療方針の決定、投薬の管理、定期的な経過観察を担う中心的な存在です。
「困りごとが続いている」「薬の副作用が気になる」など、医療上の相談は主治医に率直に伝えていく姿勢が大切とされています。
公認心理師・臨床心理士
心理検査の実施、心理療法(認知行動療法など)、カウンセリングを担当します。
医療機関、精神保健福祉センター、民間カウンセリング機関などで活動しています。
精神保健福祉士(PSW)
医療機関や福祉機関に所属し、福祉制度の利用、生活上の相談、家族支援、就労支援機関との連携などを担います。
「どの支援先を利用すればよいか分からない」と感じたとき、精神保健福祉士が窓口となって整理を手伝ってくれることが多いです。
相談支援専門員
障害福祉サービスを利用する際の「サービス等利用計画」を作成し、本人と支援機関のあいだをコーディネートする役割を担います。
自立訓練・就労移行支援などを利用する際には、ほぼ必ず関わる存在です。
就労支援機関の支援員
就労移行支援・自立訓練・障害者就業生活支援センターなどの支援員が、就労準備・職場定着のサポートを担います。
ジョブコーチ(職場適応援助者)が職場に同行して、本人と職場の双方を支援するケースもあります。
エンラボカレッジでの「診断後の土台作り」アプローチ
エンラボカレッジは、神奈川県・東京都・大阪府・宮崎県で自立訓練(生活訓練)と就労移行支援を運営している事業者です。
「ADHDの診断を受けたが、すぐに就職を目指すのは不安」「まず生活と気持ちを整えてから次のステップを考えたい」という方を、自立訓練(生活訓練)でサポートしてきました。
「自己理解」を軸にした2年のカリキュラム
エンラボカレッジの自立訓練(生活訓練)は、原則2年間の利用期間のなかで、ステージ1〜4の4段階で「自分を知る・学ぶ→学んだことができる→学びを応用できる→自信を持ち、次に進める」というカリキュラムを組み立てています。
ADHDの診断を受けた方の場合、「自分の不注意・多動性・衝動性の現れ方を把握する」「特性と付き合う具体的な方法を身につける」「自分のペースで働ける環境を整える」というプロセスを、時間をかけて進めていける設計です。
8つのプログラムで特性と向き合っていく
エンラボカレッジの自立訓練(生活訓練)では、8つのプログラム(感情学/コミュニケーション/My Lab./アクティビティ/Life Lab./ソマティック Lab./Social Lab./スキルアップ)を組み合わせています。
ADHDの診断を受けた方が特によく活用されているのが、次のプログラムです。
感情学:感情の波と付き合う方法、衝動的な反応を抑える工夫を学びます。
My Lab.:自分の特性・得意・不得意を整理し、『自分/支え方マニュアル』を作成します。診断書とは別に、「自分の取扱説明書」を持つことで、卒業後の進路先(職場・福祉サービスなど)でも継続して活用できます。
ソマティック Lab.:心身の状態に意識を向け、不調に早めに気づく方法を身につけます。
スキルアップ:働く目的・適性把握・職業訓練を通じて、自分に合った働き方を探します。
『自分/支え方マニュアル』を作る
エンラボカレッジでは、卒業時に必ず『自分/支え方マニュアル』を作成します。
自分の特性・必要な配慮・周囲への伝え方を、文書としてまとめておくツールで、診断書と一緒に職場・福祉サービスに共有することで、合理的配慮の申請や個別支援計画の策定がスムーズになります。
「診断書だけでは伝わりにくい『自分らしさ』を、自分の言葉で説明できる手段がほしい」という方に活用されています。
40代から自立訓練で生活と働き方を立て直していった方の体験は、40代からの再スタート|自立訓練で生活と働き方が変わった理由もあわせてご覧ください。
診断後の選択肢を一緒に考えたい方へ
エンラボカレッジでは、神奈川・東京・大阪・宮崎の11拠点で、自立訓練(生活訓練)と就労移行支援の見学・無料相談を随時お受けしています。
「ADHDの診断を受けたが、次に何をすればよいか分からない」「就労移行支援と自立訓練のどちらが自分に合うか整理したい」「家族と一緒に進路を考えたい」――そうしたご相談も歓迎しています。
ADHD診断後の実例|自立訓練(生活訓練)エンラボカレッジ利用者の事例
※以下は自立訓練(生活訓練)エンラボカレッジを利用された方の支援事例です(医学的な症例研究ではありません)
事例1|就労移行支援後に仕事が続かず、自立訓練で立て直したADHDの方
ADHDの診断を受け、一度は就労移行支援を経て就職したものの、職場での困難から離職を経験。その後、自立訓練で感情コントロールと自己理解を深め、安定した就労につながった方の体験があります。
「就職を急ぐ前に、生活と感情を整える時間を持てたことが大きかった」――診断後の進路として、「すぐに就労移行支援」ではなく「いったん自立訓練で土台を整える」という選択肢を選んだケースです。
詳しくは、就労移行支援後に仕事が続かず、自立訓練で安定就職を実現したADHDの方の体験談をご覧ください。
事例2|ASD・ADHDの感情コントロールに悩んだ方が前に進めた理由
ASD(自閉スペクトラム症)とADHDの併存診断を受け、感情コントロールに悩んでいた方が、自立訓練を経て働く自信を取り戻していったプロセスがあります。
診断を受けたこと自体が「自分への理解の入口」となり、そこから自分の特性と付き合う方法を、時間をかけて整理していった事例です。
詳しくは、働く自信をつかむまで。感情のコントロールに悩んだASD・ADHDのAさんが前に進めた理由をご覧ください。
事例3|うつとADHDを併存しながら、40代から土台を整え就労へ
40代でADHDとうつ病の併存と向き合いながら、自立訓練で生活基盤を整え、安定した就労に向かった方の体験もあります。
「診断後、すぐに就職することよりも、まず生活リズムと体調を整えることに時間を使った」――診断後の進路の組み立て方として、参考になる選択です。
詳しくは、うつとADHDの40代が自立訓練で土台を整え安定した就労へをご覧ください。
よくある質問(FAQ)
ADHDの診断はどこで受けられますか?
精神科・心療内科・発達障害専門外来などの医療機関で受けられます。
地域の保健所、精神保健福祉センター、市区町村の障害福祉課に問い合わせると、地域でADHDの診断を行っている医療機関を案内してもらえます。
予約が取りづらい場合があるため、複数の医療機関に問い合わせて対応可能な時期を確認しておくとスムーズです。
ADHDの診断は何科で受けるべきですか?
精神科または心療内科が一般的です。
近年は「発達障害専門外来」を設置する医療機関も増えており、専門外来があれば、より専門的な評価を受けやすい傾向があります。
子ども(18歳未満)の場合は、児童精神科や小児神経科が中心となります。
自分で症状項目を見て判定することはできますか?
医学的な診断は、症状項目への自己判定で成立するものではありません。
DSM-5-TRやICD-11の症状項目を「あてはまる/あてはまらない」で自分で判定しても、それで診断が下せるわけではなく、医師が問診・生育歴の確認・心理検査などを総合して、はじめて診断が成立します。
困りごとを感じている場合は、自己判定で結論を出すのではなく、医療機関の受診を検討してください。
診断にはどれくらい時間がかかりますか?
初診の予約から診断確定まで、一般的には1〜3か月程度かかるケースが多いとされています。
「初診の予約が数か月先」「心理検査の結果説明にさらに数週間」というスケジュールになることもあり、長めの見通しを持って臨むことをおすすめします。
診断費用は健康保険が使えますか?
精神科・心療内科での診察・心理検査は、原則として健康保険の適用対象です。
健康保険3割負担の場合、初診料は約2,000〜3,000円程度、心理検査は内容によって1,500〜数千円程度が目安とされています。
自立支援医療(精神通院医療)の制度を利用すると、自己負担が原則1割に軽減されます。
大人になってからADHDの診断を受けることはできますか?
大人になってからの診断は可能です。
近年は「大人のADHD」として、成人後に初めて診断を受ける方が増えています。
DSM-5-TRでは「12歳以前に症状が現れていたこと」が要件のひとつとされており、子ども時代の様子(通知表・家族の証言など)の情報があると、診断のプロセスがスムーズに進みやすくなります。
ADHDの診断を受けると障害者手帳がもらえますか?
ADHDの診断を受けたうえで、状態が一定の基準に該当する場合、精神障害者保健福祉手帳の対象となります。
申請には、初診から原則6か月以上経過した時点での診断書が必要となります。
手帳の交付は、住んでいる市区町村の障害福祉課に申請したのち、都道府県・指定都市の精神保健福祉センターでの審査を経て決まります。
診断を受けたら必ず薬を飲まないといけませんか?
投薬は治療選択肢のひとつであり、必須ではありません。
「薬は使いたくない」という方も、医師に率直に伝えることで、心理療法・心理社会的支援・環境調整など、ほかの治療選択肢を検討してもらえることが多いとされています。
治療方針は、医師との相談を重ねながら決まっていきます。
診断を受けたことを職場に伝える義務はありますか?
診断を受けたことを職場に開示するかどうかは、ご本人の判断で決まります。
開示することで合理的配慮の申請が可能になる一方、開示しない選択も尊重されます。
「すべて伝える」「必要な相手にだけ伝える」「現時点では伝えない」のいずれも選択肢で、職場の状況とご自身の希望を踏まえて判断する流れが一般的です。
診断を受けた後、自立訓練と就労移行支援のどちらを選べばよいですか?
「いますぐ就職を目指したい」方は就労移行支援、「まず生活と気持ちを整えたい」方は自立訓練(生活訓練)が選択肢に入ってきます。
両者の違いは、自立訓練(生活訓練)とは|対象者・利用期間で詳しく整理しています。
主治医・相談支援専門員・支援機関のスタッフと相談しながら、ご自身の目的に合う選択を一緒に考えていくことをおすすめします。
まとめ
ADHDの診断は、精神科・心療内科の医師がDSM-5-TRやICD-11に沿って問診・生育歴の確認・心理検査などを総合的に評価して行うものです。受診から診断確定までは1〜3か月程度が目安で、健康保険適用、自立支援医療を利用すれば自己負担が原則1割となります。
診断後は医療・福祉・就労の3領域にわたる支援を組み合わせて利用できます。診断は「終わり」ではなく、自分に合った支援につなぐ入口です。
エンラボカレッジは自立訓練(生活訓練)と就労移行支援を運営し、「診断後、すぐに就職を目指すのは不安」「まず生活と気持ちを整えたい」というご相談を多く受けています。
ご見学・無料相談のご案内
エンラボカレッジでは、自立訓練(生活訓練)と就労移行支援の見学・無料相談を、神奈川・東京・大阪・宮崎の11拠点で随時お受けしています。
「ADHDの診断を受けたが、次の進路を一緒に整理してほしい」「自立訓練と就労移行支援のどちらが自分に合うか相談したい」「家族と一緒に話を聞いてみたい」――そうしたご相談も歓迎しています。
ご見学・無料相談のお申し込みは、エンラボカレッジ公式サイト、またはお電話(050-5538-0786/平日10:00-18:00)からお気軽にどうぞ。
事業所の雰囲気・プログラムの実際・通っている方々の様子を、実際に見てから判断いただけます。
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この記事について【作成・監修】
本記事は、自立訓練(生活訓練)事業所「エンラボカレッジ」を運営する株式会社エンラボの専門職スタッフが作成・監修しています。
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精神保健福祉士・社会福祉士・臨床心理士・作業療法士・理学療法士
【現場での実践】
自立訓練(生活訓練)・就労移行支援などで、診断名・特性に合わせた個別支援を提供しています。
【運営会社】
株式会社エンラボ/設立2015年4月/神奈川県を中心に首都圏・関西・宮崎で11拠点運営
【ご注意】
本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の医学的診断や治療を代替するものではありません。ADHDの診断や治療に関するご判断は、必ず医療機関で医師にご相談ください。

の特徴・特性とは?大人・子どもの特徴や症状や困りごとについて解説します。.jpg)




