【エンラボストーリー】就労移行支援後に仕事が続かず…ADHDの私が自立訓練で感情コントロールを身につけ、安定就職を実現

公開日:2025/08/20

「働きたいのに続かない」「人との関わり方がわからない」――そんな悩みを抱えてきた30代のSさん。

学生時代からADHD(注意欠如・多動症)の特性による困りごとがあり、就職しても長く続けられず、自信を失っていました。

自立訓練(生活訓練)を行うエンラボカレッジで仲間と安心できる居場所を得たことで、人との関わり方や自分の感情への向き合い方を学び、自分らしく働けるようになったといいます。「エンラボは、私にとって“人生をはじめる場所”」と語るSさんに、その歩みを伺いました。

※画像はイメージイラストです

プロフィール

  • Sさん
  • 年代:30代
  • 診断名:ADHD(注意欠如・多動症)
  • エンラボ歴:約1年9ヶ月

ご自身の困りごと

  • 幼少期から友だち作りや集団に馴染めない
  • 思ったことを直言し対人関係で衝突する
  • 提出物の遅れや課題管理がうまくできない
  • 職場での人間関係が合わず長続きしない
  • 働き続けられず自信を失い将来が不安

人付き合いを学びたい。就労に悩んだ末に辿り着いた「エンラボ」

― エンラボに通う前は、どんな状況でしたか?

幼少期から困りごとはありましたが、中学生の頃から顕著になり、20歳頃にADHD(注意欠如・多動症)の診断を受けました。
しかし診断を受けても状況は大きく変わらず、就職活動の進め方もわからないまま派遣会社に就職しましたが半年で退職。

 

その後、約2年間就労移行支援事業所に通って就労スキルを学びましたが、就いた老人ホームの清掃業も人間関係の難しさから長続きしませんでした。
「働きたいのに環境や人間関係が合わない」状態が続き、将来への不安が募っていました。

 

― エンラボを知ったきっかけを教えてください。
就労援助センターの職員から自立訓練の「エンラボカレッジ」を紹介されたことです。

最初は何をする場所かイメージできませんでしたが、体験を通して家族にも話せないことを受け止めてもらい、「ここなら正直に気持ちを話せる」と感じたことが利用の決め手になりました。

 

― 通う目的は何でしたか?
一番は「人付き合いを学びたい」という思いです。

仲良くしたいのに孤立してしまう、そんな経験を繰り返してきました。エンラボでは自分を見つめ直し、人との関わり方を学びたいと考えていました。

 

エンラボで身につけた感情コントロールと他者理解

― エンラボに通い始めた頃は、どんな様子でしたか?
当初は何に対しても自信がなく、何を学べばいいのかも分からない手探りの状態でした。
学生時代は芸能人を目指していましたが諦め、社会人として就職したものの続かず、自己肯定感が大きく下がっていました。

 

そんな中、エンラボではスタッフや利用者が温かく受け入れてくれました。日誌に「朝起きた時の気持ち」を書くとスタッフから「いいね!」と声をかけてもらい、「ここでは自分を表現しても大丈夫」と思えるようになり、少しずつ前向きに通えるようになりました。

 

― 通う中で、どんな変化がありましたか?
以前より他人を肯定できるようになり、「考え方は人それぞれ」という視点を持てるようになりました。
また、失敗したときに言い訳するのではなく、感情をコントロールしながら「どう対処するか」を考えられるようになり、行動の選択肢が広がりました。

ソーシャルラボで学んだ「意見の違いを受け入れる力」

― エンラボで印象に残っているプログラムや経験はございますか?
特に心に残っているのは「ソーシャルラボ」です。

 

事例をもとに「なぜこうなったのか」「どうすればよかったのか」を話し合い、意見が違っても良いと感じられるようになりました。以前は自分の考えに固執し、指摘されると強く言い返すこともありましたが、「人にはそれぞれ理由がある」と知り、まず肯定する姿勢が身につきました。

 

また、黒板に絵を描く「絵しりとり」も印象的でした。相手に伝えるための工夫を通じて、自分や相手を意識する練習になったと思います。

 

― 利用者同士の関わりの中で、得られたものはございますか?
エンラボでは、多くの「仲間」ができました。

 

プログラムや趣味の会話を通して、仲間と過ごす楽しさを実感し、「人を楽しませることが好き」という自分の一面にも気づきました。今も連絡を取り合い、一緒にイベントへ行くなど、そのつながりは大きな財産になっています。

エンラボで学んだ関わり方が、週3日勤務継続の力に

― 現在は、どのように過ごしていらっしゃいますか?
エンラボを約1年9か月利用した後、現在は障害者雇用枠で飲食関係の仕事をしています。
勤務時間は1日6時間、週3日で、約10か月間続けられており、これまでで一番長く働けています。

 

― 安定して働けている理由は何だと思われますか?
会社が自分の特性を理解し、一人の人間として受け入れてくれていると感じられることです。わからないことをもう一度聞ける雰囲気があり、安心して働けます。

 

また、エンラボで学んだ人との関わり方も大きな支えになっています。以前は注意されると腹を立てて言い返すことが多かったのですが、今は「考え方の違い」を受け入れた上で対応を考えられるようになりました。

 

― 今後の目標を教えてください。
まずは現在の働き方を続けることです。週3日勤務でも適度に疲れるため、体調や生活とのバランスを保ちながら、少しずつステップアップしていきたいと考えています。

 

将来的には、近所の子どもたちが気軽に集まれる場所をつくるのが夢です。自分自身、子どもの頃にやりたくてもできなかったことが多くありました。野球やサッカーなど、挑戦したい子どもの背中を押せる「近所のおじちゃん」になれたらと思っています。

エンラボは「人生をはじめる場所」。一歩踏み出せば、きっと変われる

― 記事を読んでいる方へ、伝えたいことはありますか?

私にとってエンラボは、「人生をはじめる場所」です。

 

ここに来る前の私は、自分の人生に自信が持てず、「この先も頑張れるだろうか」と不安でいっぱいでした。

しかし、エンラボのプログラムを通して他人の気持ちを知り、自分の気持ちを表現できるようになりました。仲間と呼べる存在にも出会い、学生時代や社会人生活では得られなかった経験や人とのつながりを手に入れることができました。

 

エンラボには、真剣に話を聞き、解決策を一緒に考えてくれるスタッフや、悩みを共有し趣味も楽しめる仲間がいます。
通えばきっと、「一人じゃない」と思えるはずです。迷っている方は、ぜひ一度体験してみてください。

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