【エンラボストーリー】ASD・ADHDと向き合いながら“自己発信力”と“働くための体力”を育み、就職への一歩を踏み出す
公開日:2025/08/26

ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如・多動症)の診断がある20代のKさん。
大学在学中から就労移行支援を利用していましたが、「自己発信力」と「働くための体力」に課題を感じ、エンラボの自立訓練を利用することに。
約11か月間、地道な取り組みを続ける中で少しずつ課題を乗り越え、再び就労移行支援にチャレンジ。
その後、見事に内定を獲得し、現在は就職を控えながら正社員登用を目指して歩みを進めています。
今回は、Kさんがエンラボでどのように成長を重ねてきたのか、「自己発信力」と「働くための体力」の向上をどのように育んできたのかについて、お話を伺いました。
※写真はイメージイラストです。
プロフィール
- Kさん
- 年代:20代
- 診断名:ASD(自閉スペクトラム症)・ADHD(注意欠如・多動症)
- エンラボ歴:11ヶ月
ご自身の困りごと
- 自己発信がうまくできない
- 体力面で不安がある
- 就職活動でうまくいかない
「自己発信力」と「働くための体力」を身につけるためエンラボを利用することに

ーASDとADHDの診断があるとのことですが、どのような経緯で診断を受けられたのですか?
中学生のころに親から勧められて病院を受診し、大学生のころにASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如・多動症)と診断を受けました。
ーエンラボを知ったきっかけは何でしたか?
大学には「卒業延期制度」があり、その制度を利用して1年間卒業を延期し、その間に就職活動の一環として就労移行支援事業所を利用していました。最初に通っていた事業所は少し合わなかったため、一度別の事業所へ移り、現在もそちらに通っています。
就職活動を進める中で、就労移行支援事業所のスタッフから「自己発信力」と「働く体力」が不足していると指摘され、自立訓練事業所の利用を提案されました。そこで紹介されたのがエンラボです。
実際、面接まで進んでもうまく自己発信ができず、不採用となることが多かったため、就職を目指すうえでまずはその課題を解消したいと考え、エンラボを見学してみることにしました。
ー見学に行ってみた印象はいかがでしたか?
見学には、就労移行支援事業所のスタッフさんと一緒に行きました。
実際にエンラボの中を見学してみて、まず事業所のスペースが広く、活気があるなと感じました。
また、個別の席も用意されていたので、「ここなら通いやすそうだな」という印象を持ちました。
その後、エンラボのスタッフさんとも面談を行い、課題だった「自己発信力」や「働くための体力」向上の面でも改善が見込めそうだと感じたため、体験利用へ進むことにしました。
ー体験を通じて、利用を決めた理由は何でしたか?
体験中は就労移行支援事業所に通いながら1カ月のうちに2,3回行い、コミュニケーションなどいろいろなプログラムに参加しました。プログラムへの参加やスタッフさんとの面談を通して「この場所ならやっていけそうだ」と感じたことが利用の決め手です。
自己発信力を向上させるため「1日1回発信する」と決めて通った

ー通い始めの利用ペースと最初の目標を教えてください
エンラボには、利用当初から週5日通所していました。
通い始めたばかりの頃は、まず「ルールに慣れること」と「安定して通い続けること」を目標にしていました。
ただ、以前に就労移行支援事業所へ通っていた経験もあったので、エンラボの環境にも比較的スムーズに馴染むことができたと思います。
ー長期的な目標と、それに向けた取り組みを教えてください
長期的な目標は、やはり自己発信力と働く体力を向上させることでした。
自己発信力については、「1日1回は発信する」など具体的な目標回数を決めて取り組んでいました。
体力面では、長時間の活動で疲れてしまうことが課題だったため、
「1日外で過ごすこと」や「新しい環境に慣れること」を意識して実践していきました。
ーエンラボでの取り組みの中で、自己発信力を鍛えられたと感じた場面はありますか?
印象に残っていることは、土曜日に他の利用者さんと行ったカードゲームです。
お題に沿って自分や他の参加者の価値観をすり合わせていく内容で、自分の考えを発信する機会が多く、自己発信力を鍛えることができました。
また、自己発信力を高める取り組みとして、他の利用者さんの前でプレゼンをしたことも印象に残っています。
これはSocial Lab.のプログラムの一環で、「希望者が人前で発表する」という機会があり、私も数回参加しました。毎回「自分の好きなこと」などのテーマに沿って内容を考え、プレゼンを行いました。
働くための体力を身につけるため、毎日階段で通所
ー働くための体力を身につけるために、どのようなことに取り組みましたか?
体力面の取り組みとしては、通所時に階段を使うことを意識していました。
私が通っていたエンラボの事業所は6階にあり、毎回エレベーターを使わず、1階から6階まで階段で上がるようにして体力をつけていきました。
週5日通所に加え、この階段トレーニングを継続したことで、体力に対する不安は次第になくなっていきました。
ー就労移行支援事業所への復帰はどのように決めましたか?
最終的には、エンラボを11か月利用したのちに就労移行支援事業所へ戻りました。
もともと半年から1年で復帰する予定だったため、通所中も就労移行支援のスタッフと連絡を取り合いながら進めていました。
自己発信力や働くための体力に自信がついたタイミングで、復帰を決断しました。
エンラボでの活動を通して自分の感情にも気づくことができた
ーエンラボで、自己理解が深まったと感じる経験はありますか?
エンラボに通う中で、「自分/支え方マニュアル」を作成するという取り組みがありました。多くの項目はすらすらと書けたのですが、「感情面」の項目だけは少し苦戦しました。特に、自分がどんな感情に注意すべきかが、当初はうまくつかめなかったんです。
しかし、日々のプログラムやスタッフとのやり取りを通して、自分にとって「緊張」が大きな影響を与える感情だということに気づくことができました。そこからは、「緊張を感じたら、早めに休憩をとる」など、自分なりの対処法も考えられるようになりました。
この経験を通じて自分の感情と向き合い、理解する力が少しずつ育ってきたと感じています。
「自己発信力」と「働くための体力」を身につけ、自信を持って就職を目指せた11か月

ーKさんにとってエンラボでの日々はどのようなものでしたか?
エンラボは11か月通いましたが、すごく成長できたなと感じています。コミュニケーション面でスキルアップでき、特に自己発信能力がとても上がりました。エンラボのスタッフさんには目標設定や成長という面でも普段何気ない会話をする居場所という面でも支えてもらってありがたく思っています。
ー今後の目標を教えてください
まずは、来月から始まる新しい仕事を、体調を崩さず安定して続けていくことが目標です。雇用形態は契約社員で、週5日・1日6時間勤務からのスタートですが、就職先には正社員登用制度があるため、長期的には正社員を目指していきたいと考えています。
ー記事を読んでいる人へ伝えたいことはありますか?
迷っているなら見学に行ってみるといいと思います。エンラボにも複数の事業所があるので、一つだけでなく複数見学してみたら自分に合う場所があるかもしれません。
【スタッフの声】コツコツ継続できることが大きな強み
ースタッフから見たKさんの印象に残っている姿や変化を教えてください。
Kさんは、「就労移行支援事業所に戻る」という明確な目標を持って通所されており、その目標に向けて必要な「自己発信力」や「働く体力」を着実に伸ばしていかれました。
印象的だったのは、取り組みに対する姿勢です。プログラム中の発信や階段を使った体力づくりなどを、通所当初から卒業まで一貫して継続されていました。ただ継続するだけでなく、発信面では人前でプレゼンを行えるようになるなど、実際に成長へとつなげていた点が素晴らしかったです。
また、体力面でも週5日の通所を崩すことなく続けており、その積み重ねが自信となり、結果的にエンラボ卒業後すぐの就職にもつながったのだと思います。
自分で決めたことをコツコツと積み上げていく姿勢は、Kさんの大きな強みです。
これからもその強みを活かしながら、Kさんらしく活躍されることを応援しています。