【エンラボストーリー】発達障害と向き合い、スモールステップで育んだ自己肯定感
公開日:2025/08/28

学校生活が合わないと感じ、将来に不安を抱えていたTさん。
エンラボカレッジでの2年間、自分のペースで小さな目標を重ねることで、自己理解やコミュニケーションの力を少しずつ広げていきました。
その積み重ねが自己肯定感を高め、今は就職や一人暮らしを目指して前に進まれています。
そんなTさんにお話を伺いました。
プロフィール紹介
- 年代:20代
- 診断名:広汎性発達障害、ADHD、うつ病
- エンラボ歴:2年
ご自身の困りごと
- 体調に不安を抱えていた
- コミュニケーションが苦手だった
- 感情によって体調が左右されていた
うつ病・発達障害の診断から自立訓練を選ぶまで
ー高校時代の体調や診断について教えてください
高校生の頃にうつ病を発症し、その後の検査で自閉スペクトラム症(当時は広汎性発達障害と診断)と注意欠如・多動症(ADHD)が分かりました。二次障害として適応障害も併発していました。
体調が安定せず、高校にはほとんど通えない時期もありましたが、なんとか3年間で卒業することができました。当時は将来の進路に強い不安を抱えていました。
ー診断に至ったきっかけや、当時の思いをお聞かせください。
高校1年のとき、コロナ禍による分散登校の期間は比較的元気に過ごせていました。ところが秋に制限が緩み、部活動を含めて週7日のような生活に戻ったことで体調を崩しました。
その際、養護教諭に勧められて精神科を受診し、まずはうつ病と診断。その後の検査で発達障害が分かりました。
昔から「変わっている」と言われ、自分でも生きづらさを感じていたので、診断がついて腑に落ちた感覚がありました。
ーエンラボを知ったきっかけを教えてください
当初は大学進学を考えましたが、学校生活そのものが自分に合わないと感じ、進学を断念しました。
進路に迷っていたとき、担任や養護教諭から就労移行支援や自立訓練の事業所を紹介され、その中にエンラボもありました。
見学に行った際に雰囲気が柔らかく安心でき、「ここなら通える」と思い利用を決めました。
体験を通じて「ここで学びたい」と思い、利用を開始

ー見学時の様子や印象を教えてください
見学は親と支援者の3人で行きました。福祉施設の見学自体が初めてだったので、「どんな場所なんだろう」と不安に思いながら訪れたのを覚えています。
実際に事業所に入ってみると雰囲気がとても柔らかく、安心感がありました。通っていた学校、特に部活動は厳しい雰囲気だったので、そのギャップに驚きましたね。「ここなら安心して通えそうだ」と思い、体験に進むことにしました。
ー体験してみての印象を教えてください
当初は、自立訓練か就労移行かで迷っていました。ですが、エンラボを体験してみて、「自立訓練に2年、その後に就労移行に2年通えば、ちょうど4年制大学と同じくらいの期間で就職活動に臨める」と考えるようになりました。
ーエンラボに通う決め手は何でしたか?
他の事業所にも体験を行ったのですが、エンラボのプログラムが自分に合っていると感じたことです。
特に「感情学」など、自分のことを深く掘り下げて理解できるプログラムが多かった点が魅力でした。私は感情によって体調も左右されることが多かったので、自己理解から始められるエンラボのプログラムはぴったりでした。
さらに、卒業時には自分の特性をまとめた「自分の支え方マニュアル」を作れることも大きな決め手でした。自分をしっかり理解した上で卒業できるのは心強いと感じました。
通い始めから見えた課題とエンラボでの気づき
ー通い始めの状況を教えてください
高校卒業直後は疲れが残っていたため、最初は週2日・午後だけの利用から始めました。目標は「次回も来ること」。一歩進んでは五歩下がるような感覚でしたが、無理のないスモールステップを重ね、最終的には週4日通えるようになりました。
ー利用中に取り組んだことや課題は何でしたか?
一番の課題はコミュニケーションでした。周囲からは「話し上手」と言われても、実際には気を遣いすぎて疲れてしまい、雑談も難しい状態でした。そこで「人に声をかける」「プログラムで一度発言する」といった小さな目標を積み重ね、少しずつ自信をつけていきました。
ー印象に残ったプログラムはありますか?
感情学のワークで「もやもや」の正体が「イライラ」だと気づけたことは大きな発見でした。感情と体調のつながりを理解できたことで、自己理解が一段と深まりました。
また、卓球大会では上手下手に関係なく拍手してもらえる雰囲気が心地よく、安心して楽しむことができました。
自己肯定感が高まり、日常でも成長を実感

ーエンラボを通じて成長したと感じる部分を教えてください
小さな成功体験を積み重ねることで、自己理解が進み、自己肯定感が高まりました。高校時代は「足を引っ張っている」と感じて自分を卑下していましたが、スタッフとの振り返りを通じて「できている自分」に気づけるようになりました。人前で発言することもできるようになり、自信につながりました。
ー成長を実感する場面はありますか?
以前は人と話すと疲れてしまうことが多かったのですが、今は必要以上に気を張らずに会話できるようになりました。日常生活でも人に助けを求めたり、自分の意見を伝えたりすることが前よりも自然にできるようになり、成長を実感しています。
エンラボから次のステージへ
ー今後の目標を教えてください
現在は就労移行支援事業所に通い、就職活動を始めています。まずは体調や生活リズムに合わせて時短勤務からスタートし、少しずつ社会に慣れていきたいと考えています。将来的には正社員として安定して働き、一人暮らしを実現することが大きな目標です。
就職だけでなく「生活を自分の力で整えること」も課題の一つです。食事や家事を自分のペースでこなし、無理なく暮らしを続けられる力を身につけたいと思っています。エンラボで学んだ自己理解やスモールステップの考え方を活かしながら、一歩ずつ前進していきたいです。
【スタッフの声】スモールステップを合言葉に見えた変化
スモールステップを合言葉に、2年間コツコツと取り組む姿がとても印象的でした。通い始めは自信のなさや緊張した様子も見られましたが、少しずつ課題に挑戦する中で雰囲気も明るくなり、笑顔が増えていきました。
エンラボでは「無理せず小さな目標を積み重ねること」を意識されていて、その取り組み方が着実に自信へとつながっていったと思います。発言や雑談など最初は難しかったことも、今では自分の意見をしっかり伝えられるようになり、大きな成長を感じました。
小さな一歩を積み重ねる姿は、スタッフや周りの人にも元気を与えてくれました。これからも無理のないペースで、着実に前に進んでいけると信じています。