休職手当(傷病手当金)の金額・期間・申請方法|うつ病で知る制度

更新日:2026/05/31

休職中の生活費はどうなるのか、自分はいくら受け取れるのか――療養に入る前後で、お金の見通しが立たない不安は大きいテーマです。

一般に「休職手当」と呼ばれるものは、会社が独自に支払う給与ではなく、健康保険から支給される「傷病手当金」を指すケースが大半です。最長1年6か月、給与のおよそ3分の2が支給される所得補償制度ですが、計算方法・申請期限・失業手当との調整など、分かりにくい部分が少なくありません。

金額計算・支給期間・申請方法、休職中の過ごし方や復職支援までを、健康保険組合と社労士監修の一次情報をもとにまとめました。安心して療養に専念する土台になるはずです。

そもそも「休職手当」とは何か|法律上の用語との違い

最初に、用語の整理から始めます。

「休職手当」は法律用語ではない

「休職手当」という呼び方は、法律や制度上の正式名称ではありません。

労働基準法・健康保険法・雇用保険法のいずれにも、「休職手当」という条文は存在しないとされています。

一般的に「休職手当」と表現される場合、ほとんどのケースで指しているのは健康保険の「傷病手当金」です。

会社の就業規則によっては、独自の「休職給」「休業補償」を定めているところもありますが、これは法律で義務付けられたものではなく、企業ごとに異なります。

「休職」と「休業」の違い

似た言葉に「休業」がありますが、両者は使い分けられています。

「休職」は、本人側の事情(病気・けが・育児・介護・自己都合など)で、雇用関係を維持したまま長期的に労務を免除される状態を指します。

「休業」は、会社側の事情(業績不振・災害など)または法律で定められた事由(産前産後・育児・介護など)で、一時的に労働義務が免除される状態です。

うつ病・適応障害などのメンタル不調による長期離脱は、一般的に「休職(私傷病休職)」として扱われます。

「私傷病休職」のときに頼れる制度

業務外の病気やけが(私傷病)で働けなくなったときに、生活費を支える主な制度は次のとおりです。

健康保険の傷病手当金:私傷病で連続3日以上欠勤し、4日目以降も働けない状態が続くときに支給される所得補償。

労災保険の休業補償給付:業務上または通勤途上の病気・けがが対象で、私傷病とは別制度。

会社独自の休職給・見舞金:就業規則で定められている場合のみ支給。

障害年金:傷病手当金の支給終了後も働けない状態が続くときに、要件を満たせば申請可能。

この記事では、私傷病休職で最も多く活用される「健康保険の傷病手当金」を中心に整理していきます。

傷病手当金の支給要件|4つの条件を満たすこと

傷病手当金を受け取るには、次の4つの要件をすべて満たすことが必要です。

要件1|業務外の事由による病気・けがの療養のための休業であること

業務上または通勤途上の病気・けがは労災保険の対象となるため、傷病手当金の対象外です。

うつ病・適応障害・パニック障害などのメンタル不調は、私傷病として原則傷病手当金の対象になります。

ただし、業務上のストレスが原因と判断され労災認定された場合は、労災保険からの給付に切り替わります。

「自宅療養」も対象で、医師が「労務不能」と判断していれば、入院していなくても支給対象となるケースがあります。

要件2|仕事に就くことができないこと(労務不能)

主治医が「療養のため労務不能」と判断していることが要件です。

労務不能の判断は、本人の自己申告ではなく、医師の医学的判断に基づきます。

「本来の業務」に就けないかどうかが基準で、軽作業ならできる状態でも、本来の業務ができなければ支給対象となるケースがあります。

ただし、最終的な認定は健康保険組合・協会けんぽが行うため、状況によって判断が分かれる場合もあります。

要件3|連続する3日間(待期期間)を含み4日以上仕事に就けなかったこと

支給開始までには「待期期間」と呼ばれる3日間の連続欠勤が必要です。

この3日間には、有給休暇・土日祝・公休日も含めて連続してカウントされます。

4日目以降の休業から、傷病手当金の支給対象となります。

「3日連続して休む」ことが要件のため、間に出勤日を挟むと待期は成立せず、再度連続3日間からカウントし直しになります。

要件4|休業期間について給与の支払いがないこと

休業期間中に給与(賃金・賞与など)が支払われている場合は、原則として傷病手当金は支給されません。

ただし、傷病手当金の額より少ない給与(一部支給・減額支給など)が支払われている場合は、差額が支給されるケースがあります。

有給休暇を使って休んだ日は給与が支払われたものとして扱われるため、原則として傷病手当金は支給されません。

「有給休暇を使い切ってから傷病手当金に切り替える」順序が一般的とされていますが、待期期間の3日間を有給で消化しても、4日目以降に給与の支払いがなければ傷病手当金は支給対象となります。

傷病手当金の金額計算|「標準報酬月額÷30日×3分の2」が基本式

「いくらもらえるのか」が最も気になる部分かもしれません。

順を追って整理します。

基本の計算式

傷病手当金の1日あたりの支給額は、次の式で計算されます。

1日あたりの支給額 = 支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額の平均額 ÷ 30日 × 3分の2

「標準報酬月額」とは、健康保険料・厚生年金保険料を計算するための、給与をいくつかの区分に当てはめた基準額のことです。

毎月の給与明細や、健康保険組合から送られる「標準報酬決定通知書」で確認できます。

計算例:月給30万円の方の場合

仮に、過去12か月の標準報酬月額の平均が30万円だった方の場合の計算は次のとおりです。

1日あたり:30万円 ÷ 30日 × 2/3 = 約6,667円

1か月(30日)あたり:約20万円

「給与の3分の2が出る」と覚えておくと、概算の生活設計をしやすくなります。

ただし、賞与(ボーナス)部分は計算に含まれないため、賞与の比率が高い方は手取りベースで「給与の半分弱」になるケースもあります。

支給開始日以前の在籍期間が12か月未満の場合

入社して間もない方など、支給開始日以前の継続在籍が12か月に満たない場合は、次の(1)または(2)のいずれか少ない額を使って計算されます。

(1) 支給開始日が属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額

(2) 支給開始日が属する年度の前年度9月30日における全被保険者の標準報酬月額の平均額(協会けんぽは30万円/健保組合は組合ごとに定める)

このルールにより、入社直後で標準報酬月額が高めだった方の支給額が、過大にならない仕組みになっています。

出典・参考

支給額の計算方法は、全国健康保険協会(協会けんぽ)「傷病手当金」(https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3160/sb3170/)で詳細が確認できます。

健康保険組合に加入している方は、各健保組合の規程によって付加給付(上乗せ給付)がある場合もあるため、必ず加入先の健康保険組合に照会することをおすすめします。

支給期間|「通算1年6か月」の改正点

傷病手当金の支給期間は、令和4年1月の健康保険法改正で大きく変わりました。

改正後(令和4年1月以降):支給開始日から通算して1年6か月

現在の制度では、傷病手当金は「支給を開始した日から通算して1年6か月」まで支給されます。

途中で復職して給与を受け取れる期間があった場合、その期間は支給日数にカウントされず、再び休職した際には残りの日数を引き続き受給できます。

たとえば、1年間受給したのちに3か月復職、その後再び休職した場合、残りの6か月を再受給できる、という考え方です。

改正前(令和3年12月以前):支給開始日から暦日で1年6か月

改正前は「支給開始日から暦日で1年6か月」とされており、復職した期間も日数に含まれていました。

このため「途中で復職するとその分早く支給期間が終わってしまう」という課題があり、改正につながりました。

なお、令和4年1月1日時点で支給を開始してから1年6か月を経過していないものについては、新ルール(通算1年6か月)が適用されます。

同一傷病でカウントされる範囲

支給期間のカウントは「同一の傷病」ごとに行われます。

うつ病で1年6か月分を使い切った後に、別の傷病(たとえば身体疾患など)で休職する場合は、新たに支給開始日からカウントされます。

ただし、うつ病・適応障害・双極性障害など、関連性が高い精神疾患の場合は「同一の傷病」として扱われるケースもあるため、判断が分かれる場合は健康保険組合に確認することが大切です。

1年6か月を超えても働けない場合

傷病手当金の支給が終了したあとも働けない状態が続く場合、次の選択肢があります。

障害年金の申請:障害基礎年金または障害厚生年金の対象となる可能性があります。初診日から原則1年6か月経過した日が「障害認定日」とされ、申請が可能になります。

退職後の継続給付:一定要件を満たせば、退職後も傷病手当金の残りの期間を受給できる場合があります(後述)。

生活保護:他の制度を活用しても生活が成り立たない場合の最終的な所得保障です。

判断には専門的な知識が必要なため、社会保険労務士・自治体の福祉相談窓口・地域の障害者就業・生活支援センターへの相談が選択肢になります。

申請方法|3者(本人・医師・会社)の書類が必要

傷病手当金の申請には、本人・医師・会社の3者がそれぞれ書類を準備します。

申請から入金までの流れを整理します。

必要な書類

協会けんぽ・各健康保険組合で書式は若干異なりますが、共通して次の3パートが揃っている必要があります。

(1) 被保険者記入用:本人の氏名・住所・振込口座・申請期間・労務不能の状況などを記載。

(2) 事業主記入用:会社が記入する欄。労務に服さなかった期間と、その期間の給与支払い状況を証明。

(3) 療養担当者記入用(医師意見書):主治医が記入する欄。傷病名・初診日・労務不能と認めた期間・症状の経過などを記載。

申請までの流れ(5ステップ)

ステップ1|主治医に「傷病手当金の申請書を書いてほしい」と依頼

通院時に申請書を持参し、医師に意見書欄の記入を依頼します。記入には数日〜2週間程度かかる場合があります。文書料が別途必要なケースが多いです。

ステップ2|会社の人事・労務担当に申請書を渡し、事業主証明欄の記入を依頼

休業期間と給与の支払い状況を、会社が証明します。

ステップ3|本人記入欄を記入

振込先口座・申請期間などを記入します。

ステップ4|健康保険組合または協会けんぽに提出

会社経由で提出するか、本人が直接郵送するかは、健保組合の運用によって異なります。

ステップ5|審査・支給

書類受領から入金まで、おおむね2週間〜2か月程度かかります。月1回まとめて申請するケース、複数月分をまとめて申請するケースなど、運用は健保ごとに異なります。

申請のタイミング

申請は1か月ごとに行うのが一般的ですが、まとめて数か月分を申請することも可能です。

時効は「労務不能であった日ごとに、その翌日から起算して2年」とされており、2年を過ぎると請求権が消滅します。

療養が長期化しているときは、忘れずに定期的に申請する習慣をつけておくと安心です。

申請に関する注意点

申請書の医師意見書欄は、必ず申請対象期間が経過してから記入してもらう必要があります。

「未来の期間について労務不能を証明する」ことはできないため、たとえば「1月分」を申請する場合は2月以降に医師に記入してもらう、という流れになります。

書類不備で差し戻しになるケースもあるため、初回申請時は会社の人事担当や健康保険組合の窓口に確認しながら進めると安心です。

退職後の取り扱い|「資格喪失後の継続給付」と「失業手当」

会社を退職した後の取り扱いも、よく質問される論点です。

退職後も傷病手当金を受け取れるケース(資格喪失後の継続給付)

退職後も、次の要件をすべて満たせば、引き続き傷病手当金を受け取ることができます。

(1) 被保険者の資格を喪失した日の前日(退職日)までに、継続して1年以上被保険者期間があること(任意継続被保険者期間は含まない)。

(2) 資格喪失時に、傷病手当金の支給を受けているか、受けられる状態にあること(待期完成済みかつ労務不能の状態であること)。

このケースでは、退職後も同一の傷病について、通算1年6か月の支給期間が満了するまで継続して受給できます。

退職日の出勤が落とし穴になりやすい

「資格喪失後の継続給付」の要件で見落としやすいのが、「資格喪失時に労務不能であること」です。

退職日に挨拶や引き継ぎのために出勤してしまうと、その日が「労務可能」と判定され、継続給付の要件を満たせなくなるケースがあるため注意が必要です。

退職を予定している場合は、最終出勤日と退職日を分け、退職日は欠勤としておく運用が一般的とされています。

傷病手当金と失業手当は同時にもらえない

退職後、ハローワークで失業手当(雇用保険の基本手当)を受給することを考える方もいらっしゃいますが、傷病手当金と失業手当は同時受給できません。

理由は、両者の支給要件が逆だからです。

傷病手当金:「労務不能」(働けない状態)であることが要件。

失業手当:「労務可能で求職活動中」(働ける状態)であることが要件。

「働けない」状態で傷病手当金を受給している間は失業手当の対象とならず、逆に「働ける」状態になれば傷病手当金は終了します。

失業手当の「受給期間延長」を活用する

退職後、療養のためすぐに求職活動ができない場合は、失業手当の「受給期間延長」の申請をしておくと、回復してから失業手当を受け取れる場合があります。

通常、失業手当の受給期間は離職日の翌日から1年間ですが、病気・けが・妊娠・出産などで30日以上働けない場合は、最長で離職日の翌日から4年まで延長できます。

延長申請は、働けなくなって30日経過後、できるだけ早めにハローワークで手続きを行います。

「傷病手当金が終了したら失業手当に切り替える」流れを想定している方は、受給期間延長の手続きを忘れずに行っておくことが大切です。

障害年金との関係|「重ねて受給できる場合と調整される場合」

傷病手当金の支給期間が長くなると、障害年金との関係も論点になってきます。

障害年金の概要

障害年金は、病気やけがによって生活や仕事に支障が出た場合に支給される公的年金です。

障害基礎年金:国民年金加入者が対象。1級または2級の障害状態にある方が対象。

障害厚生年金:厚生年金加入者が対象。1級〜3級の障害状態にある方が対象。

うつ病・双極性障害・統合失調症などの精神疾患も対象となるケースがあり、初診日から原則1年6か月経過した日(障害認定日)以降に申請可能です。

傷病手当金と障害年金の調整

同一の傷病について、傷病手当金と障害厚生年金(または障害手当金)が同時に支給される場合は、傷病手当金の額が調整されます。

具体的には、障害厚生年金の額(同一傷病による障害基礎年金との合計額)の360分の1が、傷病手当金の日額を上回る場合は傷病手当金は支給されず、下回る場合は差額が支給される、という仕組みです。

「両方フル額もらえる」わけではないものの、「障害年金が支給されたから傷病手当金がゼロになる」とも限らない点は押さえておきたいポイントです。

詳細は、加入している健康保険組合または日本年金機構(https://www.nenkin.go.jp/)に確認することをおすすめします。

休職期間中の過ごし方|回復のための4つのフェーズ

休職手当(傷病手当金)の制度を整理したところで、休職期間中の過ごし方についても触れておきます。

うつ病・適応障害の回復は、一般的に「急性期」「回復期前期」「回復期後期」「リハビリ期」の4フェーズで進むとされています。

フェーズ1|急性期(休職開始〜1か月程度):とにかく休む

休職に入った直後は、心身ともに疲弊しきっている状態です。

このフェーズでは「何かをしよう」と思わなくてよく、とにかく休むことが回復への最短ルートとされています。

睡眠時間を確保する、食事を摂る、無理に予定を入れない――こうした「基本的な生活機能を取り戻す時間」と位置づけられます。

「休むことに罪悪感を覚える」「焦りで何かをしようとしてしまう」という方も少なくありませんが、急性期に無理をすると回復が長引くケースが多いため、主治医の指示に従って静養に専念することが大切です。

フェーズ2|回復期前期(1〜3か月程度):生活リズムを整える

睡眠・食事のリズムが少し戻ってきたら、起床・就寝の時間を一定にする、軽い散歩を取り入れるなど、基本的な生活リズムを整える時期に入ります。

このフェーズでは、まだ社会的活動はせず、家のなかで「日中起きていられる時間」「夜にきちんと眠れる感覚」を取り戻すことが中心になります。

無理にスケジュールを詰めず、体調と相談しながら少しずつ活動量を増やしていくのが基本です。

フェーズ3|回復期後期(3〜6か月程度):少しずつ外の活動を増やす

生活リズムが整い、短時間なら外出も負担なくできる状態になったら、図書館に行く・カフェで本を読むなど、社会との接点を少しずつ持つフェーズに入ります。

このころから、「自分の特性や、再発を防ぐための工夫を考える時間」を持つ方も増えてきます。

「これまでなぜ調子を崩したのか」「どんな場面で過剰に頑張ってしまったのか」「次に働くときにどう対処したいか」――こうした自己理解の時間が、復職後の安定につながります。

フェーズ4|リハビリ期(6か月〜):復職に向けた準備

体調が安定してきたら、復職に向けた準備期間に入ります。

このフェーズでは、模擬出勤・通勤訓練・ストレス対処の学習などを段階的に行います。

会社の制度として「リハビリ出勤」「試し出勤」が用意されている場合もありますが、用意がない場合は、医療機関のリワークプログラム、または障害福祉サービス(自立訓練・就労移行支援)の活用が選択肢に入ります。

復職に向けた支援サービス|医療リワーク・自立訓練・就労移行支援

復職を目指す際に活用できる支援サービスを整理します。

医療機関のリワークプログラム

精神科・心療内科などの医療機関が実施する、復職を目的としたデイケアプログラムです。

医師・看護師・作業療法士・心理職などが関わり、症状の安定化・認知行動療法・職場ストレスへの対処スキル学習などを行います。

医療保険が適用され、自立支援医療制度(精神通院医療)の対象になる場合は自己負担1割(所得に応じた上限あり)で利用できます。

障害福祉サービス|自立訓練(生活訓練)

自立訓練(生活訓練)は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスのひとつで、地域生活を送るうえでの生活面・対人面・自己理解の土台作りを支援します。

利用期間は原則2年で、市区町村が交付する「障害福祉サービス受給者証」が必要です。

雇用契約を結ばないため、体調の波と相談しながら自分のペースで通えることが特徴で、休職中に「いったん生活と気持ちを整え、自分の特性を理解してから復職を考えたい」という方に活用されています。

復職を視野に入れた自立訓練の使い方については、自立訓練(生活訓練)とは|対象者・利用期間もあわせてご覧ください。

障害福祉サービス|就労移行支援

就労移行支援は、2年以内の一般就労を目指す訓練の場で、職業準備性の向上・職場実習・求職活動支援などを行います。

休職中の方が利用する場合は「リワーク的活用」となり、復職先の職場との調整も含めて支援を受けられます。

就労移行支援の概要は、就労移行支援(就労支援)ってどんなところ?で詳しく整理しています。

自立支援医療制度(精神通院医療)の併用

うつ病・適応障害などで通院を続ける場合、自立支援医療制度(精神通院医療)の申請を行うと、医療費の自己負担が原則1割(所得に応じた月額上限あり)に軽減されます。

申請は市区町村の障害福祉課で行い、医師の診断書と健康保険証を持参します。

休職期間中は所得が減るため、自立支援医療制度の利用で医療費負担を抑えることが、家計面で大きな助けになるケースが多いです。

休職を経て安定就労に進んだ実例|自立訓練(生活訓練)エンラボカレッジ利用者の事例

※以下は自立訓練(生活訓練)エンラボカレッジを利用された方の支援事例です(医学的な症例研究ではありません)

ここまで制度を整理してきましたが、「実際に休職を経験した方が、どのように回復・復職・就労に進んでいるのか」を、3つの事例でご紹介します。

事例1|休職をきっかけに感情コントロールから始めた再出発

エンラボカレッジを利用された方のなかには、職場での体調不良をきっかけに休職し、「このまま元の働き方に戻っても同じことが繰り返される」と感じて、いったん自立訓練で土台を整え直すことを選ばれたケースがあります。

自立訓練のなかで、感情学プログラムを通じて「自分の感情の動き方」「ストレスのトリガー」「身体の反応の早期察知」を整理し、自分なりの対処法を見つけていく時間を持たれました。

→ 詳細はエンラボストーリー(story_013)をご覧ください。

事例2|うつとADHDの40代が自立訓練で土台を整え安定就労へ

40代でうつ病とADHDの診断を受け、休職と復職を繰り返してこられた方が、自立訓練で生活リズムと自己理解を整え、その後安定した就労に進まれたケースもあります。

ご本人の言葉として、「これまでは『なんとか復職しないと』と焦って早く戻り、また体調を崩していた。今回は時間をかけて自分の特性と向き合えたので、無理のない働き方を選べた」と振り返られています。

→ 詳細はエンラボストーリー(story_032)をご覧ください。

事例3|業界最大手の累計17,000名以上の事例:休職から退職を経て就労移行へ

業界最大手の就労移行支援事業所が公開している累計17,000名以上の就職事例のなかには、次のようなパターンも報告されています。

30代の女性が、職場での重なるプレッシャーからうつ病を発症し、いったん休職するものの体調が安定しないまま退職を決意。療養を経て「また働きたい」と思えるようになったタイミングで就労移行支援を活用し、障害児童支援員として再就職に至った――そうした流れです。

休職中に「すぐ復職」「すぐ転職」を急がず、療養と自己理解の時間を確保したうえで、自分に合う働き方を選び直す道筋もあることが分かります。

事例4|40代からの再スタート:家族と暮らしながら働き方を見直す

家庭中心の生活が長かった40代の方が、自立訓練を経て働き方を見直し、自分の体調と相談しながら無理のない就労に進まれた事例もあります。

「いきなり就職活動」ではなく、まず生活リズムと自己理解を整える時間を取ったことで、復職後・就職後の継続性が高まる傾向が見られます。

→ 詳細はエンラボストーリー(story_026)をご覧ください。

公的データから見るメンタル不調の現状

厚生労働省「労働安全衛生調査(実態調査)令和5年」によると、メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者がいた事業所の割合は13.5%、退職者がいた事業所の割合は6.7%と報告されています。

精神障害による労災請求件数も増加傾向が続いており、休職・療養を経て働き方を見直すニーズは社会全体で高まっているといえます。

休職は決して「特別な状態」ではなく、健康保険・障害福祉サービスといった公的制度を組み合わせて、安心して療養と回復に専念できる仕組みが整っています。

出典:厚生労働省「令和5年 労働安全衛生調査(実態調査)」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/r05-46-50.html)

よくある質問(FAQ)

休職手当(傷病手当金)はうつ病でも対象になりますか?

うつ病・適応障害・双極性障害・パニック障害などの精神疾患も、業務外で発症したものであれば傷病手当金の対象となります。

主治医が「労務不能」と判断し、申請書の医師意見書欄に記入してくれることが要件です。

業務上のストレスが原因と認定された場合は労災保険の対象となり、別制度に切り替わります。

自営業・フリーランスでも傷病手当金は受け取れますか?

傷病手当金は「健康保険」の被保険者が対象の制度です。

自営業・フリーランスの多くが加入する「国民健康保険」には、原則として傷病手当金の制度はありません(一部の国保組合に独自給付がある場合があります)。

健康保険の任意継続被保険者となっている期間中も、傷病手当金は原則として支給対象外です(資格喪失後の継続給付の要件を満たす場合は別)。

申請から振込まで、どれくらいかかりますか?

書類に不備がなければ、健保組合が書類を受理してから2週間〜2か月程度で初回の振込が行われるケースが多いとされています。

健保組合の運用や、申請件数の混雑状況によっても変動します。

「最初の1〜2か月は無収入になる可能性」を見越して、生活費の備えを準備しておくと安心です。

退職した場合、傷病手当金はどうなりますか?

退職日までに継続1年以上の被保険者期間があり、かつ退職時点で労務不能(傷病手当金を受給中またはその要件を満たす状態)であれば、退職後も「資格喪失後の継続給付」として、通算1年6か月の支給期間が満了するまで受給を続けられます。

退職日に挨拶や引き継ぎのために出勤してしまうと要件を満たせなくなる場合があるため、退職日は欠勤とする運用が一般的とされています。

失業手当(雇用保険の基本手当)と同時に受け取れますか?

同時受給はできません。

傷病手当金は「労務不能」が要件、失業手当は「労務可能で求職活動中」が要件で、両者は逆の状態を想定した制度だからです。

療養中で求職活動ができない場合は、失業手当の「受給期間延長」をハローワークで申請しておくと、回復後に失業手当を受け取れる場合があります。

障害年金と傷病手当金は両方もらえますか?

同一の傷病による障害厚生年金と傷病手当金は、支給額が調整される仕組みです。

障害厚生年金の額(同一傷病による障害基礎年金との合計額)の360分の1が傷病手当金の日額を上回る場合は傷病手当金は支給されず、下回る場合は差額が支給されます。

別の傷病を理由とする障害年金との関係や、詳細な計算は、加入している健康保険組合・日本年金機構への確認が確実です。

「リハビリ出勤」中も傷病手当金は出ますか?

会社の制度として「リハビリ出勤」「試し出勤」を行っている期間中の取り扱いは、給与の支払い状況によって異なります。

給与が支払われていなければ傷病手当金が継続するケースが多いですが、給与が支払われている場合は調整・打ち切りとなるケースもあります。

リハビリ出勤の開始前に、人事担当・健康保険組合に取り扱いを確認しておくことが大切です。

休職中に副業をしてもよいですか?

傷病手当金は「労務不能」を要件とする制度のため、副業を含むあらゆる労働を行うと、その時点で「労務可能」と判定され、支給対象外となる可能性が高いです。

療養に専念することが、制度上も回復上も最優先となります。

申請書は誰が用意してくれますか?

加入している健康保険組合または協会けんぽのウェブサイトからダウンロードできます。

会社の人事・労務担当に依頼すれば、書式の案内を受けられるケースも多いです。

協会けんぽ加入の場合は「健康保険傷病手当金支給申請書」、健保組合の場合はそれぞれの組合の書式となります。

復職のタイミングはどう判断すればよいですか?

復職可否の判断は、主治医・産業医・人事担当・本人の4者の協議で決めるのが一般的です。

「自分が復職できる気がする」だけでなく、医療的・職場運用的な観点も含めて判断することが、再発防止につながります。

医療機関のリワークプログラム、自立訓練・就労移行支援などを活用すると、復職可否の判断材料となる「生活リズム」「対人耐性」「業務遂行力」のデータが揃いやすくなります。

エンラボカレッジでの「休職中の生活と気持ちを整える」アプローチ

エンラボカレッジは、神奈川県・東京都・大阪府・宮崎県で自立訓練(生活訓練)と就労移行支援を運営している事業者です。

「いきなり復職するのではなく、まず生活と気持ちを整える時間が必要」「自分の特性を理解したうえで、再発しない働き方を選びたい」――そんな方を支援してきました。

8つのプログラムで「自分の取扱説明書」を作る

エンラボカレッジの自立訓練では、8つのプログラム(感情学/コミュニケーション/My Lab./アクティビティ/Life Lab./ソマティック Lab./Social Lab./スキルアップ)を組み合わせています。

なかでもMy Lab.は、利用される方が『自分/支え方マニュアル』という独自成果物を作る時間で、卒業後の進路先(復職先・就労移行・転職先)でも継続して活用できるツールです。

休職を経験された方からは、「マニュアルを職場に共有したことで、配慮事項を言語化して伝えられた」「再発の兆候を早期に察知できるようになった」といった声を伺うこともあります。

ステージ1〜4のカリキュラムで段階的に整える

エンラボカレッジでは、ステージ1〜4の4段階で「自分を知る・学ぶ→学んだことができる→学びを応用できる→自信を持ち、次に進める」というカリキュラムを組み立てています。

休職中の方の場合、ステージ1〜2で生活リズム・体調コントロール・自己理解の土台を作り、ステージ3〜4で復職や次の進路に向けた準備を進めるパターンが多く見られます。

「2年フルに使う」必要はなく、数か月で復職に進まれる方も少なくありません

利用料負担なしで利用できる方が多い

自立訓練は障害福祉サービスのため、世帯の所得に応じた利用者負担が発生する仕組みですが、市町村民税非課税世帯であれば自己負担0円となります。

エンラボカレッジ利用者のうち、9割以上の方が利用料負担なしで通われています。

休職中で収入が減っている方にとっても、家計負担を抑えて利用できる選択肢のひとつです。

まとめ

休職手当の正体は健康保険の「傷病手当金」で、月給30万円の方なら月約20万円、最長で支給開始日から通算1年6か月の所得補償を受けられます。申請には本人・医師・会社の3者の書類が必要です。

次の行動として、まず加入先の健康保険組合または協会けんぽで申請書式を入手し、主治医に医師意見書欄の記入を依頼することから始めましょう。退職後の継続給付や失業手当との調整は社労士・健保への確認が安心です。

復職や転職を考える段階では、エンラボカレッジの自立訓練(生活訓練)も「生活と気持ちを整える場」として活用できます。まずは一度お問い合わせください。

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エンラボカレッジでは、自立訓練(生活訓練)と就労移行支援の見学・無料相談を、神奈川・東京・大阪・宮崎の11拠点で随時お受けしています。

「休職中の今、何から始めればよいか整理したい」「復職と転職、どちらが自分に合うか相談したい」「家族と一緒に話を聞いてみたい」――そうしたご相談も歓迎しています。

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更新日:2026/05/31 公開日:2024/06/12

この記事について【作成・監修】

本記事は、自立訓練(生活訓練)事業所「エンラボカレッジ」を運営する株式会社エンラボの専門職スタッフが作成・監修しています。

【在籍資格】
精神保健福祉士・社会福祉士・臨床心理士・作業療法士・理学療法士

【現場での実践】
自立訓練(生活訓練)・就労移行支援などで、診断名・特性に合わせた個別支援を提供しています。

【運営会社】
株式会社エンラボ/設立2015年4月/神奈川県を中心に首都圏・関西・宮崎で11拠点運営

【免責事項】
本記事は2026年5月時点の制度・統計に基づいて作成しています。傷病手当金の支給要件・金額・期間は個別状況により異なるため、最終的な判断は加入している健康保険組合・協会けんぽ・社会保険労務士・自治体の福祉相談窓口にご確認ください。

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