対人恐怖症|症状・原因・チェック方法・治し方について解説します。
公開日:2024/03/29
対人恐怖症とは、人と接する場面で強い不安や緊張を感じ、生活や仕事などに支障が出ている状態のことをいいます。
対人恐怖症では不安が高まることで心身に症状が現れ、「その場から逃げたくなる」「手足の震えが止まらなくなる」「顔が赤面し発汗する」などの症状があると言われています。
対人恐怖症自体は正式な診断名ではなく、社交不安障害の一つと位置づけられることが多い言葉です。
この記事では対人恐怖症の症状や原因・チェック方法、治し方について解説します。
対人恐怖症とは
対人恐怖症とは、人と話したり発表したりするなど人と関わる場面で過度に不安や緊張が高まり、心身に影響が出る状態のことをいいます。具体的には「顔が赤面する」「動悸が激しくなる」「言葉がうまく出てこなくなる」などの症状が多く見られます。対人恐怖症自体は正式な診断名ではなく、社交不安障害の一つに位置付けられており、薬物治療や精神療法などの治療を通して症状の改善を図っていくことが多いと言われています。
不安や緊張自体は誰でも感じることだと思います。初めて人に会ったり、人前でプレゼンテーションをしたりする場面では、気分がソワソワしたり落ち着かなかったりといった状態を経験した方も多いでしょう。しかし、その不安や緊張が過剰で心身に明確に影響が出ているといった場合は対人恐怖症が関係しているかもしれません。
社交不安障害とは
社交不安障害とはさまざまな状況で不安が高まり日常生活や仕事などに影響の出る「不安障害」の中の一つで、人前で話したり、作業の様子を注目されたり、公衆トイレを使ったりといった場面でひどく不安を感じる障害のことです。
社会的な行動をする場面で症状が出るため、トイレを使うなど対人関係以外の場面でも不安を感じることが特徴です。
対人恐怖症は社交不安障害の中に位置付けられていて人と関わることに特化して不安が高まりやすいと言われています。ただ、対人恐怖症は医学的な分類ではなく、あくまで一般的にそういわれているという現状です。
社交不安障害と対人恐怖症の違い
社交不安障害
特定の社会的な場面において、不安が高まることがある。場面は人と話すことや公共の施設を使うことなどがあり、対人関係に限らない。
対人恐怖症
人と関わる場面において不安が高まることがある。人と話す、顔を合わせる、人前で発表するなど人と接することが引き金となる。
対人恐怖症の症状
対人恐怖症の症状は精神面と身体面の両方に現れてきます。精神面の症状としては不安や緊張が過剰に高まり頭が真っ白になるなどがあります。身体面でも顔が赤面したり、手足が震えたりといった症状が現れてくると言われています。
対人恐怖症のある方は、本人も「こんなに不安になるのはおかしい」と感じていても、コントロールができなくなってしまうようです。
具体的な症状を以下に記載します。
対人恐怖症の精神的症状
対人恐怖症の精神症状としては以下のようなものがあります。
- 人前で発表する際に不安や緊張が過剰に高まる
- 雑談する際にも不安や緊張が過剰に高まる
- 初めての人に会うときに不安や緊張が過剰に高まる
- 悪く思われるのではないかとマイナスなことが頭に浮かぶ
- 人と接することを避けようとする
などが代表的なものとして挙げられます。
対人恐怖症の身体的症状
次に、対人恐怖症の身体的症状を紹介します。
対人恐怖症の身体的症状。
- 顔が赤面する
- 手足が震える
- 汗を多くかく
- 言葉が出なくなる
- 動悸が激しくなる
- 呼吸が浅くなる
このような身体症状が現れることがあります。
こういった症状は同じ対人恐怖症のある方でも個人差があります、参考程度に留めていただければと思います。
対人恐怖症の原因
対人恐怖症の原因は明確にはわかっていません。
成人においては子どものころから内気な性格の方が多くいますが、特にそれまで不安を感じてこなかった方がなる場合もあり、性格だけでは断定できません。
また、女性が9%、男性が7%と、少しですが女性の方が発症しやすい傾向があるようです。ただ、脳内の神経伝達物質の偏りが原因とも考えられており、対人恐怖症の治療の際には神経伝達物質を調整する薬物療法が行われることがあります。
対人恐怖症のチェック方法
人前で緊張することは珍しくないため、「自分は対人恐怖症なのか?」「どの程度だと対人恐怖症と判断していいのだろう」と気になっている方もいると思います。
対人恐怖症でよく見られる状態をいくつか載せておきますので、以下のような状態が続いている方は病院を受診するなどの目安としてみてください。
対人恐怖症のチェック
- 人前で話すときにひどく緊張する
- 雑談していても不安が強い
- 人と食事をするのに恐怖を感じる
- 人と目を合わせることができない
- 人前に出るときに動機や息切れをする
- 人前に出るときに顔が赤くなったり多量の汗をかく
- 人前に出るときに手足が震える
- 人まで話すことをどうにかして避けようとする
- 恥ずかしいと思われている気がする
- バカにされているような気になる
程度の差があっても、多くの方が感じたことがあると思います。当てはまる項目が多く、日常生活や仕事に支障が出ているようでしたら精神科や心療内科を受診してみるといいでしょう。
対人恐怖症の治し方
対人恐怖症の治療では、薬物療法と精神療法が行われることが多いと言われています。その他にも、自助グループでの活動などを通して症状を改善させていくという場合もあります。
薬物療法
薬物療法では、抗うつ薬などを使って不安な気持ちを和らげていきます。震えや発汗などが強い場合には、その症状に対応した薬物療法を行うこともあると言われています。
薬は人によって合うあわないが大きいため、気になることがあったらすぐに主治医に相談して、納得して進めていくようにしましょう。
精神療法
対人恐怖症の治療では精神療法も効果的だと言われています。精神療法の中でも主に認知行動療法という手法が取り入れられることが多くなっています。
認知行動療法はその人の物事の捉え方や行動に働きかけて、心のバランスを整えていくことを目的とした治療方法で、カウンセリングなどを通して治療者と一緒に行っていきます。
自助グループ
対人恐怖症の自助グループとは、同じ悩みを持つ方同士が集まって辛い体験を共有したり、
克服した人の講演を聞いて自分に活かすといったことができる集まりのことです。
多くの場合は支援者もいるので、安心して不安な気持ちを話すことができ、自分の症状を客観的に見つめなおしたり、改善のためのヒントを見つけたりといった効果が期待できるといえるでしょう。
自助グループ以外にもそういった取り組みを行うことができます。
自立訓練(生活訓練)事業所を運営するエンラボ カレッジでは、プログラムや面談を通して、ご自身の対人恐怖症の症状が現れるきっかけや症状の傾向などをスタッフと一緒に確認、整理し、ご自身に合った対策や対処法などを見つけていきます。また、事業所内で実際に見つけた対処法を試してみることもできます。
病院での治療以外にも、改善の取り組みを検討している方は一度お問い合わせください。
大人の対人恐怖症の相談先や支援先
対人恐怖症で悩んでいる大人の方が相談できる窓口や、利用できる支援先がいくつもあります。ここでは代表的なものを紹介します。
精神科・心療内科
対人恐怖症の症状で悩んでいる場合は、まずは精神科や心療内科を受診してみるといいでしょう。対人恐怖症自体は正式な診断名ではないため、詳しく検査した結果、社交不安障害という診断がつく場合もあります。
症状に合わせて薬物療法や精神療法など、医師より治療法をご提案していただけますので、対人恐怖症で困っていることがある方は一度受診を検討してみるといいでしょう。
地域若者サポートステーション
地域若者サポートステーションは「サポステ」という名称でも知られ、働く意思のある15歳~49歳の方が困っていることに対して様々なサポートを受けることができる機関です。
診断がなくても利用することができ、働くためのコミュニケーションなど対人関係に関する講座や就職のサポートを受けることができます。
障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターは、障害のある方の仕事と生活面で色々なサポートを実施している支援機関です。
対人恐怖症の症状で生活や仕事で困っていることを相談すると、コミュニケーションの訓練を受けることができたり、状況に合わせて他の支援機関を紹介してもらえることもあります。まずは悩んでいる現状を伝え、利用できるか問い合わせてみてもいいでしょう。
自立訓練(生活訓練)
自立訓練(生活訓練)は障害のある方が、自立した日常生活または社会生活ができるようにスキル向上のために必要な訓練を行う支援機関です。
対人関係の課題に対する、プログラムやアドバイスなどのサポートを行っている事業所もあります。
自立訓練(生活訓練)事業所を運営している「エンラボ カレッジ」では、ご自身がどのようなときに不安を感じるのかをプログラムや、面談などでスタッフと一緒に洗い出し、個別の訓練の計画を立て、事業所内外で取り組みスタッフと振り返りを行い整理することで、ご自身にあった対策や対処を見つけていきます。
エンラボ カレッジでは無料の相談をいつでも受付中です。「対人恐怖症で困っている」「人と接するときに震えてしまう」「どうにか克服したい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
対人恐怖症まとめ
対人恐怖症は人と話すときや発表するときなどに、過剰に不安が高まり心身に影響の出る状態のことをいいます。不安が高まった結果、その場から逃げ出したくなったり、手足が震えて言葉が出なくなったりと、日常生活や仕事に支障が出ている方も珍しくありません。
対人恐怖症自体は正確な診断名ではなく、一般的に使われる用語です。同様の症状がある方は、社交不安障害と診断されることが多いようです。
対人恐怖症の治療では不安を抑える薬物療法や、考え方を変えていく精神療法などが行われることが多くなっています。
それとともに、自己分析をして不安が高まらない対策を立てていくことも困りごとを減らしていくための方法の一つです。
エンラボ カレッジにご相談ください
エンラボ カレッジは自立訓練(生活訓練)事業所を運営し、対人恐怖症のある方の支援も行っています。
ご自身の症状の分析や理解、ご自身に合った対策や対処法を見つけるために、計画を立てて実践し振り返りを行い一緒に整理することで、対人関係の困りごとを減らしていくためのサポートを行っています。
診断書などがなくてもいつでも相談を受け付けています。お気軽にお問い合わせください。