自立訓練(生活訓練)とは?対象者・期間・費用をわかりやすく解説
更新日:2026/07/14
自立訓練(生活訓練)とは、どのような人が対象で、どんな支援を受けられるのか。利用できる期間や費用も含めて、気になっている方は多いのではないでしょうか。ご本人だけでなく、ご家族が利用を検討するために情報を探しているケースも少なくありません。
自立訓練(生活訓練)は、障害のある方が地域で自立した生活を送るために、「生活力」「対人スキル」「自己理解」などを身につける障害福祉サービスです。就職だけを目的とするのではなく、一人ひとりの状況や目標に合わせて生活の土台を整えながら、自分らしい将来につながる力を育むことを目的としています。
この記事では、自立訓練(生活訓練)の対象者や利用期間、費用、受けられる支援内容、利用開始までの流れについてわかりやすく解説します。また、自立訓練と就労移行支援の違いについても簡単に触れながら、自分に合った支援を選ぶためのポイントをご紹介します。
自立訓練(生活訓練)とは
自立訓練(生活訓練)とは、障害のある方が地域で自立した生活を送るために必要な知識やスキルを身につける障害福祉サービスです。日常生活や社会生活に関する支援を受けながら、一人ひとりの目標に合わせて生活の土台づくりを進めていきます。
利用するには、お住まいの市区町村で障害福祉サービスの支給決定を受け、「障害福祉サービス受給者証」の交付を受ける必要があります。利用開始後は、生活リズムを整えることや家事・金銭管理・体調管理などの日常生活に必要なスキルの習得、コミュニケーションや自己理解を深めるプログラムなどを通して、自立した生活を目指します。
また、自立訓練(生活訓練)は、一人ひとりの体調や目標に合わせて利用計画を立てられることも特徴です。「生活リズムを整えたい」「外出する機会を増やしたい」「一人暮らしに向けて準備したい」「就職や復職、復学に向けて生活基盤を整えたい」など、それぞれの目標に合わせて無理のないペースで取り組むことができます。
自立訓練の「生活訓練」と「機能訓練」の違い
自立訓練には、「生活訓練」と「機能訓練」の2種類があります。どちらも障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスですが、支援の目的や内容が異なります。
| 項目 | 生活訓練 | 機能訓練 |
|---|---|---|
| 目的 | 日常生活・社会生活の自立 | 身体機能の維持・回復 |
| 支援内容 | 生活スキル、体調管理、コミュニケーション、自己理解など | 理学療法、作業療法、日常生活動作の訓練など |
| 対象となる方 | 日常生活や社会生活に支援が必要な方 | 身体機能の維持・回復を必要とする方 |
生活訓練は、障害や疾病などにより日常生活や社会生活に支援が必要な方を対象に、生活リズムの安定や家事、金銭管理、コミュニケーション、自己理解など、自立した生活を送るために必要なスキルを身につけることを目的としています。
一方、機能訓練は、身体機能の維持・回復や向上を目的としたサービスです。理学療法や作業療法などを通して、歩行や食事、着替えなどの日常生活動作の改善を目指します。
この記事では、「生活訓練(自立訓練)」について詳しく解説します。
自立訓練(生活訓練)の対象者
利用対象となるかは、市区町村による支給決定や一人ひとりの状況によって判断されます。ここでは、実際に利用されることが多いケースをご紹介します。
就職や復職に向けて生活の基盤を整えたい人
就職や復職を目指しているものの、「生活リズムが整わない」「体力に自信がない」「人とのコミュニケーションに不安がある」と感じている方も、自立訓練(生活訓練)を利用しています。
自立訓練(生活訓練)では、生活リズムや体調管理、コミュニケーション、自己理解など、生きていくうえでも働き続けるうえでも大切な土台づくりに取り組みます。
生活の基盤が整うことで、自分らしい働き方や暮らし方を考えやすくなり、その後の就職や復職、就労移行支援の利用、地域での自立した生活など、一人ひとりの目標に合わせた次のステップへつながっています。
生活リズムを整え、社会とのつながりを取り戻したい人
長期間自宅で過ごしている方や、生活リズムの乱れ、人との関わりに不安を感じている方が利用するケースです。
「まずは日中に外出する習慣をつけたい」「家族以外の人と話す機会を増やしたい」といった目標に向けて、体調管理やコミュニケーションの練習を行いながら、少しずつ地域生活や社会とのつながりを広げていきます。
学校を卒業したあと、まずは生活の土台を整えたい人
特別支援学校や高校、大学などを卒業したあと、すぐに就職するのではなく、まずは生活の基盤を整えたい方も対象です。
生活リズムを安定させたり、人とのコミュニケーションや社会生活に必要なスキルを身につけたりしながら、自分のペースで社会参加を目指します。焦って就職を目指すのではなく、自分らしい将来に向けた準備期間として利用されることも少なくありません。
病院や施設から出て、地域での生活を始める人
精神科病院を退院した方や障害者支援施設などを退所した方が、地域での生活に慣れるために利用するケースです。
「退院してすぐに一人暮らしを始めるのは不安」「地域で安定した生活を送りたい」といった方が、生活リズムを整えたり、家事や金銭管理などの日常生活のスキルを身につけたりしながら、地域生活への第一歩として活用しています。
自立訓練(生活訓練)の利用条件

自立訓練(生活訓練)を利用するには、一定の条件を満たしたうえで、市区町村から障害福祉サービスの支給決定を受ける必要があります。
ここでは、対象となる障害や年齢、障害者手帳の有無など、利用を検討する際によくある疑問について解説します。
対象となる障害・疾病
対象となるのは、
- 精神障害
- 知的障害
- 発達障害
- 身体障害
- 高次脳機能障害
- 難病 など
日常生活や社会生活に支援が必要な方です。
例えば、うつ病や双極症、統合失調症、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如多動症(ADHD)などの診断を受けている方や、障害者総合支援法の対象となる難病のある方などが利用しています。
ただし、診断名だけで利用できるかどうかが決まるわけではありません。本人の生活状況や支援の必要性などを踏まえ、市区町村が総合的に判断します。
利用できる年齢
自立訓練(生活訓練)は、原則として18歳以上65歳未満の方が対象です。
ただし、市区町村が必要と認めた場合には、この年齢以外でも利用できるケースがあります。詳しくは、お住まいの市区町村の障害福祉窓口や利用を希望する事業所へご相談ください。
障害者手帳がなくても利用できる
「障害者手帳を持っていないと利用できないのでは」と不安に思われる方もいらっしゃいます。
しかし、自立訓練(生活訓練)の利用に必要なのは、障害者手帳ではなく「障害福祉サービス受給者証」です。
そのため、障害者手帳を持っていない場合でも、主治医の診断書や意見書、自立支援医療受給者証などをもとに、市区町村が支援の必要性を認めた場合には利用できるケースがあります。
「手帳がないから利用できない」とあきらめず、まずは主治医や相談支援事業所、お住まいの市区町村の障害福祉窓口へ相談してみましょう。自立訓練の事業所でも相談を受け付けているところが多く、実際の見学とあわせて話を聞くこともできます。
申請から利用開始までの流れについては、本記事の「自立訓練(生活訓練)の利用の流れ|5つのステップ」で詳しく解説しています。
自立訓練(生活訓練)で受けられる支援内容
自立訓練(生活訓練)では、日常生活や社会生活を送るうえで必要となる力を、一人ひとりの目標や課題に合わせて身につけていきます。
| 支援テーマ | 具体的なトレーニング内容 | 目指すゴール(身につく力) |
| 生活リズムを整える | ・規則正しい起床・就寝の習慣化
・決まった時間の通所練習 ・体調の変化や疲れに気づくセルフケア |
無理のない生活サイクルをつくり、自分で体調を管理できるようになる |
| 家事・金銭管理 | ・洗濯、掃除、調理、買い物の実践
・家計の管理、計画的なお金の使い方 |
日々の暮らしを自分で支える、実践的な生活スキルが身につく |
| コミュニケーション | ・あいさつや会話のロールプレイ
・自分の気持ちの伝え方の練習 ・少人数でのグループワーク |
人との関わり方に自信がつき、心地よい対人関係を築けるようになる |
| 地域での暮らし | ・公共交通機関の利用や役所手続き
・病院への通院同行、地域施設の利用 |
社会資源を賢く活用し、地域の中で安心して自分らしく暮らせるようになる |
| 自己理解(特性・強み) | ・「困りごと」と「対処法」の整理
・自分の得意なことや強みの言語化 ・周囲に必要なサポートの整理 |
自分に合った生活スタイルを見つけ、必要な配慮を周囲に伝えられるようになる |
| 目標に合わせた進路設計 | ・就職、復職、復学に向けた準備
・就労移行支援や継続支援への移行 ・一人暮らし、自立生活の計画 |
全員一律のゴールではなく、自分の歩幅に合わせた「自分らしい将来」を選べる |
事業所の種類|通所型・訪問型・宿泊型
自立訓練(生活訓練)は、事業所へ通所して支援を受ける方法を基本とした障害福祉サービスです。また、利用者の状況や事業所の運営体制によっては、自宅への訪問による支援や、宿泊型自立訓練を利用できる場合もあります。
利用できる支援方法は事業所や地域によって異なるため、見学や相談の際に確認しておくと安心です。
| 支援方法 | 特徴 | 向いている方 |
|---|---|---|
| 通所 | 事業所へ通いながら支援を受ける | 生活リズムを整えたい、地域とのつながりを増やしたい方 |
| 訪問 | スタッフが自宅を訪問して支援を行う | 外出に不安がある、自宅で生活の基盤を整えたい方 |
| 宿泊型 | 施設で生活しながら支援を受ける | 地域生活や一人暮らしに向けて生活能力を高めたい方 |
通所型
自立訓練(生活訓練)の中で最も一般的な支援方法です。
利用者は事業所へ通いながら、生活リズムの改善や家事・金銭管理、コミュニケーション、自己理解など、一人ひとりの目標に合わせたプログラムに取り組みます。
「毎日通わなければならない」と思われることがありますが、実際には体調や生活状況に合わせて、週1日や短時間から始められる事業所もあります。少しずつ通所する習慣を身につけながら、自分に合った生活リズムを整えていくことも、自立訓練(生活訓練)の大切な支援の一つです。
また、他の利用者やスタッフとの関わりを通して、安心できる環境のなかでコミュニケーションや対人関係を少しずつ築いていけることも特徴です。
エンラボカレッジでも、通所による自立訓練(生活訓練)を提供しており、一人ひとりの体調や目標に合わせて通所頻度や支援内容を調整しながら、自分らしい生活の土台づくりをサポートしています。
訪問型
スタッフが利用者の自宅を訪問し、普段の生活の中で必要な支援を行います。
「外出することに不安がある」「まずは自宅で生活リズムを整えたい」といった方でも、慣れた環境で安心して支援を受けられることが特徴です。
実際の生活環境を見ながら支援を行うため、服薬管理や部屋の整理整頓、生活リズムの見直しなど、一人ひとりの課題に合わせた具体的なアドバイスやサポートを受けることができます。
宿泊型
施設で一定期間生活しながら、地域で自立した生活を送るために必要な生活能力の維持・向上を目指すサービスです。
食事や洗濯、掃除、金銭管理などの日常生活を送りながら、スタッフの見守りや助言を受けることで、将来の一人暮らしや地域生活に向けた実践的な経験を積むことができます。
なお、宿泊型自立訓練や訪問による支援を実施している事業所は地域によって異なります。利用を希望する場合は、お住まいの市区町村や事業所へ確認するとよいでしょう。
卒業後の進路
卒業後の進路も人それぞれです。就職や復職を目指す方もいれば、就労移行支援や就労継続支援を利用しながら次のステップへ進む方、一人暮らしや地域での生活を安定させることを目標にする方もいます。
・就職
生活リズムや体調管理、自己理解などの土台が整ったあと、一般企業への就職を目指す方もいます。
・復職
休職中の方が、自立訓練(生活訓練)を利用して生活リズムや体調を整え、元の職場への復職を目指すケースもあります。
・就労移行支援
自立訓練(生活訓練)で生活面や自己理解を深めたあと、就労移行支援へ進み、就職に向けた専門的な支援を受けることがあります。
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―就労移行支援とは|対象者・利用期間・費用・受けられる支援を解説
・就労継続支援
自立訓練(生活訓練)で身につけた生活習慣や自己理解を活かし、自分のペースで働く経験を積み重ねながら、将来の選択肢を広げていくことも大切な進路の一つです。
関連ページ
―就労継続支援とは|A型B型・就労移行との違いをわかりやすく解説
・復学・進学
体調の悪化や人間関係の悩みなどで学校を休学・中退した方が、自立訓練(生活訓練)で生活リズムや自己理解を整え、復学や進学を目指すケースもあります。
・一人暮らし・地域での自立生活
就職だけでなく、一人暮らしを始めたり、家族と暮らしながら地域で安定した生活を続けたりすることを目標とする方もいます。
自立訓練(生活訓練)のゴールは、一人ひとり異なります。
自立訓練(生活訓練)の利用期間|原則2年・最大3年
自立訓練(生活訓練)を利用できる期間は、原則として2年間です。長期間入院していた方などは、当初から3年間となる場合があります。また、2年を超えてさらに訓練が必要と市区町村に認められた場合には、期間を延長できる仕組みもあります。
必ず2年間通わなくてもいい
2年という期間はあくまで「上限」であり、最低限通わなければならない期間ではありません。本人の体調や目標に合わせて、数カ月〜1年程度で次のステップへ進む方も多くいらっしゃいます。
2年を超えて利用できる場合もある
利用期間が3年になるケースには、2つのパターンがあります。
1:長期間の入院を経て利用を始める方
この場合は当初から利用期間が3年間と設定されることがあります。
2:原則の2年を超えてもさらに訓練が必要と市区町村に認められた場合
本人の希望や主治医の意見、卒業後の進路の準備状況などをもとに総合的に判断され、認められると期間を延長できます。
ご自身がどのケースに当てはまるか、延長ができるかどうかは、お住まいの市区町村の障害福祉窓口や利用中の事業所に確認してみましょう。
目標や計画は3カ月ごとに見直す
利用が始まると、サービス管理責任者を中心に、一人ひとりに合わせた「個別支援計画」が作成されます。この計画は原則として3カ月ごとに、本人やご家族、支援者で話し合いながら見直しを行います。
「2年間で何をすればいいのか」と最初から全体を見通せなくても、数カ月単位で振り返る場があることで、「現在の到達度」や「次の3カ月で取り組むこと」をスタッフと一緒に整理しながら進んでいけます。
※なお、施設に宿泊しながら訓練を受ける「宿泊型自立訓練」の利用期間は原則1年とされており、通所による利用とは扱いが異なります。
自立訓練事業所エンラボカレッジ
「実際にどのようなことをするのか」は、事業所によって内容が大きく異なります。
エンラボカレッジの自立訓練(生活訓練)では、独自に整理した8つのプログラムを軸にカリキュラムを組んでいます。300種類以上のワークを通じて、生活基盤・対人スキル・自己理解・就労準備の4つの領域を、一人ひとりの課題に合わせてバランスよく学べる仕組みとなっています。
関連ページ
―自立訓練事業所 エンラボカレッジ
エンラボカレッジの特徴
就職だけをゴールにしない、多様な進路の選択肢
就職を急がなくていい 「まずは生活リズムから」「まずは外に出るところから」というスタートを大切にしています。通所頻度も、体調や生活状況に合わせて調整できます。
土台を整えるためのプログラムと人と関わる場
基礎から学べる8つのプログラム 自己理解や他者理解、自身の障害への理解、体調コントロールといった生活の基礎に時間をかけられます。
卒業後の生活を支える「自分/支え方マニュアル」
自分の特性を可視化する 卒業時には、自分の特性や得意・苦手なこと、周囲に必要なサポートを1冊にまとめたマニュアルを作成して持ち帰ることができます。
自立訓練(生活訓練)の利用料金|9割以上の方が負担0円
「利用にお金はかかるのかな」という点は、多くの方が気にされるポイントです。
障害福祉サービスでは、世帯の所得に合わせて1カ月に支払う上限額(負担上限月額)が決められています。そのため、多くの方が少ない負担で利用できるようになっており、実際にエンラボカレッジでは、9割以上の方が利用料の負担0円で通っています。
負担上限月額(4区分)
障害福祉サービスの自己負担は、世帯収入に応じて4つの区分に分かれます(厚生労働省)。
| 区分 | 世帯の範囲 | 負担上限月額 |
|---|---|---|
| 生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
| 低所得 | 市町村民税非課税世帯 | 0円 |
| 一般1 | 市町村民税課税世帯(所得割16万円未満※) | 9,300円 |
| 一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
※入所施設利用者やグループホーム利用者の場合は、課税世帯は一律「一般2」となりますが、自立訓練などの通所サービスでは「一般1」が適用されます。
※18歳以上の方の場合、「世帯」は本人および配偶者の所得で判断され、同居の親の所得は原則として含まれません。
※ひとり暮らし・実家暮らしを問わず、本人と配偶者の所得が市町村民税非課税の範囲であれば、利用料負担は0円になります。
※ご家族の所得が一定額を超えている場合でも、18歳以上の本人については原則として本人と配偶者のみが収入認定の対象になるため、本人側の負担は限られるケースが多くあります。
※収入認定には自治体ごとの判断もあるため、詳細はお住まいの市区町村の障害福祉課で確認することをおすすめします。
食費・交通費などの利用料
自立訓練の利用料そのものは多くの方が0円で利用する一方、昼食代・教材費・イベント参加費・通所のための交通費などは自己負担になる場合があります。
事業所によって運用が異なるため、見学・体験の段階で自己負担額を確認しておくと安心です。
自立訓練は他のサービスやアルバイトと併用できる?
「働きながら通えるのかな」「他のサービスと同時に使えるのかな」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
他サービスやアルバイトとの併用については、それぞれルールが異なります。
就労移行支援や就労継続支援(A型・B型)など、他の就労・訓練系サービスは、原則として同じ月に併用することはできません。そのため、まずは自立訓練で生活の土台を整えてから就労移行支援へ進むなど、段階的に切り替えていく形が一般的です。(医療サービスである「精神科デイケア」については、自治体の判断によって併用できる場合があります。)
アルバイトなどの就労との併用には、少し注意が必要です。原則として、雇用契約を結んで働くことは「すでに働く力が身についている」と判断されやすいため、自立訓練の利用が認められないケースが多くあります。ただし、勤務時間や本人の状況によっては、自治体が個別に利用を認めるケースもあります。
このように、併用ができるかどうかはお住まいの市区町村によって判断が変わります。少しでも迷う場合は、事前に市区町村の障害福祉窓口や、利用を検討している事業所へ相談してみるのが確実です。
自立訓練(生活訓練)の利用の流れ|5つのステップ

「利用したい」と思ったら何から始めればよいのか、利用開始までの流れを5つのステップで解説します。
ステップ1:情報収集と問い合わせ
住んでいる地域にどんな自立訓練の事業所があるかを調べます。市区町村の障害福祉窓口や、主治医、相談支援事業所などに相談すると、地域の情報を教えてもらえます。気になる事業所が見つかったら、電話やWebフォームから問い合わせ、見学の日程を調整します。
ステップ2:見学・相談
実際に事業所を訪問し、プログラムの様子や全体の雰囲気、スタッフの対応などを確認します。ご家族と一緒に見学されるケースも一般的です。2〜3カ所ほど見学して比較すると、自分の体力や目的に合う事業所を見つけやすくなります。
ステップ3:体験利用
多くの事業所では、実際のプログラムに参加できる「体験利用」が可能です。1日から数日間体験してみることで、無理なく通い続けられそうか、自分に合うかを事前に確かめることができます。
ステップ4:受給者証の申請
利用したい事業所が決まったら、市区町村の障害福祉窓口で「障害福祉サービス受給者証」の申請手続きを行います。申請の際には、窓口での面接調査や、今後の利用方針をまとめた「サービス等利用計画案」の提出が必要です。この計画案は、専門の相談支援専門員に作成を依頼することが一般的ですが、ご自身やご家族が作成(セルフプラン)することもできます。申請から受給者証が手元に届くまでには、自治体によって異なりますが、おおむね1〜2カ月程度かかります。
ステップ5:契約・利用開始
受給者証が交付されたら、事業所と利用契約を結び、利用がスタートします。最初の数週間は慣らし期間として通所日数や時間を少しずつ調整していきます。(その後は3カ月ごとに個別支援計画を見直しながら進めていきます。)
事業所選びの5つのポイント
自立訓練(生活訓練)は、事業所ごとに特徴や雰囲気が大きく異なります。
・目的とプログラムの方向性が合うか
生活リズムづくり、人との関わり方、自分自身の理解、就職の準備など、どこに力を入れているかは事業所によって異なります。
・卒業後の進路サポート
利用できる期間は原則2年と決められているため、これまでの利用者がどのような進路に進んでいるかを確認しておくと安心です。
・雰囲気・空間・通いやすさ
事業所の内装、利用している方の年齢層、スタッフとの距離感、駅からのアクセスなどは、無理なく通い続けるためにとても重要です。実際の居心地のよさは、見学や体験利用を通して確かめておくのがおすすめです。
・スタッフの専門性
精神保健福祉士や社会福祉士、公認心理師などの専門スタッフがいるかどうか、個別で相談できる頻度などを確認します。
・家族との関わり方
ご家族向けの説明会や面談、情報共有の機会がどのくらい用意されているかも、事業所によって違いがあります。
自立訓練(生活訓練)を利用した方の事例
自立訓練(生活訓練)は、一人ひとりの目標や課題に合わせて支援を行うため、利用する理由や卒業後の進路もさまざまです。
ここでは、実際にエンラボカレッジを利用した方の事例をご紹介します。利用前の悩みや取り組み、利用後の変化を通して、自立訓練(生活訓練)のイメージを具体的に感じていただければと思います。
20代・進路の迷いから職場体験を重ね、障害者雇用で安定就労した事例(Kさん)
利用前の状況 高校卒業後の進路に迷い、「働きたい気持ちはあるけれど、何から準備すればいいのか分からない」という不安を抱えていました。一人で考えても答えが出せず、「このまま働けるのか」という将来への漠然とした不安から動けずにいました。
自立訓練で取り組んだこと 高校の先生から「すぐに就職するのではなく、自立訓練で働く準備をする方法がある」と教えてもらい、利用を開始しました。週5日の通所で働く土台となる生活リズムを整えながら、人前での発表や複数の職場体験実習に挑戦。「やってみて初めて分かる」という実感を積み重ねながら、自分に合う働き方を確かめていきました。
現在 障害者雇用枠でアパレル業界の仕事(梱包・検品などの軽作業)に就いています。マニュアルが整い、困ったときにすぐ相談できる職場で、無理をせず自分のペースで働き続けられています。
30代・「自分にできる仕事があるのか」という不安から、事務職での安定就労へ(Nさん)
利用前の状況 「働きたいけれど、自分に何ができるのか分からない」と、将来への漠然とした不安を抱えていました。対人関係や会話への苦手意識が強く、「自分にできる仕事はあるのだろうか」と一歩を踏み出せずにいました。
自立訓練で取り組んだこと 就労支援センターの職員から「自分のことを知る時間をしっかり取れる場所がある」と紹介され、週3日・曜日を決めた無理のないペースで通所を開始しました。夏祭りや創作活動などのプログラムを通じて「ここにいても大丈夫なんだ」という安心感を育みながら、自分の特性や限界への理解を深めていきました。
現在 障害者雇用の事務補助として働いています。「無理をして頑張る」よりも「自分が安心して働ける状態」を大切にできるようになり、調子に波がある日も、穏やかな気持ちで仕事と向き合えています。
40代・「今さら」という不安を越え、特例子会社で勤続約3年の安定就労を続ける事例(Yさん)
利用前の状況 自分に合う仕事や強みが分からないまま、思考の多動や不眠に悩まされていました。「動かなければ」と思っても活力が出ず、40代からの再スタートに強い不安を感じていました。
自立訓練で取り組んだこと 担当医から「就職を目指す前に、生活リズムや体調、考え方を整える時間が必要ではないか」と勧められ、利用を開始しました。週4日の通所で「予定した通所日は必ず行く」ことだけをシンプルな目標に設定。感情学のプログラムを重ねる中で、「避けられない不調にどう備えるか」を考える力を身につけていきました。
現在 メーカーの特例子会社で、障害者雇用枠の事務職として働いています。勤続は約3年。自分の不調のサインを知り、体調に合わせて働き方を調整しながら、安定して業務を続けられています。
関連ページ
―うつとADHDの40代が自立訓練で土台を整え安定した就労へ【エンラボストーリー】
よくある質問(FAQ)
自立訓練(生活訓練)は何歳から利用できますか?
原則として18歳以上65歳未満の方が対象です。特別支援学校に通っている方や、卒業したばかりの方も利用できます。お住まいの市区町村が、一人ひとりの状況に合わせて利用のサポートをしてくれます。
障害者手帳がなくても利用できますか?
はい、手帳を持っていなくても利用できる場合があります。自立訓練の利用に必要なのは「障害福祉サービス受給者証」という書類で、障害者手帳とは別の制度です。主治医の意見書や自立支援医療の受給者証などがあれば自治体の判断で利用できるケースも多いため、詳しくはお住まいの市区町村の障害福祉窓口に相談してみてください。自立訓練の事業所でも相談を受け付けているところが多く、見学とあわせて話を聞くこともできます。
利用料はかかりますか?
世帯の収入に合わせて1カ月に支払う上限額が決められており、多くの人が少ない負担で利用できるようになっています。月額の上限は、生活保護や非課税の世帯は0円、課税世帯は収入に応じて9,300円または37,200円です。18歳以上の方は本人と配偶者の所得だけで判断されるため、同居している親の所得は原則として含まれません。実際にエンラボカレッジでも、9割以上の方が負担0円で通っています。
利用期間に制限はありますか?
原則として「2年間」と決められていますが、必要が認められれば最大3年まで延ばすことができます。ただ、必ず2年間通わなければいけないわけではありません。数カ月で元の職場に復職する方から、2年間フルに使ってじっくり自分と向き合う方まで、それぞれの目標に合わせて柔軟に進めていけます。
就労移行支援とは何が違いますか?
最大の違いは目的です。就労移行支援は「原則2年以内の就職」を目的とした訓練であるのに対し、自立訓練(生活訓練)は「地域で自立した生活を送るための土台を整える」ことを目的とした訓練です。「働く前に、まず生活と気持ちを整えたい」という方は、自立訓練からのスタートが選択肢になります。
関連ページ
―自立訓練と就労移行支援の違い|比較表で対象・期間・選び方を解説
アルバイトをしながら利用できますか?
原則として、雇用契約を結んで働くことは「すでに働く力が身についている」と判断されやすいため、自立訓練との併用が難しいケースが多くあります。ただ、勤務時間や体調、本人の状況によっては、自治体が個別に利用を認めてくれることもあります。お住まいの市区町村の障害福祉窓口や、事業所に一度確認してみるのがおすすめです。
卒業後にはどんな進路がありますか?
就労移行支援への進級、就職、休職中の職場への復職、大学・専門学校への復学・進学、就労継続支援A型・B型の利用などがあります。就職だけに限らない多様な進路を、本人と一緒に整理していきます。
家族も一緒に相談できますか?
はい、ご家族もご一緒の見学や相談は大歓迎です。「本人にどう声をかけてあげればいいか分からない」といった、ご家族ならではの心配ごとやつらさについても、ぜひ見学や無料相談の際にお気軽にお話しください。
まとめ
自分らしく安心して暮らすための場所 精神障害や知的障害、発達障害、身体障害、難病のある方が、生活力や対人スキル、自己理解を整えるための障害福祉サービスです。
目的は「生きていくための土台づくり」 利用期間は原則2年間(最大3年)です。就職をゴールとするのではなく、その手前にある生活基盤をじっくり整える点を重視しています。
自分に合わせたスタイルやタイプで使える 通所型・訪問型・宿泊型の3つのスタイルがあり、退院・退所された方や学校を卒業された方、自宅で次の準備をしたい方など、さまざまな方が利用しています。
障害者手帳がなくても利用できる場合がある 自治体の判断により、医師の診断書などで「障害福祉サービス受給者証」が発行されれば、手帳がなくても利用可能です。
9割以上の方が負担0円で利用しています。利用にかかる費用は世帯の所得に応じた上限が設けられており、エンラボカレッジでは多くの人が費用をかけずに通っています。
「自分や家族に合うサービスなのか分からない」「他の就労支援サービスと比較しながら整理したい」といった疑問や不安は、見学や無料相談の窓口でいつでもお聞きしています。
どうぞお気軽にご相談ください。