特別支援学校 卒業後の進路|就職・進学・福祉サービス7選肢を整理

更新日:2026/05/31

特別支援学校の卒業後にどんな進路が選べるのか、就職と進学のほかにどんな道があるのか――在学中の保護者や本人にとって、整理しきれない情報のひとつです。

卒業後の進路は、一般就職・障害者雇用・就労継続支援A型/B型・就労移行支援・自立訓練(生活訓練)・進学という、大きく7つの方向があります。

それぞれの特徴と選び方を、文部科学省のデータと現場で見られる進路パターンから整理します。卒業時点の選択だけでなく、卒業後数年で積み上げていく時間軸で進路をとらえるための材料になれば幸いです。

特別支援学校卒業後の進路全体像|公的データで見る現状

最初に、特別支援学校高等部の卒業生がどんな進路を歩んでいるかを、文部科学省の最新調査で確認します。

卒業生の進路区分

文部科学省「特別支援教育資料(令和4年度)」によると、特別支援学校高等部(本科)の卒業生の進路は、大きく次のような区分で集計されています。

  • 進学者(大学・短大・専修学校・各種学校など)
  • 教育訓練機関等入学者(職業能力開発校など)
  • 就職者(自営業を含む)
  • 社会福祉施設等入所・通所者(就労継続支援A型・B型、生活介護、自立訓練、就労移行支援など)
  • その他

出典:文部科学省「特別支援教育資料(令和4年度)」第2部「データ編」進路状況(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/1406456_00012.htm)

「就職」と「社会福祉施設等の利用」の合計で全体の大半を占め、進学はそれに次ぐ規模で位置づけられています。

障害種別ごとの傾向

進路の構成比には障害種別ごとの違いがあります。

知的障害特別支援学校では「社会福祉施設等の利用」と「就職」が中心となる傾向が見られ、視覚障害・聴覚障害・肢体不自由・病弱特別支援学校では「進学」を選ぶ方の割合が知的障害校に比べて高くなる傾向が見られます。

「自分の通っている学校の卒業生がどのような進路を歩んでいるか」は、学校ごとに進路担当の先生から具体的な数字を聞くことができます。

進路相談の機会には、「過去3年間の卒業生の進路内訳」を尋ねてみると、その学校の進路傾向と支援体制の輪郭が見えてきます。

「就職」と「福祉的就労」の境目

「就職」と一口に言っても、特別支援学校の集計では「一般就労」と「障害者雇用枠での就労」の両方が含まれます。

また「社会福祉施設等」のなかには、雇用契約を結んで賃金を受け取る就労継続支援A型と、雇用契約を結ばずに工賃を受け取る就労継続支援B型の両方が含まれます。

「就労」と「福祉的支援」のどちらか一方ではなく、両者を組み合わせた働き方が広がっていることが、近年の進路の特徴です。

進路選択肢1|一般就職(オープン就労・クローズ就労)

最初に整理するのは、「企業に就職して働く」道筋です。

一般就職の2つの方法

一般就職は、大きく次の2つの方法に分かれます。

ひとつは「障害があることを企業に開示せずに就職する方法(クローズ就労)」、もうひとつは「障害があることを開示せずに、一般雇用枠で就職する方法」です。

クローズ就労は、就職活動の幅は広くなる一方で、職場での合理的配慮を受けにくく、症状や特性が業務に影響したときに調整を求めにくい側面があります。

オープン就労(一般雇用枠での開示就労)は、企業に障害を開示しながら一般雇用枠で働く形で、配慮を受けやすい一方、求人の絶対数はクローズより限定的になります。

特別支援学校から一般就職に進むケース

特別支援学校から一般就職に進むケースの代表例は、在学中の現場実習を経て、その実習先企業にそのまま採用されるパターンです。

実習を通して「業務内容が合いそうか」「職場の人間関係に馴染めそうか」を双方が確認できているため、定着率が比較的高くなりやすい進路といえます。

ハローワークの障害者向け窓口(専門援助部門)や、地域の障害者就業・生活支援センターも、特別支援学校卒業後の就職活動を支える機関として活用されています。

一般就職を選ぶときの判断材料

「一般就職か、ほかの選択肢か」を考えるとき、判断材料として整理しやすいのは次のポイントです。

  • 在学中の現場実習で、毎日定時に通勤できる体力と生活リズムが安定しているか
  • 業務指示を理解し、報告・相談ができる対人スキルが育っているか
  • 体調や感情の波が小さく、毎日の出勤に支障をきたしにくい状態か
  • 「働きたい」「自立したい」という本人の意思が明確になっているか

これらが「いまの時点ではまだ難しい」と感じる場合は、後述する就労移行支援や自立訓練を経由してから一般就職を目指す道筋を、進路担当の先生や相談支援専門員と一緒に整理していけます。

進路選択肢2|障害者雇用枠での就職

「障害者雇用枠」での就職は、企業が法定雇用率を満たすために障害のある方を雇用する制度を活用した働き方です。

障害者雇用の制度的位置づけ

民間企業には「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づき、従業員数に応じて一定割合の障害者を雇用することが義務づけられています。

令和6年4月からの法定雇用率は2.5%、令和8年7月からは2.7%へと段階的に引き上げられる予定とされています。

出典:厚生労働省「障害者雇用率制度について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaisha/04.html)

法定雇用率の引き上げに伴い、企業の障害者雇用への取り組みは年々拡大しており、特別支援学校卒業生にとっての選択肢も広がる方向にあります。

障害者雇用の働き方の特徴

障害者雇用枠では、本人の特性や体調に応じた合理的配慮を企業に求めやすく、業務内容・勤務時間・通院への配慮などを契約段階で整理しやすい点が特徴です。

賃金は最低賃金法が適用され、社会保険・雇用保険にも加入できるため、経済的・社会的な自立に必要な基盤を整えやすい働き方とされています。

一方で、求人は事務補助・軽作業・清掃・倉庫内作業などに集中しやすく、職種の幅は一般雇用枠より狭くなる傾向があります。

特別支援学校から障害者雇用に進む流れ

特別支援学校から障害者雇用に進む場合、在学中の現場実習・就労アセスメント・ハローワーク障害者向け窓口での求職活動を組み合わせて進むのが一般的です。

採用前の職場実習(トライアル雇用)を経てから本採用に至るパターンも多く、本人と企業の双方が「無理なく続けられるか」を確かめる時間を持てます。

特別支援学校から障害者雇用への進路全般の流れは、障害者雇用とは|一般雇用との違いも参考になります。

進路選択肢3|就労継続支援A型

就労継続支援A型は、雇用契約を結びながら福祉的支援を受けて働く障害福祉サービスです。

A型の特徴

A型では事業所と利用者が雇用契約を結び、最低賃金法が適用される賃金を受け取りながら働きます。

決まった時間に通うこと、就業規則を守ることが前提となる一方、職員による日常的な支援を受けながら働ける点が一般就職との大きな違いです。

利用期間に上限はなく、長期的に通い続けることもできます。

A型を選ぶケース

「一般就職や障害者雇用での就労にはまだ自信がないが、雇用契約のある働き方には挑戦したい」という場合に、A型は選択肢として浮上します。

特別支援学校卒業後にいきなりA型に進むケースは限定的ですが、就労移行支援や自立訓練を経由したのちにA型に進む方、B型からステップアップしてA型に移行する方もいらっしゃいます。

A型の詳細は、就労継続支援A型とは|仕事内容・利用料で整理しています。

進路選択肢4|就労継続支援B型

就労継続支援B型は、雇用契約を結ばずに自分のペースで生産活動に参加し、工賃を受け取る障害福祉サービスです。

B型の特徴

B型は、決まった時間に毎日通うことを前提とせず、本人の体力・体調・特性に合わせて柔軟に通えるサービスです。

工賃の全国平均は月額17,031円とされており、生計を立てるための賃金ではなく、「生産活動に参加しながら社会との接点と生活リズムを保つ」位置づけで活用されています。

利用期間に上限がなく、長期的に通い続けることができる柔軟さがあります。

特別支援学校卒業後にB型を利用する流れ

特別支援学校卒業後に直接B型を利用するケースでは、原則として就労移行支援事業所等によるアセスメント(就労アセスメント)を受けることが要件となります。

「学校卒業後そのままB型へ」ではなく、いったんアセスメントを通すことで、本人の意思と特性に合った選択を担保する仕組みが組み込まれています。

知的障害のある方が長期的に通い続けるケースもあれば、軽度の発達障害のある方が「数年B型でリズムを整えてから就労移行に進む」ステップアップ型の使い方をされるケースもあります。

B型の概要・対象者・仕事内容・工賃・利用料の詳細は、就労継続支援B型とは|どんな人が通う?仕事・工賃・利用方法で詳しく整理しています。

進路選択肢5|就労移行支援

就労移行支援は、原則2年以内に一般就労を目指すための訓練を提供する障害福祉サービスです。

就労移行支援の特徴

就労移行支援では、職業準備性を高めるトレーニング・企業実習・求職活動のサポート・就職後の定着支援を組み合わせて、一般就労または障害者雇用での就職を目指します。

利用期間は原則2年(必要に応じて1年延長可能)で、期間内に就職活動を進めていく時間設計です。

特別支援学校から就労移行支援に進む方は、「すぐに就職する自信はないが、2年以内に就職を目指したい」「就職活動の進め方を一緒に整理してほしい」というニーズで選ばれるケースが多い傾向です。

特別支援学校卒業後に就労移行支援を利用する場合

特別支援学校卒業後に就労移行支援を利用するには、市区町村が交付する「障害福祉サービス受給者証」が必要です。

申請から受給者証の交付までは、自治体によりますが概ね1〜2か月程度かかるため、卒業前に学校の進路担当・相談支援専門員と相談しながら準備を進めることが多いです。

就労移行支援の概要は、就労移行支援(就労支援)ってどんなところ?で詳しく解説しています。

進路選択肢6|自立訓練(生活訓練)

自立訓練(生活訓練)は、地域生活を送るうえでの「生活面の自立」を支援する障害福祉サービスです。

特別支援学校卒業後の進路を考えるうえで、いま広がっている選択肢のひとつです。

自立訓練を選ぶ意味

自立訓練(生活訓練)は、生活リズム・対人スキル・自己理解・体調コントロールといった、「働くうえで/生きていくうえで土台になる部分」に集中的に時間を使えるサービスです。

「いきなり就職や就労移行支援に進むのは難しい」「働く前にもう少し生活と気持ちを整えたい」「自分の特性をもう少し理解してから次を考えたい」と感じる方に、選ばれやすい進路です。

利用期間は原則2年(必要に応じて1年延長可能)で、最大3年間利用できます。

自立訓練を「卒業後の中継地点」として活用する設計

自立訓練(生活訓練)は、特別支援学校卒業後の進路のなかでも、「働く軸」と「整える軸」を行き来できる中継地点として機能します。

エンラボカレッジの自立訓練(生活訓練)では、4ステージのカリキュラムで「自分を知る・学ぶ→学んだことができる→学びを応用できる→自信を持ち、次に進める」というプロセスを16〜24か月かけて進めていきます。

ステージ 期間 ねらい
ステージ1 1〜6か月 自分を知る・学ぶ
ステージ2 7〜12か月 学んだことができる
ステージ3 13〜18か月 学びを応用できる
ステージ4 16〜24か月 自信を持ち、次に進める

「卒業時点で就職するか/施設に通うか」だけで進路を区切らずに、「2年間で土台を整え、その先で働く・学ぶに進む」という二段階の設計が可能になります。

自立訓練からつながる進路の多様性

自立訓練(生活訓練)の卒業後の進路は多様で、主には次の選択肢につながっていきます。

  • 就労移行支援事業所で就職活動を進める
  • 障害者雇用枠で直接就職する
  • 就労継続支援A型・B型で福祉的就労を始める
  • 大学・専門学校への進学・復学に進む
  • 休職中の方は職場へ復職する(リワーク的活用)

「就職」だけに絞らない多様な進路を一緒に決めていく姿勢が、自立訓練の特徴のひとつです。

進路選択肢7|進学(大学・短大・専門学校・職業能力開発校)

「進学」も、特別支援学校卒業後の進路の重要な選択肢のひとつです。

大学・短大・専門学校への進学

特別支援学校から大学・短大・専門学校に進学する方の数は、進路全体に占める割合は限定的ですが、視覚障害・聴覚障害・肢体不自由・病弱の特別支援学校では一定数いらっしゃいます。

近年は、大学・専門学校の障害学生支援室・障害学生支援センターが整備されてきており、合理的配慮(教材の電子化・授業時間配分の調整・実習科目の代替など)を受けながら学べる環境が広がっています。

進学を視野に入れる方は、学校選びの段階で「障害学生支援室の体制」「過去の障害学生の在籍実績」「具体的な配慮事例」を確認しておくと、入学後の生活が描きやすくなります。

職業能力開発校

職業能力開発校(一般校・障害者校)は、職業に必要な技能・知識を身につける公共職業訓練の場です。

障害者職業能力開発校は、全国に19校が設置されており、CADオペレーター・OAビジネス・電子機器組立・園芸サービスなど、地域のニーズに応じた職種別のコースが用意されています。

出典:厚生労働省「障害者を対象とした公共職業訓練(障害者の方の職業訓練)」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/shougai_kunren.html)

訓練期間は1〜2年が中心で、訓練修了後に就職を目指す進路設計となっています。

生活訓練と進学を組み合わせる選択肢

「進学したいが、生活面の自立にまだ不安がある」という場合は、自立訓練(生活訓練)と進学を組み合わせる進路設計も検討できます。

自立訓練で生活リズム・対人スキル・自己理解の土台を整えてから、大学・専門学校・職業能力開発校に進むパターンです。

エンラボカレッジでは、自立訓練を経て大学・専門学校への復学・進学に進まれる方も卒業生のなかにいらっしゃいます。

7つの進路選択肢の比較表

ここまで整理してきた7つの選択肢を、ひとつの表で見比べやすく整理します。

進路 雇用契約 報酬 期間 主な目的
一般就職 あり 賃金(市場水準) 期間定めなし 一般雇用枠で働く
障害者雇用 あり 賃金(最低賃金以上) 期間定めなし 配慮を受けつつ働く
就労継続支援A型 あり 賃金(最低賃金以上) 上限なし 福祉的支援を受けつつ働く
就労継続支援B型 なし 工賃(平均月17,031円) 上限なし 自分のペースで生産活動
就労移行支援 なし(訓練の場) 原則なし 原則2年 一般就労を目指す訓練
自立訓練(生活訓練) なし(訓練の場) 原則なし 原則2年(最大3年) 生活・対人・自己理解の土台作り
進学(大学・専門学校等) 学校により異なる 専門知識・技能の習得

「働く比重」で並べると、自立訓練→就労移行支援→B型→A型→障害者雇用→一般就職と、段階的に整理できます。

「いまの自分はどの段階にいるか」「次にどこを目指すか」を進路担当の先生・相談支援専門員と一緒に整理することが、進路選びの起点になります。

各サービスの違いは、就労継続支援とは|A型・B型・就労移行との違い就労移行支援と就労継続支援(A型・B型)の違いでも整理しています。

在学中から進路を決めるための4ステップ

特別支援学校では、高等部の3年間を通して進路指導が行われます。

進路選びを在学中から進めるうえで、目安となる4ステップを整理します。

ステップ1|情報収集(高等部1年〜2年)

最初に行うのは、進路の全体像を知ることです。

7つの選択肢(一般就職・障害者雇用・A型・B型・就労移行支援・自立訓練・進学)の特徴を整理し、本人の興味・特性・体力と照らし合わせていきます。

学校の進路担当の先生、相談支援専門員、ハローワークの障害者向け窓口、障害者就業・生活支援センターなどから、地域の事業所一覧と特徴を教えてもらえます。

ステップ2|現場実習・職場見学(高等部2年〜3年)

候補となる進路先が絞れたら、現場実習・職場見学・事業所見学に行きます。

特別支援学校の進路指導の一環として行われる現場実習は、本人が「無理なく続けられそうか」を確かめる時間です。

実習先企業にそのまま採用されるパターンもあれば、「実習を通して別の進路が見えてきた」というケースもあります。

ステップ3|就労アセスメント(必要な場合)

特別支援学校卒業後に就労継続支援A型・B型を利用する方は、原則として就労移行支援事業所等による就労アセスメントを受けることが要件となります。

アセスメントは数日〜数週間にわたって行われ、本人の作業能力・対人面・生活面の状況を整理し、各サービスが適切かどうかを判断する材料となります。

ステップ4|障害福祉サービス受給者証の申請

福祉サービス(A型・B型・就労移行支援・自立訓練)を利用する方は、住んでいる市区町村の障害福祉課で「障害福祉サービス受給者証」を申請します。

申請から受給者証の交付までは概ね1〜2か月程度かかるため、卒業時期から逆算して動き始めることが大切です。

サービス等利用計画案は、指定特定相談支援事業所の相談支援専門員に作成を依頼するのが一般的です。

保護者の方へ|進路選びで知っておきたい3つの視点

特別支援学校卒業後の進路選びでは、本人だけでなく、保護者の方の関わりが大きな意味を持ちます。

最後に、保護者の方が知っておくと進路選びがしやすくなる3つの視点を整理します。

視点1|「卒業時点の選択」で終わらせない時間軸を持つ

進路選びを「卒業時点で就職するか/施設に通うか」の二者択一で考えると、本人の特性に合わない選択を急ぐ場面が出てきやすくなります。

「卒業後数年でどう積み上げていくか」という時間軸を持つと、自立訓練(生活訓練)や就労移行支援を経由してから働く・学ぶに進む道筋を検討しやすくなります。

「卒業後2〜3年で本人の生活と気持ちが整い、そのあと一般就労や障害者雇用に進む」というスケジュールは、現実的な選択肢として広がっています。

視点2|「本人の意思」と「保護者の希望」を分けて整理する

進路選びの場面では、本人の意思と保護者の希望が一致しないこともあります。

「本人は福祉的就労を希望しているが、保護者は一般就職を希望している」「保護者は進学を希望しているが、本人は早く働きたいと感じている」――そうした状況は珍しくありません。

このとき大切なのは、両方の希望を一度切り分けたうえで、「いまの本人の状態と特性に合うのはどれか」を、進路担当の先生・相談支援専門員・主治医など第三者の視点を交えて整理することです。

家族だけで決めようとせずに、第三者を交えた話し合いの場を持つことが、長く続けられる進路選びにつながります。

視点3|「親なきあと」を見据えた支援者ネットワークを早めに作る

特別支援学校卒業後の進路選びは、「親なきあと」の生活設計とも結びつきます。

保護者が高齢になっていく将来を見据えると、「本人と支援者がつながり続けられる体制」を在学中から少しずつ作っておくことが大切になります。

相談支援専門員・障害者就業・生活支援センター・主治医・地域の障害福祉課――こうした支援者とのネットワークは、卒業直後にも、その先の人生でも、本人と家族を支える基盤になります。

「親が元気なうちに、支援者との関係を本人と一緒に作っておく」という視点は、進路選びを長期的に考えるときの大切な手がかりです。

エンラボカレッジでの「卒業後の選択肢を広げる」アプローチ

エンラボカレッジは、神奈川県・東京都・大阪府・宮崎県で自立訓練(生活訓練)と就労移行支援を運営している事業者です。

特別支援学校卒業後の進路に悩む方、本人と保護者の方からのご相談を多くお受けしています。

その経験から、エンラボカレッジが「卒業後の選択肢を広げる」という観点でどのように関わっているかをお伝えします。

自立訓練を「卒業後の中継地点」として使う

エンラボカレッジの自立訓練(生活訓練)は、特別支援学校卒業後すぐに就職する道筋が現実的でない場合の「中継地点」として活用されています。

ステージ1〜4の4段階で、最初の半年は「自分を知る・学ぶ」段階、7〜12か月で「学んだことができる」段階、13〜18か月で「学びを応用できる」段階、16〜24か月で「自信を持ち、次に進める」段階へと進んでいきます。

このプロセスのなかで、本人の特性・得意・苦手・希望が言語化されていき、卒業時点では決められなかった進路が、少しずつ輪郭を持っていきます。

8つのプログラムで「自分の取扱説明書」を作る

エンラボカレッジでは、8つのプログラム(感情学/コミュニケーション/My Lab./アクティビティ/Life Lab./ソマティック Lab./Social Lab./スキルアップ)を組み合わせています。

なかでもMy Lab.は、利用される方が『自分/支え方マニュアル』という独自成果物を作る時間です。

このマニュアルは、卒業後の進路先(一般就職・障害者雇用・A型・B型・就労移行・進学先)で、自分の特性と必要なサポートを伝えるためのツールとして継続して活用できます。

「就職先で配慮を求めるとき、何をどう伝えればよいかわからない」という不安に対して、事前に言語化したマニュアルを持って臨めるのが、独自成果物の意義です。

進路の多様性を保つ姿勢

エンラボカレッジでは、卒業後の進路を「就職」だけに絞らず、本人の希望と特性に合わせて以下の選択肢から一緒に決めていく姿勢を大切にしています。

  • 就労移行支援事業所で次のステップへ
  • 就労支援センターを活用し就職
  • 休職中の職場へ復職(リワーク的活用)
  • 大学・専門学校への復学・進学
  • 就労継続支援A型・B型の利用

「働くことは目的ではなく手段」「何かを成し遂げたいから働く」という前提のもと、自分を認めてくれる場を提供することが、自信を持って次の進路に進むための土台になると考えています。

40代から自立訓練で働き方を見直していった方のプロセスは、40代からの再スタート体験もあわせてご覧ください。

卒業後の進路の実例|自立訓練(生活訓練)エンラボカレッジ利用者の事例

※以下は自立訓練(生活訓練)エンラボカレッジを利用された方の支援事例です(医学的な症例研究ではありません)。

事例1|自信のない10代が自立訓練を居場所に進路を見つけたケース

エンラボカレッジに通った10代の方は、「自分に自信が持てない」「これからの進路をどう決めればいいかわからない」という状態で利用を開始しました。

8つのプログラム(感情学/コミュニケーション/My Lab./アクティビティ/Life Lab./ソマティック Lab./Social Lab./スキルアップ)を組み合わせながら、自分の特性と得意・苦手を整理していくなかで、「自分らしく進める進路」が少しずつ見えてきたとされています。

→ 詳しくは 自信のない10代が自立訓練を居場所に、自分らしい進路へ をご覧ください。

事例2|将来に悩んでいた方が目標を見つけて一歩を踏み出したケース

別の利用者の方は、「将来何をしたいかが見えない」という状態でエンラボカレッジに通い始めました。

My Lab.プログラムで『自分/支え方マニュアル』を作成しながら、自分の興味と特性を言語化していくなかで、「人の役に立ちたい」という目標を見つけ、次の進路に向けて動き出したとされています。

→ 詳しくは 将来に悩んでいた私がエンラボで「人の役に立ちたい」という目標を見つけて新しい一歩を踏み出した をご覧ください。

事例3|ASD(自閉スペクトラム症)の10代がコミュニケーションと向き合ったケース

ASDのある10代の方は、対人コミュニケーションの場面で悩みを抱えていましたが、自立訓練のなかでコミュニケーションプログラムやSocial Lab.のグループワークに繰り返し取り組み、「人との距離感」「伝え方」「聞き方」を少しずつ自分のものにしていきました。

→ 詳しくは ASDによるコミュニケーションの悩みと向き合った10代 をご覧ください。

業界全体の支援傾向|公的データと業界事例の参考

知的障害のある若年層の障害者雇用については、業界全体で次のような傾向が報告されています。

就労支援の現場では、知的障害のある20代の方が、軽作業(在庫管理・検品・倉庫内作業)や事務補助(データ入力・ファイリング・清掃メンテナンス)といった「判断要素が少なく反復性のある業務」を中心に、障害者雇用枠で就職に至るパターンが多く確認されています。

このパターンに共通するのは、就職前の段階で「写真やイラストで業務工程を可視化する」「急な業務変更を避ける」といった配慮を企業側に依頼し、受け入れ体制を整えていることです。

「事務職を希望していたが、長時間の集中が難しいと分かり、適性の見直しを経てバックヤード業務に切り替えた」というケースもあり、希望と適性を両輪で見直す機会を持つことが、長く働ける進路選びにつながっています。

よくある質問(FAQ)

特別支援学校卒業後、すぐに就職する人と福祉サービスを利用する人の割合はどれくらいですか?

文部科学省「特別支援教育資料(令和4年度)」によると、特別支援学校高等部(本科)卒業生の進路は、「就職」と「社会福祉施設等の入所・通所」の合計で全体の大半を占め、進学はそれに次ぐ規模で位置づけられています。

ただし障害種別ごとに割合は異なり、知的障害特別支援学校では「社会福祉施設等の利用」と「就職」が中心、視覚障害・聴覚障害・肢体不自由の特別支援学校では「進学」を選ぶ方の割合がやや高い傾向が見られます。

具体的な数字は、お住まいの学校の進路担当の先生に「過去3年間の卒業生の進路内訳」を尋ねると詳しく確認できます。

卒業後、就労継続支援B型に進みたい場合はどうすればいいですか?

特別支援学校卒業後に直接B型を利用するには、原則として就労移行支援事業所等による就労アセスメントを受けることが要件となります。

学校の進路担当の先生、地域の相談支援事業所、市区町村の障害福祉課に相談しながら、卒業前から準備を進めるのが一般的です。

B型の制度概要は就労継続支援B型とはで詳しく整理しています。

自立訓練(生活訓練)と就労移行支援、どちらを選べばいいですか?

「働く準備の前に、生活と気持ちを整える時間が必要」と感じる方は自立訓練、「2年以内に一般就労を目指す進路に進みたい」と感じる方は就労移行支援が選ばれやすい傾向です。

自立訓練を1〜2年経たあとに就労移行支援に進む二段階の使い方も可能で、ご本人の状態と希望に合わせて選択していけます。

卒業後の進路は、何年生から考え始めればいいですか?

特別支援学校では高等部1年生から進路指導が始まることが一般的で、現場実習は2〜3年生で本格化します。

「卒業1年前から考え始める」のではなく、「1年生から少しずつ情報収集を始め、3年間かけて絞り込んでいく」ペースで進めていくと、本人・家族・学校で意思の擦り合わせを丁寧にできます。

障害者手帳がなくても、就労移行支援や自立訓練は利用できますか?

障害者手帳がなくても、自立支援医療の受給者証や主治医の意見書をもとに、自治体の判断によって利用できるケースがあります。

必要なのは「障害福祉サービス受給者証」で、手帳とは別の制度です。

詳しくは市区町村の障害福祉課にご相談ください。

進路を決めたあとに、別のサービスに変更することはできますか?

可能です。

たとえば就労移行支援を利用して就職活動を進めるなかで、「もう少し生活面を整えたい」と感じれば自立訓練に切り替える方、就労継続支援B型から就労移行支援に進む方など、ライフステージや本人の状態に合わせて進路を変える方は少なくありません。

定期的に行われるサービス等利用計画の見直しの際に、相談支援専門員と相談しながら見直しを進められます。

保護者だけで進路を決めてしまってもいいですか?

本人の意思を確認しないまま保護者だけで進路を決めると、卒業後に本人が継続できなくなり、結果として何度も進路を変えることになる場合があります。

本人の意思・特性・体力を踏まえたうえで、保護者・進路担当の先生・相談支援専門員・主治医などを交えて、複数の視点で整理することをおすすめします。

「親なきあと」の備えとして、いま何をしておけばいいですか?

「親なきあと」の備えとして、いま在学中から取り組めることとして、次の3つが挙げられます。

ひとつは、本人と支援者(相談支援専門員・障害者就業・生活支援センター・主治医など)とのつながりを早めに作り、保護者がいなくても本人が支援にアクセスできる状態を整えることです。

ふたつ目は、自立訓練(生活訓練)などを通して、本人の生活スキル・対人スキル・自己理解を育てていく時間を持つことです。

3つ目は、成年後見制度・障害年金・生活保護などの社会保障制度について、本人と家族で早めに情報収集を始めることです。

これらは「いますぐ全部やる」ではなく、「在学中の3年間で少しずつ整えていく」ペースで進めていけます。

まとめ

特別支援学校卒業後の進路は、一般就職・障害者雇用・A型・B型・就労移行支援・自立訓練・進学の7つに整理できます。「卒業時点の選択」で終わらせず、卒業後数年で積み上げる時間軸で考えると、本人の特性に合った道筋を描きやすくなります。

次の一歩として、まず学校の進路担当の先生・相談支援専門員に「過去3年間の卒業生の進路内訳」と地域の事業所一覧を確認するところから始めるとスムーズです。

「卒業前に何から動けばいいか整理したい」「自立訓練が本人に合うか確かめたい」というご相談は、エンラボカレッジ(自立訓練・就労移行支援)の見学・無料相談で承っています。

ご見学・無料相談のご案内

エンラボカレッジでは、自立訓練(生活訓練)と就労移行支援の見学・無料相談を、神奈川・東京・大阪・宮崎の11拠点で随時お受けしています。

「特別支援学校卒業後の進路を一緒に整理してほしい」「自立訓練が本人に合っているか確かめたい」「保護者と一緒に話を聞いてみたい」――そうしたご相談も歓迎しています。

ご見学・無料相談のお申し込みは、エンラボカレッジ公式サイト、またはお電話(050-5538-0786/平日10:00-18:00)からお気軽にどうぞ。

事業所の雰囲気・プログラムの実際・通っている方々の様子を、実際に見てから判断いただけます。

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更新日:2026/05/31 公開日:2024/03/29

この記事について【作成・監修】

本記事は、自立訓練(生活訓練)事業所「エンラボカレッジ」を運営する株式会社エンラボの専門職スタッフが作成・監修しています。

【在籍資格】
精神保健福祉士・社会福祉士・臨床心理士・作業療法士・理学療法士

【現場での実践】
自立訓練(生活訓練)・就労移行支援などで、診断名・特性に合わせた個別支援を提供しています。

【運営会社】
株式会社エンラボ/設立2015年4月/神奈川県を中心に首都圏・関西・宮崎で11拠点運営

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