就労移行支援とは|対象者・利用期間・費用・受けられる支援を解説

更新日:2026/05/31

就労移行支援がどんな場所で何を始められるのか、自分や家族が対象になるのか、お金はかかるのか――最初の問い合わせ前に整理しておきたい疑問が並ぶ制度です。

就労移行支援は、原則2年間の訓練を通じて一般企業への就職を目指す障害福祉サービスで、対象は18歳から65歳未満。利用料は世帯収入によって決まり、多くの方が自己負担0円で利用しています。

本記事では、就労移行支援の制度概要・対象者・利用期間・費用・支援内容・利用までの流れについて紹介します。

就労移行支援とは?制度上の位置づけと目的

ここから、就労移行支援の制度概要と目的を順に整理します。

制度上の位置づけ

就労移行支援は、障害者総合支援法第5条第13項に規定される「日中活動系サービス」のひとつです。

厚生労働省は、就労移行支援を「就労を希望する障害者であって、一般企業に雇用されることが可能と見込まれる者に対して、一定期間就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行います」と定義しています。

「就労系障害福祉サービス」と呼ばれる4つのサービス(就労移行支援/就労継続支援A型/就労継続支援B型/就労定着支援)のひとつとして整理されており、市区町村が支給決定する「障害福祉サービス受給者証」で利用できる仕組みです。

目的は「一般就労への移行」

就労移行支援の最大の特徴は、目的が「一般就労(障害者雇用または一般雇用)への移行」に明確に絞られている点です。

就労継続支援A型・B型が「事業所内で長く働き続ける場」を提供するのに対して、就労移行支援は「事業所の外(一般企業)で働けるようになるための準備の場」として設計されています。

したがって、利用中に賃金や工賃が支給されることは原則ありません(事業所内での生産活動を伴うプログラムで実費負担分の還元がある場合などを除く)。

「働けるようになる」ためのトレーニングと、就職活動・職場定着支援が中心となるサービスです。

「就労移行支援」と「就労継続支援」の違い

似た名前のサービスに「就労継続支援A型/B型」がありますが、目的・契約形態が異なります。

簡単に整理すると、就労移行支援は「2年以内の訓練を経て一般就労を目指す」、就労継続支援A型は「雇用契約を結びながら事業所で働く」、就労継続支援B型は「雇用契約を結ばずに事業所で生産活動に参加する」という位置づけです。

各サービスの違いは、本記事後半の比較表で詳しく整理します。

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対象者|どんな人が利用できるのか

「自分は対象になるのか」と気になっている方は多いもいらっしゃいます。

対象者の3つの要件

就労移行支援の対象者は、厚生労働省の定めによって次の3つの要件を満たす方とされています。

要件1:18歳以上65歳未満であること

原則として65歳未満が対象です。65歳以上の方が新規で利用するケースは、特例として認められる場合があります。

要件2:身体障害・知的障害・精神障害・発達障害・難病のいずれかがあること

令和6年4月からは、対象となる難病が369疾病に拡充されており、医師の意見書をもとに利用できるケースがあります。

要件3:一般企業への就労を希望し、雇用されることが可能と見込まれる方

「いまは就職が難しいが、訓練を経て就労を目指したい」という方が対象です。

障害者手帳がなくても利用できる

「障害者手帳がないと利用できないのでは」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、手帳がなくても就労移行支援の利用は可能なケースがあります。

利用に必要なのは「障害福祉サービス受給者証」で、これは障害者手帳とは別の制度です。

自立支援医療(精神通院医療)受給者証の有無、心療内科・精神科などの主治医の意見書(診断書)の有無をもとに、自治体の判断で受給者証が交付されるケースがあります。

「手帳がないから利用できない」と決めつけずに、まずは主治医や市区町村の障害福祉課に相談してみることをおすすめします。

利用している方の障害種別の傾向

利用対象となる障害種別には、原則として制限がありません。

実態として多いのは、精神障害(うつ病・双極性障害・統合失調症・不安障害など)と発達障害(ASD・ADHD・LDなど)のある方で、近年は両者の併存例も含めて、20代〜40代の方の利用が中心になっています。

身体障害・知的障害・難病のある方の利用も広がっており、特性や体調に応じてプログラムを組み合わせる事業所が増えています。

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「働く意欲はあるが、いまのままでは厳しい」方の選択肢

就労移行支援は、「一般就労を希望しているが、いまのままでは就職に踏み出すのが難しい」と感じる方の選択肢として機能しています。

具体的には、次のような方が利用しています。

  • 学校を卒業したが、就職活動の進め方が分からない方
  • 一般雇用で働いていたが、体調や対人面の課題で離職し、次は障害者雇用で再就職を目指したい方
  • 就職してもすぐ辞めてしまうことが続き、自分に合う働き方を見つけたい方
  • 休職中で復職を目指しているが、復職先が変わる可能性もある方
  • これまで福祉的就労(A型・B型)で働いてきたが、次は一般就労に挑戦したい方

これらの方が、訓練・職場体験・就職活動・職場定着支援までを通じて、自分に合う働き方を整えていきます。

利用期間|原則2年・延長は最大3年

就労移行支援の利用期間は、原則として2年です。

「原則2年」の意味

「2年いなければならない」のではなく、「最長で2年まで利用できる」という意味です。

実際の利用期間は、本人の状態や進捗に応じて個別に決まります。「数ヶ月で就職する方」もいれば、「1年半かけて就職先を見つける方」もいます。

事業所側は、3ヶ月に1回の「個別支援計画」の見直しを通じて、本人と一緒に「今の段階で何を整えるか」「次の3ヶ月で何を目指すか」を話し合っていきます。

延長が認められるケース(最大1年)

原則2年で就職に至らなかった場合、市区町村の審査会の判断によって、最大1年の延長が認められるケースがあります。

延長が認められる典型的なケースは、「就職に必要なスキルは身についたが、就職活動でマッチングに時間がかかっている」「体調の安定に時間がかかっている」など、本人と支援者が継続的に努力していることが確認できる場合です。

延長は無条件ではなく、市区町村との協議と申請が必要となるため、見学時に「延長の実績はどれくらいあるか」を確認しておくと、長期化したときの安心材料になります。

「2年で足りるのか」が不安な方へ

「2年で就職にたどり着けるのか」「就職活動が長引いたらどうなるのか」と不安な方は少なくありません。

ひとつの考え方として、「2年で就職」をゴールに据えるよりも、「自分に合う働き方を見つけ、長く続けられる就職にたどり着く」ことをゴールに据えるほうが、結果的に職場定着につながりやすいとされています。

そのために、「働く前にもう少し時間をかけて生活と気持ちを整えたい」と感じる方は、就労移行支援の前に自立訓練(生活訓練)を利用するという選択肢もあります。

自立訓練と就労移行支援を組み合わせて、合計で3〜4年かけて土台から作っていくケースも、近年は増えています。

利用料(費用)

就労移行支援は障害福祉サービスのひとつで、世帯の所得に応じた利用者負担が発生する仕組みです。

負担上限月額の4区分

利用料の自己負担額には、世帯所得に応じた月額上限が定められています。

生活保護:負担上限月額 0円

低所得(市町村民税非課税世帯):負担上限月額 0円

一般1(市町村民税課税世帯のうち所得割16万円未満/障害児は28万円未満):負担上限月額 9,300円

一般2(上記以外):負担上限月額 37,200円

実態として「自己負担0円」の方が多い

「就労移行支援=高い」というイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、実態としては、低所得区分または生活保護区分に該当して自己負担0円で利用される方が9割を超えると説明されることが多いです。

世帯の所得については、住んでいる市区町村の障害福祉課で確認できます。

「世帯」の範囲

利用料の判定で用いられる「世帯」の範囲は、本人が18歳以上か18歳未満かで異なります。

18歳以上の方:本人と配偶者のみ

18歳未満の方:保護者の所得を含む世帯全体

つまり、18歳以上の方が一人暮らしまたは結婚していない場合、本人の所得のみで判定されるため、「親の所得が高くても、本人の所得が少なければ自己負担0円」というケースが多くなります。

食費・交通費などの実費

利用料以外に、食費(昼食代)・交通費などの実費は、本人負担となるのが一般的です。

事業所によっては、食事の提供方法(弁当・自炊・近隣で購入など)や交通費の補助制度が異なるため、見学時に確認しておくと安心です。

支援内容|訓練・職場体験・就職活動・職場定着

就労移行支援で受けられる支援は、大きく4つのフェーズに分かれます。

フェーズ1|自己理解と訓練

最初のフェーズは、「自分の特性・得意・苦手・体調パターンを理解する」「働くうえで必要な基礎スキルを身につける」段階です。

具体的なプログラム例として、次のような内容が挙げられます。

  • 生活リズム・体調管理(睡眠・服薬・通所習慣)
  • ビジネスマナー・社会人としてのコミュニケーション
  • PCスキル(Word・Excel・Googleツール・タッチタイピング)
  • ストレスマネジメント・感情コントロール
  • 自己理解ワーク(強み・苦手・必要な配慮の言語化)
  • 軽作業・事務作業のシミュレーション

事業所ごとに重点が置かれるプログラムが異なるため、「自分が必要としている内容と合うか」を見学・体験で確かめることが大切です。

1.体調管理

就職して長く働くためには体調の安定が大切です。就労移行支援に通う方は、障害の影響などで体調を崩した経験がある方も多いため、体調を安定させるための講座や自己管理方法の取得といったプログラムを取り入れている事業所が多くあります。

 

2.障害理解

自身の障害の理解を深めることも働くために重要になります。講座や自己分析などを通して障害特性上、得意なこと・苦手なことを把握して、得意を活かせる職場を見つけたり、苦手をカバーできる方法を見つけたりといったことを行う場合が多くなっています。

 

3.業務スキル

働くうえで業務スキルを身につけることも大事です。就労移行支援ではパソコン訓練や作業訓練で業務スキル自体を高めたり、模擬業務を通してスキルだけでなくビジネスマナーも一緒に身につけるといった訓練に取り組んでいきます。

 

4.コミュニケーションスキル

就労移行支援では働くためのコミュニケーションスキルの訓練も行っています。対人関係で悩んでストレスをためた経験がある方もいるため、職場で困りそうな場面を想定した練習や、他の利用者とのグループワークによってスキルを身につけていきます。

 

5.企業実習

企業実習とは聞きなれない言葉かもしれませんが、就労移行支援の利用者が企業に一定期間訪問して実際の業務を体験するという制度のことです。

 

就労移行支援事業所の中で身につけた業務やコミュニケーションのスキルを駆使しながら、実際の仕事を行うことで現在のスキルの確認や、自分に合った職場環境を探していきます。

 

企業実習の期間は1日から2週間などさまざまで、1日の時間も1時間から8時間と幅があります。スタッフと利用者で話し合って、目的に合わせて適切な実習先を選んでいきます。

 

6.就職活動

就職活動のプログラムでは、就職活動の一連の流れをサポートするプログラムがあります。

就職活動の基礎から求人検索の方法など働いた経験がない方向けの講座や、書類添削や模擬面接などこれから就職活動中の方向けのものまでそろっていることが多いです。

 

また、実際の面接にスタッフが同行して、障害のことなど伝えづらいことを変わって伝えるなどのサポートをしている事業所もあります。

 

フェーズ2|職場体験(企業実習)

訓練が進んで「働く準備」が整ってきたら、企業での職場体験(インターン/実習)に進みます。

実習の期間は事業所と本人の状況により異なりますが、数日〜数週間が一般的です。

実習を通じて、「自分が想定していた職種・職場環境が、実際に合うのか」「どんな配慮があれば働きやすいのか」を、本人・事業所・実習先企業の3者で確認していきます。

実習がそのまま就職につながるケースもあれば、実習を経て「やはり違う職種を探そう」と方向転換するケースもあります。

フェーズ3|就職活動の支援

就職活動のフェーズでは、本人の特性・希望に合う求人探し、応募書類の作成、面接対策、企業との調整までを、支援員と一緒に進めていきます。

具体的には、次のような支援が受けられます。

  • 求人情報の収集・選定(ハローワーク・障害者専門の就職支援機関・障害者専門の求人サイト等)
  • 履歴書・職務経歴書の添削
  • 面接対策(模擬面接・想定問答・配慮事項の伝え方)
  • 企業との面接日程調整・条件交渉
  • 入社時に配慮してほしい事項の整理(職務内容・勤務時間・コミュニケーション方法など)

「障害者雇用」と「一般雇用(オープン/クローズ)」のいずれを選ぶか、本人の希望・特性・体調を踏まえて整理するのも、就労移行支援の支援員の役割です。

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フェーズ4|就職後の職場定着支援

就職して終わり、ではなく、就職後の職場定着までを支援するのが就労移行支援のもうひとつの特徴です。

就労移行支援事業所による定着支援は、就職後6か月以内が標準的に行われます。

それ以降は、別途「就労定着支援」というサービスに移行し、最大3年間(就職から3年6か月まで)にわたって、定期面談・職場との調整・困りごとへの相談対応などを受けられます。

「就職してもすぐ辞めてしまった経験がある」「就職後の人間関係に不安がある」という方にとって、就職後の伴走支援は安心材料になります。

利用までの流れ(5ステップ)

就労移行支援を利用するには、市区町村が交付する「障害福祉サービス受給者証」が必要です。

利用開始までの流れを、5ステップで整理します。

ステップ1|情報収集と問い合わせ

最初に行うのは、自分の住む地域にどんな就労移行支援事業所があるかを調べ、それぞれの特徴を把握することです。

地域の障害福祉課・基幹相談支援センター・障害者就業生活支援センター・主治医・ハローワークの障害者専門窓口などに相談すると、近隣の事業所一覧と特徴を教えてもらえます。

候補となる事業所が見えてきたら、各事業所の公式サイトから資料請求・問い合わせを行います。

ステップ2|見学・体験

候補となる事業所を訪問し、見学と体験に参加します。

見学では、プログラムの実際・支援員の雰囲気・利用者層・通所のしやすさを確認します。

体験は1日〜数日にわたって行われ、「自分が無理なく続けられそうか」を確かめる時間です。

1か所だけでなく、2〜3か所を比較して選ぶことを多くの事業所がすすめています。自分の体力・興味・通いやすさとのフィットを判断しやすくなるためです。

ステップ3|受給者証の申請

利用したい事業所が決まったら、住んでいる市区町村の障害福祉課で「障害福祉サービス受給者証」を申請します。

申請にあたっては、認定調査(面接調査)と、サービス等利用計画案の提出が求められます。

サービス等利用計画案は、指定特定相談支援事業所の相談支援専門員に作成を依頼するのが一般的です。

本人や家族が「セルフプラン」として作成することも可能ですが、初回は相談支援専門員に依頼するほうがスムーズに進むケースが多いとされています。

申請から受給者証の交付までは、自治体によりますが概ね1〜2か月程度かかります。

ステップ4|事業所と利用契約

受給者証が交付されたら、事業所と利用契約を結びます。

契約時には、利用日数・支援内容・交通費・食費・通所できない場合の連絡方法など、運営に関する説明を受けます。

契約後、本人と支援員で「個別支援計画」を作成し、利用開始の準備が整います。

ステップ5|利用開始

利用開始当初は「慣らし期間」として、週2〜3日からスタートし、徐々に通所日数・プログラム時間を増やしていく事業所が多いです。

「いきなり週5フルタイムは難しい」という方も、自分のペースで段階的に通所頻度を上げていくことができます。

他の就労系サービスとの違い|比較表

「就労移行支援と他のサービスは何が違うのか」を、4サービスの比較表で整理します。

4サービス比較表

項目 就労移行支援 就労継続支援A型 就労継続支援B型 自立訓練(生活訓練)
主な目的 一般就労を目指す訓練 雇用契約のもとで働く 自分のペースで生産活動に参加 生活・対人・自己理解の土台作り
雇用契約 なし あり なし なし
賃金・工賃 原則なし 賃金(最低賃金以上) 工賃(平均月17,031円) 原則なし
利用期間 原則2年(最大3年) 上限なし 上限なし 原則2年(最大3年)
対象年齢 18歳〜65歳未満 18歳〜65歳未満 18歳以上(原則65歳まで) 18歳〜65歳未満
通所頻度 週4〜5日が多い 週4〜5日が多い 週2〜5日(柔軟) 週3〜5日(柔軟)
出口 一般就労(障害者雇用/一般雇用) A型での継続勤務/一般就労 B型での継続利用/A型・一般就労 進学/就労移行/一般就労/B型

就労移行支援 と 就労継続支援A型 の違い

就労移行支援は「一般企業への就職を2年以内に目指す訓練の場」、A型は「事業所と雇用契約を結んで働く場」という違いがあります。

A型は最低賃金が適用されるため、利用中も収入を得ながら働けますが、「一般就労」とは異なり、事業所が運営する場での就労になります。

「事業所での就労からスタートして、徐々に一般就労を目指したい」という方は、A型から就労移行支援にステップアップする選択肢もあります。

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就労移行支援 と 就労継続支援B型 の違い

就労移行支援が「2年以内に一般就労を目指す訓練」であるのに対して、B型は「雇用契約を結ばずに、自分のペースで生産活動に参加し続ける場」です。

「いきなり一般就労を目指すのはハードルが高い」と感じる方は、B型でしばらく生活リズムを整えてから、就労移行支援にステップアップする使い方も可能です。

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就労継続支援B型とは|どんな人が通う?仕事・工賃・利用方法

就労移行支援 と 自立訓練(生活訓練)の違い

自立訓練(生活訓練)は、「働く前」に生活面・対人面・自己理解の土台を作るためのサービスです。

就労移行支援が「就職」をゴールに据えているのに対して、自立訓練は「生きるための土台作り」をゴールに据えています。

「就労移行支援に入る前に、もう少し生活と気持ちを整えたい」「自分の特性をまず理解してから次を考えたい」という方は、自立訓練から始める道筋もあります。

自立訓練を経て就労移行支援に進む2段階の使い方も、近年は広がっています。

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自立訓練(生活訓練)とは|対象者・利用期間

就労移行支援を選ぶときに確認したい5つのポイント

「どの就労移行支援事業所を選ぶか」は、就職の質と継続性を左右する重要な判断です。

特定の事業者をすすめる趣旨ではなく、選択肢を整理するためのポイントとしてご活用ください。

ポイント1|通所のしやすさ

事業所選びでまず確認したいのは、「無理なく通い続けられる立地・通所手段・通所時間か」という点です。

体調の波があったり、対人疲労が大きい方にとって、通所のハードルは想像以上に大きく感じられます。

「自宅から30分以内」「乗り換えが1回以内」「人混みを避けて通えるルートがある」など、自分にとっての無理のなさを判断材料にしておくと、長く通い続けやすくなります。

ポイント2|プログラム内容と自分のニーズの一致

事業所によって、プログラムの重点は大きく異なります。

PCスキル習得を中心とする事業所、自己理解・感情コントロールを中心とする事業所、職場体験(企業実習)の機会が豊富な事業所、それぞれ特色があります。

見学時に「いま自分が必要としている内容と、この事業所の重点がどれくらい合うか」を確かめると、入所後のミスマッチを減らせます。

ポイント3|支援員の関わり方

支援員との関係性は、2年間(最大3年間)の継続的な利用にとって、非常に大きな意味を持ちます。

見学時に支援員と話してみて、「相談しやすそうか」「自分のペースを尊重してくれそうか」「障害特性を理解した関わりをしてくれるか」を肌感覚で確かめておくと、判断材料になります。

ポイント4|就職実績と職場定着率

就職実績だけでなく、「就職した方がその後どれくらい働き続けているか(職場定着率)」も重要な指標です。

「就職率は高いが、半年以内に離職する方が多い」事業所と、「就職までは時間がかかるが、就職後の定着率が高い」事業所では、長期的な意味が異なります。

事業所のWebサイト・パンフレット・見学時の質問を通じて、定着率に関する情報も確認しておくとよいでしょう。

ポイント5|就職後の定着支援の体制

就職して6か月以内は、就労移行支援事業所による定着支援が一般的ですが、それ以降の「就労定着支援」を同じ事業者が提供するか、別の事業者と連携するかは事業所によって異なります。

「就職後も同じ支援員に相談したい」「定着支援まで一貫して受けたい」というニーズがある方は、就労定着支援の体制を確認しておくと安心です。

エンラボカレッジから見る「就労移行支援への切れ目ない伴走」

エンラボカレッジは、神奈川県・東京都・大阪府・宮崎県で自立訓練(生活訓練)と就労移行支援を運営している事業者です。

宮崎県の本社拠点では多機能型として自立訓練と就労移行支援を提供しており、神奈川・東京・大阪では自立訓練(生活訓練)を中心に、就労移行支援への送り出しを丁寧に行ってきました。

その経験から、「就労移行支援を視野に入れている方」に向けて、エンラボがどのように関わっているかをお伝えします。

「就労移行の前」に自立訓練で土台を作るアプローチ

エンラボカレッジでは、「いきなり就労移行支援に進むより、まず自立訓練(生活訓練)で生活と自己理解の土台を作ったほうが、結果的に就労移行のプログラムを活かせる」という考え方で支援を行っています。

具体的には、自立訓練(生活訓練)の中で、ステージ1〜4の4段階のカリキュラム(自分を知る・学ぶ→学んだことができる→学びを応用できる→自信を持ち、次に進める)を進めながら、本人の状態に応じて就労移行支援への移行を一緒に検討していきます。

8つのプログラムで「自分の取扱説明書」を作る

エンラボカレッジの自立訓練(生活訓練)では、感情学/コミュニケーション/My Lab./アクティビティ/Life Lab./ソマティック Lab./Social Lab./スキルアップ の8つのプログラムを組み合わせています。

なかでもMy Lab.は、利用される方が『自分/支え方マニュアル』という独自成果物を作る時間で、就労移行支援への移行後や、就職後の職場でも継続して活用できるツールです。

「自分はどんな環境で力を発揮できるか」「困ったときにどんな配慮が必要か」を、卒業後に持ち運べるかたちで言語化していく時間です。

「就労移行を視野に入れているが、まずは土台を整えたい」方へ

エンラボカレッジでは、神奈川・東京・大阪・宮崎の11拠点で、自立訓練(生活訓練)と就労移行支援の見学・無料相談を随時お受けしています。

「就労移行支援を視野に入れているが、まずは生活と気持ちを整えたい」「自立訓練と就労移行をどう組み合わせるかを相談したい」「複数の事業者を比較するなかで話を聞いてみたい」――そうしたご相談も歓迎しています。

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40代からの再スタート体験(エンラボストーリー)

就労移行支援に関連する実例|自立訓練(生活訓練)エンラボカレッジ利用者の事例

※以下は自立訓練(生活訓練)エンラボカレッジを利用された方の支援事例です(医学的な症例研究ではありません)。

事例1|自立訓練→就労移行を経て、障害者雇用で安定就労した20代の方

20代の方の事例として、「自立訓練で生活と自己理解の土台を作り、就労移行に進んで障害者雇用での就職にたどり着いた」というケースがあります。

ご本人は、就職前に「自分がどんな環境で力を発揮できるか」「どんな配慮が必要か」が言語化できておらず、最初は自立訓練(生活訓練)で『自分/支え方マニュアル』を作るところから始めました。

そのうえで就労移行に進み、企業実習を経て、自分のペースで働ける職場に出会えたと振り返っていらっしゃいます。

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自立訓練で就労準備を整え、障害者雇用で安定就労するまで(エンラボストーリー)

事例2|就労移行を経た後の「働き続ける難しさ」と、自立訓練での立て直し

別の事例として、「就労移行支援を経て就職したものの、仕事が続かず、自立訓練で感情コントロールを身につけてから安定就職に至った」ADHDのある方のケースもあります。

このケースが示しているのは、「就労移行支援=就職して終わり」ではなく、「就職後の継続が難しいときに、もう一度土台を整え直す選択肢がある」という点です。

就労移行支援のあとで困難を感じた方が、自立訓練(生活訓練)に戻って自己理解・感情コントロールを学び直し、次の就職で長く働けるようになるパターンは、決して珍しくありません。

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就労移行支援後に仕事が続かず…ADHDの私が自立訓練で感情コントロールを身につけ、安定就職を実現(エンラボストーリー)

業界全体の支援傾向|公的データと業界事例の参考

就労支援の現場では、発達障害(ADHDやASD)のある20代の方が、就労移行支援を経て事務職・IT職・メーカーの事務補助などに就職するパターンが、典型的な進路のひとつとして報告されています。

共通する流れは、「ストレスチェックや退職を経て発達障害の診断を受ける→自分の特性が分からないまま離職を繰り返す→就労移行支援で自己理解と職場体験を進める→特性に合う職場で再スタートする」というものです。

「特性にあった業務内容と職場環境を見つけられるかどうか」が、長く働き続けられるかを左右するポイントとして、共通して挙げられています。

業界全体の傾向としても、就労移行支援の役割は「就職させること」ではなく、「本人に合う環境と出会うための時間と機会を提供すること」にあると整理できます。

よくある質問(FAQ)

就労移行支援は何歳から利用できますか?

原則として18歳から65歳未満が対象です。

65歳以上の方が新規で利用するケースは、特例として認められる場合があります。

障害者手帳がなくても就労移行支援は利用できますか?

障害者手帳がなくても、自立支援医療の受給者証や主治医の意見書をもとに、自治体の判断で就労移行支援を利用できるケースがあります。

必要なのは「障害福祉サービス受給者証」で、手帳とは別の制度です。

詳しくは市区町村の障害福祉課にご相談ください。

就労移行支援の利用料はかかりますか?

世帯収入により4区分に分かれ、月額の上限は生活保護=0円/低所得=0円/一般1=9,300円/一般2=37,200円です。

低所得区分に該当する方が多いため、実態としては自己負担0円で利用される方が9割を超えると説明されることが多いです。

就労移行支援の利用期間に制限はありますか?

原則2年間です。

市区町村の審査会の判断によって、最大1年の延長が認められるケースがあります。

「2年で就職できなかった」場合の選択肢として、就労継続支援A型・B型への切り替え、自立訓練(生活訓練)へのリスタートなどがあります。

就労移行支援を利用中に賃金や工賃はもらえますか?

原則として、就労移行支援の利用中に賃金や工賃が支給されることはありません。

就労移行支援は「訓練の場」であり、就労継続支援A型(賃金が支給される)やB型(工賃が支給される)とは位置づけが異なります。

事業所内での生産活動を伴うプログラムで、実費負担分が還元されるケースなどはありますが、収入として期待できる金額ではないと理解しておくほうが現実的です。

就労移行支援を利用しながらアルバイトはできますか?

原則として、就労移行支援の利用中のアルバイトは推奨されていません。

ただし、本人の状況や訓練の進捗、市区町村の判断によっては、短時間アルバイトが認められるケースもあります。

事業所と相談支援専門員、市区町村の障害福祉課と相談のうえで判断することが大切です。

就労移行支援と他のサービスを併用できますか?

就労移行支援と就労継続支援A型・B型を同時に並行利用することは原則できません。

ただし、医療機関のデイケア・地域活動支援センター・自助グループなどとの併用は可能なケースがあります。

サービス等利用計画の見直しを通じて、本人にとって無理のない組み合わせを検討していけます。

就労移行支援を卒業した後の進路にはどんなパターンがありますか?

主な進路として、次のようなパターンがあります。

  • 障害者雇用での就職
  • 一般雇用での就職(オープン就労/クローズ就労)
  • 就労継続支援A型・B型への切り替え
  • 自立訓練(生活訓練)へのリスタート(土台の作り直し)
  • 復職(休職中だった方)

「就職」だけが正解ではなく、本人の状態と希望に応じて多様な進路が選択肢になります。

就労移行支援を利用しても就職できないケースはありますか?

利用しても就職に至らないケースは、一定数あります。

就職に至らなかった理由として、体調の安定が優先されることになった、本人の希望する業種・職種と求人がマッチしなかった、訓練期間中に新たな困難が生じた、などが挙げられます。

その場合は、A型・B型・自立訓練(生活訓練)への切り替え、もう一度就労移行支援を別の事業所で利用するなど、次の選択肢を支援員・相談支援専門員と一緒に検討していきます。

就労移行支援の事業所はどう選べばよいですか?

通所のしやすさ、プログラム内容と自分のニーズの一致、支援員の関わり方、就職実績と職場定着率、就職後の定着支援の体制――この5点を見学・体験を通じて確認することをおすすめします。

1か所だけで決めるよりも、2〜3か所を比較するほうが、自分に合う事業所を見つけやすいとされています。

まとめ

就労移行支援は、原則2年で一般就労を目指す障害福祉サービスです。対象は18歳〜65歳未満、利用料は世帯所得に応じた4区分(多くは自己負担0円)、自己理解→訓練→職場体験→就職活動→定着支援を段階的にカバーします。

次の一歩としては、A型・B型・自立訓練と比較したうえで、自分の状態に合うサービスを2〜3か所の見学・体験で確かめてみてください。

エンラボカレッジでは、自立訓練と就労移行を組み合わせた進路相談を受け付けています。まずは見学・無料相談からお気軽にお問い合わせください。

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「就労移行支援を視野に入れているが、まずは生活と気持ちを整えたい」「自立訓練から就労移行までの伴走を一緒に整理してほしい」「家族と一緒に話を聞いてみたい」――そうしたご相談も歓迎しています。

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事業所の雰囲気・プログラムの実際・通っている方々の様子を、実際に見てから判断いただけます。

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更新日:2026/05/31 公開日:2023/07/06

この記事について【作成・監修】

本記事は、自立訓練(生活訓練)と就労移行支援を運営する「エンラボカレッジ」を運営する株式会社エンラボの専門職スタッフが作成・監修しています。

【在籍資格】
精神保健福祉士・社会福祉士・臨床心理士・作業療法士・理学療法士

【現場での実践】
自立訓練(生活訓練)・就労移行支援などで、診断名・特性に合わせた個別支援を提供しています。

【運営会社】
株式会社エンラボ/設立2015年4月/神奈川県を中心に首都圏・関西・宮崎で11拠点運営

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