精神保健福祉手帳とは?等級と申請方法をわかりやすく解説します

更新日:2026/06/10

うつ病や発達障害などで通院を続けるなかで、
「精神障害者保健福祉手帳(精神保健福祉手帳)を取得したほうがいいのだろうか」と考え始める方は少なくありません。

一方で、「等級はどのように決まるのか」「取得することで不利になることはないか」など、分からないことが多くて申請に踏み出せない方もいらっしゃいます。

精神障害者保健福祉手帳とは、精神保健福祉法にもとづき、一定程度の精神障害の状態にあることを証明する手帳です。

1級から3級までの等級があり、有効期限は2年と定められています。取得すると、税制上の優遇措置や各種割引、障害者雇用枠での就労など、さまざまな支援を受けられる場合があります。

この記事では、対象となる方や等級の考え方、有効期限と更新手続き、申請の流れ、受けられる支援の例までを分かりやすく整理します。手帳の取得を迷っている段階の方にとっても、今後の判断の材料となるよう解説します。

精神障害者保健福祉手帳とは

まず、この手帳がどのような制度であるかを整理します。

一定程度の精神障害の状態を示す手帳

精神障害者保健福祉手帳(一般に精神保健福祉手帳とも呼ばれます)とは、精神保健福祉法にもとづき、一定程度の精神障害の状態にあると認められた方に交付される手帳です。

対象となる精神疾患は幅広く、うつ病、双極性障害、統合失調症、不安症、発達障害、てんかんなどが含まれる場合があります。

障害者手帳には身体・知的・精神の3種類がありますが、そのうち精神障害・発達障害に対応するのがこの手帳です。

なお、精神疾患の初診日から原則として6か月以上経過していることが申請の要件となっている点は、ほかの障害者手帳と異なる特徴です。

具体的な要件や必要書類は自治体によって異なる場合があるため、事前にお住まいの自治体の窓口や主治医にご確認いただく必要があります。

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等級(1級・2級・3級)の考え方

精神障害者保健福祉手帳の等級は、精神疾患によって日常生活や社会生活にどの程度の制限があるかをもとに、1級から3級に区分されます。

  • 1級
    日常生活が著しい制限を受けるか、または制限を加えることを必要とする程度のもの
  • 2級
    日常生活が著しい制限を受けるか、または日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
  • 3級
    日常生活もしくは社会生活が制限を受けるか、または制限を加えることを必要とする程度のもの

等級は数字が小さいほど、日常生活や社会生活への制限が大きい状態を表します。

どの等級に該当するかは、主治医が作成する診断書の内容などをもとに、都道府県や指定都市の精神保健福祉センター等で専門的に判定されます。

そのため、個人の判断だけで特定の等級に決まるものではない点に留意が必要です。

有効期限と更新

精神障害者保健福祉手帳の有効期限は2年間です。

期限以降も継続して手帳の交付を希望される場合は、2年に1回、更新の手続きを行う必要があります。

更新の手続きは、有効期限が満了する日の3か月前から行うことが可能です。

更新申請の際にも、初診時と同様に医師の診断書などが必要となる場合が多いため、通院先の医療機関と相談しながら、期間に余裕を持って準備を進めておくと安心です。

なお、有効期限が近づいても自治体から個別の案内や通知が届かない地域もあるため、手帳の有効期限はご自身で把握し、管理しておくことが一般的です。

更新手続きを忘れて有効期限が切れると、手帳による各種支援が受けられなくなる期間が生じる可能性があるため注意が必要です。

受けられる支援の例

精神障害者保健福祉手帳の等級や、お住まいの自治体によって異なりますが、一般的に受けられる主な支援や優遇措置には次のようなものがあります。

  • 所得税や住民税などの税制上の控除(障害者控除)
  • NHK受信料の減免(世帯の課税状況や手帳の等級など一定の条件があります)
  • 公共交通機関や公共施設などの利用料金の割引(自治体や等級、事業会社により異なります)
  • 携帯電話料金の割引(各携帯電話キャリアの規定に基づきます)
  • 障害者雇用枠での就労

身体障害者手帳などの他の手帳と比較すると、特に公共交通機関の割引制度などは、自治体や各事業会社、あるいは手帳の等級によって対応が細かく分かれる傾向があります。

利用できる支援の具体的な内容や適用条件については、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口や、各サービスを提供している窓口へ個別にご確認いただく必要があります。

申請の流れ

精神障害者保健福祉手帳の申請は、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口で行います。一般的な手続きの流れは次のとおりです。

申請に必要な主な書類には、障害者保健福祉手帳申請書、主治医が作成した所定の診断書(または、精神障害を理由とする障害年金給付を受けている場合は年金証書の写しなど)、本人の写真(サイズ等の指定があります)などがあります。

また、近年は手続きの際にマイナンバー(個人番号)の確認書類や本人確認書類の提示を求められるのが一般的です。

必要書類を市区町村の窓口に提出すると、都道府県や指定都市の精神保健福祉センター等で専門的な判定が行われ、等級が決定されたのちに手帳が交付されます。

申請の手続きをしてから実際に手帳が交付されるまでには、一般的に1か月半から3か月程度の期間がかかる場合が多いとされています。

必要書類の詳細や細かな手続きの流れは、お住まいの自治体によって異なる場合があります。

手帳の申請を具体的に検討される際は、まずは主治医に相談し、あわせて市区町村の障害福祉担当窓口へ最新の情報を問い合わせていただくことが推奨されます。

手帳の取得後──働く準備や生活を整える

手帳を取得すると、障害者雇用での就労という選択肢が現実的になります。

一方で、「手帳は取ったけれど、いきなり働くのはまだ自信がない」「まずは安定した生活リズムから整えていきたい」と、段階的な準備を希望される方も少なくありません。

エンラボカレッジが提供している自立訓練(生活訓練)は、障害者総合支援法にもとづく障害福祉サービスの一種であり、就職の前段階として、生活リズム、対人関係、自己理解といった日常生活や社会生活の土台を整えるための支援を行っています。

エンラボカレッジでは「就職」だけを急ぐゴールにせず、ご自身の特性や体調の波を深く理解する時間を大切にしたプログラムを設計しています。日々のなかで「自分/支え方マニュアル」を作成しながら、周囲に必要な配慮を具体的な言葉にしていく取り組みも特徴です。

なお、こうした自立訓練(生活訓練)などの障害福祉サービスを利用する際は、手帳とは別に、お住まいの市区町村への申請と「障害福祉サービス受給者証」の交付手続きが必要となります。

手帳取得後の進路や、ご自身のペースに合わせた生活設計に迷ったときの相談先のひとつとして、活用をご検討いただけます。

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よくある質問

Q. 手帳を取得すると、就職活動や就職後に不利になりませんか。

A. 障害者手帳を取得すること、また、それを企業に開示(提示)するかどうかは、本人の意思に基づきます。

一般雇用枠で応募・就労するにあたって、手帳の所持を企業側に伝える法的義務はありません。

そのため、手帳を取得することで「障害者雇用枠」という新たな選択肢が加わり、就職の可能性が広がる利点があると捉えることもできます。

Q. 症状が回復してよくなった場合、手帳は返さなければいけませんか。

A. 精神保健福祉法等の法令により、精神障害の状態に該当しなくなったときなどは、手帳を返還しなければならないと定められています。

実際の運用としては、2年ごとの更新手続きの際に提出する診断書等の内容に基づき、審査によって等級の見直しや、対象外(不該当)との判定がなされた場合に、手帳の効力が失われる、あるいは返還の手続きを行う形になります。

体調の変化や今後の手続きに不安がある場合は、お住まいの市区町村の窓口や主治医に事前にご相談ください。

Q. 発達障害でも精神障害者保健福祉手帳の対象になりますか。

A. 発達障害も精神障害者保健福祉手帳の交付対象に含まれます。

ただし、他の精神疾患と同様に、初診日から原則として6か月以上経過していることや、その発達障害によって日常生活や社会生活にどのような制限が生じているかなどが、主治医の診断書の内容をもとに総合的に判定されます。

まとめ

精神障害者保健福祉手帳(精神保健福祉手帳)とは、一定程度の精神障害の状態にあることを証明する手帳であり、等級は1級から3級まで区分され、有効期限は2年間(以降は更新手続きが必要)と定められています。

手帳を取得することで、税制上の控除や障害者雇用枠での就労など、さまざまな支援や優遇措置を受けられる場合があります。

手帳の具体的な等級判定や申請手続きは、主治医の診断書をもとに、各自治体の然るべき機関を通じて進められます。

「自分の場合はどのような基準になるのか」

「どのような支援が受けられるのか」

など、ご自身の状況に合わせた具体的な情報を確認したいときは、まずは主治医やお住まいの市区町村の障害福祉担当窓口に相談してみることをおすすめします。

また、手帳を取得した後の生活リズムの安定や働くための準備については、自立訓練(生活訓練)などの障害福祉サービスを上手に活用することも有効な選択肢のひとつとなります。

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出典・参考

  • 厚生労働省「障害者手帳について」
  • 東京都福祉局「精神障害者保健福祉手帳」

監修

株式会社エンラボ 専門職チーム
精神保健福祉士・社会福祉士・臨床心理士・作業療法士・理学療法士が在籍し、福祉・医療・心理の専門的な視点から記事内容を確認しています。

 

※本記事は一般的な情報提供を目的として作成されたものです。手帳の対象・等級・申請手続き・受けられる支援は自治体によって異なり、制度の見直しが行われることもあります。最新の情報については、主治医およびお住まいの市区町村の障害福祉担当窓口にご確認ください。

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