障害者手帳とは?3つの種類と申請方法をわかりやすく解説

更新日:2026/06/16

「障害者手帳を取ったほうがいいのだろうか」と考え始めると、種類の違いや申請方法、取得することのメリットなど、調べることが多くて立ち止まってしまう方は少なくありません。

「自分や家族はどの手帳に当てはまるのか」が、まず分かりにくいところではないでしょうか。

障害者手帳とは、障害があることを公的に証明する手帳の総称で、身体・知的・精神の区分に応じて3つの種類があります。手帳を所持していると、税の控除や各種料金の割引、就労支援など、さまざまな支援を受けられる場合があります。

この記事では、3種類の手帳それぞれの特徴、受けられる支援、申請の流れまでを整理します。
どの手帳がご自身に関係するのか、最初のイメージをつかむための参考にしてください。

障害者手帳とは

まず、「障害者手帳」という言葉が指す基本的な仕組みを整理します。

障害があることを公的に証明する手帳の総称

障害者手帳とは、一定以上の障害があることを公的に証明する手帳の総称です。

「障害者手帳」という名前の単一の手帳があるわけではなく、障害の区分に応じて、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の3種類に分かれています。

手帳を取得すると、障害の種類や程度(等級)に応じて、所得税や住民税の控除、公共料金・交通機関の割引、障害者雇用枠での就労、各種福祉サービスの利用など、さまざまな支援を受けられる場合があります。

受けられる支援の具体的な内容は、手帳の種類や等級、またお住まいの自治体によって異なります。

「障害者手帳」と「受給者証」は別のもの

障害者手帳と混同されやすいものに、障害福祉サービスを利用するための「障害福祉サービス受給者証(受給者証)」があります。

障害者手帳は「障害があることの公的な証明」であるのに対し、受給者証は「必要な福祉サービスを利用するための証明」であり、それぞれ根拠となる制度が異なります。

そのため、自立訓練や就労移行支援などの障害福祉サービスは、障害者手帳を持っていなくても、医師の診断書などをもとに受給者証を取得すれば利用できる場合があります。

障害者手帳の3つの種類

3種類の手帳は、それぞれ対象や根拠となる公的制度が異なります。

身体障害者手帳

身体障害者手帳は、身体障害者福祉法に基づいて交付される手帳です。一定以上の身体の障害がある方が対象となります。

具体的には、視覚、聴覚・平衡機能、音声・言語・そしゃく機能、肢体不自由のほか、内部障害(心臓、腎臓、呼吸器、ぼうこう・直腸、小腸、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能、肝臓の機能障害)などが含まれます。

障害の程度に応じて、1級から6級までの等級に区分されています。

療育手帳

療育手帳は、児童相談所または知的障害者更生相談所において知的障害があると判定された方に交付される手帳です。

この手帳には一律の根拠法令がなく、国の通知(ガイドライン)をもとに各自治体が独自の基準で運営しています。

そのため、東京都の「愛の手帳」やさいたま市の「みどりの手帳」のように、お住まいの自治体によって手帳の名称や障害の区分(重度・中軽度など)が異なるのが大きな特徴です。

精神障害者保健福祉手帳

精神障害者保健福祉手帳は、精神保健福祉法(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律)に基づいて交付される手帳です。一定程度の精神障害の状態にあり、日常生活や社会生活に制約がある方が対象となります。

統合失調症、うつ病や双極性障害などの気分障害、てんかん、発達障害、高次脳機能障害など、さまざまな精神疾患が対象になり得ます。

等級は障害の程度に応じて1級から3級まであり、有効期限は交付から2年間と定められているため、継続して利用する場合は2年ごとに更新手続きが必要です。

受けられる支援の例

手帳の種類や等級、お住まいの自治体によって異なりますが、手帳を取得することで受けられる主な支援には次のようなものがあります。

  • 所得税・住民税などの税の控除(障害者控除)
  • 鉄道、バス、タクシーなどの公共交通機関や、各種公共施設利用料の割引
  • 携帯電話料金の割引や、NHK受信料の免除(一定の要件があります)
  • 障害者雇用枠での就労機会の確保
  • 補装具や日常生活用具の購入・修理費用の助成(主に身体障害者手帳などが対象です)

支援の具体的な内容や適用される条件は、自治体や企業ごとに細かく異なります。

また、精神障害者保健福祉手帳については、交通機関によって割引の対象外となる場合や、独自のルールが設けられている場合もあります。

ご自身がどのような支援を受けられるかを正確に知りたいときは、事前にお住まいの市区町村の障害福祉担当窓口へご確認いただくか、各サービス提供元へ直接お問い合わせいただくのがスムーズです。

申請の流れ

障害者手帳の申請手続きは、手帳の種類によってプロセスや必要書類が異なります。いずれの手帳も、基本的にはお住まいの市区町村の障害福祉担当窓口(福祉事務所や障がい福祉課など)が申請の受付窓口となります。

それぞれの具体的な申請の流れは以下の通りです。

身体障害者手帳の申請手順

まず市区町村の窓口で所定の申請書と診断書の様式を受け取ります。

次に、身体障害者福祉法第15条に基づき指定された医師(15条指定医)に診察を受け、専用の診断書・意見書を書いてもらう必要があります。

医師から診断書を受け取ったら、申請書、本人の写真、マイナンバー確認書類などとともに市区町村の窓口へ提出します。

精神障害者保健福祉手帳の申請手順

申請方法には、医師の診断書による方法と、障害年金証書による方法の2通りがあります。

診断書で申請する場合は、精神障害の初診日から6か月以上経過した後に、精神保健指定医などが記載した所定の診断書を用意します。

精神障害を支給事由とする障害年金を受給している場合は、医師の診断書の代わりに、年金証書の写し、直近の年金振込通知書の写し、年金事務所等への照会同意書を提出することで申請が可能です。

この場合、手帳の等級は原則として障害年金の等級と同じになります。 必要書類を揃え、市区町村の窓口へ提出します。

療育手帳の申請手順

療育手帳は、知的障害のある方を対象とした手帳です。

市区町村の窓口に申請書類を提出したのち、専門機関による判定(面接や知能検査、発達検査など)を受ける必要があります。 判定を行う機関は年齢によって分かれており、18歳未満の場合は児童相談所、18歳以上の場合は知的障害者更生相談所で判定が行われるのが一般的です。

自治体によっては独自の名称が使われている場合もあります。 この専門機関での判定結果に基づいて、交付の可否や等級が決定されます。

手帳の取得後──働く準備や生活を整える

手帳を取得することによって、障害者雇用枠での就労機会や、さまざまな障害福祉サービスの利用といった新たな選択肢が広がります。

一方で、「手帳は取得したものの、これからどのように生活リズムや働き方を整えていけばよいか分からない」と不安や迷いを感じる方も少なくありません。

福祉サービスの一つである自立訓練(生活訓練)は、地域生活や就労に向けた土台作りのために、生活リズムの安定、対人関係の構築、自己理解などの訓練や相談・助言を受けることができる仕組みです。

エンラボカレッジが提供する自立訓練(生活訓練)では、単に「就職」のみをゴールとするのではなく、ご自身の特性や強みを深く理解するプロセスに重きを置いたプログラムを設計しています。手帳取得後の具体的な進路や、これからの生活設計に迷った際の、安心できる相談先のひとつとしてご活用いただけます。

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自立訓練(生活訓練)とは|対象者・期間・プログラム・費用を解説

よくある質問

Q. 手帳がないと障害福祉サービスは使えませんか。

A. いいえ、必ずしも手帳が必要なわけではありません。

自立訓練などの障害福祉サービスは、障害者手帳を持っていなくても、医師の診断書や意見書などをもとに市区町村から「障害福祉サービス受給者証(受給者証)」を取得すれば利用できる場合があります。詳しくは「受給者証」の解説記事をご覧ください。

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障害福祉サービス受給者証とは?申請の流れと手帳との違いを解説

Q. 手帳を取得すると、周囲や職場に知られてしまいますか。

A. いいえ、本人の同意なしに周囲に知られることはありません。

手帳の申請や取得、利用はすべてご本人の意思に基づきます。公的機関から学校や勤務先へ通知されることはありませんし、就職活動や就労の際も、手帳の所持を企業側に開示するかどうかはご自身で選択できます。

Q. 複数の障害がある場合、複数の手帳を持つことはできますか。

A. はい、障害の状態や基準を満たしているかどうかによっては、種類の異なる手帳を併せて所持することが可能です。

例えば、身体障害と精神障害の基準にそれぞれ該当する場合、身体障害者手帳と精神障害者保健福祉手帳を両方取得できるケースがあります。

具体的な要件については、お住まいの市区町村の窓口にご確認ください。

まとめ

障害者手帳とは、一定以上の障害があることを公的に証明する手帳の総称であり、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の3種類に分かれています。

手帳を所持することで、税制上の優遇措置や各種料金の割引、障害者雇用枠での就労など、多面的な支援を受けられる場合があります。

どの手帳の交付対象となるか、どのような支援が適用されるかは、障害の種類や程度、またお住まいの自治体によって細かく異なります。

「ご自身やご家族の場合はどうなるのか」という正確な情報や詳細を確認したいときは、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口へ相談してみることをおすすめします。

また、手帳の取得後に向けた生活リズムの安定や働く準備については、自立訓練(生活訓練)などの福祉サービスを利用することも有効な選択肢となります。

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利用された方のストーリー

出典・参考

  • 厚生労働省「障害者手帳について」
  • 厚生労働省「障害者手帳(身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳)」

監修

株式会社エンラボ 専門職チーム
精神保健福祉士・社会福祉士・臨床心理士・作業療法士・理学療法士が在籍し、福祉・医療・心理の専門的な視点から記事内容を確認しています。

 

※本記事は一般的な情報提供を目的として作成されています。障害者手帳の交付対象や等級の判定、具体的な申請手続き、受けられる支援の内容は自治体によって細かく異なり、法律や制度の見直しが行われる場合もあります。最新かつ正確な情報については、必ずお住まいの市区町村の障害福祉担当窓口にご確認ください。

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