発達障害のある方に向いている仕事(職種)や職場環境とは?

公開日:2023/12/01

発達障害のある方の中で、「ケアレスミスが多い」「上司の指示とズレがある」など、仕事で悩みがある方もいると思います。

発達障害にはADHD、ASD、LDなどの分類があり、それぞれに特徴が異なっています。また、発達障害の分類が同じでも具体的な特徴や困ることは一人ひとり違っています。

そのため、自分の特徴を把握したうえで向いている仕事を探していくことが大切です。
この記事では、発達障害の分類ごとの特徴や向いている仕事、発達障害のある方が活用できる支援機関などを紹介します。

発達障害とは?

発達障害とは生まれつき多くの人とは異なる特性があり、日常生活や仕事などに影響が出る障害のことです。

 

発達障害にはその特性によって主に、

  • ADHD(注意欠如・多動症)
  • ASD(自閉スペクトラム症)
  • LD(学習障害/限局性学習症)

という3つの分類があります。

 

それぞれ発達障害の特性と仕事内容や職場環境が合わないことで、仕事で困難を感じている方も多いと思います。

 

そのため、発達障害のある方は自身の特徴や困りごとを把握して、向いている仕事を探していくことが重要です。

 

この後紹介する発達障害の分類ごとの特徴や向いている仕事を参考に、自分に合った仕事を探していきましょう。

ADHD(注意欠如・多動症)の方の特徴や向いている仕事

まずは発達障害の中でADHDのある方の、特徴や向いている仕事を見ていきましょう。

ADHD(注意欠如・多動症)とは

ADHDとは、注意を一つに向けることが難しい「不注意」とじっとしていられない、思いつくとすぐ行動する「多動-衝動性」という特性がある発達障害の一つです。

ADHD(注意欠如・多動症)の特徴や困りごと

AHDHのある方には傾向があり、人によって不注意が出やすい方、多動-衝動性が出やすい方、両方が出やすい方がいます。

 

仕事で困ることとしては、

  • 遅刻や忘れ物、失くしものが多い
  • ケアレスミスが多い
  • スケジュール管理が苦手
  • マルチタスクが苦手
  • 静かにする場面で話してしまうことが多い

ことなどが挙げられます。

ADHD(注意欠如・多動症)の方に向いている仕事とは

ADHDのある方は困りごとがある一方で、好奇心が強く行動力がある、発想力があるなどの特徴もあります。

 

そのため一つのことをコツコツと行ったり正確性が求められる仕事よりは、アイデアを活かせる仕事や常に行動している仕事が向いている傾向があります。

ADHD(注意欠如・多動症)の方に向いている職場環境とは

ADHDのある方に向いている仕事環境としては、苦手な部分がカバーできる場所といえます。例えば、チームで作業するなどスケジュール管理を自分だけで行わない環境が合っていると考えられます。

 

他にも、チェック体制が整っていて一つのミスが大きなマイナスとならない環境も向いているといえるでしょう。

ASD(自閉スペクトラム症)の方の特徴や向いている仕事

次に発達障害の中でASDのある方がどんな特徴を持っているか、どんな仕事が向いているかを紹介します。

ASD(自閉スペクトラム症)とは

ASDとは対人関係やコミュニケーション、興味関心の偏りといった特性がある発達障害の一つです。

以前は自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー症候群と呼ばれていたものが、統一されてできた診断名です。

ASD(自閉スペクトラム症)の特徴や困りごと

ASDのある方は、冗談や皮肉などの理解が難しく対人関係を築くことやコミュニケーションをする中で困るといった特徴があります。

 

また、興味の幅が狭く特定の物事や順番に強いこだわりを持つ傾向があります。他にも、耳や目から入る情報に過敏に反応する「感覚過敏」がある方もいます。

 

仕事の面で困ることは、

  • 「なるべく急ぎで」などあいまいな言葉の指示の理解が難しい
  • 職場の暗黙のルールがわからない
  • 興味のある分野のことだと一方的に話しすぎてしまう
  • 急な変更があったとき臨機応変に対応することが難しい
  • 職場の音や人の動きに敏感で消耗してしまう

などがあります。

ASD(自閉スペクトラム症)の方に向いている仕事とは

ASDのある方は、あいまいな指示や臨機応変の対応が苦手な反面、決まったことを黙々と取り組んで行くことが得意な方が多いという特徴もあります。

 

そういった点を踏まえてASDのある方に向いている仕事としては、変化が少なく、ルーティンが決まっている仕事などがあります。

ASD(自閉スペクトラム症)の方に向いている職場環境とは

ASDのある方に向いている職場環境としては、変化が少なく少人数や一人で進めていける仕事が多い環境があります。

 

仕事のマニュアルが整備されていて、あまりイレギュラーが発生しない状況だと力が発揮しやすいといえます。また、少人数や一人で仕事を進める場面が多いと指示で混乱することも少ないといえるでしょう。

 

感覚過敏がある方には静かな職場の他、フレックスタイムや在宅勤務だと通勤に伴う刺激を避けることもできます。

LD(学習障害/限局性学習症)の方の特徴や向いている仕事

最後に発達障害の中でLDのある方の特徴や向いている仕事について紹介します。

最後に発達障害の中でLDのある方の特徴や向いている仕事について紹介します。

LDとは知的能力とは別に、特定の領域の学習が極端に苦手な発達障害の一つです。SLD(限局性学習症)と呼ばれることもあります。

LD(学習障害/限局性学習症)の特徴や困りごと

LDには苦手な領域ごとに種類があります。

 

それぞれ

  • 書字障害:文字を書くことに困難がある
  • 識字障害:文章を読むことに困難がある
  • 算数障害:計算や概念の理解に困難がある

とわけられています。

 

仕事では、

  • 文章やメールの読み書きに時間がかかる
  • 手書きの書類を書くことが難しい
  • お釣りの計算など暗算が苦手
  • 図形やグラフの理解が難しい

といった困りごとがあります。

LD(学習障害/限局性学習症)の方に向いている仕事とは

LDのある方に向いている仕事は、自分の苦手な領域が少ない仕事といえるでしょう。

 

診断名が同じでも苦手となる分野は異なります。書字障害では手書きの機会が少ない仕事、識字障害では文章を読むことが少ない仕事を選ぶ方が働きやすいと考えられます。

LD(学習障害/限局性学習症)の方に向いている職場環境とは

LDのある方に向いている職場環境として、ツールを使用しやすい環境が挙げられます。

 

算数障害のある方はスマホが使えれば計算にも困難はないでしょう。逆に電子機器の持ち込みが不可の職場では、困ることが多くなるでしょう。

 

書字障害のある方も音声入力ツールなど、苦手がカバーできるツールが使える環境が向いているといえます。

発達障害の方に向いてる・向いていない仕事や職場環境

発達障害のある方が向いている仕事に共通することは「苦手を減らし得意を活かせる仕事」です。

 

ただ、「発達障害だからこの仕事が合っている」と断言はできません。ADHDと診断を受けていても一人ひとり特徴に違いがありますし、ASDの特徴も併せて表れる方もいます。自分自身の特徴をしっかりと把握して仕事を探していきましょう。

発達障害の方の仕事探しで頼れる支援やサービスを紹介

発達障害のある方が仕事探しをする上で活用できる支援などを紹介します。

ハローワーク

ハローワークには発達障害など障害がある方向けに仕事の相談窓口が設置されています。

 

窓口では専門のスタッフに仕事の相談ができ、セミナーや訓練、仕事の紹介などの支援を受けることができます。

 

また、発達障害のある方の就職に特化した、発達障害者トータルサポーターがいる場所もあります。

障害者手帳の取得

障害者手帳を取得すると、税金や公共料金の割引などの金銭的なサービスを受けることができる他、障害者雇用で働くことも可能になります。

 

障害者雇用とは障害のある方だけが応募でき、発達障害などの特徴に合わせた働き方がしやすくなる制度です。

 

また、発達障害のある方は精神障害者保健福祉手帳が対象となる他、知的障害を伴う場合などは療育手帳が対象となります。

就労移行支援

発達障害など障害のある方が一般企業で働くための訓練やサポートなどを提供しているのが、就労移行支援です。

 

就労移行支援では障害のある方を対象に、コミュニケーションや業務スキルなどの訓練、就職活動のサポートをしています。

 

また、仕事についた後も定着支援として長く働き続けるためのサポートを行っています。

自立訓練(生活訓練)

自立訓練(生活訓練)は発達障害など障害のある方に、対人関係、生活リズム、コミュニケーションなど自立した生活をするのに必要な支援を提供する機関です。

 

障害のある方の悩みに合わせて提供する支援は変わってきて、例えば発達障害でコミュニケーションでずれを感じている方へは座学とグループワークを通して円滑な会話ができるようなサポートをしています。

 

その他、発達障害で自分の特徴がわからず困っている方へは、自己分析のカリキュラムやスタッフとの面談を通して、自分の特徴や向いている仕事の整理などの支援を提供しています。

 

発達障害のある方で仕事とともに生活でも困りごとがある方は、一度検討してみてもいいでしょう。

 

エンラボカレッジでは、発達障害のある方で仕事に悩んでいる方に向けた無料の相談会を開催しております。オンラインで相談することも可能なので、ぜひご活用ください。

 

発達障害の仕事まとめ

発達障害の特徴と仕事内容や職場環境とが合っていないと、仕事の中で多くの困りごとが生じる可能性が高くなります。

 

そのため、発達障害のある方は自分の特徴を把握し、自分にとっての苦手を減らし得意を活かせる仕事を探していくことが、仕事における困りごとを軽減し、働きやすさにつなげられるでしょう。

 

とはいえ、発達障害といっても一人ひとり特徴は大きく異なります。自分だけで進めるのは難しいと感じる方は支援機関も活用していきましょう。

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