発達障害は遺伝?原因は?親や兄弟との遺伝の可能性に関して解説します。
公開日:2023/08/30
子供や兄弟に発達障害があるとわかったときに、「発達障害は遺伝するのだろうか?」と心配になった方もいると思います。
昨今、発達障害の原因について、様々な情報があふれていてどの情報を信じればいいのか難しくなってきています。発達障害の原因には遺伝を含めて様々なことが絡んでいるとされていますが、まだ研究途中で明確にはわかっていません。
この記事では発達障害と遺伝の関係や原因について、現在分かっていることを紹介します。
発達障害は遺伝する?
現在の研究では、遺伝も発達障害の一つの要因になっていると言われています。
ただ、それは親が発達障害だからといって、必ず子供に遺伝するというわけではなく、遺伝はあくまでも一つの要因として考えられているということです。実際には遺伝以外にも他の様々な要因が関係しあって発達障害が生じているとされています。
ある研究では、大規模な遺伝子解析による発達障害の原因遺伝子の分析も行われていますが、まだ明確な答えは出ていません。
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発達障害の原因
発達障害は生まれつき脳の機能に何らかの偏りがあることで生じていると考えられています。
その偏りの原因は遺伝も含めて色々な可能性が挙げられていますが、現在のところ明確にはなっていません。また、遺伝要因と他の環境要因など複数の要因が関係しているとされていて、一つに特定するのは難しいといわれています。
現在、発達障害の原因については治療法の確立などを目的に、遺伝をはじめとして多くの研究が進められている最中です。
発達障害の原因について、以下の記事に詳しく記載しておりますので、以下の記事もご参照ください。
発達障害とは?
発達障害の原因について紹介しましたが、そもそも発達障害とは脳の機能の偏りによって「興味関心の偏り」「不注意や多動・衝動性」などの特性が生じ、そのことが影響して生活する中で様々な困りごとが起こる障害です。
発達障害のある子供の場合だと、
- 言葉を話しはじめのが遅い
- 特定のおもちゃばかり遊んでいる
- 忘れ物やなくしものが多い
- 列に並んだりじっと待つことが難しい
- 漢字の読み書きなど特定の勉強が著しく苦手
といった特徴が表れることがあります。
大人になると、
- 仕事でケアレスミスが多くなる
- 仕事で複数のことを同時に処理することが難しい
- 対人関係を築くのが苦手
- あいまいな指示の理解が難しい
- 会議などでじっとしていることができない
など仕事で困る場面も増えるといわれています。
発達障害のある方は、このように日常生活や学校、仕事といった場面で困難を抱えていることも少なくありません。発達障害の原因や遺伝について知ることも大事ですが、本人がいま感じている困難を解消させる方法を探すことも大事です。
発達障害の原因は子育てではない
インターネットなどでは「発達障害の原因は子育て」といわれることもあり、不安に思う方もいると思います。しかし、発達障害は生まれつきの脳の機能の偏りによって生じるもので、子育てが原因で生じることはありません。
現在では、子育てや親の愛情不足、あるいは本人の努力不足が原因という見方は明確に否定されています。
とはいえ、発達障害のある子どもは多くの子どもと異なる特性があるため、子育てに工夫や支援が必要になる場合も多くあります。
発達障害の特性やその子どもの性格、困りごとなどを理解したうえで接することで、保護者自身の気持ちや子供の発達にプラスの効果があるといわれています。
専門的な支援やプログラムがいくつかありますので、子育てでお困りの方は自治体の子育て窓口などに相談してみるといいでしょう。
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兄弟が発達障害の場合は?遺伝しやすいの?
兄弟姉妹に発達障害がある場合、他の兄弟姉妹に遺伝するのか気になる方もいると思います。
発達障害が兄弟姉妹に遺伝する確率は関係性によって異なっており、一卵性双生児の場合は1人に発達障害があるともう1人も70%程度と高い確率で遺伝するという調査結果もありますが、他の兄弟姉妹の場合では遺伝する確率は20%程度ともいわれています。
このように、双子や兄弟姉妹であっても必ず発達障害が遺伝するわけではありません。それに、もし兄弟姉妹いずれにも発達障害があったとしても困ることはそれぞれ異なります。
この場合も遺伝など原因だけに注目するのではなく、その子自身の特性に合った接し方を探していくことが大切といえるでしょう。
発達障害の診断方法
家族に発達障害の診断や傾向のある方がいて、自身の生活や仕事をしていて「発達障害の傾向に当てはまるのでは?」と感じているかたは、困難を減らすためにも診断を受けてみることも方法としてあります。
発達障害の診断は専門医のいる病院で行うことができます。子供と大人で受診先が異なっており、子供の場合は小児科や児童精神科、児童神経科などがあります。大人の場合は精神科や心療内科などで受けることが可能です。また、どちらの場合も、総合病院などの発達障害外来でも診断を受けることができます。
発達障害の診断は、問診や心理検査と呼ばれる各種検査などを通して専門の医師が判断をします。これらの検査は1日だけでなく数日にわたって行われ、診断結果が出るまでには数週間かかることもあるといわれています。
また、診断は基本的に予約制となっており、すぐに受診できるかはわからないため、発達障害の診断には時間がかかることを念頭に置いておくといいでしょう。
病院選びに迷う場合は、自治体の障害福祉課や子育て窓口、発達障害者支援センターなどの窓口に相談すると紹介してくれる場合があります。また、インターネット上でも「住んでいる地域 発達障害 診断 病院」などと検索すると発達障害の診断ができる病院の一覧が出てくる場合もありますので、活用するといいでしょう。
ただ、発達障害に関わらず病院を受診するのは勇気がいる行為といえます。保護者や本人の気持ちも考慮して、何のために診断を受けるのか納得したうえで受診することも大切です。
発達障害の診断については、以下のリンクから詳細をお読みいただけますので、気になる方はご確認ください。
発達障害の診断方法とは?セルフチェック?病院?診断基準や診断方法、受けるべきか悩んだときの相談先などを紹介します。
発達障害の遺伝まとめ
子供に発達障害が合って、「遺伝が原因なのでは?」「兄弟にも遺伝するのか?」と気になる方もいると思います。
実際に発達障害が生じる原因に遺伝があるといわれています。ただし、発達障害は複数の要因が関係して生じるため、親に発達障害があっても必ず遺伝するというわけではありません。
それに発達障害は原因を考えることも大事ですが、本人や周りの方が今困っていることを解消する方法を探していくことも大事です。
本人や周りの人だけで対策を考えるのが難しい場合は、発達障害の子供や大人が利用できる支援機関もたくさんあります。そういった支援も活用しながら、困難を解消していきましょう。
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