障害者雇用の求人とは|仕事内容・探し方・採用までの流れを解説

更新日:2026/05/30

障害者雇用の求人にはどんな仕事があるのか、ハローワークと専門サイトのどちらから探せばよいのか――いざ動き出そうとすると迷う場面が多いテーマです。

障害者雇用は、2026年7月に法定雇用率が2.7%へ引き上げられることを背景に、企業側の採用ニーズが拡大しています。一方で、自分に合う求人を見つけ、合理的配慮を入社前に合意するには、経路ごとの強みと採用までの流れを押さえておく必要があります。

仕事内容・探し方の3経路・採用までの5ステップ・合理的配慮の言語化の4点を、実態の数値と現場感覚でまとめました。応募の進め方が具体的に見えてくるはずです。

自分の特性に合う仕事と合理的配慮を、複数経路で探す

第一に、障害者雇用の求人とは、障害者手帳のある方を対象とする雇用枠で、企業に法律で義務付けられた法定雇用率を満たすために設定されている採用区分です。

第二に、求人の探し方は「ハローワーク(公的窓口)」「障害者専門就職サイト(民間)」「就労移行支援事業所経由(伴走型)」の3経路があり、それぞれ強みと向き不向きがあります。

第三に、仕事内容は事務職・軽作業・IT職・販売職・専門職の5領域に大きく分かれ、企業側が「未経験でも受け入れやすい職種」と「実務経験が問われる職種」とで採用ハードルが異なります。

ここから整理できるのは、障害者雇用求人探しは「とにかく数をエントリーする」より、「自分の特性に合う仕事内容」と「企業側が合意できる合理的配慮」の2軸を明確にしたうえで、複数経路を使い分けるほうが結果につながりやすい、ということです。

そのうえで、「いまの自分には準備期間が必要そう」と感じる場合は、自立訓練や就労移行支援で土台を整えてから求人に向き合う選択肢もあります。

障害者雇用の求人とは|制度の前提を整理

ここから、求人を見るうえで前提となる制度の枠組みを整理します。

障害者雇用枠と一般雇用枠の違い

障害者雇用の求人は、企業が「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づいて設定している採用区分で、応募には原則として障害者手帳(身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳)が必要です。

一方の一般雇用枠は、障害の有無を問わない通常の採用区分で、必ずしも障害を開示する必要はありません。

両者の最大の違いは「障害を開示することを前提に、合理的配慮を企業側が用意したうえで採用される」かどうかにあります。

障害者雇用枠では、勤務時間・通院配慮・業務量調整・コミュニケーション方法など、合理的配慮の内容を入社前に企業と合意しておけることが大きな安心材料です。

一方で求人数や職種の幅は一般雇用枠より限られ、賃金水準も同じ職務でやや低めに設定されるケースが多いとされています。

障害者雇用と一般雇用の違いをさらに詳しく整理した記事として、障害者雇用とは|一般雇用との違いやメリット・デメリットもあわせてご覧ください。

法定雇用率と求人数の関係

企業に求人の設定を促しているのは、法定雇用率という仕組みです。

民間企業の法定雇用率は、2024年4月から2.5%、そして2026年7月からは2.7%に引き上げられる予定です。

これは「常時雇用する従業員のうち2.7%以上を障害者として雇わなければならない」という法的な義務で、未達成企業からは障害者雇用納付金が徴収されます。

対象企業の範囲も段階的に拡大されており、2026年7月以降は従業員約37.5人以上の企業が雇用義務の対象になる見込みです。

この引き上げを背景に、各企業の人事部門では「障害者雇用求人の枠を拡大する」「これまで一般雇用で募集していたポジションを障害者雇用枠でも募集する」といった動きが広がっています。

求人を探す側にとっては、追い風の状況と言えます。

雇用障害者数の実態(厚労省最新値)

実際の雇用状況は、どうなっているのでしょうか。

厚生労働省「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」によれば、民間企業に雇用されている障害者数は70万4,610人で、対前年比4.0%増加。実雇用率は2.41%で、いずれも過去最高を更新しています。

一方で法定雇用率(当時2.5%)達成企業の割合は46.0%にとどまり、半数以上の企業が未達成という状態が続いています。

つまり「雇用したくても、なかなか採用に至っていない企業」が一定数存在しているということで、求人を探す側にとってはチャンスとも言える状況です。

ただし「達成していない企業=積極的に採用したい企業」とは限らず、なかには「採用したいが、合う人材に出会えていない」「合理的配慮の準備が整っていない」企業もあります。

求人を見極める際には、企業の実雇用率や障害者雇用の実績年数も判断材料の一つになります。

出典:厚生労働省「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」

障害者手帳の種類と対象

障害者雇用枠への応募には、障害者手帳の所持が原則として求められます。

対象となる手帳は以下の3種類です。

身体障害者手帳:身体障害(視覚・聴覚・肢体不自由・内部障害など)のある方が交付対象。1級から6級までの等級があります。

療育手帳:知的障害のある方が交付対象。自治体により名称・区分が異なり、「愛の手帳」「みどりの手帳」と呼ばれる地域もあります。

精神障害者保健福祉手帳:精神疾患(うつ病・双極性障害・統合失調症・発達障害など)のある方が交付対象。1級から3級までの等級があります。

発達障害のある方は、精神障害者保健福祉手帳の対象となります。

手帳の取得は最寄りの市区町村窓口で申請でき、申請から交付までは概ね1〜2か月かかります。

「手帳を取るかどうか迷っている」という方は、まず主治医や市区町村の障害福祉課に相談すると、取得のメリット・デメリットを整理しやすくなります。

障害者雇用求人の仕事内容|5領域で整理

「障害者雇用 求人」で検索される方が最も知りたいのが、「実際にどんな仕事があるか」です。

求人票で見かける職種を、5領域に分けて整理します。

領域1|事務職(最多カテゴリ)

障害者雇用求人で最もボリュームが大きいのが、事務職カテゴリです。

具体例:データ入力、書類整理、伝票処理、電話応対の補助、郵便物の仕分け、社内資料の作成補助、Excelでの集計、文書のスキャン・ファイリングなど。

未経験から始められる業務が多く、PC基本操作(Word・Excel・メール)ができれば応募できる求人が大半です。

精神障害や発達障害のある方が「対人接触を減らしながら、定型業務でリズムを作りたい」という希望で選ぶケースが目立ちます。

近年は「サテライトオフィス勤務」「フルリモート可」といった働き方を選べる事務職求人も増えており、通勤負担を減らしたい方の選択肢が広がっています。

領域2|軽作業(製造・物流・清掃)

軽作業カテゴリは、製造・物流・清掃の現場業務を含みます。

具体例:商品のピッキング、検品、梱包、ラベル貼り、部品の組立補助、倉庫内仕分け、オフィス清掃、グリーン管理(観葉植物のメンテナンス)など。

知的障害や身体障害のある方の採用実績が比較的多いカテゴリで、業務手順がパターン化されているため習熟しやすい点が特徴です。

身体を動かす業務が中心になるため「座り続けるのが苦手」「決まった動作を反復するほうが落ち着く」という方に向いています。

工場や物流センターでの採用が多いため、勤務地が郊外に寄る傾向があります。

領域3|IT職(エンジニア・テスター・データアナリスト)

IT職カテゴリは、近年急速に求人が拡大している領域です。

具体例:Webサイトの運用、システムのテスト・QA、データ入力からデータ分析、簡単なプログラミング、社内ITサポート、サーバー監視業務など。

未経験から目指す場合は、IT分野に特化した就労移行支援事業所や職業訓練校でスキルを身につけてから応募するルートが一般的です。

発達障害のある方の「特定分野への集中力」「論理的思考」を強みとして評価する企業が増えており、近年は「ASDの方の採用に特化したIT職プログラム」を設ける大手企業も出てきています。

賃金水準は障害者雇用枠のなかでは比較的高めで、専門性を身につけられた場合のキャリアの広がりも見込めます。

領域4|販売・接客(小売・サービス業)

販売・接客カテゴリは、対人接触のある現場業務です。

具体例:店頭での品出し、レジ業務、商品案内、店舗清掃、カフェ・レストランでのホール業務・調理補助、宿泊施設での清掃・客室準備など。

「人と関わる仕事に挑戦したい」「決まった場所で身体を動かす仕事が向いている」という方が選ぶ傾向があります。

精神障害や発達障害のある方が販売職を希望する場合、入社前に「ピーク時間帯(混雑時)の業務量調整」「休憩タイミングの相談」など、具体的な配慮内容を企業と合意しておくことが、長く続けるうえでのポイントになります。

領域5|専門職(医療・福祉・専門技術)

専門職カテゴリは、資格や実務経験を活かせる領域です。

具体例:経理・財務、人事・労務、デザイン、ライティング、翻訳、エンジニア(経験者)、医療事務、福祉専門職、法律事務など。

「障害になる前のキャリアを活かしたい」という中途採用層が中心で、職務経歴書での実績アピールが採用の決め手になります。

求人数自体は事務職や軽作業より少なめですが、「自分の専門性を活かせる職場で、合理的配慮を受けながら働きたい」というニーズに合うカテゴリです。

仕事内容を選ぶときの3視点

5領域から自分に合う仕事内容を選ぶ際の視点を、3つ整理します。

視点1|身体特性との相性:座り作業と立ち作業のどちらが楽か、外勤の負荷をどう感じるか、感覚過敏(音・光・匂い)への対応がどの程度必要か。

視点2|対人接触の許容量:1日のうち、人と話す時間がどれくらいなら無理なく続くか。電話応対が必要か、対面接客が中心か。

視点3|得意な認知特性:マルチタスクと単一タスクのどちらが得意か。マニュアル通りに進めるのが得意か、状況判断が必要な業務が得意か。

この3視点を整理してから求人票を見ると、「魅力的な企業名」だけで応募してしまうことを避けやすくなります。

エンラボカレッジのMy Lab.プログラムでは、こうした自己理解を1冊の『自分/支え方マニュアル』にまとめる時間を設けています。

障害者雇用求人の探し方|3つの経路

求人を探すルートは大きく3つに整理できます。それぞれの強み・向き不向きを順に見ていきます。

経路1|ハローワーク(公的窓口)

ハローワーク(公共職業安定所)には、障害者専門の相談窓口が設置されており、専門援助部門の相談員が求職活動を支援してくれます。

強み:地域密着の求人が多く、地元企業・中小企業の求人も豊富。利用は無料で、職業相談・職業紹介・職業訓練の案内まで一括で受けられる。応募書類の書き方・面接対策の相談にも対応。

向いている方:地元での就職を希望する方、初めて障害者雇用の求人を探す方、職業訓練校の利用も視野に入れている方。

注意点:求人票の情報量が限定的なため、企業の雰囲気・配慮実績などは別途確認が必要。担当相談員との相性により、利用満足度に差が出るケースもあります。

ハローワークの専門援助部門は、原則として障害者手帳の提示があれば誰でも利用でき、予約の有無は窓口により異なります。

初回利用時には「求職申込書」を記入し、担当の相談員が割り当てられます。

経路2|障害者専門就職サイト(民間)

民間の障害者雇用専門の就職サイトでは、Web上で求人検索から応募までを完結できます。

強み:求人検索のしやすさ、企業の詳細情報(写真・社員インタビュー)が充実、職種・勤務地・障害種別での絞り込み検索が可能、複数の企業に効率的にエントリーできる。

向いている方:自分のペースで求人を比較検討したい方、首都圏・大都市圏での就職を希望する方、大手・上場企業を中心に検討したい方。

注意点:求人は大都市圏・大手企業に偏る傾向があり、地方求人や中小企業の求人は少なめ。エージェント型サイトの場合、担当者の対応品質に幅がある。

利用には、サイトへの会員登録(無料)が必要で、登録後にエージェントから求人紹介の連絡を受けるパターンが一般的です。

複数サイトの併用も問題なく、それぞれの強みを活かして使い分ける方が多いです。

経路3|就労移行支援事業所経由

就労移行支援事業所では、利用者の特性アセスメントから求人紹介・職場実習・面接同行・職場定着支援まで、一気通貫で支援を受けられます。

強み:個別の特性を踏まえた求人マッチング、企業との関係性を活かした非公開求人、面接同行や入社後の職場定着支援、合理的配慮の言語化サポート。

向いている方:自己理解や面接対策にじっくり時間をかけたい方、入社後の職場定着まで支援を受けたい方、特性を踏まえた求人選定が欲しい方。

注意点:通所が必要なため、生活リズムの確立が前提。利用期間は原則2年間と上限がある(就労移行支援の場合)。

就労移行支援の概要は、就労移行支援(就労支援)ってどんなところ?で詳しく解説しています。

「複数経路の併用」が成功率を高める

3経路は対立する選択肢ではなく、併用が原則です。

実際には、ハローワークで地元求人を探しつつ、就職サイトで大手の求人を比較し、就労移行支援で自己理解と面接対策を進める――こうした使い分けが、結果につながりやすいパターンとして見られます。

「ひとつの経路に絞る」より、「複数経路から情報を集めて、自分のなかで比較する」ほうが、入社後のミスマッチを減らせます。

採用までの流れ(5ステップ)

求人応募から入社までの流れを、5ステップで整理します。

ステップ1|エントリー(応募書類の提出)

気になる求人が見つかったら、応募書類を提出します。

障害者雇用枠で求められる書類は、一般的に以下の3点です。

  • 履歴書(写真付き、手書きまたはPC作成)
  • 職務経歴書(中途採用の場合)
  • 障害者手帳のコピー(求める企業の場合)

加えて、近年は「配慮事項書(ナビゲーションブック)」を提出するケースが増えています。

配慮事項書とは、自分の障害特性・得意なこと・苦手なこと・希望する合理的配慮を、A4で1〜2枚にまとめたものです。

企業側が「どんな配慮を用意すれば、この方が力を発揮できるか」を事前に把握できるため、面接の質が大きく変わります。

エンラボカレッジでは、My Lab.プログラムで作成する『自分/支え方マニュアル』が、この配慮事項書としても活用できる形でまとめられています。

ステップ2|書類選考

提出された書類をもとに、企業側が書類選考を行います。

選考基準は企業により異なりますが、「業務に必要な基礎スキルの有無」「合理的配慮の希望内容と、企業側が用意できる配慮の整合性」「就労意欲・継続勤務の見込み」などが見られています。

書類選考の通過率は職種・企業規模により幅がありますが、未経験OKの事務職では応募者の50〜70%程度、専門職や人気企業では10〜30%程度というのが、求人サイトの公表データから見える目安です。

「1社目で必ず通る」とは限らないため、複数社に並行応募するのが一般的です。

ステップ3|面接(1〜3回)

書類選考を通過すると、面接に進みます。

面接回数は企業規模により異なり、中小企業なら1〜2回、大手企業なら2〜3回が一般的です。

障害者雇用の面接で頻出する質問は、以下のとおりです。

  • 障害の状況と現在の体調管理について
  • これまでの就労経験と離職理由
  • 希望する合理的配慮の内容
  • 通院頻度・服薬の状況
  • 当社を志望した理由
  • 入社後にチャレンジしたいこと

特に「合理的配慮の内容」は、面接の中心テーマになります。

「どんな場面で、どんな配慮があれば、どう力を発揮できるか」を、具体的な業務シーンを想定して説明できることが重要です。

抽象的に「ストレスに弱いので配慮してほしい」と伝えるより、「マルチタスクが苦手なので、業務の優先順位を一日の始めに指示してもらえると安定して進められる」のように、業務に紐づけた具体提案として伝えると、企業側も判断しやすくなります。

ステップ4|内定〜労働条件の確認

面接を通過すると、内定が出されます。

内定段階で必ず確認したいのは、以下の項目です。

  • 勤務時間・休憩時間
  • 試用期間の有無と試用期間中の労働条件
  • 給与(基本給・諸手当・賞与)
  • 合意された合理的配慮の内容
  • 通院休暇の取り扱い
  • 障害者職業生活相談員の有無

これらは「労働条件通知書」に書面で明記される項目です。

「口頭で約束された配慮」が、書面で明文化されていないと、入社後に「言った・言わない」のトラブルになるリスクがあります。

不明点は遠慮せず内定段階で確認し、書面化を求めるのが安心です。

ステップ5|入社〜職場定着支援

入社後の最初の数か月は、職場環境への適応期間です。

精神障害のある方の場合、調査によれば1年後の職場定着率が49.3%とされており、半数近くの方が1年以内に離職している状況です。

長く働き続けるためには、入社後も継続的なサポートが欠かせません。

就労移行支援事業所を経由して入社した方は、入社後6か月までは事業所による定着支援を受けられます。

それ以降は「就労定着支援」という別サービスに切り替わり、最大3年間(合計3年6か月)にわたって職場との橋渡しを継続できます。

ハローワーク経由で入社した方は、地域の「障害者就業・生活支援センター」(通称:なかぽつ)が定着支援を担う場合があります。

「困ったときに誰に相談するか」を入社前から決めておくと、初期のトラブルを早期に解決しやすくなります。

合理的配慮の具体例|障害種別ごとの傾向

採用面接で必ず話題になる「合理的配慮」について、障害種別ごとの具体例を整理します。

「自分は何を求めればよいのか」を考える素材としてご活用ください。

精神障害(うつ病・双極性障害・統合失調症など)の例

精神障害のある方が求める配慮の例は、以下のとおりです。

  • 定期通院のための時間休・半休の取得
  • 業務量・業務内容の段階的な引き上げ
  • 静かに作業できる席の配慮
  • 残業の原則免除(または事前相談制)
  • 体調不良時の業務優先順位の調整
  • 1on1ミーティングの定期実施

体調の波がある方の場合、「悪化時にも継続できる最低限の業務」を事前に話し合っておくと、波が来たときに離職を防ぎやすくなります。

うつ病のある方の転職時のポイントは、うつ病の方が転職するには|進め方や受けられる支援でも整理しています。

発達障害(ASD・ADHD・LDなど)の例

発達障害のある方が求める配慮の例は、以下のとおりです。

  • 業務指示の文書化(口頭指示だけでなく、メールやチャットでの併用)
  • マルチタスクを避けた業務設計
  • 急な予定変更の事前共有
  • 感覚過敏(音・光)への配慮(イヤホン使用許可、照明調整)
  • 雑談の少ない座席配置
  • 業務マニュアルの整備

発達障害のある方の場合、業務指示の伝え方ひとつで成果に大きな差が出ます。

「曖昧な指示が苦手なので、具体的なアウトプットと期限を明示してほしい」のように、業務遂行の具体策として伝えると、企業側も対応しやすくなります。

発達障害のある方の転職については、発達障害のある人が転職するには|進め方や働きやすい環境で詳しく解説しています。

身体障害の例

身体障害のある方が求める配慮の例は、以下のとおりです。

  • 車椅子で移動できるバリアフリー環境
  • 高さ調整可能な机・椅子
  • 音声読み上げソフトの導入(視覚障害)
  • 筆談・チャット中心のコミュニケーション(聴覚障害)
  • 通勤負荷を減らすための時差出勤・在宅勤務
  • 多目的トイレへのアクセス

身体障害のある方の場合、設備面の配慮が中心となり、企業側も対応の見通しを立てやすいケースが多いです。

入社前に職場見学を行い、実際の動線を確認しておくことが大切です。

知的障害の例

知的障害のある方が求める配慮の例は、以下のとおりです。

  • 業務を細分化した上での明確な手順書
  • マンツーマンでの指導期間の確保
  • 担当業務の固定化
  • 視覚的な指示(写真・図解)
  • 業務指示の繰り返し説明
  • 困ったときに相談できる担当者の明確化

知的障害のある方の場合、「業務量を増やすより、決まった業務を確実に遂行する」設計のほうが、本人の力が発揮されやすい傾向があります。

知的障害のある方の就職については、知的障害の方の就職|就職率や就職活動の進め方もあわせてご覧ください。

「配慮を求める=甘え」ではない

「合理的配慮を求めるのは甘えではないか」と感じる方もいらっしゃいます。

しかし、2024年4月からは民間企業にも合理的配慮の提供が法的義務として課されており、「障害のある方が能力を発揮できる環境を整えること」は、企業側の責務として位置づけられています。

配慮を求めることは、本人の権利であり、企業側の義務でもあります。

「自分は何を求めればよいのか」が分からない方は、就労移行支援や自立訓練の場で、自己理解と配慮の言語化を一緒に進めていく道筋もあります。

求人を見極める7つのチェックポイント

求人票を読み解き、応募先を選定する際の7つのチェックポイントを整理します。

チェック1|障害者雇用枠か一般雇用枠か

求人票に「障害者採用」「障害者雇用枠」の明記があるかを確認します。

明記がない場合は、企業の採用担当に直接確認するか、ハローワーク・支援機関を経由して問い合わせる方法があります。

チェック2|業務内容の具体性

「事務全般」など曖昧な記載ではなく、「電話応対は1日X件程度」「Excelでの集計業務が中心」など、業務内容が具体的に書かれている求人のほうが、入社後のミスマッチを避けやすい傾向があります。

チェック3|勤務時間・休憩・残業の実態

求人票に書かれた所定労働時間と、実際の残業実態に乖離がないか。

面接で「直近半年の残業時間の平均値」を質問すると、企業側の対応姿勢が見えてきます。

チェック4|合理的配慮の事例公開

企業のWebサイトや採用ページで、合理的配慮の具体例や、障害者雇用の社員インタビューが掲載されているかを確認します。

情報開示が積極的な企業ほど、入社後の運用も丁寧な傾向があります。

チェック5|給与・賞与・昇給制度

基本給だけでなく、賞与・昇給・通勤手当・住宅手当などの諸手当を含めた年収を試算します。

障害者雇用枠だからといって昇給がない仕組みではなく、近年は一般雇用と同等の昇給制度を整備する企業も増えています。

チェック6|障害者職業生活相談員の配置

雇用障害者数が5人以上の事業所では、障害者職業生活相談員を選任することが義務付けられています。

「相談できる担当者がいる」企業のほうが、入社後の不安を相談しやすい環境が整っています。

チェック7|過去の障害者雇用実績

企業のサステナビリティレポートやIR資料で、障害者雇用の実雇用率や、過去5年間の障害者雇用数の推移を確認します。

実績が安定して維持されている企業ほど、職場の受け入れ態勢が成熟していると判断できます。

障害者雇用求人の実例|自立訓練(生活訓練)エンラボカレッジ利用者の事例

※以下は自立訓練(生活訓練)エンラボカレッジを利用された方の支援事例です(医学的な症例研究ではありません)

ここまで制度と探し方を整理してきましたが、実際に求人を経て就職を実現された方の事例を3つご紹介します。

実例1|自立訓練を経て障害者雇用へ進んだケース

エンラボカレッジを利用された方のなかには、自立訓練で生活リズムと自己理解の土台を整えてから、障害者雇用での就職を実現されたケースがあります。

たとえば、自立訓練で『自分/支え方マニュアル』を作成し、面接でその内容を企業に共有することで、入社前から具体的な合理的配慮の合意を得られた方がいらっしゃいます。

詳しくは、自立訓練で就労準備を整え、障害者雇用で安定就労するまで(エンラボストーリー)をご覧ください。

実例2|発達障害のある方が障害者雇用へ進んだケース

発達障害(ADHD・ASD)のある方が、自立訓練を経て障害者雇用での就職を実現したケースです。

エンラボカレッジでの感情学・コミュニケーションのプログラムを通じて、対人疲労の対処法と業務の優先順位の立て方を整理し、それを面接で企業に伝えることで、配慮事項を事前に合意できたパターンが見られます。

詳しくは、発達障害からの再出発。自立訓練で感情を整え、障害者雇用へ(エンラボストーリー)をご覧ください。

実例3|業界全体の傾向から見る精神障害のある方の就職

業界最大手の就労移行支援事業者の累計実績では、これまで17,000名以上の障害のある方が就職を実現しています。

その膨大な事例のなかから見えるパターンとして、精神障害のある方が長く働き続けるためには「自分の障害特性を理解し、周囲に伝えられること」「生活リズムが整っていること」「他者とのコミュニケーションが安定的にとれること」の3点が重要だとされています。

職場定着率は1年後で49.3%と、半数近くが1年以内に離職している現状を踏まえると、入社後の定着支援を受けられる経路(就労移行支援・障害者就業・生活支援センターなど)を選ぶことが、長期就労につながりやすい選択と言えます。

実例から見える共通点

3つの実例に共通するのは、「求人にエントリーする前に、自己理解と配慮の言語化を済ませている」点です。

「とにかく求人に応募する」より、「自分の特性を整理してから、それに合う求人を絞り込む」アプローチのほうが、入社後の定着率が高くなる傾向があります。

エンラボカレッジでは、My Lab.プログラムで作成する『自分/支え方マニュアル』が、求人選定・面接対策・入社後の定着までを通じて活用できるツールとして機能しています。

エンラボカレッジが「障害者雇用求人に向かう前の土台作り」でできること

ここまで障害者雇用の求人を整理してきましたが、「いますぐ求人に応募するのは少し不安」と感じる方には、求人に向かう前に生活と気持ちを整える時間を持つ選択肢があります。

エンラボカレッジは、神奈川・東京・大阪・宮崎の11拠点で自立訓練(生活訓練)と就労移行支援を運営している事業者です。

自立訓練で「働く土台」を整える

自立訓練(生活訓練)は、原則2年間を上限に「生活面・自己理解・体調コントロール」の土台を整えるサービスです。

エンラボカレッジの自立訓練では、ステージ1〜4の4段階で「自分を知る・学ぶ→学んだことができる→学びを応用できる→自信を持ち、次に進める」というカリキュラムを組み立てています。

このプロセスで、「自分が無理なく続けられる仕事内容」「企業に伝えるべき合理的配慮」が見えてきます。

8つのプログラムで「自分の取扱説明書」を作る

自立訓練では、感情学/コミュニケーション/My Lab./アクティビティ/Life Lab./ソマティック Lab./Social Lab./スキルアップの8プログラムを組み合わせています。

なかでもMy Lab.は、利用される方が『自分/支え方マニュアル』という独自成果物を作る時間です。

このマニュアルが、後に障害者雇用求人の選定・面接・入社後の配慮合意に直接活かせるツールとして機能します。

スキルアップで業種の向き・不向きを整理

8プログラムのひとつ「スキルアップ」では、働く目的や心構えのほか、スキルチェックを通じて業種の向き・不向きを整理します。

「どんな仕事内容なら自分の力を発揮しやすいか」「どんな職場環境が合わないか」を、求人を見る前に明確化できます。

卒業後の進路の多様性

自立訓練の卒業後の進路は、就労移行支援、障害者雇用での一般就労、就労継続支援A型・B型、復職、進学など多様です。

「就職ありき」ではなく、本人の状況に合わせて進路を一緒に決める姿勢が、エンラボカレッジの設計思想です。

40代から自立訓練で働き方を見直していった方のプロセスは、うつとADHDの40代が自立訓練で土台を整え安定した就労へ(エンラボストーリー)もあわせてご覧ください。

よくある質問(FAQ)

障害者雇用の求人は、障害者手帳がないと応募できませんか?

原則として、障害者雇用枠での応募には障害者手帳の所持が必要です。

ただし、手帳の取得を申請中の場合は、企業によっては「内定後の取得を条件に」応募を受け付けるケースもあります。

手帳を取得していない方は、まず主治医や市区町村の障害福祉課に相談し、取得の流れを確認することをおすすめします。

障害者雇用の給与は一般雇用より低いと聞きますが、本当ですか?

職種・企業規模により異なりますが、同じ業務内容でも障害者雇用枠の方が、平均してやや低めに設定されるケースが多いとされています。

これは、勤務時間が短時間勤務(週20〜30時間)で設定されることや、業務範囲が限定されていることが背景にあります。

一方で、一般雇用と同等の条件で募集する大手企業も増えており、職務経歴やスキル次第でフルタイム正社員の障害者雇用も実現可能です。

求人票の「給与レンジ」と「実際に支払われた直近実績」を、選考過程で確認することが重要です。

障害を企業に開示するのが不安です。一般雇用枠で応募してもよいですか?

一般雇用枠での応募も可能で、障害を非開示で就労する「クローズ就労」と呼ばれています。

クローズ就労のメリットは、応募できる求人数が多い・給与水準が高めなどがある一方、デメリットとして合理的配慮を受けにくく、体調悪化時に休みにくいなど、長期的な就労継続のリスクが伴います。

「開示・非開示」は、本人の状況・希望・障害の特性により判断するもので、就労移行支援や障害者就業・生活支援センターと相談しながら決めるのが安全です。

障害者雇用の求人は、どこで探すのが最も効率的ですか?

「最も効率的」は人により異なります。

地元密着の中小企業を希望する場合はハローワーク、大手・上場企業を希望する場合は障害者専門就職サイト、自己理解から面接対策まで伴走支援を受けたい場合は就労移行支援事業所、というのが一般的な使い分けです。

「3つを併用する」ことが、結果として最も効率的だとする実務者の声も多く聞かれます。

法定雇用率が2.7%に上がると、求人は増えますか?

2026年7月の法定雇用率引き上げに向けて、すでに各企業の人事部門で求人枠拡大の動きが見られています。

特に「障害者雇用に取り組んできたが、まだ法定雇用率を達成していない企業」では、採用ニーズが拡大する見込みです。

ただし「採用数の拡大=採用ハードルが下がる」とは限らず、企業側も「定着して長く働ける方を採用したい」という基本姿勢は変わりません。

求人を探す側にとっては、自己理解と配慮の言語化を進めておくことが、引き続き重要です。

障害者雇用で正社員になることはできますか?

可能です。

近年は障害者雇用枠でも正社員採用を行う企業が増えており、契約社員・パートからスタートして正社員登用される制度を整える企業もあります。

求人票の「雇用形態」欄を確認し、面接時に「正社員登用の実績」を質問することで、その企業の採用方針を確認できます。

面接で何を聞かれるか、事前に準備しておくべきことは?

面接で頻出する質問は、以下のとおりです。

  • 障害の状況と現在の体調管理
  • これまでの就労経験と離職理由
  • 希望する合理的配慮の内容
  • 通院頻度・服薬の状況
  • 志望動機・入社後にチャレンジしたいこと

特に「合理的配慮の内容」は、業務シーンに紐づけて具体的に説明できるよう、事前に整理しておくことが重要です。

エンラボカレッジの『自分/支え方マニュアル』は、こうした面接準備のツールとしても活用できます。

入社後にうまく続けられるか不安です。サポートはありますか?

就労移行支援事業所を経由して入社した方は、入社後6か月までは事業所による定着支援を受けられます。

それ以降は「就労定着支援」というサービスに切り替わり、最大3年間(合計3年6か月)の支援を継続できます。

ハローワーク経由で入社した方は、地域の障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)が定着支援を担う場合があります。

「困ったときの相談先」を入社前から決めておくことが、長期就労につながる重要なポイントです。

B型・A型と障害者雇用、どれが自分に合うか分かりません

「決まった時間に毎日通うのは難しい」「体調の波が大きい」状態であれば、まずは就労継続支援B型で自分のペースで働き始める選択肢があります。

「最低賃金以上で働きたいが、一般就労はまだハードルが高い」と感じる場合は、就労継続支援A型が選択肢になります。

「一般就労(障害者雇用)で働きたいが、いきなりは不安」という場合は、自立訓練や就労移行支援で土台を整えてから求人に向かうことができます。

サービスの違いは、就労継続支援とは|A型・B型・就労移行との違いで整理しています。

まとめ

障害者雇用の求人は、ハローワーク・障害者専門就職サイト・就労移行支援事業所の3経路を併用し、自分の特性に合う仕事内容と合理的配慮を入社前に合意しておくことが、入社後の定着につながる現実的な進め方です。

次の行動としては、まず自分のストレス耐性・対人接触の許容量・得意な認知特性を整理し、配慮事項を言語化した「ナビゲーションブック」の準備に取り組むことをおすすめします。

「いますぐ求人に応募するには準備が足りない」と感じる方は、エンラボカレッジの自立訓練(生活訓練)で土台づくりから始める選択肢もあります。まずは一度お問い合わせください。

ご見学・無料相談のご案内

エンラボカレッジでは、自立訓練(生活訓練)と就労移行支援の見学・無料相談を、神奈川・東京・大阪・宮崎の11拠点で随時お受けしています。

「障害者雇用の求人に向かう前に、生活と気持ちを整えたい」「自分にとって、どんな仕事内容と合理的配慮が合うか整理してほしい」「家族と一緒に話を聞いてみたい」――そうしたご相談も歓迎しています。

ご見学・無料相談のお申し込みは、エンラボカレッジ公式サイト、またはお電話(050-5538-0786/平日10:00-18:00)からお気軽にどうぞ。

事業所の雰囲気・プログラムの実際・通っている方々の様子を、実際に見てから判断いただけます。

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更新日:2026/05/30 公開日:2024/11/21

この記事について【作成・監修】

本記事は、自立訓練(生活訓練)事業所「エンラボカレッジ」を運営する株式会社エンラボの専門職スタッフが作成・監修しています。

【在籍資格】
精神保健福祉士・社会福祉士・臨床心理士・作業療法士・理学療法士

【現場での実践】
自立訓練(生活訓練)・就労移行支援などで、診断名・特性に合わせた個別支援を提供しています。

【運営会社】
株式会社エンラボ/設立2015年4月/神奈川県を中心に首都圏・関西・宮崎で11拠点運営

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