吃音(きつおん)とは|原因・症状・治し方と仕事での工夫を解説
更新日:2026/05/31
「言いたい言葉が出てこない」「最初の音が繰り返してしまう」――吃音(きつおん)について、自分や家族の状態を調べる方からよくいただくご相談です。
吃音は本人の努力不足や性格の問題ではなく、神経発達症のひとつとして位置づけられています。医療機関や言語聴覚士による支援、生活や仕事での工夫を組み合わせることで、症状の出方や困りごとは軽減できると考えられています。
この記事では、吃音の症状・種類・原因・治し方、仕事での具体的な工夫、医療機関を受診する目安までを整理してお伝えします。
結論:吃音は治療や工夫で軽減できる、神経発達症の一種
最初に結論からお伝えします。
吃音は、発話の流暢さに関わる神経発達症の一種で、本人の性格や努力不足によるものではないと考えられています。
そのうえで、次の3点を押さえておくと、この先の判断がしやすくなります。
ひとつめは、吃音の症状には「連発」「伸発」「難発」の3種類があり、出方や場面には個人差があるということ。
ふたつめは、医療機関での診察と言語聴覚士による訓練、生活や仕事での工夫を組み合わせることで、症状や困りごとは軽減できるとされていること。
みっつめは、吃音そのものを「完全に消す」ことを目標にするより、付き合い方を整える方向で支援を受けるケースが増えていることです。
「治す/治さない」の二択ではなく、「どう付き合えば暮らしやすくなるか」を一緒に整理していく姿勢が、本人と支援者の両方にとって現実的だと考えています。
なお、吃音の状態を判断するには医療機関での診察が必要です。本記事の内容はあくまで一般的な情報整理であり、診断の代わりにはなりません。
吃音(きつおん)とは
吃音(きつおん)とは、話すときに言葉がスムーズに出てこない状態を指す、発話の流暢さに関わる神経発達症のひとつです。
世界保健機関(WHO)のICD-11、米国精神医学会のDSM-5のいずれにおいても、神経発達症の枠組みに位置づけられています。
「言いたい言葉は決まっているのに、最初の音が繰り返してしまう」「言葉が詰まって出てこない」――こうした状態が、日常生活のさまざまな場面で繰り返し起きるのが吃音の特徴です。
発症の時期と頻度
吃音は、おおむね2〜5歳ごろの幼児期に発症することが多いとされています。
幼児期に吃音の症状が見られる子どものうち、その後の経過で症状が落ち着いていくケースが多い一方、一部の方には学齢期以降や成人期まで症状が継続することが知られています。
成人期まで持ち越した吃音は「発達性吃音」とも呼ばれ、本人や周囲の理解と環境調整が重要になります。
神経発達症としての位置づけ
吃音は、これまで「心の問題」「親の育て方の問題」として誤解されてきた歴史がありますが、現在は脳の働きや神経の発達に関わる現象として理解が進んでいます。
そのため、本人の努力不足や性格を責める向き合い方は適切ではありません。
「正しい知識のもとで、本人と周囲が一緒に環境を整える」というアプローチが、現在の支援の基本姿勢です。
吃音の3つの主な症状(連発・伸発・難発)
吃音の症状は、大きく3つに分けられます。
ひとつの方に複数の症状が組み合わさることもあり、場面や時期によって出方が変わることも珍しくありません。
症状1|連発(れんぱつ)
連発は、語頭の音が繰り返される症状です。
たとえば「ぼ、ぼ、ぼくは」「あ、あ、あした」のように、最初の音節が複数回繰り返されます。
幼児期の吃音で最も多く見られる症状のひとつで、本人が「うまく言えない」と意識する前から自然に出ているケースもあります。
症状2|伸発(しんぱつ)
伸発は、音が引き伸ばされる症状です。
「ぼーーーくは」「あーーーした」のように、最初の音節が必要以上に長く伸びる形で表れます。
連発から伸発に移行するケース、伸発のまま続くケースなど、人によって出方は異なります。
症状3|難発(なんぱつ)
難発は、声が出にくく、最初の音が詰まってしまう症状です。
「……ぼくは」「……あした」のように、声を出そうとしても言葉が出てこず、息が詰まったような状態になります。
学齢期以降や成人期の吃音で多く見られる症状で、本人の心理的な負担が大きくなりやすい傾向があります。
「随伴症状」と呼ばれる二次的な動き
吃音の症状に付随して、まばたきが増える・首を動かす・手足を動かす・顔をしかめるなどの動きが見られることがあります。
これは「随伴症状」と呼ばれ、言葉を出そうとする努力の表れとして起きることが多いとされています。
随伴症状が強くなると本人の疲労感が高まりやすいため、医療機関や言語聴覚士の支援を受けるなかで一緒に整理していくケースが多くあります。
吃音の種類(発達性/獲得性/神経原性)
吃音は、発症の経緯によって大きく3つに分類されます。
「自分や家族の吃音がどのタイプに近いか」を整理することで、医療機関への相談や受診先の選択にもつながります。
発達性吃音
発達性吃音は、幼児期に発症し、その後の成長過程で経過していく吃音です。
吃音のうち、もっとも多いのがこのタイプとされています。
幼児期に見られた吃音の症状は、一定割合で自然経過とともに落ち着いていく一方、学齢期や成人期まで症状が続くケースもあります。
成人期まで持ち越した発達性吃音は、本人の自己理解と環境調整、職場や家族の理解によって、生活と仕事のしやすさが大きく変わるとされています。
獲得性吃音
獲得性吃音は、幼児期以降に何らかのきっかけで発症する吃音です。
心理的な強いストレスや出来事をきっかけに発症するタイプ(心因性吃音)と、脳の損傷や疾患をきっかけに発症するタイプ(神経原性吃音)に大きく分けられます。
成人になってから初めて吃音が現れた場合は、医療機関での診察を受け、原因や背景を整理することが大切です。
神経原性吃音
神経原性吃音は、脳卒中・脳外傷・神経変性疾患などに伴って発症する吃音です。
脳の特定の部位の損傷や機能の変化により、発話の流暢さに影響が出ます。
この場合は、神経内科・脳神経外科などの医療機関で原因の精査を受けたうえで、リハビリテーションや言語聴覚士による訓練を組み合わせていくことが一般的です。
大人と子供の吃音の違い
吃音は幼児期に発症することが多い一方、症状の出方や本人の感じ方は、年齢によって大きく変わります。
「子どもの吃音と、大人の吃音は同じものなのか」というご相談もよくいただきます。
子どもの吃音の特徴
子どもの吃音は、連発の形で表れることが多いとされています。
本人が「うまく言えない」と意識する前の段階では、自然に話しているなかで連発の症状が出るケースが多く、周囲が過度に指摘・修正しないことが大切と考えられています。
幼児期の吃音の多くは、成長過程で症状が落ち着いていくケースもあれば、症状が継続するケースもあります。
学齢期に入ると、「同級生から指摘される」「発表が怖い」など、本人が自分の話し方を意識し始める時期に入ります。
この時期に本人が安心して話せる環境を整えることが、二次的な心理的負担を防ぐうえで重要だとされています。
大人の吃音の場合
吃音のある大人の場合は、仕事において困る方が多いと言われています。吃音の症状によって難しい業務がある場合は、あらかじめ上司や産業医、社内のメンタルヘルス窓口などに配慮として環境調整が可能か相談してみるといいでしょう。
例えば、会議などでの口頭での発表をテキストでの発表に変えさせてもらうことや、上司とのやり取りにおいて文字を表示できるアプリの使用を許可してもらうなどが方法として考えられます。
また、発達性吃音の場合は発達障害者支援法の対象となっていて、場合によっては障害者手帳の取得ができ、障害のある方専用の障害者雇用求人に応募することが可能となります。障害者雇用で働くことであらかじめ吃音の症状を伝えた上で働くことができ、配慮も受けやすくなるというメリットがあります。
障害者手帳の取得を検討される方は、主治医や自治体の障害福祉窓口に相談してみるといいでしょう。
大人の吃音の特徴
大人の吃音は、難発の形で表れるケースが多くなる傾向があります。
「言いたい言葉が出てこない」「電話や会議で言葉に詰まる」など、本人の自覚と困りごとが強く表れやすいのが特徴です。
また、吃音そのものよりも、吃音を「隠そう」「避けよう」とする努力(回避行動)に大きなエネルギーを使ってしまうケースもあります。
たとえば、言いにくい言葉を別の言葉に言い換える・発言を避ける・電話の代わりにメールを使うなど、工夫として有効な場面もある一方、行動の制約が大きくなりすぎることもあります。
大人の吃音への支援では、本人が「どんな場面で困っているか」「どんな付き合い方を選びたいか」を整理しながら、医療機関や言語聴覚士、職場との連携を一緒に検討していく姿勢が大切だと考えられています。
吃音の原因(最新の研究知見)
吃音の原因について、これまでさまざまな仮説が提示されてきましたが、現在の研究では「複数の要因が組み合わさって生じる」と考えられています。
「親の育て方が悪い」「本人の性格が原因」といった理解は、科学的な根拠が乏しいとされています。
遺伝的要因
吃音には、遺伝的な要因が一定程度関わっていることが、近年の研究で示されています。
家族に吃音のある方がいる場合、吃音が見られる割合がそうでない場合より高い傾向があるとの報告があります。
ただし、「親が吃音だから子も必ず吃音になる」というものではなく、遺伝的な素因のうえに他の要因が組み合わさって発症するものと理解されています。
神経学的要因
近年の脳画像研究では、吃音のある方とそうでない方とで、発話に関わる脳の活動パターンに違いがあるとの報告があります。
発話の流暢さに関わる脳の働きに、何らかの特徴があると考えられており、神経発達症としての位置づけの根拠ともなっています。
環境要因
幼児期の言語発達の時期に、急に話すことを求められる場面が多い・話す速度が速すぎる環境にあるなどの要因が、症状の出方に影響を及ぼす可能性があると考えられています。
ただし、環境要因単独で吃音が「起こる/起こらない」というものではなく、遺伝的・神経学的な素因と組み合わさって症状に表れるとされています。
「親の育て方は原因ではない」
ご家族から「自分の育て方が悪かったのではないか」とご相談いただくことが少なくありません。
現在の知見では、親の育て方そのものが吃音の原因になるとは考えられていません。
そのうえで、本人が安心して話せる家庭環境・学校環境・職場環境を整えることは、症状や困りごとの軽減につながると考えられています。
ご家族が自分を責めるのではなく、本人と一緒に整える視点を持っていただくと、長い目で見て安心です。
二次的な心理的影響と「予期不安」
吃音そのものとは別に、本人が「次もまた言葉に詰まるかもしれない」と先回りして不安を感じる状態を「予期不安」と呼ぶことがあります。
予期不安が強くなると、発話の場面を避ける行動が増えたり、職場や学校での参加に消極的になりやすい傾向があります。
吃音への支援では、症状そのものへのアプローチだけでなく、予期不安や自己評価への影響にも目を向けながら、本人が安心して過ごせる環境を整えていく姿勢が大切だと考えられています。
成人期の吃音のある方では、吃音そのものの困りごとに加えて、うつや社交不安など他の心理状態が重なることもあるため、医療機関での総合的な見立てを受けることが望ましいと考えられています。
吃音は治る?治療法と症状軽減のアプローチ
「吃音は治るのか」というご質問を多くいただきます。
結論からお伝えすると、吃音の症状の出方や困りごとは、医療機関での診察や言語聴覚士による訓練、生活や仕事での工夫を組み合わせることで軽減できると考えられています。
ただし、すべての吃音が「完全に消える」ことを目標にするわけではない、というのが現在の支援の流れです。
幼児期の吃音への支援
幼児期の吃音については、家庭や保育園・幼稚園の環境を整えることで、症状が落ち着いていくケースが多いとされています。
そのうえで、症状が長引く場合や本人の負担が大きい場合には、医療機関や言語聴覚士による支援を早期に受けることが推奨されています。
幼児期の支援では、本人が安心して話せる環境を作ることと、家族や周囲の方が吃音についての正しい知識を持つことが、特に大切だと考えられています。
学齢期・成人期の吃音への支援
学齢期や成人期まで持ち越した吃音については、症状そのものを「完全に消す」ことを目標にするより、本人が「どう付き合っていくか」を整理することを支援の中心に置くケースが増えています。
具体的には、言語聴覚士による発話訓練・認知行動療法・自助グループ(ピアサポート)への参加・職場での合理的配慮の相談など、複数のアプローチを組み合わせていきます。
吃音と上手に付き合っていくための知識と技術を身につけることが、本人の生活と仕事のしやすさにつながっていくと考えられています。
「治る/治らない」の二択を超える
吃音への支援を考えるうえで、「治す/治さない」の二択で捉えるのではなく、「困っている場面ごとに、どう向き合っていくか」を一緒に整理する姿勢が大切だと考えています。
たとえば、「電話だけが苦手で、対面では問題ない」という方もいれば、「初対面の自己紹介で困る」という方もいます。
ご自身の困りごとの優先順位を整理したうえで、医療機関や言語聴覚士、職場や家族と一緒に環境を整えていくのが現実的な進め方です。
言語聴覚士による治療・支援
吃音への支援を担う専門職として、言語聴覚士(ST:Speech-Language-Hearing Therapist)が中心的な役割を果たします。
言語聴覚士は、ことば・聞こえ・飲み込みなどの領域を専門とする国家資格を持つ専門職です。
言語聴覚士の支援内容
言語聴覚士による吃音への支援は、医療機関・福祉施設・教育機関などで提供されています。
具体的な支援内容は、ご本人の年齢・症状・困りごとによって異なりますが、おおむね次のような内容が含まれます。
ひとつめは、吃音の状態の評価です。症状の出方・場面・本人の感じ方を整理し、支援の方向性を一緒に決めていきます。
ふたつめは、発話訓練です。発話のリズム・呼吸・話し始めの調整など、本人の状態に合わせた訓練を組み合わせます。
みっつめは、心理的なサポートです。吃音への向き合い方や、苦手な場面での工夫を整理していきます。
よっつめは、家族・職場・学校との連携です。本人の周囲が吃音について正しく理解し、安心できる環境を整えるための情報共有を一緒に進めます。
受診先の探し方
言語聴覚士による吃音の支援を受けたい場合、まずはお住まいの地域の医療機関(耳鼻咽喉科・小児科・リハビリテーション科)に相談するのが現実的です。
吃音の専門外来を設けている病院や、言語聴覚士による外来訓練を提供している施設もあります。
「どこに相談すればよいか分からない」という場合は、各自治体の障害福祉課や、日本吃音・流暢性障害学会などの専門学会の情報を参考にすることをおすすめします。
仕事での吃音の困りごとと工夫10例
成人期の吃音では、仕事の場面で困りごとを抱える方が少なくありません。
「すべてを一度に変える」のではなく、「自分が困っている場面から、ひとつずつ整える」進め方が現実的だと考えています。
工夫1|電話対応の負担を整える
電話の場面では、声を出すまでの間が空くことや、相手の様子が見えないことで、本人の負担が大きくなりやすい傾向があります。
職場と相談したうえで、電話対応の頻度を調整する・メールやチャットでのやり取りを基本にする・必要時のみ電話を使うなど、業務の組み立てを一緒に検討していくのが現実的です。
工夫2|会議での発言の工夫
会議の場面では、発言を求められたタイミングで言葉が詰まりやすいというご相談を多くいただきます。
事前に発言の要点をメモにまとめておく・チャットや書面での補足を併用する・自分のペースで話せる進行ルールを職場と一緒に整えるなど、複数の工夫が考えられます。
工夫3|資料・チャットの併用
口頭での説明だけに頼らず、資料・チャット・メモを併用することで、本人の負担を減らし、相手にも内容が伝わりやすくなります。
職場のコミュニケーション全体を「口頭中心」から「複数の手段の組み合わせ」に移行する流れは、吃音のある方以外にも有効な工夫として広がっています。
工夫4|接客・受付業務の調整
接客や受付の業務では、即時の応答を求められる場面が多く、本人の負担が大きくなることがあります。
職場と相談したうえで、担当業務の配分を見直す・後方支援の業務にウエイトを移すなどの調整を一緒に検討するケースがあります。
工夫5|プレゼンテーションでの工夫
プレゼンテーションの場面では、スライドの構成を工夫することで、自分のペースで話せる時間配分にしやすくなります。
ナレーションを録音しておく・話す内容を読み上げ式にする・質疑応答を書面に切り替えるなど、本人と職場で組み合わせを検討します。
工夫6|自己紹介の場面の整え方
初対面の自己紹介では、緊張から症状が強く出やすい傾向があります。
事前に自己紹介の内容を整理しておく・名刺やプロフィールカードを併用する・短く要点を伝える形にするなど、シンプルな工夫を組み合わせます。
工夫7|配慮を伝える「伝え方の整理」
職場や同僚に吃音について伝えるかどうかは、本人の選択です。
伝える場合には「どんな場面で困ることが多いか」「どんな配慮があると助かるか」を、書面やメモにまとめて伝えると、お互いの理解がスムーズに進みます。
「伝えない」選択を取る場合も、本人が無理を抱え込まない範囲で業務を調整していくことが大切です。
工夫8|採用面接での対応
採用面接の場面では、初対面の相手の前で話すことの負担が大きくなりやすい傾向があります。
吃音について事前に伝えておく・自己紹介と志望動機を簡潔にまとめておく・補足資料を活用するなど、本人の状況に合わせて準備を進めます。
吃音があることを「伝える/伝えない」の判断は本人次第ですが、合理的配慮を求める場合は事前に伝えておくことで、安心して臨めるケースが多いとされています。
工夫9|疲労・体調管理
吃音の出方は、本人の体調や疲労度によって変動することがあります。
睡眠・休息のリズムを整えること、業務量と回復時間のバランスを意識することは、症状の出方をやわらげるうえで現実的な工夫のひとつです。
工夫10|自助グループ・ピアサポートの活用
同じ吃音のある方とつながる自助グループや、オンラインのピアサポートに参加することで、「自分だけではない」という安心感を得られたという声を多くいただきます。
日本吃音・流暢性障害学会などが主催するイベント、各地の当事者グループのつながりは、医療機関や言語聴覚士の支援とあわせて利用していけるリソースのひとつです。
ピアサポートは、専門職による支援とは異なる位置づけのつながりです。「症状そのものを改善する」ことを目的にするものではなく、同じ困りごとを抱える方同士で経験を共有することで、本人の心理的負担を軽くしていく場として機能しています。
医療機関・言語聴覚士・自助グループ・職場・家族など、複数のリソースを少しずつ組み合わせて、自分にとって無理のない支援の形を整えていく姿勢が現実的です。
医療機関を受診する目安
吃音について「医療機関を受診すべきか迷う」というご相談もよくいただきます。
こんなときは医療機関への相談を検討
次のような状況に当てはまる場合は、医療機関や言語聴覚士への相談を検討することをおすすめします。
ひとつめは、吃音の症状が日常生活や仕事に影響している場合です。「電話に出るのがつらい」「会議の発言を避けてしまう」など、具体的な困りごとがあるときは、専門職と一緒に整理する価値があります。
ふたつめは、本人の心理的な負担が大きくなっている場合です。発話への不安が強くなる・人前に出ることを避ける傾向が強まる・気分が落ち込みやすい状態が続くなど、気持ちの面での影響が見られるときは、早めの相談が望ましいと考えられています。
みっつめは、成人になってから新たに吃音の症状が現れた場合です。獲得性吃音(心因性・神経原性)の可能性を含めて、医療機関での評価を受けることが大切です。
よっつめは、お子さんの吃音について家族の不安が大きい場合です。「このまま続いてしまうのではないか」「学校で困っていないか」など、家族の不安が大きいときは、医療機関や言語聴覚士に一度相談し、見立てを共有していただくのが安心です。
受診先の選び方
吃音の相談ができる医療機関は、お住まいの地域によって異なります。
一般的には、耳鼻咽喉科(言語外来)・小児科・リハビリテーション科・精神科のいずれかが入口になります。
吃音の専門外来を設けている医療機関や、言語聴覚士による外来訓練を提供している施設もあるため、お住まいの自治体や日本吃音・流暢性障害学会などの情報を参考に、相談先を探していくのが現実的です。
「どこから始めればよいか迷う」場合は、まずはかかりつけの医師に相談し、適切な専門医療機関を紹介してもらう流れもおすすめです。
自立訓練での自己理解アプローチ
吃音のある方が、生活や仕事の困りごとを整理していくための場として、自立訓練(生活訓練)を選ばれる方もいらっしゃいます。
自立訓練は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスのひとつで、生活面・対人面・自己理解を整える時間を持つことができます。
吃音そのものへの治療や訓練は医療機関・言語聴覚士の領域ですが、「吃音とどう付き合いながら暮らし・働くか」を整理する場として、自立訓練を活用する方が増えています。
自立訓練で取り組めること
エンラボカレッジの自立訓練では、8つのプログラム(感情学/コミュニケーション/My Lab./アクティビティ/Life Lab./ソマティック Lab./Social Lab./スキルアップ)を組み合わせて、利用される方の困りごとに合わせた取り組みを進めます。
吃音のある方の場合、たとえば次のような取り組みが想定されます。
感情学では、「話すことへの不安」「失敗を予測して気分が落ち込む」など、感情の動きを整理していきます。
コミュニケーションでは、口頭以外の手段(チャット・メモ・資料)を組み合わせた伝え方の練習や、自分の特性を周囲に伝える練習を一緒に行います。
My Lab.では、自分の特性・苦手な場面・必要な配慮を「自分の取扱説明書」として言語化し、卒業後の職場や家族との共有に活用していきます。
ソマティック Lab.では、緊張や疲労との付き合い方を整理し、本人が無理なく続けられる過ごし方を一緒に検討します。
医療機関・言語聴覚士との連携
自立訓練は、吃音そのものへの治療や訓練を提供する場ではありません。
医療機関・言語聴覚士による支援を受けながら、生活面・対人面・自己理解の整理を並行して進める使い方が現実的です。
「医療面はクリニックで、生活と仕事の整理は自立訓練で」というように、複数のリソースを組み合わせて利用する形を、利用される方と一緒に検討していきます。
中盤CTA|無料見学・相談のご案内
「自分の状況に近いかもしれない」と感じた方は、エンラボカレッジの自立訓練(生活訓練)の無料見学・相談をご活用ください。
実際の事業所の雰囲気や、プログラムの内容を見たうえで判断いただけます。お住まいの近くの事業所で、まずはお気軽にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
吃音は大人になってからでも治せますか?
「治す/治さない」の二択で捉えるのではなく、医療機関や言語聴覚士による支援、生活や仕事での工夫を組み合わせて、症状や困りごとを軽減していくアプローチが現在の支援の中心です。
ご自身の状態については医療機関で診察を受けたうえで、専門職と一緒に方向性を検討することをおすすめします。
吃音の症状は何種類ありますか?
吃音の主な症状は、連発(語頭の音が繰り返される)・伸発(音が引き伸ばされる)・難発(声が出にくく詰まる)の3つに分けられます。
ひとつの方に複数の症状が組み合わさることもあり、場面や時期によって出方が変わることもあります。
子どもの吃音は自然に良くなりますか?
幼児期の吃音は、成長過程で症状が落ち着いていくケースもあれば、症状が継続するケースもあるとされています。
家族や周囲が吃音について正しく理解し、本人が安心して話せる環境を整えることが大切だと考えられています。
症状が長引く場合や本人の負担が大きい場合は、医療機関や言語聴覚士への早期の相談をおすすめします。
吃音の原因は親の育て方ですか?
現在の知見では、親の育て方そのものが吃音の原因になるとは考えられていません。
遺伝的要因・神経学的要因・環境要因が組み合わさって発症すると理解されています。
ご家族が自分を責めるのではなく、本人と一緒に環境を整える視点を持っていただくと安心です。
吃音で仕事を続けられますか?
吃音があるからといって、特定の仕事を続けられないと決まっているわけではありません。
電話・会議・接客など、本人が困りやすい場面を整理したうえで、業務の組み立てや配慮を職場と相談していくことで、無理なく続けられる方も多くいらっしゃいます。
詳しくは本記事の「仕事での吃音の困りごとと工夫10例」をご参照ください。
吃音は障害者手帳の対象になりますか?
吃音は神経発達症のひとつとして位置づけられており、症状や困りごとの程度によっては、精神障害者保健福祉手帳の対象として認められるケースがあります。
ただし、判断は医師の診断と自治体の審査によりますので、まずは医療機関への相談から進めていただくのが現実的です。
言語聴覚士による訓練はどこで受けられますか?
耳鼻咽喉科(言語外来)・小児科・リハビリテーション科などの医療機関や、言語聴覚士による外来訓練を提供している施設で受けることができます。
地域によっては吃音の専門外来を設けている病院もあります。お住まいの自治体や日本吃音・流暢性障害学会などの情報を参考に、相談先を探してみてください。
まとめ
吃音は、本人の性格や努力不足によるものではなく、複数の要因が組み合わさって生じる神経発達症のひとつです。
医療機関での診察・言語聴覚士による訓練・生活や仕事での工夫を組み合わせることで、症状の出方や困りごとは軽減できると考えられています。
「治す/治さない」の二択ではなく、「どんな場面で困っているか」「どんな付き合い方を選びたいか」を整理しながら、複数のリソースを組み合わせて支援を受けていく姿勢が、現在の流れになっています。
吃音についてご自身やご家族の状態を整理したい方は、まずは医療機関で診察を受け、専門職と一緒に方向性を検討することをおすすめします。
そのうえで、生活面・対人面・自己理解を整える場として、自立訓練(生活訓練)の活用もひとつの選択肢になります。
エンラボカレッジでは、神奈川県内を中心に自立訓練(生活訓練)事業所を運営しており、吃音のある方の生活と仕事の整理を、医療機関や言語聴覚士の支援と並行してサポートしています。
「医療機関には通っているけれど、生活や仕事の整理も一緒に進めたい」とお考えの方は、ぜひ一度お問い合わせください。
焦って決める必要はありません。情報を整理して、自分のペースで動き出しましょう。
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無料見学・相談のご案内(CTA)
エンラボカレッジでは、自立訓練(生活訓練)の無料見学・相談を随時受け付けています。
吃音のある方ご本人、またはご家族の方で、「医療機関と並行して生活や仕事の整理を進めたい」とお考えの場合は、お近くの事業所までお気軽にご相談ください。
オンラインでの相談にも対応していますので、遠方の方もぜひお問い合わせください。
「焦って決めずに、まず話を聞いてみたい」という方も大歓迎です。
この記事について【作成・監修】
本記事は、自立訓練(生活訓練)事業所「エンラボカレッジ」を運営する株式会社エンラボの専門職チームが作成・監修しています。
【在籍資格】
精神保健福祉士・社会福祉士・臨床心理士・作業療法士・理学療法士・公認心理師
【現場での実践】
自立訓練(生活訓練)・就労移行支援などで、診断名・特性に合わせた個別支援を提供しています。
【運営会社】
株式会社エンラボ/設立2015年4月/神奈川県を中心に首都圏・関西・宮崎で11拠点運営
【本記事の位置づけ】
本記事は一般的な情報の整理を目的としたものであり、医学的な診断や治療の指針となるものではありません。ご自身の状態については、医療機関での診察を受けたうえで、専門職とご相談ください。



