大人の学習障害(LD)の特徴|仕事の困りごとと向く職種を解説
更新日:2026/05/31
「人より仕事に時間がかかる」「メールの誤字が指摘される」「電卓を叩いてもなぜか合わない」――そんな違和感を抱えて、このページにたどり着いた方も多いのではないでしょうか。
学習障害(LD/SLD)は、知的な遅れがないにもかかわらず、「読む」「書く」「計算する」のいずれかが極端に苦手になる発達障害のひとつです。子ども時代に気づかれず、就職してから困りごとが表面化するというケースも少なくないとされています。
この記事では、大人の学習障害の特徴・仕事での困りごと・向いている職種・対処法・利用できる支援制度までを整理してお伝えします。
結論:大人の学習障害は気づきにくいが、特徴と工夫を知ればキャリアの選択肢が広がる
大人の学習障害は、本人も周囲も気づきにくいまま社会人になり、仕事の場面で困りごとが顕在化するケースが多いとされる発達障害です。
ただし、「自分の苦手な領域がどこなのか」を整理し、その領域を避けられる業務・環境を選び、必要なツールや配慮を組み合わせることで、キャリアの選択肢は大きく広がります。
この記事の要点をはじめにまとめます。
- 学習障害(LD/SLD)は、知的発達に大きな遅れがないにもかかわらず、「読む」「書く」「計算する」のいずれかが極端に苦手になる状態のこと
- 医学的にはDSM-5以降「限局性学習症(SLD:Specific Learning Disorder)」と呼ばれ、3つのタイプに整理される
- 大人になってから気づくケースが多く、「努力不足」「不真面目」と誤解されたまま社会人になっている方もいる
- 仕事の困りごとは、業務内容と苦手領域の組み合わせで決まる。同じLDでも職種が変われば困りごとは大きく変わる
- 対処法は「業務を選ぶ」「ツールを使う」「配慮を伝える」の3軸で考えると整理しやすい
- 障害者手帳・自立支援医療・障害福祉サービス(就労移行支援・自立訓練)など、活用できる制度は複数存在する
「向いている仕事は何か」だけでなく、「どう働けば自分が無理なく続けられるか」を一緒に整理していくことが、長く働き続けるための土台になります。
学習障害(LD/SLD)とは|定義と3つのタイプ
LDとSLDの違い|呼称が変わった背景
学習障害は、英語で「Learning Disabilities」と呼ばれ、その頭文字をとって「LD」と表記されてきました。日本では文部科学省の定義をはじめ、長くLDという呼称が使われています。
一方、医学的な診断基準であるDSM-5(米国精神医学会)以降は、「限局性学習症(SLD:Specific Learning Disorder)」という呼称に切り替わりました。
「限局性」という言葉が加わったのは、「知的発達全般に遅れがあるわけではなく、特定の領域に限ってつまずく」というニュアンスを正確に伝えるためです。
教育現場では「LD」、医療現場では「SLD」、と使い分けられている、と理解しておくと混乱が少なくなります。
3つのタイプ|読み・書き・計算
DSM-5以降の診断基準では、SLDは主に3つの領域に整理されています。
読みの困難(ディスレクシア/読字障害):文字を読むことに困難がある状態です。文字を一文字ずつ拾い読みしてしまう、似た文字を読み間違える、行を飛ばして読む、音読のスピードが極端に遅い、といった特徴が挙げられます。
書きの困難(ディスグラフィア/書字障害):文字を書くことに困難がある状態です。鏡文字になる、漢字を覚えても書けない、文字の大きさ・形が整わない、手書きの文章で誤字脱字が多い、といった特徴があります。
算数の困難(ディスカリキュリア/算数障害):数の感覚や計算の処理に困難がある状態です。繰り上がり・繰り下がりが定着しない、暗算ができない、数字の位取りで混乱する、量の比較が苦手、といった特徴があります。
これらは「どれかひとつだけ強く出る」場合もあれば、「複数の領域が重なって出る」場合もあるとされています。
LDと知的障害・他の発達障害との違い
学習障害でつまずきが見られるのは、あくまで「読み・書き・計算」など特定の領域に限られます。
これに対して知的障害は、知的発達全般に遅れが見られる状態を指します。日常生活全般・対人理解・抽象的思考など、広い範囲に影響が及ぶという違いがあります。
また、ADHD(注意欠如・多動症)や自閉スペクトラム症(ASD)も発達障害のひとつですが、特性の出方は異なります。注意の持続が苦手、衝動的に行動してしまう、対人コミュニケーションでつまずく、感覚過敏がある、といった困りごとが中心になるケースが多いとされています。
ただし、これらの発達障害は併存(重なって持つ)するケースも少なくなく、「LD単独」というよりも「LDとADHDが重なっている」「LDとASDが重なっている」という方もいらっしゃいます。
子どもの発達障害との違いや成人期の特徴の概要は、大人の発達障害の特徴と相談先もあわせてご覧ください。
大人の学習障害で多い10の特徴
大人になってから「もしかしてLDかもしれない」と感じるきっかけは、子ども時代とは少し違った形で現れます。
あくまで傾向であり、これらが当てはまるからといってLDと確定するものではありません。
1.長文を読むのに時間がかかる
メールや報告書、契約書など、ビジネスで扱う長文を読み解くのに、人の何倍も時間がかかると感じる方がいらっしゃいます。文字を追う作業に集中力を取られ、内容を理解する余裕がなくなる、というケースもあります。
2.文字の読み飛ばし・行のずれが起きやすい
書類を読んでいるうちに同じ行を読み返してしまう、行をまたいで読み飛ばしてしまう、似た文字(「ロ」と「口」、「タ」と「夕」など)を取り違える、といった困りごとが挙げられます。
3.漢字が定着しにくい
学生時代から漢字を覚えるのが苦手だった方は、社会人になってからも報告書・議事録などで漢字変換ミスや誤字が目立つことがあります。手書きの場面では、形が思い出せない・形が崩れるという特徴も見られます。
4.手書きの字が整わない・読みづらいと言われる
字の大きさがばらつく、マス目に収まらない、線の長さがそろわない、といった困りごとです。本人は丁寧に書いているつもりでも、「読みづらい」「もう一度書き直して」と言われることが続くケースがあります。
5.メモを取りながら話を聞くのが苦手
会議や打ち合わせで、話を聞きながらメモを取るという二重課題に強い負荷がかかる方もいらっしゃいます。書くことに意識を取られて話の内容が頭に入らない、というケースです。
6.電卓を使っても計算ミスが多い
数の苦手さがあるタイプの方では、電卓を使って計算しても入力ミスや桁の取り違えが起き、結果が合わないことが続く、ということがあります。
7.桁の大きい数字を読み間違える
「1,500,000」と「150,000」を取り違える、見積書の桁を読み違える、といった困りごとです。コンマで区切られている桁の見方に時間がかかる、というケースもあります。
8.時計の読み方・時間配分が苦手
アナログ時計の読み取りに時間がかかる、所要時間を見積もるのが苦手で会議のスケジューリングがうまくいかない、というケースが挙げられます。
9.マニュアル・手順書通りに作業が進められない
文字情報から手順を理解することが苦手なため、マニュアルを読んでも作業のイメージが湧かない、口頭で説明されたほうが分かりやすい、というケースがあります。
10.「努力不足」「不真面目」と誤解されてきた
子ども時代から「やる気がない」「集中していない」「サボっている」と言われてきた、という方が少なくありません。本人は努力しているのに結果に結びつかず、自己肯定感を下げてしまっているケースもあります。
これらは「LDの可能性を考えるきっかけ」になる特徴であり、判断は医療機関で行う必要があります。気になる場合は、後述する「医療機関に相談する目安」を参考にしてください。
大人になってから気づくケースの背景
LDは本来、子ども時代に学校場面でつまずきが見えて気づかれることが多い障害です。
しかし、大人になってから初めて自覚するケースも一定数あるとされており、その背景には複数の要因が重なっています。
学校時代は「努力でカバーできた」
授業内容の難易度や評価軸によっては、本人の地道な努力で乗り切れてしまうケースがあります。「人より時間をかけて漢字を覚えた」「読書感想文は親に手伝ってもらった」など、本人や周囲のサポートで結果が出ていた場合、つまずきが見えにくくなります。
「読み・書き・計算」のいずれかが目立たない学習様式だった
国語の音読は苦手だったが、テストでは設問が分かれていたので得点できた、というように、評価の方法によって苦手さが隠れていたケースもあります。
検査・診断の機会がなかった
LDは1990年代以降に教育・医療の両分野で認知が進んだ概念です。現在40代以降の方が学生時代を過ごしていた頃には、「LD」という枠組みでの検査や相談が一般的ではありませんでした。
このため、「気づいてもらえる機会がなかった」という背景もあります。
仕事で扱う情報量が一気に増えた
学校の宿題と社会人の業務では、扱う情報量・スピード・正確性の要求水準が大きく異なります。学生時代は何とかなっていた苦手さが、ビジネスメール・契約書・経理処理など、社会人の業務で初めて顕在化することがあります。
周囲の指摘で「もしかして」と感じる
「同じことを何度も言わせる」「メールの誤字が多い」「電卓の計算がよく合わない」――こうした指摘が続き、自分でも「努力ではどうにもならない何かがあるのかもしれない」と感じ始める方もいらっしゃいます。
大人になってから気づくこと自体は珍しくありません。気づいたタイミングが「遅すぎる」ということもありません。
「いまから自分の特性を整理する」ことで、働き方や生活の組み立て直しは十分可能だと考えられています。
40代から自立訓練で働き方を見直していった方のプロセスは、40代からの再スタート体験もあわせてご覧ください。
仕事での困りごと10例|読み・書き・計算別
仕事での困りごとは、苦手な領域と業務内容の掛け合わせで決まります。
読みに関連する困りごと
1.長文の契約書・仕様書を読み解くのに時間がかかる:法務・営業・エンジニアリングなど、長文ドキュメントを扱う業務では、読み解きに時間がかかることで業務スピードに影響が出るケースがあります。
2.メールの読み落としが多い:長いメールスレッドや複数宛先のCC欄を読み込むことに負荷がかかり、重要な指示や依頼事項を見落としてしまう、というケースが挙げられます。
3.マニュアルから手順を組み立てるのが苦手:操作マニュアルや作業手順書を読んでも、頭の中で順序立てて組み立てるのが難しい、というケースがあります。
書きに関連する困りごと
4.議事録・報告書の誤字脱字が多い:内容を考えながら書くという二重課題で、誤字脱字が増えてしまうケースです。提出後に指摘が続くことで、自己肯定感を下げてしまう方もいらっしゃいます。
5.手書き書類の作成に時間がかかる:申請書・送り状・宛名書きなど、手書きが残っている業務では、字を整えることに時間がかかる、というケースがあります。
6.メールの文章作成に時間がかかる:書きながら何度も読み返し、書き直す回数が多く、1通のメールに長時間かかる、というケースが挙げられます。
計算に関連する困りごと
7.見積書・請求書の金額入力でミスが起きやすい:桁数の多い金額入力で、ゼロの数を取り違える、コンマの位置を間違える、といった困りごとです。
8.経費精算で数字が合わない:複数の領収書を電卓で合算する、消費税を計算する、といった作業で、繰り返し計算しても結果が合わない、というケースがあります。
9.スケジュールの所要時間見積もりが苦手:「30分で終わる」と見積もった作業に2時間かかる、というように、時間配分がうまくいかない、というケースが挙げられます。
複合的な困りごと
10.電話を聞きながらメモを取る業務がつらい:聞く・書く・要点を整理するという複数の処理を同時に行うことに、強い負荷がかかる方がいらっしゃいます。電話応対が中心の業務では、特に困りごとが顕在化しやすい場面です。
これらの困りごとは、業務内容と苦手領域の組み合わせで強さが変わります。同じLDでも、業務が変われば困りごとは大きく変わる、と理解しておくと、次の「向いている仕事」の検討にもつながります。
学習障害の方に向いている仕事の特徴と職種例
「学習障害だからこの仕事しかできない」というものはありません。大切なのは、ご自身の苦手な領域を避けやすく、得意な部分を活かせる業務を選ぶことだと考えられます。
向いている仕事の3つの特徴
特徴1|業務内容が定型化されている:作業手順がある程度決まっており、同じ流れで進められる業務は、LDの方にとっても取り組みやすい傾向があるとされています。新しい情報の読み込みや、その場での判断が少ない業務、と整理できます。
特徴2|苦手な領域の比重が少ない:読み・書き・計算のうち苦手な領域が、業務全体に占める割合が小さい仕事は、無理なく続けやすい傾向があります。たとえば、読みが苦手な方であれば、長文ドキュメントを大量に読まない業務、書きが苦手な方であれば、手書きや文章作成が中心ではない業務、計算が苦手な方であれば、数字を扱う頻度の低い業務、という形で検討できます。
特徴3|自分のペースで進められる:締切のプレッシャーが強すぎず、自分のペースで作業を組み立てられる業務は、ミスを減らしやすい環境だと考えられます。マルチタスクが少なく、ひとつずつ集中できる環境のほうが、苦手領域の影響を最小限に抑えられます。
苦手領域別の職種例
読みが苦手な方の例:手作業中心の製造・組立、清掃、軽作業、現場系の職人仕事、対人サービス(接客・配達など)、図形・映像中心のデザイン補助、写真や映像の編集補助、といった業務が挙げられます。
書きが苦手な方の例:音声入力やテンプレートを活用できる事務補助、口頭での説明・提案が中心の営業、対人サポート、技術職、現場系の作業、料理・調理補助、といった業務が挙げられます。
計算が苦手な方の例:数字をほぼ扱わないクリエイティブ系の業務、文章作成(音声入力・校正ツール併用)、対人サービス、清掃、軽作業、製造、調理補助、といった業務が挙げられます。
一概に「向いている職種」と言えない理由
「LDだから事務はNG」「LDなら職人がよい」というように、職種で一律に判断できるものではありません。
同じ事務職でも、業務内容によっては難易度が大きく異なります。読みが苦手な方でも、「数値入力中心で、長文ドキュメントをほぼ扱わない事務」であれば、無理なく続けられるケースもあります。
仕事を選ぶ際には、職種名で考えるのではなく、「実際の業務内容」で検討することが大切だと考えられます。
可能であれば、職場見学や体験勤務、トライアル雇用などを活用して、実際の業務内容を確認してから判断するのが安心です。
仕事選びと働き方の整理プロセスは、大人の発達障害で悩む方の自己肯定感の整え方もあわせて参考にしてください。
仕事の困りごとへの対処法|業務工夫+ツール活用
仕事の困りごとには、「業務の選び方」「ツールの活用」「配慮の伝え方」の3軸で対処していくことができます。
業務工夫|業務の進め方を変える
音声入力を活用する:書きが苦手な方は、議事録・メール・報告書を音声入力で下書きし、テキストに整える方法があります。スマートフォンやPCの標準機能だけでも、近年は精度が上がっています。
テンプレートを使う:メールや報告書の定型部分をテンプレート化しておくことで、書く負担を減らせます。差出人・宛先・件名・冒頭挨拶・締めの定型句などを保存しておくと、毎回ゼロから作る必要がなくなります。
チェックリストを使う:複雑な手順や桁数の多い計算は、チェックリスト化しておくことでミスを減らしやすくなります。「入力後にもう一度桁を確認する」「単位を声に出して確認する」といった具体的な手順を明示しておくのが効果的とされています。
ダブルチェックを依頼する:重要な書類や金額入力は、同僚や上司にダブルチェックを依頼する形を業務フローに組み込むことで、ミスの影響を抑えられます。
ツール活用|デジタルツールで補う
読み上げ機能:長文の文書を音声で聞くことで、読みの負担を減らせます。PCやスマートフォンの標準機能で利用可能です。
音声入力ツール:書きの負担を減らす方法として、音声をテキスト化するツールが活用できます。
スペルチェック・校正ツール:誤字脱字を自動でチェックしてくれるツールを活用することで、提出前の見直し負担を減らせます。
電卓アプリ・表計算ソフト:手計算ではなく表計算ソフトに数式を組んで自動計算する形に変えることで、計算ミスを減らせます。
タイマー・カレンダーアプリ:所要時間の見積もりが苦手な方は、タイマーで実際にかかる時間を計測し、見積もり感覚を補正していくことが助けになります。
配慮の伝え方|職場でのコミュニケーション
苦手な領域や必要な配慮を職場に伝えること(合理的配慮の相談)は、長く働き続けるうえで大きな助けになる選択肢です。
伝える内容を整理しておく:「自分はこの領域が苦手」「こうした配慮があると助かる」「こうした業務であれば力を発揮できる」という3点を整理しておくと、上司や人事との対話がスムーズになります。
書面化する:口頭での説明だけでなく、書面(メールや配慮事項シート)にまとめておくと、共有が広がりやすくなります。エンラボカレッジのMy Lab.プログラムでは、こうした自己理解の整理を『自分/支え方マニュアル』として言語化していく取り組みも行っています。
段階的に伝える:すべての配慮を最初から求める必要はありません。「まずはこの業務から相談したい」というように、段階的に伝えていく方法もあります。
合理的配慮は、2024年4月から民間事業者にも提供が義務づけられました。苦手な領域があることを伝えることは、本人の権利の一部だと整理されています。
学習障害の治療・支援アプローチ
学習障害そのものを完全になくす治療法は、現時点では確立されていません。ただし、本人の特性に合わせた支援アプローチや、生活・仕事の組み立て直しによって、困りごとを減らしていくことは可能だと考えられています。
医療的アプローチ
医療機関では、本人の苦手領域を評価する検査(知能検査・認知機能検査など)を行い、特性を整理する支援が行われています。
LD単独であれば、薬物療法が中心になるケースは限定的とされています。ただし、ADHDなど他の発達障害が併存している場合や、不安・うつなどの二次的な症状がある場合には、それらに対する治療が行われるケースがあります。
心理・教育的アプローチ
カウンセリングや心理教育を通じて、本人の自己理解を深める支援が行われています。
「自分の苦手さは性格や努力の問題ではなく、特性に由来している」と理解することは、自己肯定感の回復にもつながると考えられています。
福祉サービスによる支援
障害福祉サービスのうち、自立訓練(生活訓練)・就労移行支援などは、大人のLDの方が利用できる支援です。
自立訓練では「生活の組み立て直し」「自己理解」「ストレスとの付き合い方」など、働く前の土台を整える時間を持てます。
就労移行支援では「就職活動の準備」「職場定着の支援」など、就労に直結する支援を受けられます。
エンラボカレッジでは、自立訓練(生活訓練)として、感情学・コミュニケーション・My Lab./アクティビティ/Life Lab./ソマティック Lab./Social Lab./スキルアップの8つのプログラムを通じて、自己理解と生活の組み立て直しを支援しています。
具体的な取り組みは大人の自立訓練(生活訓練)の対象・期間・卒業後の進路もご覧ください。
医療機関に相談する目安
「自分はLDかもしれない」と感じたとき、どのタイミングで医療機関に相談すればよいかを整理します。
相談する目安
仕事や生活で困りごとが続いている:努力では補いきれない困りごとが、職場や生活の場面で続いている場合は、相談を検討する目安のひとつです。
自己肯定感が下がっている:「自分は努力不足だ」「だらしない人間だ」と感じる時間が増えている場合、特性の整理が状況を変えるきっかけになるケースがあります。
二次的な症状が出ている:不眠・気分の落ち込み・不安が強くなっている場合は、二次障害の予防・治療のためにも、早めに相談を検討するのが安心とされています。
相談先の選び方
精神科・心療内科:大人の発達障害(LDを含む)の診療を行っているクリニック・病院があります。事前にホームページや電話で「大人の発達障害の相談に対応しているか」を確認するのが安心です。
発達障害者支援センター:各都道府県・指定都市に設置されており、相談・情報提供を行っています。医療機関の紹介を受けられるケースもあります。
就労支援機関:ハローワーク・地域障害者職業センター・就労移行支援事業所などでは、診断の有無にかかわらず仕事面の相談ができるケースが多いとされています。
検査・診断の流れ
医療機関では、問診・心理検査(知能検査・認知機能検査など)を通じて、特性の評価が行われます。診断には複数回の通院が必要になるケースが一般的です。
検査結果は、自己理解の手がかりとして活用できるほか、職場での配慮を依頼する際の根拠資料としても利用できます。
相談先や支援機関の整理は、大人の発達障害の相談先・支援機関の紹介もあわせて参考にしてください。
利用できる支援制度|手帳・障害福祉サービス
学習障害のある方が利用できる支援制度を整理します。すべてを一度に使う必要はなく、ご自身の状況に合わせて選んでいけるものです。
精神障害者保健福祉手帳
LDを含む発達障害のある方は、精神障害者保健福祉手帳の対象になるケースがあります。
手帳の取得により、税金の控除、公共料金の割引、障害者雇用枠での就職活動など、さまざまな支援を受けられるようになります。
申請には、初診から6ヶ月以上経過していること、医師の診断書が必要になることなど、いくつかの要件があります。
自立支援医療(精神通院医療)
精神科・心療内科への通院費用の自己負担を軽減する制度です。
世帯収入により自己負担額が決まり、医療費の負担が原則1割になります。LDの診療や、併存する症状の治療を継続する場合に活用できます。
障害福祉サービス|自立訓練・就労移行支援
障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスとして、自立訓練(生活訓練)・就労移行支援が利用できます。
自立訓練(生活訓練):18歳から65歳未満の方が、生活の組み立て直し・自己理解・対人スキルの整理などに時間を使えるサービスです。原則2年間の利用期間が設定されています。
就労移行支援:65歳未満の就労を希望する方が、就職に向けた訓練と職場定着支援を受けられるサービスです。原則2年間の利用期間が設定されています。
どちらも、本人や配偶者の所得により利用料の上限が決まり、9割以上の方が自己負担なしで利用されているとされています。
障害者雇用枠での就職活動
障害者手帳をお持ちの方は、障害者雇用枠での就職活動を選択肢のひとつにできます。
苦手な領域に対する配慮を最初から相談しやすい雇用形態であり、長く働き続けやすい環境を整えやすいとされています。
ハローワークの障害者窓口・地域障害者職業センター・就労移行支援事業所などで、求人情報や応募の準備を相談できます。
制度を活用する順序
「すべての制度を最初から使う」のではなく、ご自身の状況に合わせて段階的に選んでいくのが現実的です。
たとえば、「まずは医療機関に相談して特性を整理する」「自立支援医療で通院負担を減らす」「手帳取得を検討する」「障害福祉サービスの利用を相談する」「障害者雇用枠を視野に入れる」――というように、状況に応じて選択肢を広げていく形が一般的とされています。
自立訓練での自己理解アプローチ|エンラボカレッジの取り組み
自立訓練(生活訓練)は、「働く前に生活と自分を整える」ことに時間を使えるよう設計された障害福祉サービスです。
エンラボカレッジでは、8つのプログラムを通じて自己理解と生活の組み立て直しを支援しています。
8プログラム一覧
感情学:不安・怒り・自己批判など、感情との付き合い方を学びます。
コミュニケーション:伝え方・聞き方を実践的に練習します。
My Lab.(マイラボ):エンラボ独自の自己理解プログラム。「自分の取扱説明書」を言語化します。
アクティビティ:外出や創作、グループ活動を通じて社会との接点を持ち直します。
Life Lab.(ライフラボ):エンラボ独自の生活設計プログラム。衣食住・金銭管理・健康管理を組み立て直します。
ソマティック Lab.(ソマティックラボ):身体感覚へのアプローチで、緊張や疲労との付き合い方を学びます。
Social Lab.(ソーシャルラボ):エンラボ独自の社会参加プログラム。ボランティアや地域活動への段階的参加を組み立てます。
スキルアップ:PC操作・ビジネスマナーなど、就労や進学に向けた実用スキルを補強します。
LDのある方が取り組みやすいプログラム
LDのある方の自己理解にとって、特に取り組みやすいプログラムを2つご紹介します。
My Lab.|『自分/支え方マニュアル』をつくる
My Lab.は、エンラボ独自の自己理解プログラムです。利用される方が「自分の取扱説明書」を作っていく時間として位置づけられています。
自分の得意・不得意、苦手な作業の傾向、必要な配慮、頼れる相手――こうした情報を本人と支援者が一緒に整理し、ひとつのマニュアルとして言語化していきます。
LDのある方にとっては、「自分の苦手領域を職場にどう伝えるか」「どんな配慮を依頼すれば働きやすくなるか」を整理するうえで、大きな手がかりになる取り組みです。
このマニュアルは卒業後に職場や家族に共有する際の手がかりにもなります。
スキルアップ|実務に直結するスキル補強
スキルアップでは、PC操作・タイピング・ビジネスメール・電話応対など、就労や進学に向けた実用スキルを補強していきます。
LDのある方にとっては、音声入力ツールの活用、テンプレートの作成、校正ツールの併用など、苦手な領域を補うための実践的な工夫を、安心できる環境で身につける時間として活用できます。
スタッフとの個別の関わり
エンラボカレッジでは、精神保健福祉士・社会福祉士・臨床心理士・作業療法士・理学療法士など、複数の専門職スタッフが在籍しています。
LDのある方ごとに、苦手領域・困りごとの背景・必要な配慮は異なるため、定期的な個別ミーティングを通じて、プログラムの組み合わせや優先順位を一緒に検討していきます。
中盤CTA|無料見学・相談のご案内
「自分の苦手領域を整理する時間がほしい」「いきなり就職活動ではなく、まず土台を整えたい」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。
エンラボカレッジでは、神奈川県・東京都・大阪府・宮崎県の各事業所で、自立訓練(生活訓練)の見学と無料相談を随時お受けしています。
実際の雰囲気を見てから判断いただけますので、まずはお気軽にご連絡ください。
具体的な利用の流れは、大人の自立訓練(生活訓練)の対象・期間・卒業後の進路もあわせてご覧ください。
よくある質問(FAQ)
大人の学習障害は治りますか?
学習障害そのものを完全になくす治療法は、現時点では確立されていません。ただし、本人の特性に合わせた支援、業務の選び方、ツール活用、配慮の依頼などを組み合わせることで、困りごとを減らしていくことは可能だと考えられています。
「治す」というよりも「付き合い方を整理する」という発想に近いと、本人・周囲ともに楽になるケースが多いとされています。
学習障害の人に向いている仕事は何ですか?
「LDだから一律にこの仕事」というものはありません。大切なのは、ご自身の苦手領域(読み・書き・計算のいずれか)を避けやすく、得意な部分を活かせる業務を選ぶことです。
苦手領域が業務全体に占める割合が小さい仕事、定型化された業務、自分のペースで進められる業務などは、無理なく続けやすい傾向があるとされています。
職種名だけで判断するのではなく、実際の業務内容を確認してから検討するのが安心です。
学習障害でも就職できますか?
就職そのものを諦める必要はありません。障害者雇用枠と一般雇用のどちらも選択肢があり、配慮の相談・ツールの活用・業務内容の選び方によって、無理なく続けられる働き方を見つけることが可能だとされています。
就職活動の段階では、ハローワークの障害者窓口・地域障害者職業センター・就労移行支援事業所などの支援を活用できます。
学習障害は障害者手帳の対象になりますか?
LDを含む発達障害のある方は、精神障害者保健福祉手帳の対象になるケースがあります。
申請には初診から6ヶ月以上経過していること、医師の診断書が必要になることなど、いくつかの要件があります。詳しくは主治医や市区町村の障害福祉課にご相談ください。
大人になってからLDの診断は受けられますか?
大人になってからの診断も可能です。精神科・心療内科のうち、「大人の発達障害」の診療に対応している医療機関で相談できます。
事前にホームページや電話で対応の可否を確認しておくのが安心です。発達障害者支援センターでも、医療機関の紹介を受けられるケースがあります。
学習障害の人は計算が全部できないのですか?
「読み・書き・計算」のすべてが苦手というわけではありません。LDは「特定の領域に限ってつまずく」という特性です。
読みが苦手な方、書きが苦手な方、計算が苦手な方、複数の領域が重なっている方など、表れ方は人によって異なります。
LDとADHDは違うのですか?
LDとADHDは、それぞれ別の発達障害です。LDは「読み・書き・計算」など特定の領域でのつまずきが中心で、ADHDは注意の持続や衝動性の苦手さが中心になります。
ただし、両者が併存(重なって持つ)するケースも少なくないとされています。
自立訓練と就労移行支援、どちらを選べばよいですか?
「働く前にまず生活と自分を整えたい」と感じている方は自立訓練(生活訓練)、「就職活動の準備に直接取り組みたい」と感じている方は就労移行支援が、それぞれ目的に近い選択肢となります。
ただし、事業所によりプログラム内容は異なるため、複数の事業所を見学・体験してから決めるのが安心です。
詳しくは大人の自立訓練(生活訓練)の対象・期間・卒業後の進路もご覧ください。
まとめ
大人の学習障害は、子ども時代に気づかれず、社会人になってから仕事の場面で困りごとが表面化するケースが少なくない発達障害です。
ただし、「自分の苦手な領域がどこなのか」を整理し、その領域を避けられる業務・環境を選び、必要なツールや配慮を組み合わせることで、キャリアの選択肢は広がります。
仕事での困りごとは、業務内容と苦手領域の組み合わせで決まります。同じLDでも職種が変われば困りごとは大きく変わる、ということを踏まえると、「自分にとってどんな業務であれば無理なく続けられるか」を考える視点が大切になります。
医療機関への相談、障害者手帳・自立支援医療・障害福祉サービス(自立訓練・就労移行支援)など、活用できる制度は複数存在します。すべてを一度に使う必要はなく、ご自身の状況に合わせて段階的に選んでいけるものです。
「いまから自分の特性を整理する」ことで、働き方や生活の組み立て直しは十分可能です。焦らず、一歩ずつ進めていきましょう。
エンラボカレッジでは、自立訓練(生活訓練)として、自己理解と生活の組み立て直しを支援しています。「自分の苦手領域を整理する時間がほしい」「働く前に土台を整えたい」と感じた方は、まずは見学・無料相談からお気軽にご連絡ください。
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この記事について【作成・監修】
本記事は、自立訓練(生活訓練)事業所「エンラボカレッジ」を運営する株式会社エンラボの専門職チームが作成・監修しています。
【在籍資格】
精神保健福祉士・社会福祉士・臨床心理士・作業療法士・理学療法士
【現場での実践】
自立訓練(生活訓練)・就労移行支援などで、診断名・特性に合わせた個別支援を提供しています。LDを含む発達障害のある方の自己理解・働き方の整理・職場定着までを、現場の支援経験に基づいて整理しています。
【運営会社】
株式会社エンラボ/設立2015年4月/神奈川県を中心に首都圏・関西・宮崎で11拠点運営




