知的障害と発達障害の違いとは?わかりやすく徹底比較【一覧表あり】
更新日:2026/06/01
「知的障害と発達障害って、どう違うの?」「うちの子の診断名を聞いたけれど、似ているようでよく分からない」――そう感じている方は少なくないようです。
知的障害と発達障害は「原因」「現れる時期」「主な困りごと」の3点で比較すると違いが見えてきます。一方で、両者は重なって診断されるケースも少なくなく、「どちらか一方だけ」と決めつけずに理解することが大切とされています。
本記事では、知的障害と発達障害の違い・定義・併存ケース・支援制度・大人の相談先について紹介します。
※本記事は2026年5月時点の公開資料に基づきます。診断や支援区分の判断は医療機関・市区町村窓口にご相談ください。
知的障害と発達障害の違い|3つの観点で比較
知的障害と発達障害の違いは、次の3点に注目すると見えやすくなります。
違い1|原因(背景にある脳機能のあり方)
知的障害は、知的機能(IQ)の発達がゆっくりであることを中心とする状態と説明されています。背景には染色体異常・出生前後の要因・原因不明など、複数の経路が知られています。
発達障害は、脳機能の特性(情報処理の偏り)が中心と説明されています。生まれつきの脳の特性として、自閉スペクトラム症(ASD)・注意欠如多動症(ADHD)・限局性学習症(SLD)などのタイプに分かれます。
違い2|現れる時期(気づかれるタイミング)
知的障害は、発達期(おおむね18歳未満)に明らかになることが定義に含まれます。乳幼児健診・就学時健診・学習場面で気づかれるケースが中心です。
発達障害も生まれつきの脳機能特性ですが、気づかれる時期は幼児期から大人になってからまで幅があります。学校では大きな問題にならず、就職後に困りごとが顕在化するケースも珍しくありません。
違い3|主な困りごと(生活で出てくる困難の中心)
知的障害は、「学習・概念理解・日常生活スキル」全般に支援が必要な状態とされています。読み書き計算、お金の管理、複雑な手順の理解などの場面で困りやすくなります。
発達障害は、「対人関係・こだわり・注意のコントロール・読み書きなどの限定的な領域」が中心です。タイプによっては会話の文脈読み取り、片づけ、衝動性、特定教科の学習などに困難が偏ります。
一覧表で見る違い
| 観点 | 知的障害(知的発達症) | 発達障害 |
|---|---|---|
| 中心となる状態 | 知的機能(IQ)の発達がゆっくり | 脳機能の特性(情報処理の偏り) |
| 主なタイプ | 軽度・中等度・重度・最重度 | ASD・ADHD・SLD など |
| 現れる時期 | 発達期(おおむね18歳未満) | 幼児期〜成人まで幅広い |
| 主な困りごと | 学習・概念理解・日常生活スキル全般 | 対人関係・こだわり・注意・限定的な学習領域 |
| 知能検査の位置づけ | 中核的な判断基準(IQ+適応行動) | 補助的な参考情報 |
| 主な手帳 | 療育手帳 | 精神障害者保健福祉手帳 |
「同じものを別の名前で呼んでいる」のではなく、「重なる部分はあるが、別の概念」と理解しておくのが捉えやすい見方です。
実際には、知的障害と発達障害(特に自閉スペクトラム症)が併存して診断されるケースも多く、両方の視点から支援を組み立てることが一般的とされています。
関連ページ
– 発達障害とは|種類・特徴・大人の困りごとと相談先を紹介(発達障害そのものの概要は本記事と内容が重ならないよう、こちらにまとめています)
知的障害の定義と分類
ここからは、知的障害について定義・分類・国内の人数を紹介します。
知的障害の定義
知的障害は、厚生労働省の定義では「知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、日常生活に支障が生じているため、何らかの特別の援助を必要とする状態」とされています。
最新の医学診断基準(DSM-5-TR・ICD-11)では「知的発達症」という呼び方が用いられ、次の3点を満たす状態として定義されています。
- 知的機能の制約:論理的思考・問題解決・抽象的思考など、知的な活動全般に制約がある状態
- 適応機能の制約:日常生活・社会生活・学習場面で、年齢相応の自立や役割を果たすことに支援が必要な状態
- 発達期に始まること:おおむね18歳未満の発達期に上記の状態があらわれていること
「IQの数値のみ」ではなく、「IQ+日常生活への適応」をあわせて判断するのが現在の基準です。
軽度
知的障害の軽度に該当するのは、知能指数が50以上75未満で、言葉を使った基本的なコミュニケーションやメディアを通じた情報収集などが可能な方。また、日常生活で身の回りのことや健康管理などは自分自身で行うことができ、生活ができるだけの仕事を行うことができるという状態にある方です。
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中度
知的障害の中度に該当するのは知能指数が35以上50未満で、言葉を使ったコミュニケーションに難しさがあり、他者の理解や支援があれば集団活動が行えるといった状態の方。また、日常生活で身の回りのことはある程度はできるが自身で健康管理は難しく、仕事は支援を受けながら可能という方です。
重度
知的障害の重度に該当するのは、知能指数が20以上34未満で、文字や数字の理解はあまりできず言葉でのコミュニケーションも難しい状態の方。また、日常生活で身の回りのことは部分的にしかできず健康管理は自分自身では難しい状態で、仕事は支援の下で単純作業ができるといった方です。
最重度
知的障害の最重度に該当するのは、知能指数が20未満で文字や言葉の理解がほぼない状態の方。日常生活や健康管理は特別な補助が必要で、支援があっても仕事をすることが難しいといった状態の方です。
知的障害の分類(軽度・中等度・重度・最重度)
知的障害は、知的機能と適応行動の両面から、おおまかに4つの段階で説明されることがあります。
- 軽度:身辺自立はおおむね可能で、簡単な読み書き・計算は習得できますが、複雑な判断や抽象的概念の理解に支援が必要なケースが多くなります。IQの目安は50〜69程度とされています
- 中等度:身の回りのことには見守りや声かけが必要となるケースが多く、学習面では基礎的な内容にも継続的な支援が必要です。IQの目安は35〜49程度とされています
- 重度:身辺自立に常時の支援が必要で、言語によるコミュニケーションが限定的なケースが多くなります。IQの目安は20〜34程度とされています
- 最重度:身辺自立・コミュニケーションの両面で広範囲な支援が必要で、IQの目安は20未満とされています
ただし、これらはあくまで目安です。実際の支援は数値の段階ではなく、「ご本人の生活でどんな場面に支援が必要か」を一人ひとり確認しながら組み立てていきます。
軽度知的障害の特性や大人になってからの困りごとについては、別記事で詳しく扱っています。
関連ページ
– 軽度知的障害の特徴と大人になってからの困りごと
生理的要因
知的障害の生理的要因とは、感染症や事故など明確な要因は見当たらないが、知的機能の障害や日常生活能力の困難などが生じることをいいます。
先天的要因
知的障害の先天的要因とは、出産前後に何らかの要因が生じることです。胎児の先天的な代謝異常や、妊娠中の母親の栄養不足、染色体の異常などが要因として考えられています。
後天的要因
知的障害の後天的要因とは、出生後からおおむね18歳までに要因が生じることです。出生後の感染症や栄養不足、事故による頭部の損傷などが当てはまると考えられています。
遺伝的要因
知的障害の遺伝的要因とは、親に知的障害の素因があり、遺伝によって子どもに知的障害が生じることをいいます。といっても、親に遺伝的な要因があれば必ず子どもに遺伝するわけではありません。
先ほども紹介したように、知的障害の原因は明確に特定できることは少なく、複数の要因が関係している可能性もあります。
原因を考えることも大事ですが、具体的に現在困っていることを把握して対策を立てていくことも大事といえるでしょう。
国内の人数
国内の知的障害者数は、療育手帳所持者および調査対象者をあわせると約109万人と推計されています(厚生労働省「生活のしづらさなどに関する調査」)。
このうち、在宅で生活している方が大多数を占めるとされ、地域での支援体制が重要な課題となっています。
「軽度知的障害」は数値上の境界が周囲から気づかれにくく、大人になってから医療機関で気づかれるケースもあります。
発達障害の定義と分類
続いて、発達障害について定義・分類・国内の人数を紹介します。詳しい概要・診断・相談先は発達障害とは|種類・特徴・大人の困りごとと相談先を紹介にまとめているため、本記事では「知的障害との違い」を理解するうえで欠かせない要点に絞ります。
発達障害の定義
発達障害者支援法では、発達障害は「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」と定義されています(同法第2条)。
最新の医学診断基準(DSM-5-TR)では、「神経発達症群」のなかに、知的発達症・コミュニケーション症・自閉スペクトラム症・注意欠如多動症・限局性学習症などが並ぶ位置づけになっています。
発達障害の分類
代表的なタイプとして次の3つが挙げられます。
- 自閉スペクトラム症(ASD):対人コミュニケーションのとり方や、こだわり・感覚の特性に偏りがある状態
- 注意欠如多動症(ADHD):注意の持続・衝動のコントロール・多動の3要素にかたよりが見られる状態
- 限局性学習症(SLD):知的発達全体には大きな遅れがない一方で、読む・書く・計算するなど特定の領域で著しい困難が見られる状態
このほか、発達性協調運動症(DCD)・コミュニケーション症などを含めて捉えられます。
国内の人数
発達障害について、文部科学省の調査では「通常の学級に在籍する小・中学生のうち、知的発達に遅れはないものの学習面または行動面で著しい困難を示す児童生徒の割合」は8.8%と報告されています(2022年度調査)。
成人の発達障害者数は正確な把握が難しい一方で、「大人になってから診断を受ける方」が増えている傾向が複数の報告で示されています。
重なる部分と「併存(重複診断)」
知的障害と発達障害は、別の概念ではあるものの、同じ方に併存して診断されるケースが多くあります。
自閉スペクトラム症と知的障害の併存
DSM-5-TRでは、自閉スペクトラム症の診断にあたり、知的発達症の有無もあわせて確認することが推奨されています。
国際的な研究では、自閉スペクトラム症と診断された方のうち、一定割合に知的発達症が併存する傾向が報告されています(割合は調査により幅があります)。
ADHDと学習症の併存
ADHDの診断を受けた方には、限局性学習症(SLD)の特性が見られるケースも知られています。
「不注意でケアレスミスが多い」のか「読字の困難で同じ文字を見落としている」のかは、丁寧な評価が必要な場面です。
併存の見立てが大切な理由
「知的障害だけ」「発達障害だけ」と決めつけて支援を組み立てると、本人の困りごとに対して支援内容が合いにくいケースが出てきます。
両方の視点から見立てたうえで、「学習・生活スキルへの支援」と「対人・注意・こだわりへの支援」のどちらをどの程度組み合わせるかを考える必要があるとされています。
大人になってから気づくケース|知的障害と発達障害
知的障害も発達障害も、大人になってから気づかれるケースがあります。
大人になってから気づかれる知的障害(軽度知的障害)
軽度知的障害は、学齢期に学習面の困難があってもサポートでカバーされていた、本人の努力で乗り切ってきた、家庭や学校が気づかなかった、といった理由から成人後に気づかれるケースがあります。
職場で「手順書通りに進めるのが難しい」「複数の指示を同時に処理しにくい」といった困りごとが顕在化し、医療機関の受診につながる例が見られます。
大人になってから気づかれる発達障害
発達障害も、学校生活では大きく問題にならず、就職後に「対人関係でつまずく」「マルチタスクが難しい」「興味の偏りが業務にフィットしない」などの困りごとから気づかれるケースが知られています。
「自分が悪いから上手くいかない」と自責に偏ると二次障害(うつ・適応障害など)につながりやすい一方、「特性として理解できる」と分かることで対処の選択肢が広がる方も少なくないとされています。
関連ページ
– 大人の発達障害|特徴と仕事・生活での困りごと
支援制度の違い|手帳・サービス
知的障害と発達障害では、利用できる手帳や支援制度の入口に違いがあります。
手帳
- 療育手帳:知的障害のある方が対象。自治体により名称が異なる場合があります(「愛の手帳」など)
- 精神障害者保健福祉手帳:発達障害を含む精神疾患のある方が対象
知的障害と発達障害の両方の特性がある方は、療育手帳と精神障害者保健福祉手帳の両方を取得しているケースもあります。
障害福祉サービス
知的障害も発達障害も、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスを利用できます。
代表的なサービスとして、自立訓練(生活訓練)・就労移行支援・就労継続支援A型/B型・グループホームなどがあります。
利用には「障害福祉サービス受給者証」が必要で、市区町村の窓口で申請します。診断書や手帳の有無は自治体ごとに運用が異なるため、まずは窓口での相談がすすめられます。
関連ページ
– 自立訓練(生活訓練)とは|対象者・期間・プログラム・費用を解説
教育・就労支援
- 学齢期:特別支援学校・特別支援学級・通級指導教室など
- 成人期:障害者雇用枠での就職/一般雇用での合理的配慮の活用/就労移行支援などを通じた就職活動
大人になってからの相談先
知的障害・発達障害ともに、大人になってから相談できる窓口は複数あります。
1. 医療機関(精神科・心療内科)
診断や治療、障害者手帳の意見書を希望する場合の相談先です。受診の前に、自治体の障害福祉窓口で「対応している医療機関」を尋ねるとスムーズです。
2. 障害福祉窓口・障害者基幹相談支援センター
各市区町村の障害福祉窓口や、地域に設置されている障害者基幹相談支援センターでは、福祉サービスの案内・支給決定の相談・関係機関への接続を受けられます。
3. 発達障害者支援センター
各都道府県・指定都市に設置されており、発達障害のある方とそのご家族向けに相談・情報提供・関係機関の紹介を行っています。
4. 障害福祉サービス事業所
自立訓練(生活訓練)・就労移行支援などの事業所では、見学・体験を受け付けているところが多くあります。診断・手帳の有無にかかわらず相談可とする事業所もあります。
知的障害・発達障害の方の支援の実例|自立訓練(生活訓練)エンラボカレッジ利用者の事例
エンラボカレッジ(株式会社エンラボが運営する自立訓練/生活訓練/神奈川・東京・大阪・宮崎で11拠点)では、知的障害・発達障害のある方に対して、8つのプログラムを通じて生活と就労の両面から伴走する設計にしています。
「就職ありき」ではない進路設計
就労移行支援が「2年以内の就職」を目的とするのに対し、自立訓練(生活訓練)は「働く前・生きていくうえでの土台作り」に時間を使える点が違いとされています。
「進路を急がず、自己理解と生活基盤を整える時間がほしい」段階の方に向きやすい設計です。
8プログラム+4ステージカリキュラム
エンラボカレッジでは、感情学・コミュニケーション・My Lab.・アクティビティ・Life Lab.・ソマティック Lab.・Social Lab.・スキルアップの8プログラムを4ステージで段階的に進めます。
利用の最終段階では、自分の特性と必要なサポートをまとめた『自分/支え方マニュアル』(My Lab.で作成)を成果物として残せる設計です。
体験談(エンラボストーリー)
実際に発達障害のある方が自立訓練を経て就労に進んだ事例として、次のような体験談が公開されています。
業界全体の支援傾向|公的データと業界事例の参考
知的障害・発達障害のある方への支援は、医療・福祉・教育・就労が連携して支える方向に整備が進んでいます。
公的データに見る支援の広がり
厚生労働省の障害者雇用状況調査では、民間企業における精神障害者(発達障害を含む)の雇用者数は近年継続的に増加しています。
文部科学省の調査でも、通常学級に在籍する児童生徒のうち学習・行動面に著しい困難を示す割合が以前より高く報告されており、教育現場での支援ニーズが拡大しているとされています。
業界事例:障害福祉サービス事業者の取り組み
近年、自立訓練(生活訓練)・就労移行支援・就労継続支援を提供する事業者の間で、知的障害・発達障害のある方を対象に「自己理解」「コミュニケーション」「セルフケア」を体系化したカリキュラムを整える動きが広がっています。
「就職」だけを目的にせず、「働き続けるための土台づくり」を重視する事業所も増えているとされています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 知的障害と発達障害は同時に診断されることはありますか?
あります。とくに自閉スペクトラム症と知的発達症は併存しやすいとされており、診断時には両者の有無をあわせて評価することが推奨されています。
Q2. 大人になってから知的障害(軽度)と分かることはありますか?
あります。学齢期は周囲のサポートでカバーされていても、就職後の業務手順や複雑な判断の場面で困りごとが顕在化し、医療機関で気づかれるケースが知られています。
Q3. グレーゾーン(診断はつかないが特性がある)はどう扱われますか?
明確な診断基準を満たさないものの、生活で困りごとが続く方を指して使われる表現です。診断がなくても、自治体の障害福祉窓口や相談機関で利用できる支援につながる場合があります。
Q4. 知的障害と発達障害で、利用できる障害福祉サービスは違いますか?
基本的に、障害者総合支援法に基づくサービス(自立訓練・就労移行支援など)はどちらも利用対象になり得ます。手帳の種類や受給者証の取得経路に違いがある点を押さえておくとよいかもしれません。
Q5. 子どもの診断名が変わることはありますか?
成長や評価の積み重ねによって、診断名が見直されることはあります。診断名そのものよりも、本人の生活上の困りごとと必要な支援に焦点を当てて検討するのが一般的とされています。
まとめ
知的障害と発達障害は「原因」「現れる時期」「主な困りごと」の3点で違いを捉えることができます。一方で、両者が併存して診断されるケースも多く、「どちらか一方」と決めつけずに、本人の生活上の困りごとから支援を組み立てる視点が大切とされています。
次の一歩として、医療機関・市区町村の障害福祉窓口・発達障害者支援センター・自立訓練などの事業所のうち、状況に合った相談先を選んでみるとよいかもしれません。
エンラボカレッジでは、知的障害・発達障害のある方の自己理解と生活の土台づくりに、8プログラムで伴走しています。無料の見学・相談を随時受け付けています。
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この記事について【作成・監修】
監修:株式会社エンラボ 専門職チーム
(精神保健福祉士・社会福祉士・臨床心理士・作業療法士・理学療法士 在籍)
最終更新日:2026-05-31





