知的障害と発達障害の違いををわかりやすく解説します。

公開日:2024/03/29

「言葉でのやり取りに困難がある」「一度に複数のことを処理することが難しい」「読み書きや計算でつまずく」といった困りごとがある場合に、知的障害と発達障害どちらが原因なのかわからないという方もいるのではないでしょうか。

知的障害と発達障害は異なる障害ですが、勉強や仕事、コミュニケーションで生じる困りごとが似ていることもあり「違いがわからない」という場合も多いといわれています。

しかし、発達障害と知的障害では対策が異なるため、それぞれの違いを知って適切な対応をしていくことが、現在直面している困りごとを解消するためにも大切になります。

今回は知的障害と発達障害の違い、それぞれの障害の特徴やよくある困りごと、活用できる支援、相談窓口などを紹介します。

知的障害と発達障害の違い

知的障害と発達障害は学習やコミュニケーションなどの場面で似たような困りごとが生じることから、違いがわかりづらい障害といわれています。知的障害はおおむね18歳までに知的機能の障害が表れて様々な困りごとが生じる障害で、発達障害は生まれつきの脳機能の偏りがあることで多くの困りごとが表れる障害です。

 

どちらも「読み書き計算など学習でつまずく」「周囲とうまくコミュニケーションが取れない」などの困りごとが生じますが、原因に違いがあるため解消するための対策もそれぞれ異なります。

 

そのため、適切な対応をするためにも、知的障害と発達障害のことを知っておくことが大切となります。

 

※知的障害は「知的能力障害(知的発達症)」、発達障害は「神経発達症」といった名称で呼ばれることもありますが、この記事では行政や福祉の場で使われることが多い「知的障害」「発達障害」という表記で記載いたします。

 

知的障害と発達障害で類似する困りごと

知的障害と発達障害の違いがわかりづらい背景に、困りごとが似ているということが挙げられます。ここでは、知的障害と発達障害に共通するよくある困りごとを紹介します。

 

知的障害と発達障害で類似する困りごとは以下のようなものがあります。

  • 相手の立場になって考えることが苦手
  • あいまいな表現や暗黙のルールの理解が苦手
  • 臨機応変な対応が苦手
  • 順序だてて考えることが難しい
  • 複数のことを同時に処理するのが難しい
  • 口頭での会話の理解が苦手
  • 難しい漢字が読めない
  • 複雑な計算が苦手

 

このように、表れる困りごとが類似しているため、知的障害と発達障害の違いがわかりづらく悩んでいる方もいると思います。

 

しかし、共通する部分は多くても、それぞれの困りごとの原因は知的障害と発達障害で違いがあります。例えば、順序立てて行動することが苦手という困りごとでも、知的障害では知的機能の障害があるためですが、発達障害では衝動的に行動してしまうという特性によるものなどの違いがあります。

 

原因に違いがあることで対策にも違いが生じてくるため、それぞれの障害の違いを把握することが困りごとを解消することにもつながってきます。

医学的にみた知的障害は発達障害の枠組みに含まれる

知的障害は医学的な定義と文部科学省などによる定義など、複数の捉え方があります。その中で医学的に見た場合、知的障害は発達障害の中に含まれることがあります。

 

世界的に使用されている精神疾患の診断基準・診断分類である『DSM-5』によると、知的障害は「知的能力障害(知的発達症)」という診断名が付けられていて、発達障害(神経発達症)の一つに位置付けられています。

 

このように、定義によっては知的障害と発達障害は同じカテゴリーとして扱われることもあります。

 

さらに、知的障害は発達障害と併存(一人の人に両方の障害が生じている状態)することも多いといわれています。併存している場合には困りごとをよく見て、知的障害と発達障害どちらから生じているものか把握していくことも大切です。

 

次の章からは知的障害と発達障害それぞれの障害を詳しく紹介します。

知的障害とは?

ここでは知的障害について詳しく見ていきます。

まず知的障害とは、おおむね18歳までの発達期に何らかの原因により生じた知的機能の障害知により、日常生活や学校、仕事などで様々な困りごとが起こる障害のことです。

 

約100人に一人の割合で生じるといわれており、定義によって多少差はありますが基本的に知能指数(IQ)が70未満で、日常生活を営むうえで困難がある方が診断されます。

 

先ほど紹介した『DSM-5』においては知的能力障害(知的発達症)という診断名ですが、厚生労働省や文部科学省などの行政では「知的障害」と表記されることが多くなっています。

 

知的障害は子どもの場合は児童相談所、大人の場合は知的障害者更生相談所で判定を受けることができます。「知的障害かもしれない」という方は、問い合わせてみるといいでしょう。

 

また、知的障害のある方は療育手帳という障害者手帳を取得することが可能です。療育手帳を取得することで、税金の控除や公共交通機関の割引など日常生活で助けとなる色々なサービスを受けることができます。また、障害者雇用求人に応募することもできるようになるなど、仕事の面でも助けとなります。

 

障害者手帳や障害者雇用については後半で詳しく紹介します。

知的障害の種類

知的障害には「軽度」「中度」「重度」「最重度」といった種類があり、知的能力と日常生活における困難の度合いによって判断されます。

 

知的能力は知能指数(IQ)で測り、日常生活能力は着替えや食事など身の回りのことや金銭管理、対人関係の円滑さなどによって測ります。

 

軽度から最重度までの判断は自治体によっても異なりますが、目黒区では以下のような基準が定められています。

 

参考ページ:知的障害とは?原因や発達障害との違い、種類・診断基準などを解説します。

軽度

知的障害の軽度に該当するのは、知能指数が50以上75未満で、言葉を使った基本的なコミュニケーションやメディアを通じた情報収集などが可能な方。また、日常生活で身の回りのことや健康管理などは自分自身で行うことができ、生活ができるだけの仕事を行うことができるという状態にある方です。

中度

知的障害の中度に該当するのは知能指数が35以上50未満で、言葉を使ったコミュニケーションに難しさがあり、他者の理解や支援があれば集団活動が行えるといった状態の方。また、日常生活で身の回りのことはある程度はできるが自身で健康管理は難しく、仕事は支援を受けながら可能という方です。

重度

知的障害の重度に該当するのは、知能指数が20以上34未満で、文字や数字の理解はあまりできず言葉でのコミュニケーションも難しい状態の方。また、日常生活で身の回りのことは部分的にしかできず健康管理は自分自身では難しい状態で、仕事は支援の下で単純作業ができるといった方です。

最重度

知的障害の最重度に該当するのは、知能指数が20未満で文字や言葉の理解がほぼない状態の方。日常生活や健康管理は特別な補助が必要で、支援があっても仕事をすることが難しいといった状態の方です。

 

参考ページ:軽度知的障害とは?特徴や原因・チェック・診断方法を紹介します。

知的障害の原因

知的障害はおおむね18歳までに何らかの原因によって、知的機能の障害による困りごとが生じた方が該当します。原因としては先天的な代謝異常や事故による頭部の損傷などさまざまなことが考えられていますが、不明なことも多いほか、いくつかの要因が重なっている場合もあり、具体的に特定することは難しいといわれています。

 

ここでは、現在考えられている要因をいくつか紹介します。

生理的要因

知的障害の生理的要因とは、感染症や事故など明確な要因は見当たらないが、知的機能の障害や日常生活能力の困難などが生じることをいいます。

先天的要因

知的障害の先天的要因とは、出産前後に何らかの要因が生じることです。胎児の先天的な代謝異常や、妊娠中の母親の栄養不足、染色体の異常などが要因として考えられています。

後天的要因

知的障害の後天的要因とは、出生後からおおむね18歳までに要因が生じることです。出生後の感染症や栄養不足、事故による頭部の損傷などが当てはまると考えられています。

遺伝的要因

知的障害の遺伝的要因とは、親に知的障害の素因があり、遺伝によって子どもに知的障害が生じることをいいます。といっても、親に遺伝的な要因があれば必ず子どもに遺伝するわけではありません。

 

先ほども紹介したように、知的障害の原因は明確に特定できることは少なく、複数の要因が関係している可能性もあります。

 

原因を考えることも大事ですが、具体的に現在困っていることを把握して対策を立てていくことも大事といえるでしょう。

知的障害の特徴や困りごと

知的障害のある方は、日常生活で困りごとが生じる他、ライフステージに応じて学校や職場でも困りごとが生じることがあります。ここでは、知的障害のある方によく見られる困りごとを紹介していきます。また、対策の考え方もあわせて紹介しますので、参考にしてみてください。

 

知的障害のある方のよくある困りごと例として、

  • 漢字や難しい言葉の理解が苦手
  • 抽象的な概念の理解が難しい
  • 口頭での説明の意味が理解しづらい
  • 相手の気持ちを考えた言動が難しい
  • 一度に複数のことを言われると混乱する
  • 勉強や仕事を覚えるのに時間がかかる
  • 記憶したことをすぐに忘れてしまう
  • 食事や着替えなど身の回りのことをするのが難しい
  • 金銭管理や健康管理が難しい

などがあります。

 

また、こういった困りごとが続くことで自信を失ってしまい、心身に影響が出るということも考えられます。

 

困りごとへの対処法としては段階があり、まずは自分の困りごとを把握することが大事です。自身がどこでつまずくことが多いのかを明確にすることが、対策を考えることにもつながるためです。

 

例えば、一度に複数のことを言われると混乱するとわかった場合は、「一度に一つずつ教えてもらう」「紙に書いて教えてもらう」といった方法があります。紙に書いてもらう際には、漢字が苦手な方は「フリガナを振ってもらう」ことも同時に伝えるといいでしょう。

 

その他にも自分でできることとしては、「手順を書いた紙を常に身につけておき、分からなくなったら見返すようにする」などが対策としてあります。

 

困りごとの把握や対策を考えることが難しい場合は、知的障害のある方が利用できる支援機関などがありますので、そちらを頼ってみることも方法の一つです。支援機関については後ほど紹介します。

 

知的障害については以下の記事でも詳しく紹介しています。ぜひご参照ください。

 

参考ページ:軽度知的障害の特徴とは?大人の軽度知的障害の特徴や原因・困りごと・仕事や生活に役立つ情報を解説します。

発達障害とは

発達障害とは、生まれつきの脳機能の偏りにより物事の捉え方などに特性が生じ、日常生活や学校、仕事などで困りごとが起こることがある障害のことです。

 

発達障害には、自閉スペクトラム症(ASD)、ADHD(注意欠如・多動症)、学習障害(LD)/限局性学習症(SLD)などの種類があり、それぞれ特徴や困ることが異なっています。

 

発達障害は『DSM-5』では「神経発達症」という診断名になっておりますが、知的障害と同じく行政の場面などでは発達障害という表記をされることが多くなっています。

 

発達障害は精神科や心療内科、発達障害外来などで診断を受けることが可能です。すべての病院で受け付けているわけではなく、子どもと大人で場所が異なる場合もありますので、診断を受けたいという方はあらかじめ病院のホームページなどで確認しておくようにしましょう。

 

発達障害のある方も障害者手帳を取得することが可能で、精神障害者保健福祉手帳が対象となります。また、知的障害を伴う場合は療育手帳も対象となります。どちらの障害者手帳においても、所持することで税金の控除などのサービスを受けることや障害者求人への応募などができ、生活や仕事に対しての助けとなります。

 

参考ページ:大人の発達障害?特徴や原因・診断・治療法・病院の探し方・相談先を紹介します。

自閉スペクトラム症(ASD)

発達障害の中の自閉スペクトラム症とは、対人関係やコミュニケーションの困難や興味関心の偏り、特定の物事へのこだわりなどの特徴がある障害で、ASDとも表記されます。

 

自閉スペクトラム症のある方は、対人関係やコミュニケーションの困難では、「他者の立場に立って考えることが苦手」「あいまいな表現や冗談、皮肉などがよくわからない」といった特徴があります。

 

興味関心の偏りや特定の物事へのこだわりでは、「興味を持つ持たないの差が激しい」、「特定の対象や順番などに強くこだわる」という特徴があります。

 

また、自閉スペクトラム症のある方の中には周囲の刺激に敏感な感覚過敏、または刺激を感じづらい感覚鈍麻(どんま)がある方もいます。

 

そして、こういった特徴と周りの環境や状況がうまく合わないことで様々な困りごとが生じてきます。例えば、口頭のみで話をしている状況では冗談や皮肉をそのまま受け取ってしまい、思わぬトラブルとなるといったことが考えられます。

 

自閉スペクトラム症は約1%の割合で生じるといわれていて、その中でも約70%の方が何らかの他の発達障害や精神疾患を有しているとされています。

 

参考ページ:大人のASD(自閉スペクトラム症)|症状・特徴・セルフチェックの方法などを解説します。

ADHD(注意欠如・多動症)

ADHDは注意欠如・多動症ともいい、衝動的な言動や集中の難しさなどを特徴とする発達障害のことです。

ADHDには「不注意」と「多動・衝動性」と大きく分けて2つの特性があります。不注意特性では、「一つのことに注意を向け続けることが難しい」「順序だてて考えることが苦手」といった特徴があります。

 

多動・衝動性特性では、「じっとしていることが難しい」「待つことが苦手」「思いついたことをそのまま実行する」といった特徴があります。

 

人によって不注意の困りごとが現れやすい「不注意優勢型」多動・衝動性の困りごとが現れやすい「多動・衝動優勢型」どちらも現れる「混合型」もあります。

 

このような特徴と周りの環境やその時の状況によって様々な困りごとが生じることが考えられます。例えば、座っていなければいけない授業の最中に、じっとしていることができずについ歩き回ってしまうといったことが考えられます。

 

ADHDと診断される子どもの割合は学齢期では約3~7%程度といわれており、他の発達障害や精神疾患が併存することもあるとされています。

 

参考ページ:ADHD(注意欠如・多動症)の特徴・特性とは?大人・子どもの特徴や症状や困りごとについて解説します。

学習障害(LD)/限局性学習症(SLD)

学習障害はLDとも呼ばれ、知的機能の障害はないが、読み書き計算などの特定の学習が著しく苦手という発達障害のことです。限局性学習症(SLD)と呼ばれることもあります。

 

学習障害は困難な分野によって、大きく「識字障害」「書字障害」「算数障害」と分類されています。

 

識字障害は、読字障害とも呼ばれ、文字を読むことに関する困難がある状態で、「「ぬ」や「め」などの似た文字の識別が難しい」「読めない文字を適当に補完してしまう」「音読み、あるいは訓読みしかできない」などの特徴があります。

 

書字障害には文字を書くことに関する困難もあり、「正確に文字を書くことが難しい」「文法や句読点の理解が難しい」などの特徴があります。

 

算数障害とは、計算や推論することに関して困難があり、「計算に時間がかかる」「数の大小などの概念の理解が苦手」などの特徴があります。

 

学習障害のある方は、こういった特徴から小学校に入学してから勉強でつまずくことが多く、仕事を始めるようになっても文章の読み書きに時間がかかるなどで困る場面があるといわれています。

 

何らかの学習障害のある子どもは大体4・5%程度いるという調査があり、他の精神疾患を併存している場合もあります。

発達障害の原因

発達障害の原因は、現在までのところ明確に判明しているわけではありません。しかし、何らかの要因によって生まれつき脳機能に偏りがあることによって、不注意などの発達障害の特性が生じるのではないかといわれています。

 

要因としては、一部では遺伝的な要因や出産前の胎内環境、出生時のトラブルなどが考えられているとされていますが、詳しくはわかっていません。発達障害も知的障害と同じく、親に遺伝的な要因があったとしても必ず発症するわけではありません。あくまで要因の一つとして考えられるだけで、実際には一つだけではなく複数の要因が重なって生じることもあるといわれています。

 

原因の特定は難しいため、まずは現在困っていることに目を向けて、どのように解消していくか考えることや支援機関に相談することが大事だといえるでしょう。

発達障害の特徴や困りごと

発達障害のある方は、その特徴と周りの環境や状況によって様々な困りごとに直面することがあります。ここでは、よく見られる困りごとを紹介していきます。また、対策の考え方も紹介しますので、あわせて参考にしてみてください。

 

まず、自閉スペクトラム症のある方に見られる困りごと例は、

  • 「もう少し」などあいまいな表現が分からない
  • 暗黙のルールや皮肉などが理解しづらい
  • 相手の立場に立って考えることが苦手
  • 周囲の音や動きなどに敏感で集中がしづらい
  • 突発的な変更があると混乱してしまう
  • 臨機応変な対応が苦手

などがあります。

 

つぎに、ADHDのある方の困りごと例として、

  • 一つのことに集中力が続かない
  • ケアレスミスが多い
  • 遅刻や忘れ物、失くし物が多い
  • 机や部屋の整理整頓ができない
  • 見通しを立てることが難しい
  • 相手の発言に割り込むことがある
  • 会議や授業中にじっとしていられない

といったことがあります。

 

最後に、学習障害のある方の困りごと例として、

  • 特定の勉強が著しく苦手
  • 文章を書くのに非常に時間がかかる
  • フリガナがないと文章が読めない
  • お釣りなどの計算がとっさにできない

などが挙げられます。

 

発達障害のある方の困りごとへの対処法も、まずは自分がつまずきやすい場面を把握することから始めるといいでしょう。

 

あいまいな表現の理解が難しいという方は、「もう少し」などの表現を自分が理解できるように、具体的な数字やイメージを伝え確認する」「わからない場合は質問する」などの対処法があります。

また、相手に協力してもらう方法として「具体的に教えてもらう」「文章で教えてもらう」なども考えられます。

 

遅刻が多いという方は、「前日に持ち物や着る服を準備しておく」「出発する時間にアラームが鳴るように設定する」などが対策として考えられます。

 

他にも、文章を読むのに時間がかかる場合は、原因に合わせて「音声読み上げソフトを使う」「フリガナを振ってもらう」など周りへ協力してもらうことなども方法として考えられます。

 

発達障害のある方の困りごとの把握や対処法についても、個人で進めるのは難しいと感じることもあるでしょう。そういったときは、次の章で紹介する支援機関に相談してみるのも一つの方法です。

 

発達障害について、以下の記事でも紹介しています。詳しく知りたい方はご覧ください。

 

参考ページ:発達障害の特徴とは?大人の発達障害の特徴や困りごとを場面・診断別に解説します。

知的障害や発達障害で困ったら?

知的障害や発達障害があって困りごとが多い場合に、活用できる支援制度や相談できる窓口があります。知的障害や発達障害専門の窓口と、両方の障害を相談できる窓口がありますので、この章で紹介していきます。

 

中には、生活や仕事の困難を解消するためのトレーニングなどを提供している支援機関もありますので、参考にしてみてください。

発達障害者支援センター

発達障害者支援センターとは、年齢に関係なく発達障害のある方やその家族の相談を受け付けている専門機関です。

 

発達障害についての知識のあるスタッフが相談対応し、発達障害に関連した生活や仕事の悩みに対して必要なアドバイスや状況に応じた医療機関、支援機関の紹介などを行っています。発達障害の診断がなくても相談可能なので、知的障害か発達障害か判断ができないという場合も一度相談してみるといいでしょう。

児童相談所/知的障害者更生相談所

知的障害のある方は年齢に応じて支援機関にも違いがあります。18歳未満の子どもの場合は、児童相談所で知的障害に関する相談受付や検査などを行っています。大人の場合は、知的障害者更生相談所で、相談受付や検査を行っています。

 

自身や家族の年齢にあわせて、相談する場所を選択するようにしましょう。

市町村保健センター

市町村保健センターとは、地域の保健衛生に関する様々な業務を行っている機関です。その中で、障害に関する相談対応も行っています。

 

知的障害と発達障害両方の障害に対応していますので、どちらの障害かわからないけど困りごとがあるという場合にも相談してみるといいでしょう。

自治体の障害福祉窓口

知的障害と発達障害は違いがわかりづらく、どこに相談したらいいのか悩むという方も多いと思います。そういったときは自治体にある障害福祉窓口に相談してみることで、その方の状態に合わせた支援機関を紹介してもらえることがあります。「相談場所がわからない」という方は、一度問い合わせてみるといいでしょう。

障害者手帳

知的障害や発達障害など診断のある方は、障害者手帳を取得することができます。障害者手帳とは、一定の障害があることを証明する手帳のことで、取得することで経済的なサービスを受けることができ、障害者雇用求人への応募が可能になるなどのメリットがあります。

 

障害者手帳には種類があり、知的障害の診断のある方は療育手帳(自治体により名称が異なることがあります)が対象となり、発達障害の診断のある方は精神障害者保健福祉手帳が対象となります。なお、知的障害と発達障害が併存している場合は、どちらの手帳も対象となります。

 

障害者手帳を取得するには申請を行う必要があるため、詳しいことは自治体の障害福祉窓口や主治医にご相談ください。

障害者雇用

障害者雇用とは、障がいのある方がその人の能力や適性に応じた働き方ができるよう、企業や自治体が通常の雇用とは別に採用枠を設けて雇用することです。

 

障害者雇用で働くことで、障害の特性に応じた配慮などが受けやすくなるというメリットがあります。先ほど紹介した対処法の中には、職場の方の協力が必要なものもありましたが、障害者雇用で働くことで配慮として協力を得やすくなる傾向があります。

 

現在仕事で困りごとがある方も、これから就職活動をしていくという方も、障害者雇用を検討してみるといいでしょう。

 

障害者雇用で働くためには障害者手帳を取得し、ハローワークなどで障害者求人に応募する必要があるため、検討している方は障害者手帳の取得も進めていくようにしましょう。

自立訓練

自立訓練とは障害のある方が自立した生活を営めるように、必要なスキルを身につけるための訓練、サポートを提供している支援機関です。

 

自立訓練には「生活訓練」と「機能訓練」の2種類があり、知的障害や発達障害のある方は基本的に生活訓練を利用することが多くなっています。

 

自立訓練(生活訓練)を利用すると、体調管理や金銭管理、コミュニケーションなど生活するうえで困難を感じていることに対して、スタッフからのサポートを受けながら各種プログラムに取り組んでいきます。

 

自立訓練(生活訓練)事業所を運営している「エンラボ カレッジ」では、知的障害のある方や発達障害のある方のサポートを数多く行っています。

 

一人ひとりの悩みごとや特徴をヒアリングし、現状を整理したうえで目標、計画を立てて訓練を提供しています。

 

診断名で判断することはなく、困りごとが知的障害と発達障害どちらが原因となっているかわからないという方にも、訓練を通して自分の困りごとの特徴をつかみ、対処法などを考えていくためのサポートを実施しています。

 

生活の場面だけでなく、希望に応じて指示理解やスケジュール管理、職場でのコミュニケーションなど今後仕事をするうえで不安に感じていることへの対処法を身につけていくための取り組みを行うこともできます。

 

エンラボ カレッジでは無料で相談を受け付け中です。障害者手帳がなくても利用が可能となることもありますので、知的障害や発達障害による困りごとを解消したいという方はお気軽にお問い合わせください。

知的障害と発達障害の違いまとめ

知的障害と発達障害は、困りごとが似ているため違いがわかりづらいといわれている障害です。

 

実際には、知的障害はおおむね18歳までに生じた知的機能の障害により困りごとが起こり、発達障害は生まれつきの脳機能の偏りがあることによって困りごとが起こる、という違いがあります。

 

しかし、違いがあっても「言葉でのやり取りに困難がある」「一度に複数のことを処理することが難しい」「読み書きや計算でつまずく」など共通する困りごとも多くあります。

 

それぞれの困りごとの背景にあるのが知的障害か発達障害かで、対処法も異なってくるため、違いを把握しておくことが大事になります。

 

ただ、知的障害と発達障害が併存することもあり、個人で違いを把握するのは難しいと思います。困りごとを解消するためにも医療機関や支援機関への相談を検討してみてもいいでしょう。

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