ADHDの特徴|3タイプと大人・子どもの場面別の困りごとを解説
更新日:2026/05/31
ADHDの特徴とは具体的にどういうものか、自分や家族に当てはまるのかを確かめたい――特性の名前は知っていても、現れ方の幅まではつかみづらいのがADHDです。
ADHD(注意欠如多動症)には、不注意・多動性・衝動性という3つの中核的な特性があり、現れ方は人によって大きく異なります。さらに大人と子どもでは、表に出る困りごとの形も変わってきます。
本記事では、ADHDの3つの特性と、大人・子どもそれぞれの場面での困りごとについて紹介します。
ADHDとは|定義と3つの中核特性
まず、ADHDの定義と中核となる特性を整理します。
ADHDの定義
ADHDは「Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder」の略で、日本語では「注意欠如・多動症」または「注意欠如多動症」と訳されます。
米国精神医学会の診断基準であるDSM-5-TRや、世界保健機関のICD-11では、神経発達症群(発達障害)のひとつに位置づけられています。
厚生労働省のe-ヘルスネットでは、ADHDを「不注意(集中力がない)、多動性(じっとしていられない)、衝動性(思いつくと行動してしまう)の3つの症状を特徴とする発達障害」と説明しています。
「発達障害」という大きなカテゴリのなかに、ADHD・自閉スペクトラム症(ASD)・限局性学習症(LD/SLD)などが含まれており、それぞれの特性が単独で現れる方もいれば、重なって現れる方もいらっしゃいます。
中核特性1|不注意
「不注意」は、注意を必要な対象に向けたり、向け続けたりすることの難しさとして現れる特性です。
具体的には、細かい部分を見落とす、忘れ物が多い、約束や予定をうっかり忘れる、長時間集中することが難しい、別のことに気を取られやすい、片付けや整理整頓が苦手といった形で表れます。
「興味のあることには過剰に集中できる(過集中)が、興味の薄いことには着手しづらい」というアンバランスも、不注意特性の一面として整理されています。
中核特性2|多動性
「多動性」は、身体の動きを抑えにくいことと、内側に感じる落ち着きのなさを含む特性です。
子どもの場合は、座っていられない、教室で立ち歩く、走り回るなど、目に見える形で表れることが多くなります。
大人になると外側の動きは減ることが多い一方、「足を揺らす」「手遊びが止まらない」「会議中にじっとしているのがつらい」「内側がそわそわして落ち着かない」といった形に変化していくケースが見られます。
中核特性3|衝動性
「衝動性」は、思いついたことや感じたことを、いったん立ち止まって考える前に行動・発言してしまう特性です。
子どもの場合は、順番を待てない、ほかの人の会話に割り込む、急に走り出すといった行動として表れます。
大人になると、「会議で話を最後まで聞かずに発言してしまう」「衝動的にネット通販で買い物をしてしまう」「思ったことをそのまま口に出してしまい関係がぎくしゃくする」といった形に変わっていく傾向があります。
ADHDの3タイプ|不注意優位型/多動衝動優位型/混合型
ADHDは、3つの中核特性のうちどれが強く出るかによって、3つのタイプに分けられています。
DSM-5-TRでは「不注意優勢に存在」「多動・衝動優勢に存在」「混合に存在」と表記されますが、ここではわかりやすく「不注意優位型」「多動衝動優位型」「混合型」として整理します。
タイプ1|不注意優位型
不注意の特性が強く出るタイプです。
多動性・衝動性が目立たないため、子どもの頃は「静かでおとなしい子」「ぼーっとしている子」と見られ、見過ごされやすい傾向があります。
大人になってから、仕事のケアレスミスや忘れ物の多さで困難さに気づき、初めて受診するパターンも少なくありません。
代表的な特徴は次のとおりです。
- 細かいミスが多い(誤字脱字、計算ミス、書類の記入漏れなど)
- 約束や予定を忘れる
- 物をどこに置いたか思い出せない
- 会話の途中で集中が切れる
- 整理整頓が苦手で、デスクや部屋が散らかりやすい
- やるべきことの優先順位がつけにくい
- 期限のあるタスクを先延ばしにしてしまう
タイプ2|多動衝動優位型
多動性・衝動性の特性が強く出るタイプです。
子どもの頃から動きの多さや落ち着きのなさが目立ち、就学前後に周囲が気づくケースが多いとされています。
大人になると外側の動きは減りますが、内側の落ち着きのなさや衝動的な発言・行動として残るケースがあります。
代表的な特徴は次のとおりです。
- じっとしていることが苦手
- 思いついたことをすぐ口に出してしまう
- 順番を待つことが難しい
- 会話に割り込んでしまう
- 衝動的な買い物や決断をしてしまう
- イライラが抑えにくい
- 退屈な場面で離席したくなる
タイプ3|混合型
不注意・多動衝動の両方の特性が同程度に現れるタイプです。
大人のADHDで医療機関を受診される方の多くがこのタイプに該当するとされており、不注意のミスと衝動的な言動の両方で困りごとを抱えやすい傾向があります。
「会議でうっかり発言してしまい、そのあと議事録の記録ミスにも気づかなかった」――こうした不注意と衝動性が同時に絡む場面で、本人も周囲も対処に悩むケースが多く見られます。
タイプは固定されない|年齢・環境で変化する
3タイプは、生涯にわたって固定されたものではありません。
子どもの頃は多動衝動優位型だった方が、思春期以降に多動性が落ち着き、不注意優位型や混合型に近づいていくケースは珍しくないとされています。
「今の自分はどのタイプに近いか」を主治医や支援者と一緒に確認しながら、現在の困りごとに合わせた工夫を考えていく姿勢が、特性とつき合っていくうえで大切です。
大人のADHDの特徴|場面別の困りごと
大人のADHDでは、特性が「仕事」「家庭」「人間関係」など、生活の多様な場面に影響を及ぼします。
ここから、場面ごとに代表的な困りごとを整理します。
仕事の場面|ケアレスミス・締切管理・会議での集中
大人のADHDで最も困りごとが表面化しやすいのが、仕事の場面です。
具体的には、次のような困りごとがよく見られます。
ケアレスミスが減らない:書類の記入漏れ、メールの宛先間違い、数字の転記ミスなど、注意を分散しなければならない作業でミスが重なりやすい傾向があります。
締切管理が難しい:複数の案件を並行して進めるとき、優先順位がつけにくく、締切直前まで着手できないパターンが見られます。
会議で集中が続かない:1時間以上の会議で集中力が切れ、議題からそれた発言をしてしまったり、議事録を取り損ねたりするケースがあります。
整理整頓が追いつかない:デスクの上、PC内のファイル、メールの受信箱などが整理しきれず、必要な情報を取り出すのに時間がかかります。
衝動的な発言で関係が悪化する:会議中や雑談中に、思ったことをそのまま口に出してしまい、後から「言わなければよかった」と振り返るパターンが見られます。
雑談・人付き合いの疲れが大きい:話を最後まで聞くことや、相手のペースに合わせ続けることに大きな労力がかかり、業務以外の場面で消耗するケースがあります。
家庭の場面|片付け・家事の段取り・金銭管理
家庭での生活面でも、ADHDの特性が困りごととして表れることがあります。
片付けが続かない:「ここに置いた」を忘れる、片付けの途中で別のことに気を取られる、捨てる判断がつかないなどの理由で、片付けが進まないパターンが見られます。
家事の段取りが組めない:料理・洗濯・掃除を並行して進めるとき、手順が組み立てられず、途中で別の家事を始めて元の家事を忘れてしまうケースがあります。
金銭管理が難しい:衝動的な買い物、サブスクリプションの解約忘れ、家計簿が続かないなどの理由で、収支のコントロールが難しく感じる方がいらっしゃいます。
書類・手続きの先延ばし:役所の手続き、公共料金の支払い、保険の更新など、期限はあるが緊急性が見えづらい手続きを後回しにしてしまう傾向があります。
朝の身支度に時間がかかる:複数の動作を順序立てて行うことが難しく、「歯磨きの途中でメールを読み始める」など、ひとつのことに集中できずに時間がかかるパターンがあります。
人間関係の場面|距離感・会話・予定管理
対人面でも、ADHDの特性が影響する場面があります。
距離感のつかみ方:初対面の相手にも親しい人と同じテンションで話してしまう、逆に「失礼があったかも」と過剰に気を遣って疲れるなど、距離感のチューニングに労力がかかるケースがあります。
会話の途中で集中が切れる:相手の話を聞いている途中で別の連想が浮かび、相手の話の続きを聞き逃してしまうパターンがあります。
予定の管理が追いつかない:友人との約束、家族のイベント、職場の飲み会などをダブルブッキングしたり、当日に思い出して焦るケースが見られます。
衝動的な言動で関係がぎくしゃくする:思ったことをそのまま口に出して相手を傷つけてしまう、軽い気持ちで誘いを断った言い方が強すぎたなど、関係の修復に時間がかかるケースがあります。
自己肯定感が下がりやすい:「またミスをした」「また約束を忘れた」が積み重なることで、自分への評価が下がっていくパターンが見られます。
心と体の場面|過集中・睡眠の乱れ・先延ばしの疲れ
ADHDの特性は、心と体のリズムにも影響することがあります。
過集中による疲労:興味のあることに何時間も没頭してしまい、食事や睡眠を後回しにして、後でどっと疲れが出るパターンが見られます。
睡眠リズムの乱れ:寝る前の刺激(スマートフォン・ゲーム・読書)から切り替えにくく、就寝が遅れがちになる方が多い傾向があります。
「先延ばし→直前に焦る」サイクルの疲労:締切まで着手できず、直前に集中して仕上げるサイクルが続くと、慢性的な疲労感が蓄積していきます。
気分の浮き沈み:失敗体験の積み重ねや過剰な努力からくる消耗で、気分が落ち込みやすくなる方も少なくありません。うつ病・適応障害などの二次障害につながるケースもあります。
子どものADHDの特徴|場面別の困りごと
子どものADHDでは、家庭・学校・友達関係の場面で特性が現れます。
大人とは異なる現れ方をするため、保護者の方が「これってADHDの特性かもしれない」と気づくきっかけになることが少なくありません。
家庭の場面|支度・宿題・片付け
家庭でよく見られる困りごとを整理します。
朝の支度が進まない:着替え・歯磨き・朝食・持ち物の準備など、複数の動作を順序立てて行うことが難しく、毎朝の支度に時間がかかります。
宿題に取りかかれない・終わらない:始める前に別のことに気が向いてしまったり、途中で集中が切れたりして、宿題が終わらないケースが見られます。
片付けができない:おもちゃ・服・学用品が部屋に散らかり、片付ける段になっても「どこから手をつけるか」がわからずに進まないパターンがあります。
忘れ物・なくし物が多い:教科書・体操服・水筒・連絡帳など、毎日の持ち物を忘れる、または学校で置き忘れて帰ってくる傾向が見られます。
約束を忘れる:保護者との約束、習い事の予定などを忘れてしまい、後から「言ったでしょ」「聞いてない」のすれ違いが生まれやすいパターンがあります。
学校の場面|授業中の集中・友達関係・忘れ物
学校生活では、次のような困りごとがよく見られます。
授業中にじっとしていられない:低学年では立ち歩きや離席として表れることがあり、高学年では「席にはいるが、手遊びや独り言が止まらない」形に変化することがあります。
授業の内容に集中できない:先生の話を聞き始めても、途中で別のことに気を取られ、ノートが取れていないケースが見られます。
順番を待てない・割り込む:給食の配膳、発言の機会、ゲームの順番などで待つことが難しく、トラブルにつながるケースがあります。
忘れ物が続く:教科書・宿題・体操服を毎日のように忘れ、先生から繰り返し注意されることで自信を失っていくパターンが見られます。
ケアレスミスが多い:テストで「わかっていたのにケアレスミスで失点」が続き、本人も保護者も「やればできるのに」というもどかしさを抱えるケースがあります。
友達関係の場面|会話・遊び・感情コントロール
友達との関わりでも、特性が影響することがあります。
会話に割り込む:友達同士の会話に割って入ってしまい、嫌がられるパターンが見られます。
遊びのルールが守れない:ボードゲームやルールのある遊びで、衝動的に動いてしまい「ずるい」と言われるケースがあります。
感情の切り替えが難しい:負けたとき・思い通りにならないときに気持ちの切り替えに時間がかかり、泣き出したり怒り出したりして遊びが中断するパターンがあります。
距離感のつかみ方:初対面の友達にも親しい人と同じように接して驚かれる、または逆に過剰に気を遣って疲れるケースがあります。
自己肯定感の低下:「また怒られた」「また仲間外れになった」が積み重なることで、「自分はダメだ」という感覚が育ちやすい傾向があります。
思春期以降の変化|内的な落ち着きのなさへ
思春期以降は、身体的な多動性が落ち着いていく一方で、「内側に感じる落ち着きのなさ」や「衝動的な発言」として特性が残るケースが見られます。
進学・恋愛・部活動・アルバイトなど新しい環境が増える時期は、それまで気づかれなかった不注意の特性が、スケジュール管理・課題提出・人間関係のトラブルとして表面化することがあります。
「子どもの頃は活発でも何とかなっていたが、高校・大学に上がってから困りごとが増えた」という相談は珍しくありません。
大人と子どものADHD|特徴の現れ方の違い
同じ「ADHD」という診断名でも、大人と子どもでは特性の見え方が変わってきます。
代表的な変化を整理します。
多動性|外側の動きから内側のそわそわへ
子どもの頃に目立っていた「走り回る」「立ち歩く」といった外側の多動は、大人になると目立ちにくくなっていく傾向があります。
代わりに、「会議中に足を揺らす」「内側がそわそわして長時間座っているのがつらい」「列に並んでいるのが苦痛」といった、内側の落ち着きのなさとして残るパターンが見られます。
衝動性|行動から発言・決断へ
子どもの頃の「順番を待てず割り込む」「急に走り出す」といった行動の衝動性は、大人になると「会議で発言を抑えられない」「衝動的に転職や買い物を決めてしまう」など、発言や決断の形に変化していくケースが見られます。
不注意|遊びの場面から仕事の場面へ
子どもの頃は「授業中にぼんやりする」「忘れ物が多い」という形で表れていた不注意が、大人になると「ケアレスミスが続く」「締切管理が追いつかない」「メールの返信忘れが多い」など、仕事のパフォーマンスに直接影響する形で表面化していきます。
「困りごとの場面」が広がる
子どもの頃は学校と家庭が生活の中心ですが、大人になると仕事・家事・育児・地域・パートナーシップなど、関わる場面が大幅に広がります。
それぞれの場面で求められる「順序立て」「複数タスクの管理」「対人スキル」のレベルが上がるため、子どもの頃よりも困りごとが立体的に重なってくる方が少なくありません。
「自分の特性」を言葉にできるようになる強み
一方で、大人になると「自分の特性を言葉で説明できる」「自分なりの工夫を考えられる」という強みも育ってきます。
子どもの頃は周囲が気づいてサポートする形だった工夫を、大人になると本人が主体的に選び取れるようになる――この変化は、特性とつき合っていくうえで大きな力になります。
他の発達障害との特徴の違い
ADHDは、ASD(自閉スペクトラム症)やLD(限局性学習症)などの発達障害と特性が重なる部分があり、見分けがつきにくいことがあります。
代表的な違いを整理します。
ADHDとASD(自閉スペクトラム症)の違い
ADHDの中核特性が「不注意・多動性・衝動性」であるのに対して、ASDの中核特性は「対人コミュニケーションの困難さ」「限定された興味やこだわり、感覚特性」とされています。
ただし、両方の特性を併せ持つ方も少なくありません。日本のいくつかの研究では、ADHDの方のうち一定割合でASD傾向が併存するとの報告もあり、現実には「両方の特性に少しずつ困っている」というケースも多く見られます。
ADHDと双極性障害の違い
衝動的な行動や感情の波という点で、双極性障害との見分けが難しいケースがあります。
双極性障害は気分の波(うつ状態と躁状態)が一定期間続く点が特徴とされ、ADHDの衝動性は気分の波と関係なく日常的に現れる点が違いとされています。
ADHDとLD(限局性学習症)の違い
LDは「読む・書く・計算する」など特定の学習領域に限定された困難さが現れる発達障害で、知的発達には大きな遅れがないとされています。
ADHDの「ケアレスミス」や「集中の続きにくさ」がLDの読み書きの困難さと重なって見えることがあり、両方の評価が必要になるケースがあります。
「複数の特性が重なる」前提で考える
発達障害は単独で現れることもあれば、複数の特性が重なって現れることもあります。
「ADHDだけ」「ASDだけ」と決めつけずに、「どの特性が、どの場面で、どれくらい困りごとにつながっているか」を一緒に整理する視点が、支援の入り口になります。
ADHDの特徴と「強み」|環境次第で活きる側面
ADHDの特性は、困りごとの面で語られがちですが、環境次第では「強み」として活きる側面もあります。
強み1|興味のある分野への過集中
不注意の裏返しとして、興味のある分野には何時間も没頭できる「過集中」の力を持つ方が多い傾向があります。
研究・創作・プログラミング・デザインなど、深い集中を求められる仕事との相性が良いケースがあります。
強み2|発想の柔軟さ・連想の広がり
注意が分散しやすい特性は、見方を変えると「複数の領域を行き来できる発想の柔軟さ」につながります。
新しいアイデアを生み出す仕事、複数分野を組み合わせる仕事、企画やクリエイティブの仕事で活きるケースがあります。
強み3|行動の速さ・チャレンジ精神
衝動性の側面は、「思いついたらすぐ動ける」「新しいことに飛び込める」という行動力として現れることがあります。
スタートアップ・営業・現場対応など、スピード感と判断力が求められる場面でこの特性が強みとして活きるケースが見られます。
強み4|エネルギッシュさ・人を巻き込む力
多動性の側面は、「エネルギッシュに動ける」「人を巻き込んで場を盛り上げられる」という形に変わることがあります。
イベント運営・接客・チームのリーダーシップなど、エネルギーと人との関わりを必要とする場面でこの特性が活きるケースがあります。
「強みとして活きる環境」を選ぶ視点
これらの特性が「困りごと」として表れるか「強み」として活きるかは、本人がいる環境に大きく左右されます。
「決まった手順を正確に繰り返す」ことを求められる職場では困りごとが目立ち、「新しい発想や行動力を求められる」職場では強みが活きる――こうした見極めが、長く続けられる仕事との出会いにつながります。
特性とつき合う工夫|場面別の対処の入り口
ここから、場面別に「特性とつき合う工夫」の入り口を整理します。
すべての方に当てはまる正解があるわけではなく、自分なりの工夫を試しながら見つけていく姿勢が大切です。
仕事の場面の工夫
チェックリストとリマインダーの活用:ケアレスミスや締切忘れを減らすために、自分専用のチェックリストを作る、スマートフォンのリマインダーやタスク管理アプリを使うといった工夫が広く取り入れられています。
1日のタスクを「3つ」に絞る:複数のタスクを抱えるとどれにも着手できなくなる傾向がある方は、「今日やるのはこの3つ」と数を絞ることで、着手しやすくなるケースがあります。
ポモドーロ・テクニックの活用:25分集中して5分休む、を繰り返す方法は、集中の波がある方にとって取り組みやすい仕組みとして広く知られています。
会議メモは録音や要約を併用:1時間以上の会議で集中が切れやすい方は、許可を得て録音する、会議後に要約を共有してもらうなどの工夫が役立つケースがあります。
苦手な作業はまとめて片付ける:細切れに手を出すと集中が切れる作業は、「火曜の午後はまとめて事務処理」のように時間を固めると進めやすくなる方がいらっしゃいます。
家庭の場面の工夫
「動線に置く」収納:使うものを使う場所に置く(玄関に鍵、洗面所に薬など)ことで、忘れ物やなくし物を減らすことができます。
家事は「ひとつずつ最後まで」:複数の家事を並行するより、ひとつずつ最後まで終わらせるほうが、ADHDの特性とは相性が良いケースが多いとされています。
家計簿アプリで自動化:手入力の家計簿が続かない方は、クレジットカードや銀行口座と連携する家計簿アプリで、入力の手間を減らすことができます。
書類の保管場所を1か所に決める:あらゆる書類を1か所に入れる「書類ボックス」を決めることで、「どこに置いたか」の探し物を減らせるケースがあります。
人間関係の場面の工夫
特性を伝える「自分マニュアル」を作る:信頼できる相手には、自分の特性と困りごと・してほしい配慮を言葉で伝えられるようにしておくと、関係のストレスが減るケースがあります。
疲労を感じたら早めに距離を取る:対人疲労が強くなる前に休憩を取る、一人になる時間を確保するなど、消耗を蓄積させない工夫が大切です。
「衝動的な発言の後の修復」を仕組み化する:すぐ謝る、後でメッセージでフォローするなど、ぎくしゃくしたときの修復方法を自分なりに決めておくと、関係の悪化を防ぎやすくなります。
心と体の場面の工夫
睡眠リズムを整える土台作り:就寝1時間前のスマートフォン・PC使用を減らす、起床時間を固定する、朝に日光を浴びるなど、睡眠の質を高める工夫が、特性とつき合う土台になります。
運動を生活に組み込む:軽い運動(散歩・ストレッチ・ヨガなど)は、ADHDの方の集中力や気分の安定に役立つとの研究報告もあります。
「過集中の後の休息」を計画に入れる:何時間も没頭した後はどっと疲れが出るため、その日は予定を入れない、翌日は緩めるなど、回復時間を計画に組み込む工夫が役立ちます。
医療機関・支援機関の活用
特性とつき合う工夫を自分一人で組み立てるのが難しいと感じる場合は、医療機関や支援機関を活用することも選択肢になります。
医療機関では、必要に応じて薬物療法(コンサータ・ストラテラ・インチュニブ等が代表的)や心理療法の選択肢を相談できます。
支援機関では、自立訓練(生活訓練)・就労移行支援・就労継続支援などのサービスを通じて、生活と就労の両面で土台作りを進められます。
エンラボカレッジでの「自分の特性を理解する」アプローチ
エンラボカレッジは、神奈川県・東京都・大阪府・宮崎県で自立訓練(生活訓練)と就労移行支援を運営している事業者です。
ADHDの診断を受けた方や、ADHD傾向があると感じている方も多く利用されています。
8つのプログラムで特性を立体的にとらえる
エンラボカレッジでは、8つのプログラム(感情学/コミュニケーション/My Lab./アクティビティ/Life Lab./ソマティック Lab./Social Lab./スキルアップ)を組み合わせています。
ADHDの方は、不注意・多動性・衝動性の特性が場面ごとに違う形で現れるため、ひとつの観点だけで自分を理解するのが難しい場合があります。
たとえば「感情学」では感情の波と特性の関係、「ソマティック Lab.」では体の落ち着かなさや疲労との向き合い方、「Social Lab.」では集団のなかでの自分の出し方など、複数の角度から自分を見ていきます。
このプロセスのなかで、「自分はどの場面で困りやすいか」「どんな工夫が自分には合うか」が、少しずつ見えてくる方が多くいらっしゃいます。
『自分/支え方マニュアル』で特性を言葉にする
My Lab.プログラムでは、利用される方が『自分/支え方マニュアル』という独自成果物を作成します。
これは、自分の凸凹(得意・苦手)・必要なサポート・困ったときの対処法を一冊にまとめたもので、卒業後の生活・就職活動・職場定着の場面で継続して活用できるツールです。
ADHDの方からは「自分の特性を言葉で説明できるようになって、家族や職場に伝えやすくなった」「ミスをしたときに『自分はダメだ』ではなく、『この場面ではこういう工夫が要る』と整理できるようになった」といった声を伺うことがあります。
4ステージで「自分を知る→活かす」プロセスを段階化
エンラボカレッジの自立訓練では、ステージ1〜4の4段階で「自分を知る・学ぶ→学んだことができる→学びを応用できる→自信を持ち、次に進める」というカリキュラムを組み立てています。
ADHDの方は「すぐに結果を出したい」「短期で全部解決したい」という気持ちが強くなりがちですが、段階を区切って進めることで、無理なく自分のペースで特性とつき合っていく時間を確保できます。
利用される方の声
エンラボカレッジの公式サイトには、利用された方の声が掲載されています。
たとえば「相手と自分は別であることに気づけた(21歳男性)」「集中できないのは感覚過敏と思考の速さがあるからと知った(26歳男性)」「要点を簡潔に話せるようになり、メモも見やすくまとめられるようになった(31歳男性)」といった声があります。
これらは特定の診断名に限った話ではありませんが、「自分の特性を知ることが、生活と仕事の見え方を変えていく」というプロセスは、ADHDの特性とつき合っていくうえでも共通する視点です。
ADHDのある方の実例|自立訓練(生活訓練)エンラボカレッジ利用者の事例
※以下は自立訓練(生活訓練)エンラボカレッジを利用された方の支援事例です(医学的な症例研究ではありません)。
事例1|20代ADHDのある方が自立訓練を経て就職準備に取り組んだケース
20代でADHDの診断を受けた方が、自立訓練(生活訓練)でステージ1〜4のカリキュラムを通じて、自分の特性理解と就職準備に取り組んだ事例があります。
ご自身の凸凹を整理し、無理のないペースで生活リズムを立て直しながら、次のステップへ進むための土台作りに取り組まれたケースです。
関連ページ
– 発達障害(ADHD)の20代が自立訓練で就職準備を進めた方法
事例2|うつとADHDのある40代の方が自立訓練で土台を整え安定就労に至ったケース
40代でうつ病とADHDが重なっていた方が、自立訓練で生活リズムと自己理解の土台を整え、安定した就労につなげていった事例があります。
体調の波と特性の両方を抱える中で、「働く前にいったん土台を整える時間」を持つことの意義を示すケースです。
関連ページ
– うつとADHDの40代が自立訓練で土台を整え安定した就労へ
事例3|ASD・ADHDのある方が"自己発信力"と"働くための体力"を育んだケース
ASDとADHDの両方の特性を持つ方が、自立訓練を通じて自分の特性を言語化し、人に伝える力と継続して働くための体力を育てていった事例があります。
複数の特性が重なる方が、それぞれの困りごとを切り分けて整理することで、対処の糸口を見出していったケースです。
関連ページ
– 【エンラボストーリー】ASD・ADHDと向き合いながら”自己発信力”と”働くための体力”を育み、就職への一歩を踏み出す
業界全体の支援傾向|公的データと業界事例の参考
就労支援の現場きます。
たとえば、新卒で大手企業に入社したものの社内のストレスチェックで「高ストレス」と判定され、産業医面談を経てADHDの診断に至った20代のケースでは、自分の特性を理解したうえで職種を変えることで、好条件の就職につながったとの報告があります。
また、仕事が3か月続かないことを繰り返し、引きこもりからうつ状態に至った後に初めて精神科でADHDの診断を受けた20代のケースや、10社以上の転職を経験した40代の方が「自分の特性を理解する時間」を経て適職に出会えたケースなど、「特性に気づくタイミング」と「特性に合った環境を選び直すプロセス」が大きな転機になっている事例が多く見られます。
これらの傾向から読み取れるのは、「ADHDだから働けない」ということではなく、「特性と環境のマッチ度を整え直すこと」が、安定した就労への大切なステップになるということです。
公的データ|発達障害のある方の就業実態
厚生労働省が公表している「令和5年度 障害者雇用実態調査」では、精神障害者として雇用されている方のなかには発達障害(ADHD・ASD等)のある方が一定数含まれており、近年その雇用数は増加傾向にあるとされています。
また、独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)の「障害者職業総合センター」では、発達障害のある方の職場定着に関する調査研究を継続的に行っており、適切な配慮と本人による特性理解が職場定着率を高める要素として整理されています。
出典:厚生労働省「令和5年度 障害者雇用実態調査結果」(https://www.mhlw.go.jp/)/独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(https://www.jeed.go.jp/)
よくある質問(FAQ)
ADHDの特徴は何ですか?
ADHDの中核となる特徴は、不注意(細かいミス・忘れ物・集中の続きにくさ)、多動性(じっとしていられない・内側のそわそわ)、衝動性(思いついたことをすぐ口に出す・順番が待てない)の3つです。
どの特性が強く出るかによって、不注意優位型・多動衝動優位型・混合型の3タイプに整理されます。
ADHDは大人と子どもで特徴が違いますか?
中核特性は同じですが、現れ方は変わってきます。
子どもの頃に目立つ「走り回る」などの多動性は、大人になると「内側のそわそわ」に変わるケースが多く、不注意は「ケアレスミス」「締切管理の難しさ」として仕事の場面で表面化していきます。
ADHDの3タイプはどのように見分けますか?
「不注意」「多動性」「衝動性」のうち、どの特性が日常生活で目立っているかで分類されます。
医学的な分類は医療機関での評価が必要ですが、自分のタイプを大まかに把握する材料としては、「ミスや忘れ物が中心か」「落ち着きのなさや衝動的な発言が中心か」「両方とも目立つか」を振り返ってみると、傾向が見えてきます。
ADHDの特徴は治りますか?
ADHDは生まれつきの脳の特性とされており、「治る/治らない」という枠組みでは捉えにくい性質を持っています。
ただし、特性とつき合う工夫を身につけたり、環境を調整したり、必要に応じて医療的なサポートを受けたりすることで、困りごとを小さくしていくことは十分に可能です。
ADHDの特徴があるかもと思ったら、どこに相談すればよいですか?
第一の相談先は、精神科・心療内科などの医療機関です。
医療機関での相談に踏み出しにくい場合は、お住まいの市区町村の障害福祉課・精神保健福祉センター・発達障害者支援センターなどの公的相談窓口を活用する方法もあります。
相談先の整理は、大人の発達障害の相談先や相談方法・支援機関を紹介で詳しく解説しています。
ADHDの診断はどうやって受けるのですか?
医療機関では、本人や家族からの聞き取り、生育歴の確認、心理検査などをもとに、DSM-5-TRやICD-11の診断基準に沿って総合的に評価されます。
セルフチェックやネット上の簡易テストは目安にはなりますが、診断そのものは医療機関でしか行えません。
詳しくは発達障害の診断方法|セルフチェック?病院?診断基準や診断方法、受けるべきか悩んだときの相談先もあわせてご覧ください。
ADHDと診断されたら障害者手帳がもらえますか?
ADHDのある方は、精神障害者保健福祉手帳の対象になり得ます。
ただし、手帳の交付は「日常生活や社会生活にどの程度の支障があるか」を基準に判断されるため、診断があるからといって自動的に交付されるわけではありません。
申請窓口はお住まいの市区町村の障害福祉課です。
ADHDのある方が利用できる支援サービスにはどんなものがありますか?
主なものに、自立訓練(生活訓練)・就労移行支援・就労継続支援A型/B型・就労定着支援などの障害福祉サービスがあります。
それぞれの目的・対象・利用期間が異なるため、自分の段階に合ったサービスを選ぶことが大切です。
自立訓練の概要は自立訓練(生活訓練)とは|対象者・利用期間で詳しく整理しています。
ADHDの特徴があると、仕事は続けられないのですか?
特性とつき合う工夫を身につけ、特性に合った環境を選ぶことで、長く働き続けている方は多くいらっしゃいます。
「特性そのもの」よりも、「特性と環境のマッチ度」「周囲の理解」「本人なりの対処法の積み重ね」が、就労継続を左右する大きな要素になります。
ADHDの子どもへの接し方で気をつけることはありますか?
「叱る」より「具体的にどうすればよいかを一緒に整理する」姿勢が、本人の自己肯定感を支えるうえで大切とされています。
忘れ物が多いなら「次は連絡帳に書いておこうね」、宿題に取り組めないなら「最初の1問だけ一緒にやってみようか」など、行動の入り口を一緒に作る関わり方が、特性とつき合っていく力を育てます。
詳しい家族の関わり方は、医療機関や発達障害者支援センターでの相談もご活用ください。
まとめ
ADHDの特徴は不注意・多動性・衝動性の3つの中核特性を軸に、3タイプ(不注意優位型/多動衝動優位型/混合型)と場面(仕事・家庭・人間関係・心身)で立体的にとらえると整理しやすくなります。大人と子どもでは現れ方も変わります。
次の一歩としては、「いまの自分はどの特性がどの場面で強く出ているか」を振り返り、医療機関や支援機関への相談を検討してみてください。
エンラボカレッジでは、特性整理や進路相談を受け付けています。まずは見学・無料相談からお気軽にお問い合わせください。
ご見学・無料相談のご案内
エンラボカレッジでは、自立訓練(生活訓練)と就労移行支援の見学・無料相談を、神奈川・東京・大阪・宮崎の11拠点で随時お受けしています。
「ADHDの特性とつき合う土台を整えたい」「自分の特性を言葉で整理してみたい」「家族と一緒に話を聞いてみたい」――そうしたご相談も歓迎しています。
ご見学・無料相談のお申し込みは、エンラボカレッジ公式サイト、またはお電話(050-5538-0786/平日10:00-18:00)からお気軽にどうぞ。
事業所の雰囲気・プログラムの実際・通っている方々の様子を、実際に見てから判断いただけます。
関連記事
この記事について【作成・監修】
本記事は、自立訓練(生活訓練)事業所「エンラボカレッジ」を運営する株式会社エンラボの専門職スタッフが作成・監修しています。
【在籍資格】
精神保健福祉士・社会福祉士・臨床心理士・作業療法士・理学療法士
【現場での実践】
自立訓練(生活訓練)・就労移行支援などで、診断名・特性に合わせた個別支援を提供しています。
【運営会社】
株式会社エンラボ/設立2015年4月/神奈川県を中心に首都圏・関西・宮崎で11拠点運営

の違いとは?診断基準や併発・障害者手帳や年金について解説します。.jpg)


