就労移行支援の料金はいくら?自己負担の仕組みと利用前に確認したい費用
更新日:2026/07/16
就労移行支援の利用を検討する際、実際にいくらの費用がかかるのか、自分が無料の対象になるのかは、多くの方が最初に抱く疑問です。インターネット上の情報だけでは、自身の状況に当てはめた場合の具体的な金額が見えにくいと感じることも少なくありません。
就労移行支援の利用料は、障害者総合支援法に基づき、世帯所得に応じた自己負担上限月額が設定される仕組みとなっています。利用者の約9割は自己負担なし(0円)で利用していますが、世帯の所得状況によっては一定の自己負担が発生します。また、サービス利用料以外に、昼食代、教材費、通所交通費などの実費が自己負担となる場合もあります。
費用面の仕組みを正しく理解することは、安心してサービスを選び、見学や相談へ進むための第一歩です。この記事では、就労移行支援の料金の決まり方、無料となる条件、通所時に発生し得る実費について、詳しく解説します。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な料金区分や実費の取り扱いは、お住まいの自治体や利用する事業所によって異なる場合があります。
就労移行支援の料金は世帯所得で決まる仕組みになっている
就労移行支援の料金は、障害者総合支援法に基づく利用者負担の枠組みによって決定されます。
障害者総合支援法に基づく利用者負担
就労移行支援は、障害者総合支援法が定める障害福祉サービスのひとつであり、利用料の仕組みは法律で明確に規定されています。利用者の障害の程度ではなく、世帯の所得を基準として自己負担額が決まる点が大きな特徴です。
自己負担はサービス費の1割が上限
法律上の原則として、利用者はサービス費総額の1割を自己負担し、残りの9割は公費(国、都道府県、市区町村)によってまかなわれる仕組みとなっています。1割の負担と聞くと金額が膨らむように感じられるかもしれませんが、世帯所得に応じて月ごとの負担上限額があらかじめ定められているため、実際の支払いがその上限額を超えることはありません。
月ごとの負担上限月額の考え方
利用者の所得状況(区分)に応じて、1カ月あたりの負担上限月額が設定されています。ひと月の間にどれだけ多くサービスを利用しても、個人の自己負担はその上限額までとなります。例えば、同じ月内に1日だけ通所した場合と、20日間通所した場合であっても、設定された上限額以上の費用が課されることはありません。
自己負担の月額区分と上限額の一覧(4区分の早見表)
世帯所得に応じた負担上限月額は、以下の4つの区分に分かれています。なお、障害福祉サービスにおける世帯の範囲は、18歳以上の成人の場合、一般の住民票とは異なり本人と配偶者のみを指すのが原則です。
所得区分と負担上限月額の早見表
※区分判定は世帯の状況により個別に判断されます。
生活保護世帯:0円
生活保護を受給している世帯は、月額の自己負担なし(0円)で就労移行支援を利用できます。
低所得世帯:0円
市町村民税非課税世帯(収入がない方や、世帯全員の収入が一定額以下で住民税がかかっていない世帯)も、月額0円で利用可能です。
一般1:9,300円
市町村民税課税世帯のうち、市町村民税の所得割額が16万円未満の世帯は、月額9,300円が負担の上限となります。ただし、20歳以上の入所施設利用者やグループホーム利用者を除くといった細かい例外規定が存在するため、実際の適用についてはお住まいの市区町村窓口での個別確認が必要です。
一般2:37,200円
上記までの区分(生活保護、低所得、一般1)のいずれにも該当しない世帯(所得割額が16万円以上の世帯)は、月額37,200円が上限となります。
世帯の範囲は本人と配偶者のみとされている点に注意
就労移行支援における世帯の考え方には、よくある誤解が存在します。自身がどの区分に該当するかを正しく判断するために、福祉制度における世帯の定義を理解しておくことが大切です。
18歳以上は本人と配偶者で判定
障害福祉サービスにおける世帯の範囲は、18歳以上の利用者の場合、原則として本人と配偶者のみと定められています。住民票上は親と同居していても、親の所得は世帯所得の計算に含まれない点が大きな特徴です。
このため、親の収入が高いから無料では使えないと思い込んでしまったり、就職前で収入がないから家族に経済的な負担をかけてしまうと悩んだりしているケースにおいて、実際には負担なしで利用できる場合があります。
親の所得は原則含まれない
例えば、20歳の利用者が親と同居していても、利用者本人に配偶者がいない場合、世帯所得は本人の収入のみで判定されます。そのため、本人に収入がない状態であれば低所得世帯に該当し、月額0円(自己負担なし)となるケースが一般的です。
18歳未満の場合の取り扱い
就労移行支援は原則として18歳以上を対象とするサービスですが、特例などにより18歳未満で障害児通所支援等を利用する場合、判定対象は保護者の属する世帯となります。
18歳以上と18歳未満では世帯の扱いが異なる点に注意が必要です。自身が特例の対象になるかなど、不明な点がある場合は事前に自治体の窓口へ確認することをおすすめします。
9割以上の方が利用料負担なしで利用している背景
各事業所の実績や自治体の公表データによると、就労移行支援を利用する方の9割以上が、月額の利用料負担なしでサービスを利用しています。ここでは、なぜ多くの方が無料で利用できているのか、その背景と具体的な事例を解説します。
区分判定の実態
前述の通り、障害福祉サービスにおける世帯の範囲は「本人と配偶者」を基準として判定されます。就労移行支援の利用を検討される方の多くは、現在は就職をめざして準備をしている段階であり、本人に収入がない、あるいは限られているケースが一般的です。その結果、多くの利用者が低所得世帯(負担上限月額0円)の区分に該当しています。
自治体公表データの傾向
厚生労働省や各自治体が公表している統計でも、障害福祉サービス利用者のうち負担上限月額が0円となっている方が全体の約9割を占める傾向が見られます。具体的な比率は自治体や事業所ごとに多少の前後がありますが、実際には自己負担なしで利用している方が大多数であるのが福祉業界の実態です。
無料で利用できる方の具体例
就労移行支援を月額0円で利用できる可能性が高いのは、主に以下のようなケースです。
- 親と同居しているが、本人に配偶者がおらず、本人に収入がない方
- 配偶者と二人暮らしだが、世帯収入が一定額以下の方
- 生活保護を受給している方
- 失業中で現在世帯に収入がない方
これらの方々は、自治体の審査によって低所得世帯や生活保護世帯と判定され、利用料がかからないケースが一般的です。ただし、前年の所得状況や資産の有無などによって判断が異なる場合があるため、正確な適用区分については事前に自治体の窓口へ確認することをおすすめします。
サービス費以外にかかる主な実費の内訳と目安
サービス費自体が無料、または上限額に収まる場合であっても、実際にはサービス費以外の実費が発生することがあります。利用を始める前に、どのような費用がどのくらいかかるのかを確認しておくことが大切です。
昼食代・教材費
通所中の昼食を事業所側が提供している場合、昼食代として1食あたり300円から500円程度の実費がかかるケースがあります。事業所によっては、お弁当の持参や外部での購入が自由に認められているところもあります。教材費に関しては、訓練に使用する専門の教材やテキストの代金として、月に数百円から数千円程度の実費負担を求められる場合があります。
通所交通費(自治体助成の可否)
事業所に通うための交通費は、原則として自己負担となります。ただし、多くの自治体では独自に「障害者通所交通費助成制度」などを設けており、交通費の一部または全額を助成している場合があります。
助成の要件や金額はお住まいの地域によって異なるため、市区町村の窓口で事前に確認することをおすすめします。
イベント・資格取得費
事業所が主催するレクリエーション、外出活動、または資格取得のための試験などを受ける際には、別途実費の支払いが必要になる場合があります。事前の面談や見学の際に、どのようなイベントがあるか、実費負担の有無、参加が任意であるかなどを確認しておくと安心です。
料金以外に確認しておきたい「時間と機会」のコスト
就労移行支援を利用するにあたっては、金銭的な費用だけでなく、時間と機会というコストの視点を持つことも同様に重要です。
標準2年の利用期間
就労移行支援の標準利用期間は、原則として2年間(24カ月)と法律で定められています。
この2年間という限られた時間をどのように活用するかは、長期的なキャリア形成において大きな意味を持ちます。自身の状況や希望に合わない環境で無理に使い続けてしまうと、結果として貴重な時間を費やすことにもつながるため、定期的に通所の成果や状況を見直す視点が大切です。
合わない場合の機会損失
もし通所している事業所のプログラムが自身の特性や体調に合わず、目標とする進路につながらない状態が続いた場合、その期間に他の選択肢(自立訓練、就労継続支援、医療リワークなど)を選んでいれば得られたはずの経験や成果を逃してしまう可能性があります。
無料だから損はないと安易に考えるのではなく、その事業所が本当に自分に合っているかを見極めることが重要です。
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受給者証の支給期間との関係
障害福祉サービス受給者証は、通常1年ごとに更新審査が行われる運用となっています。就労移行支援の標準利用期間である2年間の枠組みを念頭に置きながら、計画的に訓練を進める必要があります。
万が一、途中で他の福祉サービスに切り替える判断をした場合は、自治体の窓口で受給者証の支給決定を変更する手続きを行う必要があります。
自立訓練(生活訓練)の料金体系と就労移行との共通点・違い
就労移行支援を検討する際、選択肢として並びやすいのが「自立訓練(生活訓練)」です。ここでは、両者の料金体系の比較と、選択する際の違いについて解説します。
同じ制度・同じ負担上限額
自立訓練(生活訓練)と就労移行支援は、どちらも障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスであり、料金体系や自己負担の仕組みは完全に共通しています。
前述した世帯所得に応じた4つの負担上限月額の区分も同様に適用されます。 料金面での違いがないからこそ、どちらのサービスを選ぶべきかの判断軸は、利用する目的、支援内容、そして卒業後にめざす進路の違いとなります。
利用期間と進路の違い
就労移行支援の標準利用期間は原則2年です。これに対し、自立訓練(生活訓練)の標準利用期間も原則2年ですが、特定の条件(長期の入院や施設入所からの地域移行など)を満たす場合は最長3年まで利用できる特例があります。
また、卒業後の進路にも違いが見られます。就労移行支援が企業などへの「一般就労」を主なゴールとしているのに対し、自立訓練(生活訓練)は、就職だけでなく、復職、復学、就労継続支援(A型・B型)への移行など、利用者の状況に応じた複数の選択肢が視野に入ります。
「就職ありき」ではない設計の意味
例えば、自立訓練(生活訓練)の事業所であるエンラボカレッジなどでは、「就職ありき」ではない支援設計を導入しています。
「いつまでに就職しなければならない」という目標を過度に優先せず、利用者の現在地や希望に合わせて、生活の土台作りから多様な進路の選択肢までを一緒に模索してきます。 料金面の不安が解消された後は、「同じ料金体系の中で、どのような方針や支援設計を持つ事業所を選ぶか」という視点を持つことが大切です。
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-自立訓練と就労移行支援の違い|比較表で対象・期間・選び方を解説
自分に合うか、まずは見学・体験で確認してみませんか
自立訓練(生活訓練)を展開するエンラボカレッジは、就職という結果のみを急がず、社会で生きるための土台となる生活力の向上から一緒に考える事業所として、全国11拠点で運営を行っています。
料金の仕組みについてさらに詳しく知りたい方はもちろん、支援の方針がご自身の現在の体調や目標に合っているかを確認するためにも、まずは無料の見学や相談を活用してみてはいかがでしょうか。
自立訓練で取り組む8つのプログラムと4ステージのカリキュラム
自立訓練(生活訓練)を行うエンラボカレッジでの具体的な取り組みについて紹介します。
感情学・My Lab.・Social Lab.
感情学は、感情が動く仕組みを学び、自身の感情との上手な付き合い方を身につけるプログラムです。
My Lab.(マイラボ)では、自己理解を深めて言語化し、独自の成果物である「自分/支え方マニュアル」を作成します。
Social Lab.(ソーシャルラボ)は、社会や他者との関わり方を実践的に学ぶプログラムです。
このほか、コミュニケーション、アクティビティ、Life Lab.、ソマティック Lab.、スキルアップを合わせた計8つのプログラムを組み合わせることで、自己理解と生活の土台作りにじっくりと時間を使う設計となっています。
4ステージで進める2年間
2年間の利用期間は、ステップアップをスムーズにするために4つのステージに分かれています。
- ステージ1(1〜6ヶ月):自分を知る
- ステージ2(7〜12ヶ月):自分でできる
- ステージ3(13〜18ヶ月):自分を活かす
- ステージ4(16〜24ヶ月):自分で歩む
このように段階を踏みながら、日常生活の安定、自己理解の深化、他者との協働、そして次の進路に向けた準備へと計画的に進めていくカリキュラムです。
『自分/支え方マニュアル』という成果物
My Lab.のプログラムを通じて作成する「自分/支え方マニュアル」は、単なる訓練の記録にとどまりません。
卒業後も就職活動時の自己PRや、就職先へ合理的配慮(働きやすさのための環境調整など)を説明する際のツールとして、また家族との情報共有など、さまざまな場面で長く使い続けられる実用的な成果物として位置づけられています。
利用までの5ステップと費用が発生するタイミングの目安
実際に就労移行支援や自立訓練(生活訓練)の利用を始めるまでの流れと、それぞれの段階で費用が発生するタイミングについて解説します。
問い合わせから見学・体験は無料
事業所への問い合わせ、見学、および体験利用は、ほとんどの事業所で無料となっています。
利用を検討している段階で費用を請求されることは原則としてありません。料金が発生するのは、自治体から受給者証を取得し、事業所と正式な利用契約を結んで利用を開始してからとなります。
受給者証申請のステップ
利用したい事業所が決まった後は、お住まいの市区町村の障害福祉窓口で「障害福祉サービス受給者証」の申請手続きを行います。一般的な流れは以下の通りです。
①窓口への相談・申請
②支給決定調査(生活状況などの聞き取り)
③サービス等利用計画案の提出
④支給決定・受給者証の発行
申請手続き自体に費用や手数料はかかりません。窓口への申請から受給者証が発行されるまでには、おおむね1カ月から2カ月程度の時間がかかるケースが多く見られます。
利用開始後の請求の流れ
受給者証が発行され、正式にサービス利用を開始した後は、月ごとに利用料の精算が行われます。
負担上限月額が0円と判定された方は、サービス利用料の請求はありません。
1割負担(一般1、一般2)と判定された方は、その月の利用日数に応じて計算された金額のうち、設定された上限額の範囲内で請求されます。
なお、昼食代や教材費、通所交通費などの実費分は、サービス利用料とは別に月単位で計算され、合わせて請求される運用が一般的です。
料金面でよくある誤解と利用前に確認したい注意点
料金面では、いくつかの代表的な誤解があるとされています。
「無料」と聞いたが請求が来た
「無料で利用できる」と聞いていたのに、月末に請求が来て驚いたというケースがあります。多くの場合、サービス費は0円でも、昼食代・教材費・通所交通費などの実費が請求されていることが背景です。利用前に「実費はいくらか」「何が含まれるか」を事業所に確認しておくことが大切とされています。
引越し・転職時の上限見直し
世帯所得は1年ごとに見直されるとされています。引越しで住む自治体が変わったり、本人や配偶者の収入が大きく変わったりした場合は、負担上限月額の区分も変わる可能性があります。状況変化のタイミングで市区町村窓口に確認することが望ましいとされています。
公費以外の私的サービスとの混同
事業所によっては、障害福祉サービス以外の私的なサービス(個別カウンセリング・有料イベント等)を別途提供している場合があります。これらは公費の対象外で、別途料金が発生するケースがあるため、利用前に「何が公費の範囲か」「何が別料金か」を確認しておくと誤解を避けられるとされています。
料金以外で「事業所選び」を判断するときの主な視点
料金面の不安が解消できた段階で、事業所選びの判断軸を整理します。
卒業後の進路の幅
「就職一択」か「就職・復職・復学・A型B型・継続支援など複数の進路を支援するか」は、事業所によって設計が異なるとされています。自分の希望する進路の選択肢があるかを確認することが大切です。
自己理解に使える時間
「自己理解の時間をしっかり取れる設計か」「就職活動を急かされないか」も、事業所選びの大切な観点とされています。短期間で就職を目指す事業所と、時間をかけて自己理解を進める事業所では、進行ペースが大きく異なります。
通いやすさ・拠点アクセス
通所頻度・継続のしやすさは、拠点までの通いやすさに大きく左右されるとされています。自宅から無理なく通える範囲に拠点があるかを確認することが大切です。
就労移行支援の料金に関するよくある質問
最後に、料金面でよく寄せられる質問を取り上げます。
失業保険と併用できる?
失業保険(雇用保険の基本手当)と就労移行支援の併用は、原則として可能とされています。ただし、失業保険は「求職活動を行っていること」が前提となるため、就労移行支援の通所内容と整合性が取れるかをハローワークで確認することが大切とされています。世帯所得の判定には失業保険の収入も含まれる場合があるため、市区町村窓口での確認も必要です。
アルバイト収入は影響する?
アルバイト収入は、世帯所得の判定に影響する場合があるとされています。ただし、就労移行支援の利用中に大規模なアルバイトを行うことは、制度の目的(一般企業への就職準備)との整合性が取れないとされる場合もあるため、事業所・市区町村窓口に事前相談することが大切です。
月の途中から利用した場合は?
月の途中から利用を開始した場合は、その月の利用日数に応じてサービス費が計算されるとされています。負担上限月額の枠は月単位で適用されるため、利用日数が少なくても上限額を超えることはありません。
まとめ
就労移行支援の料金は、サービス費の1割が自己負担の上限とされ、世帯所得(本人と配偶者)に応じて月額0円〜37,200円の負担上限月額が決定される仕組みです。9割以上の方が利用料負担なしで利用しているとされています。サービス費以外の実費(昼食代・教材費・通所交通費)と、「時間と機会」のコストも合わせて確認することが大切です。
同じ料金体系の中で「設計の違い」で選びたい段階であれば、自立訓練(生活訓練)エンラボカレッジを利用してみるのもひとつの方法です。見学・相談を無料で受け付けています。
この記事について【作成・監修】
監修:株式会社エンラボ 専門職チーム (精神保健福祉士・社会福祉士・臨床心理士・作業療法士・理学療法士 在籍