就労移行支援が「ひどい」と感じる7つの理由|合わない時の選択肢

更新日:2026/06/07

就労移行支援に通い始めたものの、「想像していたサポートと違う」「スタッフの対応が冷たくてしんどい」と悩んでいませんか?

ネットで検索すると「就労移行支援はひどい」という声を目にすることもあり、「せっかく一歩踏み出したのに……」と落ち込んでしまう方も少なくありません。しかし、それはあなたの努力不足ではなく、今の体調やフェーズに事業所の仕組みが合っていないだけのケースがほとんどです。

本記事では、就労移行支援を「ひどい」「合わない」と感じてしまう7つの原因を紐解きながら、無理に通い続ける以外の選択肢や、あなたに合った別の福祉サービスへの切り替え方を分かりやすく解説します。

就労移行支援が「ひどい」と検索される背景にあるもの

「就労移行支援 ひどい」という検索の背景には、利用者と事業所の間に生じる「温度差(ミスマッチ)」があります。

せっかく一歩を踏み出して通い始めたのに、期待していたサポートと現場の運用にギャップがあると、人は強い違和感やショックを覚えます。この違和感は、決してあなた自身の問題ではなく、「制度の仕組み」「スタッフの対応」「今のあなたの体調(フェーズ)」の3つが噛み合っていないことから生まれるケースがほとんどです。

制度の建前と現場の温度差

就労移行支援は、国から認められた「原則2年以内の就職」を目的とした福祉サービスです。制度の建前としては「本人の特性に合わせたオーダーメイドの訓練を提供する」となっていますが、実際の現場では全員が一律のプログラム(単純作業など)をこなすだけ、という事業所も少なくありません。

また、就労移行支援事業所は「利用者が就職し、職場に定着した実績」に応じて国から報酬が出る仕組みになっています。そのため、事業所側がビジネスとして「早く就職させたい」と焦るあまり、まだ準備が整っていない利用者を急かしてしまうという、構造的な問題も背景にあります。

合う/合わないが分かれやすい3つの理由

就労移行支援は、以下のように利用者の状態やタイミングによって、合う・合わないが極端に分かれやすい制度です。

1,利用者の「体調」の幅が広すぎる 就職目標が明確で毎日通える人と、まだ生活リズムが整っていない人が同じ空間で同じ訓練を受けるため、どうしても物足りなさや負担が生じます。

2,事業所ごとの「カラー」の違い パソコンスキルに強い、軽作業中心、スタッフがアットホームなど、事業所によって雰囲気が全く異なります。事前の見学不足などでミスマッチが起きることがあります。

3,通い始める「タイミング」 心身がまだ深く傷ついている時期に通い始めると、制度の「就職へのスピード感」についていけず、しんどくなってしまいます。

就労移行支援が「ひどい」と感じる7つの典型パターン

実際に現場で「ひどい」「合わない」と感じた方の声を集めると、共通する7つの典型的なパターンが見えてきます。

① プログラムが「単純作業の繰り返し」で成長を感じられない

データ入力、書類整理、袋詰めといった軽作業ばかりが中心の事業所もあります。 「集中力を養うため」という目的はあるものの、自分の希望する職種(オフィスワークや専門職など)に直結するスキルが身についている実感が持てないと、「時間を無駄にしているのではないか」と不満に繋がりやすくなります。

② スタッフの専門性にばらつきがあり、深い相談ができない

就労移行支援には、精神保健福祉士や社会福祉士、公認心理師などの資格を持つ専門家が配置されているところもあれば、福祉の経験が浅い職員が中心のところもあり、専門性に大きな差があります。

話をまともに聞いてもらえなかったり、担当が頻繁に変わって「毎回ゼロから説明し直すのが苦痛」という不満も多く聞かれます。

③ 利用者同士の人間関係や雰囲気がつらい

通所する人の年齢、障害特性、気質はバラバラです。 中には距離感の近い人や、自分と相性が悪いと感じる人もいます。グループワークでの関わりや、休憩時間の過ごし方に気を遣いすぎて、通所すること自体がストレスになってしまうケースです。

④ まだ無理なのに「就職を急かされる」雰囲気がつらい

前述の「実績連動の報酬体系」が理由で、本人のペースを無視して早い段階から求人紹介や面接の話を進める事業所があります。

「まだ体調に波がある」「自信が持てない」と思っている段階でプレッシャーをかけられると、心が折れてしまう原因になります。

⑤ 個別支援計画に自分の希望が反映されない

本来、個別支援計画は「あなた専用の目標やスケジュール」をスタッフと一緒に作る重要な書類です。

しかし、計画の見直しがただの形だけの作業になっていたり、本人の「こうなりたい」という希望が無視されて一律の計画を押し付けられたりすると、「何のために通っているのか」が見失われてしまいます。

⑥ 体調が悪い日も無理に通うよう求められる

体調の変動が大きい時期は、しんどい日に休むのは自然なことです。 しかし、「出席率が低いと就職活動で不利になる」とプレッシャーをかけられたり、休む連絡を入れる際に冷たい対応をされたりする事業所だと、無理を重ねて体調を悪化させてしまうことになります。

⑦ 就職後のサポート(定着支援)が形だけになっている

就職した後も、長く働き続けられるように面談などの「定着支援」を行うのが一般的です。 しかし、就職実績のカウントが終わった途端に対応が雑になり、職場で困ったことがあっても親身に相談に乗ってくれないなど、「就職させてしまえば終わり」というスタンスの事業所に不信感を抱くケースもあります。

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就労移行支援が「合わない」と感じやすい人の特徴と背景

「ひどい」「合わない」と感じるのには、明確な背景があります。それは決してあなたの努力不足ではなく、「今のあなたの体調・目的(フェーズ)」と「就労移行支援の役割」がズレてしまっているからです。

特に以下のような方は、このズレ(ミスマッチ)によるストレスを感じやすい傾向にあります。

「就職」と言われると、プレッシャーや焦りを感じる人

心身のエネルギーがまだ回復しきっていない段階で通い始めると、制度の前提である「2年以内の就職」という目標自体が重荷になります。

急かされているように感じるのは、あなたの心が「今はまだその段階じゃないよ」とサインを出している自然な反応です。

「自分に向いている仕事」や「必要な配慮」がまだ分からない人

自己理解(自分の得意・苦手や病気の特性)が整理できていない状態で就職活動に入ると、どんな求人を選べばいいか分からず迷ってしまいます。

「まずはじっくり自分と向き合いたい」と思っている人にとって、就労移行支援のスピード感は早く感じられがちです。

生活リズムや体調の波が安定していない人

離職や休職の直後など、日によって体調の波が大きい時期は、週に何日も決まった時間に通所すること自体が大きな負担になります。

土台となる生活リズムや睡眠・食事のペースが整わないまま、無理に就職準備(履歴書の作成や模擬面接など)を進めることが、結果としてエネルギーを使い果たし、体調の再悪化(再うつなど)を招くケースもあります。

体調やリズムが不安定な時期は「自立訓練(生活訓練)」がおすすめ

このように「まだ働くための準備段階(就労移行)に体が追いついていない」と感じる方におすすめしたいのが、自立訓練(生活訓練)という福祉サービスです。

就労移行支援が「就職の練習(応用)」をする場所なら、自立訓練は「毎朝起きる、体力を戻す、自分のトリセツを作る(基礎)」のための場所です。

「週1日、午前中の30分だけ通う」といった超スモールステップからスタートできるため、体調の波が激しい方でも無理なく生活を立て直していくことができます。「就労移行がひどい・つらい」と感じた時は、あなたがダメなのではなく、この「自立訓練のフェーズ」に戻ってあげるサインかもしれません。

合わない環境で無理して通い続ける3つのリスク

「せっかく入ったから」「辞めるのは申し訳ないから」と、合わない環境で我慢を続けることには以下のようなリスクがあります。長期的な安定を目指すためにも、無理のない早めの判断が大切です。

① 「自分が悪いんだ」と自己肯定感が下がっていく

「周りの人はうまくやっているのに、なぜ自分はできないんだろう」と自分を責め続けてしまうリスクです。

本来は単なる「相性の問題」であるにもかかわらず、心が弱っている時期は「自分は働く資格がないんだ」と思い詰めてしまう原因になります。

② ストレスで体調がさらに悪化してしまう

合わない環境で無理を重ねると、睡眠不足や食欲不振、気分の強い落ち込みなど、せっかく回復しかけていたメンタルや体調が再び崩れてしまいます。

一度大きく崩れた体調を戻すには、さらに長い時間がかかってしまいます。

③ 焦って就職しても「短期離職」になりやすい

「とにかく早く就職しなきゃ」という周囲の空気に押され、準備不足のまま入社した結果、職場の環境に適応できず、すぐに体調を崩して辞めてしまう(短期離職)ケースです。

これでは、本当の意味での安定した社会復帰から遠のいてしまいます。

「ひどい」と感じた時にまず確認したい3つのこと

「もう辞めたい!」と思ったとき、感情的に動く前に一歩立ち止まって、以下の3つのポイントをチェックしてみましょう。状況を好転させるヒントが見つかります。

1. 自分の「今の状態」と事業所の「目的」は合っているか?

就労移行支援は、あくまで「今すぐ就職活動ができる人」向けのサービスです。

もし、今のあなたに必要なのが「まずは毎朝同じ時間に起きる」「自分のトリセツを作る(自己理解)」なのだとしたら、別のサービスを選び直したほうが心がぐっと楽になります。

個別支援計画を「今の目標」に合わせて見直せるか?

個別支援計画は本来、3〜6ヶ月ごとにあなたの体調に合わせて見直すものです。

もし「通うのがしんどい」「ペースが早い」と感じているなら、スタッフに「今の体調に合わせて計画を見直したい(通う日数を減らしたい、プログラムの内容を変えたい)」と伝えてみてください。

親身な事業所であれば、あなたに合わせた柔軟な調整をしてくれるはずです。

相談窓口(相談支援専門員・市区町村)の活用

「事業所のスタッフには直接言いづらい…」という場合は、あなたをサポートしてくれる外部の味方を頼りましょう。以下の窓口は、第三者の立場から客観的に状況を整理し、必要であれば別の事業所への移籍などを手伝ってくれます。

  • 相談支援専門員(受給者証の手続きの際に担当してくれた人)

  • 市区町村の障害福祉窓口(受給者証の発行元)

  • 地域の障害者就業・生活支援センター(通称:なかぽつ)

就労移行支援を辞める/変える時の手続き

「今の事業所を辞めよう」と決断した場合、手続き自体は決して複雑なものではありません。基本的な流れと、受給者証の取り扱いについて確認しておきましょう。

事業所への伝え方

退所・利用終了は、まず事業所に意思を伝えることから始まります。

担当スタッフや管理者に「利用を終了したい」と伝え、退所日や手続きの段取りを相談します。理由を詳しく説明する必要はなく、「合わないと感じたため」「別のサービスを検討したい」といった伝え方で問題ありません。

伝えにくい場合は、相談支援専門員に同席を依頼する方法もあります。

受給者証の取り扱いと「利用期間」のルール

就労移行支援を辞めても、お手持ちの「受給者証」がその場ですぐに使えなくなるわけではありません。次の進路によって、以下のように手続きが変わります。

  • 別の「就労移行支援事業所」へ移る場合: 原則として、これまでに通った期間が引き継がれます(利用期間の2年がリセットされるわけではありません)。市区町村の窓口で「事業所の変更手続き」を行います。

  • 「自立訓練(生活訓練)」など別のサービスへ変える場合: 就労移行支援を一度退所し、新しく自立訓練の受給者証の申請(サービス種別の変更)を行います。この場合、自立訓練としての新しい利用期間(原則最長2年)がスタートする扱いになります。

手続きの進め方や「サービス等利用計画」の見直しについては、相談支援専門員や役所の福祉窓口がサポートしてくれるため、一人で悩む必要はありません。

「合わない」と感じたとき、就職を急がない選択肢もあります

就労移行支援がしんどい、ひどいと感じてしまったのは、あなたの心が「今は就職活動よりも、もっと手前の土台作りに時間を使いたい」と教えてくれているサインかもしれません。

自立訓練(生活訓練)の「エンラボカレッジ」では、「就職ありき」のプレッシャーを一旦脇に置き、まずは毎日の生活リズムを整えること、自分の特性を知ること、対人スキルの土台を築くことから段階的にスタートできます。

週1日、短い時間からの通所も可能です。卒業後の進路も就職だけでなく、復職や復学、就労継続支援(A型・B型)など、あなたの回復度合いに合わせて一緒に考えていくことができます。

「今の環境を変えて、まずは足元から立て直したい」と感じている方は、ぜひお気軽に見学や体験利用をご相談ください。あなたの新しい一歩を、私たちはいつでもお待ちしています。

就労移行以外で検討できる5つの選択肢

就労移行支援が合わないと感じた場合、検討できる選択肢は複数あります。自分のフェーズと希望進路に合う方向を選ぶことが大切です。

自立訓練(生活訓練)で土台を整える

自立訓練(生活訓練)は、生活リズムの再構築、対人スキルの向上、自己理解(特性の整理)など、社会生活の基礎となる土台を整えるための障害福祉サービスです。

就労移行支援のように「就職」だけをゴールにするのではなく、卒業先として復職・復学・就労継続支援(A型・B型)など、複数の進路を自分のペースでじっくり選べるのが大きな特徴です。「まずは体調や自己理解の段階を整え直したい」という方が、就労移行支援から切り替えるケースが増えています。

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就労継続支援(A型・B型)で働きながらペースを掴む

いきなり一般企業で働くのはハードルが高いけれど、「働きながら自分のペースを掴んでいきたい」という方におすすめの福祉的就労です。

  • A型(雇用契約あり):一定のサポートを受けながら、最低賃金以上の給与をもらって働きます。

  • B型(雇用契約なし):自分の体調に合わせ、無理のない日数や時間で作業(軽作業やクラフトなど)を行い、工賃(お給料)をもらいます。体力や対人面の負担を抑えながら、働く経験を積みたい方に適しています。

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復職支援(リワーク)や医療デイケアを利用する

もしあなたが休職中で、元の職場への復帰(復職)を目指しているなら、リワーク(職場復帰支援)プログラムや医療機関が運営するデイケアが有力な選択肢になります。

主治医や専門スタッフのサポートを受けながら、再休職を防ぐためのストレス対処法を学んだり、通勤と同じリズムで通う練習をしたりすることができます。

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在宅就労・在宅型の支援プログラムを検討する

「体調に波がある」「人混みや対面でのコミュニケーションがどうしてもつらい」という場合は、無理に外の事業所に通うのではなく、在宅での選択肢を広げてみるのも手です。

近年では、在宅での就労(リモートワーク)を目指すためのプログラムを提供している福祉サービスや、自宅にいながらオンラインで訓練を受けられる事業所も増えています。

一度しっかり休んで心身を療養させる

「次のサービスを決める前に、とにかく今は休む時間が必要」と感じるなら、一度立ち止まってしっかり療養に専念するのも、立派で大切な選択肢です。

傷病手当金や障害年金などの公的保障、雇用保険の受給期間延長などの制度を活用しながら、金銭的な不安を和らげて休むことができます。主治医や市区町村の窓口と相談しながら、まずは「焦らなくていい期間」をしっかりと確保しましょう。

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自立訓練(生活訓練)という選択肢が向く人

就労移行支援が合わなかった方の中には、自立訓練(生活訓練)に切り替えることで、自分のペースを取り戻した方もいます。自立訓練が向く人の特徴を見ていきます。

「就職ありき」で進めるのがつらい人

就労移行支援は就職を目的とした制度のため、進行の中心に「就職活動」が据えられます。

一方、自立訓練は「生活と自己理解の土台づくり」を中心に据える設計で、就職をゴールに据えない選択も可能です。

「まずは自分のペースを取り戻したい」「就職以外の選択肢も視野に入れたい」と感じる方が選ぶ傾向があります。

自己理解の時間を取りたい人

自分の特性・得意・苦手・必要な配慮を言語化する時間を取りたい方にも、自立訓練は適しています。プログラムの中で自己理解のワークが組み込まれており、自分のパターンを整理しながら進められる設計です。

生活リズムから整えたい人

睡眠・食事・通所などの生活リズムから整え直したい方にとって、自立訓練のゆるやかなペースは合いやすい傾向があります。週1〜2日からスタートし、徐々に通所日数を増やしていく形で、無理なく続けられる組み立てが可能です。

自立訓練と就労移行支援の違いを4つの軸で比較

自立訓練と就労移行支援は、制度上の区分は近いものの、目的・設計・対象が異なります。4つの軸で違いを見ていきます。

目的・カリキュラムの違い

就労移行支援は「2年以内の就職」を直接の目的とし、職業訓練・面接対策・実習などが中心です。

一方、自立訓練(生活訓練)は「生活と自己理解の土台づくり」を目的とし、生活面・対人面・自己理解のプログラムが中心になります。

利用期間と卒業後の進路の幅

就労移行支援の標準利用期間は2年、自立訓練(生活訓練)の標準利用期間も2年とされています。

卒業後の進路は、就労移行支援が就職一択に近いのに対し、自立訓練は就職・復職・復学・A型B型・継続支援など複数の方向に分かれます。

プログラム設計の違い

就労移行支援は職業準備性に直結するプログラム(PCスキル・ビジネスマナー・グループワーク・実習)が中心です。

自立訓練は、生活リズム・体調管理・対人スキル・感情の扱い・自己理解など、より広い領域を扱う設計とされています。

通所頻度・通い方の違い

就労移行支援は就職に向けて週5日通所が推奨されることが多い一方、自立訓練は週1〜2日からのスタートや午前のみ・午後のみといった柔軟な通い方が選びやすい傾向があります。

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よくある質問(FAQ)

「ひどい」と感じた方からよく寄せられる質問とその考え方を紹介します。

就労移行支援を辞めてすぐ自立訓練を使える?

サービス種別の変更には、市区町村の障害福祉窓口での手続きが必要です。

受給者証の変更申請とサービス等利用計画の見直しを経て、新しいサービスの利用が始まります。手続きには1〜2ヶ月程度かかる場合があります。

退所と次のサービス開始のタイミングを調整するため、退所前から相談を始めると進めやすくなります。

自立訓練を使うと就職が遅れる?

自立訓練を使うことで「結果的に遠回りした」と感じる方は少ない傾向にあります。土台を整えた状態で就職活動に入るほうが、入社後の定着率が高まる場合もあるとされています。

短期的には就職時期が後ろにずれることもありますが、長期的な安定就労を視野に入れた選択として位置づけられます。

受給者証の再申請は必要?

サービス種別を変更する場合は、受給者証の変更申請が必要です。

市区町村の障害福祉窓口で手続きを行い、サービス等利用計画の見直しを経て、新しいサービスの支給決定が出されます。手帳の有無や所得状況に変化がなければ、初回ほどの手間はかからない場合が多いとされています。

就労移行支援から自立訓練(エンラボ)へ切り替えて前進した利用者の事例

就労移行支援のスピード感やプレッシャーに馴染めず、一度は自信を失ってしまったものの、自立訓練(生活訓練)に切り替えたことで見事に自分らしい働き方を手に入れた方の歩みをご紹介します。

【うつ病・ADHD・30代】2年間の就労移行で決まらなかった就職が、1年の「土台作り」で週5日勤務へ

利用前の状況

 大学時代にうつ病とADHDの診断を受け、忘れ物や優先順位のつけにくさ、人間関係の構築に悩みを抱えていたIさん。

一般企業を退職後、「生活リズムを崩さずに転職したい」という思いから、自宅近くの就労移行支援事業所に2年間、ほぼ週5日毎日通っていました。 しかし、苦手なグループワークやコミュニケーションがうまくいかず、利用期限の2年が迫っても就職先が決まらない状態に。

「限られた期間で結果を出さなきゃ」という焦りと、「苦手を克服できなかった」という深い挫折感の中で、この先どこにも通えなくなる不安と戦っていました。

エンラボでの取り組み

 スタッフからの勧めでエンラボへ移籍。「まずは福祉サービスを切らさずに、落ち着ける場所がほしい」という理由からのスタートでした。

当初は就職への前向きな気持ちになれず、目標を「毎日同じ時間に同じ場所へ通うこと(週5日の維持)」だけに設定。 「今日も行けた」という小さな達成感を積み重ねるうちに心が回復し、「もう少し頑張ってみよう」と自発的に目標を高くしていきました。

また、スキルアッププログラム(SUP)で特例子会社などの新しい選択肢を知り、コミュニケーションプログラムを通じて「相手の状況や気持ちを考える実践」を重ねました。

その後の一歩(現在の様子)

エンラボを約1年間利用した後、障害者雇用枠での事務職(8:30〜17:00のフルタイム)への就職を達成。

現在は週5日勤務を丸1年間継続しています。 エンラボで培った生活リズムと、「報連相の適切なやり方」が今の職場の基盤になっており、上司からは「期待以上の成果を出してくれている」と高い評価を受け、無事に契約更新も決定。

「早く決めなきゃと焦るのをやめ、自分のペースで一歩ずつ進むことの大切さを学びました」と笑顔で話してくれました。

【うつ病・40代】「通えない罪悪感」から脱却。絶対に否定されない環境で自信を培い、障害者雇用への切符を掴むまで

利用前の状況

うつ病を抱える40代のMさん。以前通っていた就労移行支援では、体力やメンタルの不調から毎日通うことができず、「通えない自分」に激しく落ち込む負のループに陥っていました。

もともと自分に自信がなく、周囲に自分の意見や本音を出すことが苦手。自分の得意・不得意すら整理できないまま「就職」という目標だけが目の前にあり、外出すること自体がどんどん辛くなっていました。見かねた就労移行のスタッフから「まずは生活の土台を整えよう」と声をかけられ、エンラボの門を叩きました。

エンラボでの取り組み

 見学時に感じた穏やかな居心地の良さに惹かれ、まずは無理のない「週3日」の通所からスタート。

体験時、ワークの中で「誰の意見も絶対に否定しない」というエンラボのルールに触れ、深い安心感を覚えたことが変化のきっかけとなりました。 また、ただ優しいだけでなく、スタッフから「午後だけの通所だと状況は変わりませんよ」と、困りごとに本気で向き合ってくれる強さをもらったことで覚悟が決まります。

ワークで意見を発表し、スタッフや仲間に「素敵ですね」と受け止められる成功体験を重ねるうちに「もっと通いたい」と思えるようになり、わずか3ヶ月で週5日通所を達成。「通い続ける・自分を知る・発言する」の3つの目標に向けて動き出しました。

その後の一歩(現在の様子)

 約1年間の利用を通じ、日記のメモやワークの振り返りから『自分/支え方マニュアル』を完成させました。

スタッフが本人の普段の行動を細かく覚えてくれており、自分では気づけなかった強みを引き出す添削をしてくれたことで、「自分を伝えてもいいんだ」という大きな自信に繋がったといいます。

現在は、無理に自己PRをひねり出すのではなく、自分の言葉で得意・不得意を説明できる状態で、特例子会社などでの障害者雇用に向けて応募書類の準備を進めています。 「以前は仕事の勉強ばかりでストレスを発散できなかったけれど、これからは仕事とプライベートを分けて、大好きな自転車での長距離旅行を楽しみたい」と、自分を大切にする働き方を見据えて明るい未来を描いています。

業界全体の支援傾向|公的データが示す「ステップ利用」の必要性

データ①:就労移行支援の「約半数」が就職以外で退所している現実

厚生労働省が発表している「障害福祉サービス等報酬改定」の検討資料や自治体の統計によると、就労移行支援を退所した人のうち、一般就労(就職)に結びついた人の割合は全国平均で約5割(約50%)に留まっています。

つまり、残りの約5割の人はどうなっているのか? 就職に至らずに「期間満了(2年)」を迎えてしまったり、途中で体調を崩して「中断(退所)」したり、今の事業所が合わずに「事業所変更」を行ったりしています。

国(厚生労働省)の資料でも、この途中で辞めてしまう背景として「本人の障害特性や体調の波に対して、就職活動のプレッシャーが強すぎること(ミスマッチ)」「まだ毎日の通所リズムが安定していない段階で利用を始めてしまったこと」が明確に指摘されています。

データ②:国も推奨し始めた「自立訓練 ➡ 就労移行」の段階的利用

独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)などの研究では、障害福祉サービスを「ステップアップ」させていく利用形態の効果が実証されつつあります。

近年、就労移行支援を終了・退所した人の進路先として、いきなり一般就職するのではなく、まずは生活スキルを上げるために「自立訓練」へ移行するケースや、逆に「自立訓練で1〜2年かけて生活土台を作った人が、満を持して就労移行支援へステップアップする」というケースが、福祉の現場で全体の数%ずつ確実に増加しています。

これを受けて、厚生労働省の近年の報酬改定でも「複数の福祉サービスをスムーズに渡り歩けるような連携(複線化)」に対して加算(評価)がつくようになるなど、国を挙げた制度設計自体が「まずは土台、それから就職」という流れを後押ししています。

まとめ

就労移行支援が「ひどい」と感じる背景には、事業所の運営だけでなく、本人のフェーズと事業所の役割のズレが関わっている場合があります。我慢して通い続ける前に、自分の状態を整理し、別の選択肢を視野に入れることも大切です。

自立訓練(生活訓練)は、「就職ありき」ではない設計で土台から整えられる選択肢のひとつです。気になる方は見学・体験から始めることもできます。

自立訓練(生活訓練)エンラボカレッジでは、随時相談を受け付けています。お気軽にお問い合わせください。

出典・参考

  • 厚生労働省「障害者総合支援法の概要」 (自立訓練・生活訓練、就労移行支援、就労継続支援の各福祉サービスの定義と標準利用期間の法的根拠)

  • 厚生労働省「障害福祉サービス等の利用状況について」 (各福祉サービスの利用者数推移、および就労移行支援における退所者の進路や事業所変更に関する統計データ)

  • 独立行政法人福祉医療機構 WAM NET(ワムネット) (全国の障害福祉サービス事業所の配置基準、および各地域における自立訓練・就労移行支援の運用実態に関する参考情報)

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更新日:2026/06/07 公開日:2026/06/03

この記事について【作成・監修】

監修:株式会社エンラボ 専門職チーム (精神保健福祉士・社会福祉士・臨床心理士・作業療法士・理学療法士 在籍)

 

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