発達障害の就職|向いている仕事・強み・困りごとと進め方を解説

更新日:2026/05/30

発達障害のある方の就職は、一般雇用か障害者雇用か、オープンかクローズか、いきなり就職か訓練を経るかなど、選択肢が複数に枝分かれします。

自分の特性のうち何が強みで何が困りごとかを言語化し、雇用形態を比較したうえで動き出すと、ミスマッチによる早期離職を避けやすくなります。診断未確定やグレーゾーンの段階でも、進められる就職活動の道筋があります。

以下では、ASD・ADHD・LDそれぞれの強みと困りごと、向いている仕事の傾向、4つの雇用形態の違い、就職までの3ステップを、初めて就職を目指す方の視点で順に見ていきます。

発達障害のある方の就職は「特性理解→雇用形態の選択→支援機関の活用」の3ステップで進める

第一に、発達障害(ASD・ADHD・LD)は脳機能の発達のかたよりにより、得意・不得意がはっきり現れる特性です。就職活動の最初の一歩は、診断名ではなく「自分の特性のうち、何が強みで何が困りごとか」を具体的に言語化することにあります。

第二に、雇用形態には「一般雇用(クローズ)」「一般雇用(オープン)」「障害者雇用(クローズ)」「障害者雇用(オープン)」の4つの組み合わせがあり、収入・配慮の得やすさ・求人数のバランスを比べて選びます。

第三に、いきなり就職活動に進むのが不安な方には、自立訓練(生活訓練)で生活と自己理解を整え、就労移行支援で就職活動を支えてもらうという段階的な進め方があります。

ここから整理できるのは、「発達障害があるかどうか」よりも、「自分の特性をどれくらい言語化できているか」「どの雇用形態で、どの支援機関と一緒に進めるか」を決めることが、就職の成否を大きく左右するということです。

そのうえで、現時点で「自分の特性が整理しきれていない」「働く前に生活リズムを整えたい」と感じる方は、就職活動の前に自立訓練を挟む選択肢も視野に入れて、一緒に検討していけます。

発達障害とは|就職の前に押さえておきたい3つの基本

ここから、就職を考えるうえで前提となる発達障害の基本を整理します。

発達障害は「脳機能の発達のかたより」による特性

発達障害は、生まれつきの脳機能の発達のかたよりにより、行動面・対人面・学習面などに特性が現れる状態です。

「努力不足」や「育て方の問題」ではなく、脳の働き方の個性として整理されており、就職場面では「得意なことは際立つが、苦手なことには工夫が必要」というかたちで現れます。

発達障害の基礎は大人の発達障害?特徴や原因・診断・治療法・病院の探し方・相談先を紹介します。で詳しく整理しています。

主な3つのタイプ(ASD・ADHD・LD)

発達障害は、現れ方によって主に3つのタイプに分けられます。

ASD(自閉スペクトラム症):対人コミュニケーションの難しさ、こだわりの強さ、感覚過敏などが特徴として現れます。

ADHD(注意欠如多動症):不注意・多動性・衝動性が特徴で、忘れ物やケアレスミス、集中の続きにくさ、思いつきの行動などが見られます。

LD・SLD(限局性学習症):知的発達には遅れがないものの、読む・書く・計算するなど特定の学習領域に難しさが現れます。

これらは1人の方に複数重なって現れる(ASD+ADHDの併存など)ことも多く、特性の強さも人によって大きく異なります。

特性別の詳細は、発達障害の特徴とは?大人の発達障害の特徴や困りごとを場面・診断別に解説します。もあわせてご覧ください。

グレーゾーン・診断未確定でも就職活動はできる

「診断が下りていない」「グレーゾーンと言われた」状態でも、就職活動を進めることはできます。

一般雇用(クローズ)では診断の有無は問われませんし、障害者雇用を希望する場合は、就職前に主治医と相談して障害者手帳を取得する流れになります。

グレーゾーンの方の働き方は発達障害の「グレーゾーン」大人の特徴・チェックの方法はある?仕事探しや手帳についても解説します。で整理しています。

ASD・ADHD・LD別|強みと困りごとの整理

就職活動を始めるときに最初にやっておきたいのが、「自分の強み」と「困りごと」を診断名ごとに棚卸しすることです。

3タイプの代表的な傾向を整理します(個人差が大きいため、自分に当てはまる項目を選ぶ視点でご覧ください)。

ASD(自閉スペクトラム症)の強みと困りごと

強み

  • 関心のある分野に深く集中して取り組める
  • ルールや手順を正確に守る
  • データや事実に基づいた分析が得意
  • 同じ作業を高い精度で繰り返せる
  • 嘘やごまかしのない誠実な姿勢

仕事での困りごと

  • 雑談や暗黙のルールを読み取るのが苦手
  • 急な変更や予定外の対応で混乱しやすい
  • 比喩や曖昧な指示を文字通り受け取りやすい
  • 感覚過敏(音・光・におい・触感)で疲れやすい
  • 報連相のタイミングや量がつかみにくい

ASDの方の仕事については、ASD(自閉スペクトラム症)のある方に向いている仕事を紹介します。で詳しく整理しています。

ADHD(注意欠如多動症)の強みと困りごと

強み

  • 興味のあることへの集中力(過集中)が高い
  • アイデアが豊富で発想が柔軟
  • 行動力があり、フットワークが軽い
  • 短期的な締め切りに向けた瞬発力がある
  • 対人接触に開放的で人と関わるのが得意な方も多い

仕事での困りごと

  • 細かな書類のケアレスミス、見落とし、誤字脱字
  • 複数のタスクを並行して進めるのが苦手
  • 期限の長い仕事を後回しにしてしまう
  • 物の置き場所や時間管理が崩れやすい
  • 思いついたことを衝動的に話す/行動する

ADHDの方の仕事については、ADHDに向いている仕事とは?仕事ができない・続かないと思う理由やその対策、おすすめの仕事を紹介します。もあわせてご覧ください。

LD・SLD(限局性学習症)の強みと困りごと

強み

  • 苦手な領域以外の知的能力は通常通り発揮できる
  • 視覚情報・聴覚情報のどちらかが得意な方が多い
  • 興味のある分野は深く理解できる
  • 困りごとを補う工夫を自分なりに編み出している方が多い

仕事での困りごと

  • 読字に困難がある場合、長文書類の処理に時間がかかる
  • 書字に困難がある場合、手書きの議事録や報告書に負担
  • 算数・計算に困難がある場合、経理・在庫管理などに不安
  • 周囲に「努力不足」と誤解されやすい

LDの方の仕事については、大人の学習障害(LD)とは?特徴や仕事での対処法、治療方法や就職率を解説で詳しく整理しています。

特性は「箇条書きでメモする」と整理しやすい

3タイプの整理を踏まえて、自分の特性を「強み3〜5項目/困りごと3〜5項目」のメモに落とし込むと、面接や職場での配慮事項の説明がしやすくなります。

エンラボカレッジでは、このメモを『自分/支え方マニュアル』として一冊にまとめる時間を設けており、就職活動と就職後の両方で活用できるツールとして卒業後も使い続けられる構成にしています。

『自分/支え方マニュアル』の活用例は、後半の「エンラボカレッジでの取り組み」のセクションで紹介します。

発達障害のある方に向いている仕事の傾向

「発達障害だからこの仕事」と断定することはできませんが、特性ごとに「相性のよい仕事内容・職場環境」の傾向はあります。

ASD・ADHD・LDそれぞれに見られる傾向を整理します。

ASDの方に向きやすい仕事

「正確さ」「ルール順守」「繰り返し作業の集中」が活きる仕事と相性がよい傾向があります。

  • データ入力・データ分析
  • プログラマー・システムエンジニア
  • 経理・会計事務(手順が定型化された範囲)
  • 検査・品質管理
  • 校正・校閲
  • CADオペレーター
  • 研究職・専門技術職
  • 図書館司書・資料整理

逆に、急な対応が多い接客業や、雑談中心の営業職は、感覚過敏や予定変更の負担で疲弊しやすい傾向があります。

ADHDの方に向きやすい仕事

「変化があるほうが集中しやすい」「短期決戦の瞬発力」「アイデアと発想力」が活きる仕事と相性がよい傾向があります。

  • 営業(成果が短期で見えやすいもの)
  • 企画・マーケティング
  • Webデザイナー・クリエイティブ職
  • イベント運営・現場ディレクション
  • ジャーナリスト・ライター
  • 接客業(変化のあるカフェ・サービス業など)
  • 美容師・調理師など「動きながらの仕事」

逆に、長期間ひとつの書類とにらめっこする仕事や、ミスが許されない会計監査などは、不注意特性で消耗しやすい傾向があります。

LDの方に向きやすい仕事

「苦手な領域を避け、得意な領域を活かす」設計が鍵になります。

  • 読字困難の方:視覚的・空間的に整理する仕事(CAD・グラフィックデザインなど)
  • 書字困難の方:PCで完結する仕事(プログラミング・データ入力など、手書きが少ないもの)
  • 算数困難の方:定性的な分析が中心の仕事(リサーチ・編集・接客など)

合理的配慮として「読み上げソフトの利用許可」「PC入力での議事録対応」などを職場と相談していくことで、選べる仕事の幅が広がります。

「向いている仕事」だけで決めない3つの視点

「向いている仕事」を診断名から逆算しすぎると、「興味がない仕事」「通勤が難しい職場」を選んでしまうこともあります。

仕事を選ぶときは、次の3つの視点を組み合わせるのが現実的です。

視点1|興味・関心:診断にかかわらず、自分が「続けたい」と感じる分野か。

視点2|体調・通勤:通勤距離・勤務時間・休憩の取りやすさが、自分の体調と合うか。

視点3|配慮の得やすさ:困りごとを率直に伝えられる職場か、上司・同僚との相性はどうか。

向いている仕事の全体像は、発達障害のある方に向いている仕事(職種)や職場環境とは?もあわせてご覧ください。

一般雇用/障害者雇用/クローズ/オープン|4つの雇用形態の違い

発達障害のある方が初めて就職するときに整理しておきたいのが、「雇用形態」と「障害の開示」の組み合わせです。

ここを整理せずに就職活動を始めると、面接で迷ったり、就職後に「思っていた配慮が得られない」というミスマッチが起こりやすくなります。

4つの組み合わせの全体像

組み合わせ 雇用枠 障害開示 主な特徴
一般雇用(クローズ) 一般 しない 求人数が最多/配慮なし/障害者手帳不要
一般雇用(オープン) 一般 する 求人数多/一部配慮あり/手帳なくても可
障害者雇用(クローズ) 制度上は成立しない
障害者雇用(オープン) 障害者枠 する 求人限定的/配慮を前提/手帳必須

実質的には、「一般雇用クローズ」「一般雇用オープン」「障害者雇用オープン」の3パターンを選ぶことになります。

一般雇用(クローズ)|障害を伝えずに一般枠で働く

障害があることを職場に伝えず、一般枠で就職する方法です。

求人数がもっとも多く、給与水準・キャリアパスも他の社員と同じ条件で進められる点がメリットです。

一方で、合理的配慮を申し出にくいため、特性に起因する困りごとを自分の工夫だけでカバーする必要があり、無理が重なって早期離職につながりやすい側面があります。

「特性は比較的軽い」「自分なりの対処法が確立できている」「障害をオープンにしたくない事情がある」方に選ばれる傾向があります。

一般雇用(オープン)|一般枠で働きつつ障害を開示する

一般枠の求人に応募し、面接や入社時に発達障害があることを開示する方法です。

求人数は一般雇用と同程度を維持しつつ、必要に応じて配慮を申し出られるバランス型の働き方になります。

ただし、企業側に発達障害への理解が薄い場合、開示後の評価や扱いに不安が残るケースもあり、「どの段階で・どこまで開示するか」が判断のポイントになります。

障害者手帳がなくても選択可能ですが、合理的配慮を法的根拠と合わせて求めたい場合は、手帳の取得が有利に働くこともあります。

障害者雇用(オープン)|障害者枠で配慮を前提に働く

障害者雇用促進法に基づき、企業が障害者枠として募集する求人に応募する方法です。

採用の前提として「障害があり配慮が必要」であることを企業が理解しているため、合理的配慮を受けやすく、定着率が一般雇用より高い傾向が指摘されています。

応募の前提として、原則として精神障害者保健福祉手帳(発達障害は精神障害者保健福祉手帳の対象)が必要となります。

求人数は一般雇用より少なく、給与水準もやや低めになる傾向がありますが、長期的な安定就労を重視する方には選ばれやすい働き方です。

クローズ就労とオープン就労の違いは、クローズ就労・オープン就労とは?メリットやデメリット、向いている人の特徴を解説で詳しく整理しています。

障害者雇用全体の整理は、障害者雇用とは?一般雇用との違いや働くときのメリット・デメリットもあわせてご覧ください。

どれを選ぶか|4つの判断軸

「自分はどの組み合わせが合うか」を判断する4つの軸を整理します。

軸1|配慮の必要性:感覚過敏・対人疲労・指示理解のサポートが日常的に必要か。必要であればオープン寄りが選択肢になる。

軸2|障害者手帳の有無:手帳を取得済み・取得予定なら障害者雇用も視野に入る。グレーゾーンなら一般雇用(オープン/クローズ)が中心。

軸3|希望する収入・キャリア:一般枠と障害者枠で初任給に差があるケースが多い。長期的な収入とキャリアパスをどう設計するか。

軸4|過去の就労経験:何度か離職を繰り返している場合、配慮を前提とした働き方(オープン寄り)に切り替える意義は大きい。

これらは「正解はひとつ」ではなく、支援機関や主治医と相談しながら、自分にとって続けやすい組み合わせを選んでいく整理になります。

自立訓練→就労移行→就職の流れ|段階的に進める道筋

「いきなり就職活動を始めるのは不安」「履歴書を書く前にやることがある気がする」――こうした感覚を持つ方には、福祉サービスを段階的に活用しながら就職に進む道筋があります。

「自立訓練(生活訓練)→就労移行支援→就職」という代表的な3段階の流れを整理します。

段階1|自立訓練(生活訓練)で生活と自己理解を整える

自立訓練(生活訓練)は、地域生活を送るうえでの「生活面の自立」を支援する障害福祉サービスです。

利用期間は原則2年で、生活リズム・対人スキル・自己理解・体調コントロールなど、「働くうえで/生きていくうえで土台になる部分」に集中的に時間を使えます。

「いきなり就職活動は重い」「働く前にもう少し生活と気持ちを整えたい」「自分の特性をまず理解したい」と感じる方が、最初に検討するサービスです。

自立訓練の概要は自立訓練(生活訓練)とは?対象者・利用期間・プログラム内容などについて解説します。で詳しく整理しています。

段階2|就労移行支援で就職活動を進める

就労移行支援は、原則2年以内に一般企業への就職を目指す訓練・支援サービスです。

ビジネスマナー・PC操作・履歴書添削・模擬面接・企業実習などを組み合わせ、就職活動の伴走を受けながら進められます。

「自立訓練で土台が整った」「すぐに就職活動を始められる状態」と感じる方が、次のステップとして選ぶサービスです。

就労移行支援の概要は、就労移行支援(就労支援)ってどんなところ?対象・利用料・内容・就職率に関して解説します。で詳しく整理しています。

段階3|就職と職場定着

就職後は、就労定着支援などのサービスを活用しながら、3〜6か月ごとに支援員と振り返りを行い、長く働き続けるための調整を行います。

「就職してから困りごとが出てきた」「上司への配慮事項の伝え方がわからなくなった」――こうしたタイミングで、外部の支援員に相談できる体制を維持しておくことで、早期離職を防げる傾向があります。

段階を飛ばす道筋もある

すべての方が「自立訓練→就労移行→就職」を経るわけではありません。

「すでに生活リズムが整っている」「特性の自己理解もできている」方は、就労移行支援から始めることも、ハローワークや一般の求人サイトから直接応募することもできます。

逆に「就労移行は重い」「まず生活を整えたい」方は、自立訓練のみを使って卒業後に直接就職活動に進むパターンもあります。

「いまの自分はどの段階にいるか」を、主治医・相談支援専門員・支援者と一緒に整理することが、サービス選びの起点になります。

自立訓練と就労移行の違いは、自立訓練と就労移行支援の違い、対象・支援内容について紹介します。もあわせてご覧ください。

統計データから見る発達障害の就職状況

発達障害のある方の就職状況について、公的データを2つ紹介します。

データ1|障害者雇用は過去最高を更新中

厚生労働省「令和5年障害者雇用状況の集計結果」によると、民間企業(従業員43.5人以上)に雇用されている障害者の数は642,178.0人で、20年連続で過去最高を更新しています。

このうち精神障害者(発達障害を含む)は130,298.0人で、対前年比18.7%増という高い伸び率を示しています。

法定雇用率は2024年4月から2.5%、2026年7月から2.7%へと段階的に引き上げられており、企業の障害者雇用ニーズは今後も拡大していく見通しです。

データ2|発達障害のある方の就職経路は多様

厚生労働省「平成30年度障害者雇用実態調査」によると、発達障害のある雇用者の就職経路として、「ハローワーク」「障害者就業・生活支援センター」「就労移行支援事業所」などが主要な経路として挙げられています。

このうち就労移行支援事業所からの就職は、職場定着率が高い傾向が報告されており、初めて就職する方にとって有力な選択肢のひとつです。

業界最大手の就労移行支援事業所の累計17,000名以上の就職事例では、「自己理解の整理」「企業実習」「就職後の定着支援」の3点セットを揃えた利用者の定着率が高いとされています。

データから言えること

データから見えるのは、「発達障害のある方が働ける環境は確実に拡大している」一方で、「ひとりで就職活動を進めるよりも、支援機関を活用するほうが定着率が高い」という傾向です。

「就職できるかどうか」よりも、「どの経路で、どの支援を組み合わせるか」を設計することが、長く働き続けられる選択につながります。

就職活動の進め方|履歴書・面接・実習で押さえたいこと

特性整理と雇用形態の方針が固まったら、いよいよ就職活動です。

初めての就職活動で押さえておきたい3つのポイントを整理します。

ポイント1|履歴書・職務経歴書の書き方

履歴書は「自分の強み」「これまでの経験」「障害特性と必要な配慮」を整理して書きます。

オープン就労を選ぶ場合、「配慮事項」の欄に「集中時間を確保するため午前中の業務を中心に」「指示は口頭ではなく文字でいただけると助かります」のように、具体的に書き出すと、面接官が判断しやすくなります。

クローズ就労を選ぶ場合、「障害」については記載しませんが、「強み」と「これまでの経験」は丁寧に整理しておきましょう。

ポイント2|面接での伝え方

面接では、「自己紹介→志望動機→強み・経験→配慮事項(オープンの場合)→質問」の流れが一般的です。

ASDの方は「想定問答を事前に書き出して練習する」、ADHDの方は「面接時間を朝・午前に設定してもらう」、LDの方は「面接当日に渡された書類は持ち帰って確認させてもらう」など、特性に合わせた工夫が役立ちます。

カミングアウト(障害開示)の判断は、発達障害のカミングアウトはどうすべき?親や職場への伝え方やメリット・デメリットもあわせて参考にしてください。

ポイント3|実習・体験で適性を確かめる

履歴書・面接だけで判断するのではなく、可能であれば1〜2週間の企業実習を経て、「実際の業務環境で続けられそうか」を確かめることをおすすめします。

就労移行支援事業所では、企業実習をプログラムに組み込んでいる事業所が多く、就職前に「合う/合わない」を確かめられる仕組みが整っています。

「実習を通じて、自分が思っていた職種よりも別の職種のほうが合うとわかった」というケースは少なくありません。

発達障害のある方が就職活動でつまずきやすいポイント

「就職活動を始めたものの、なかなか前に進まない」――そんなときに、つまずきやすい3つのポイントを整理します。

つまずき1|「向いている仕事」を探しすぎて動けなくなる

診断名から「向いている仕事」を逆算しすぎると、「興味がない」「通勤が難しい」「採用枠が少ない」という壁にぶつかり、動けなくなることがあります。

「向いている仕事」を絞り込むのではなく、「興味・体調・配慮」の3軸で複数の選択肢を並べて、応募していくほうが結果につながりやすい傾向です。

つまずき2|面接で「困りごと」だけを話してしまう

オープン就労の面接で「困りごと」だけを長く話してしまうと、企業側が「採用後に対応しきれない」と感じてしまうことがあります。

「困りごと→必要な配慮→自分でできる工夫→活かせる強み」をワンセットで話せると、面接官の印象が大きく変わります。

つまずき3|就職後の定着支援を設計し忘れる

就職がゴールではなく、「就職後3か月・6か月・1年」の節目で、職場の上司や外部の支援員と振り返りを行う仕組みを、就職前から設計しておくことが大切です。

就労移行支援事業所と契約していると、就職後6か月までは無料で職場定着支援を受けられる仕組みがあります(就労定着支援を利用する場合は別途契約)。

発達障害のある方の仕事の困りごとは、発達障害があり仕事がうまくできないと悩む方へ|発達障害の特徴からみる原因と対処法を紹介しますもあわせてご覧ください。

エンラボカレッジでの「初めての就職」アプローチ

エンラボカレッジは、神奈川県・東京都・大阪府・宮崎県で自立訓練(生活訓練)と就労移行支援を運営している事業者です。

発達障害のある方が「初めて就職する」道のりに、エンラボがどのように関わっているかをお伝えします。

8つのプログラムで「自分の取扱説明書」を作る

エンラボカレッジの自立訓練では、8つのプログラム(感情学/コミュニケーション/My Lab./アクティビティ/Life Lab./ソマティック Lab./Social Lab./スキルアップ)を組み合わせ、ステージ1〜4の4段階で「自分を知る・学ぶ→学んだことができる→学びを応用できる→自信を持ち、次に進める」というカリキュラムを組み立てています。

なかでもMy Lab.は、利用される方が『自分/支え方マニュアル』という独自成果物を作る時間で、卒業後の就職活動と就職後の職場定着のどちらでも継続して活用できるツールです。

『自分/支え方マニュアル』が就職面接で活きる

『自分/支え方マニュアル』には、自分の特性・強み・苦手・必要な配慮・調子の悪い日の対処を整理して書き込みます。

就職活動の場面では、面接で「配慮事項を一覧で示せる」「企業実習中の自分の状態を支援員と共有しやすい」というかたちで活きてきます。

就職後も「上司に配慮事項を毎回口頭で説明しなくて済む」「異動や担当変更のタイミングで新しい上司に渡せる」というメリットがあります。

自立訓練→就労移行のスムーズな移行

エンラボカレッジでは、自立訓練と就労移行を多機能型(一部拠点)で運営しており、「自立訓練で土台を整えてから就労移行に進みたい」という方の連携をスムーズに行える設計にしています。

外部の就労移行支援事業所(manabyや他社)への移行も、卒業生のニーズに合わせて支援しています。

「就職をゴールにする支援」ではなく、「卒業後に長く働き続けられる土台を作る支援」が、エンラボカレッジの基本姿勢です。

40代から自立訓練で働き方を見直していった方のプロセスは、40代からの再スタート|自立訓練で生活と働き方が変わった理由【エンラボストーリー】もあわせてご覧ください。

「初めての就職に進む前に整えたい」方へ

エンラボカレッジでは、神奈川・東京・大阪・宮崎の11拠点で自立訓練(生活訓練)と就労移行支援の見学・無料相談を随時お受けしています。

「発達障害があり、初めての就職に不安がある」「自分の特性を整理してから就職活動を始めたい」「家族と一緒に話を聞きたい」――そうしたご相談を多くいただいています。

発達障害のある方の初めての就職の実例|自立訓練(生活訓練)エンラボカレッジ利用者の事例

※以下は自立訓練(生活訓練)エンラボカレッジを利用された方の支援事例です(医学的な症例研究ではありません)

発達障害のある方が初めての就職に至ったケースを3つ紹介します。

事例1|ADHDの20代男性が自立訓練で就職準備を進めたケース

ADHDの診断を受けた20代男性のケースです。

「複数の業務を並行して進めるのが難しい」「ケアレスミスで前職を辞めた」という困りごとを抱え、いきなりの就職活動ではなく、自立訓練で生活リズムと自己理解を整えるところから始めました。

『自分/支え方マニュアル』に「集中時間は午前中/タスクは1日1〜2件まで/チェックリストを共有」と整理し、卒業後の就職活動で配慮事項として企業に伝えていったプロセスが整理されています。

詳細は発達障害(ADHD)の20代が自立訓練で就職準備を進めた方法【エンラボストーリー】をご覧ください。

事例2|ASDのある方が自己理解を深めて安定就労に至ったケース

ASD(自閉スペクトラム症)の自己理解に時間をかけて、安定した就労にたどり着いた方のケースです。

「対人コミュニケーションの疲弊」「予定変更への混乱」を中心的な困りごととして言語化し、配慮を申し出やすい職場環境を、支援員と一緒に絞り込んでいったプロセスが整理されています。

詳細はASD(自閉スペクトラム症)の自己理解。自立訓練から安定就労へ【エンラボストーリー】もあわせてご覧ください。

事例3|うつとADHDの併存から安定就労に至ったケース

うつ病とADHDが併存している40代の方が、自立訓練で土台を整え、安定した就労にたどり着いたケースもあります。

「体調の波と仕事の調整」「対人疲労のセルフケア」を学び直し、就職後も再発を防ぐ仕組みを職場と共有していったプロセスが整理されています。

詳細はうつとADHDの40代が自立訓練で土台を整え安定した就労へ【エンラボストーリー】もあわせてご覧ください。

よくある質問(FAQ)

発達障害があると就職できないのですか?

そんなことはありません。

厚生労働省「令和5年障害者雇用状況の集計結果」によると、民間企業に雇用されている障害者は642,178.0人と、20年連続で過去最高を更新しており、発達障害のある方が働ける環境は確実に拡大しています。

「就職できるかどうか」よりも、「自分の特性に合う雇用形態を選び、適切な支援機関と一緒に進める」ことが大切です。

発達障害の診断がなくても、障害者雇用で働けますか?

原則として、障害者雇用での就労には精神障害者保健福祉手帳(発達障害は精神障害者保健福祉手帳の対象)が必要となります。

診断はあるが手帳を取得していない方は、主治医と相談のうえで手帳の取得手続きを進める道筋があります。

グレーゾーンで診断が未確定の方は、一般雇用(オープン)が選択肢として浮上します。

詳しくは発達障害のグレーゾーンの方は障害者手帳をもらえる?もらえない?もあわせてご覧ください。

障害をオープンにすると、不利になりませんか?

オープン就労には、合理的配慮を受けやすい・定着率が高い・職場の理解を得やすいというメリットがある一方で、求人数が限定的・給与水準がやや低めという面もあります。

「不利か有利か」は、特性の強さ・配慮の必要性・希望する働き方によって変わります。

ひとりで判断せずに、支援機関や主治医と一緒に整理することをおすすめします。

障害者手帳を持っていないと一般雇用しか選べませんか?

一般雇用(クローズ・オープンとも)は、障害者手帳がなくても選べます。

障害者雇用は原則として手帳が必要ですが、手帳の取得は就職活動と並行して進めることも可能です。

「手帳を取るかどうか」自体を支援機関と一緒に整理することから始めてもよい段階です。

就労移行支援と自立訓練は、どちらを先に使うべきですか?

「就職活動をすぐに始められる状態か」「生活と気持ちを先に整える必要があるか」で順番が変わります。

生活リズム・自己理解・体調コントロールに不安がある方は、自立訓練→就労移行の順で進める道筋が、結果的に長く働ける土台を作りやすいとされています。

詳しくは自立訓練と就労移行支援の違い、対象・支援内容について紹介します。もあわせてご覧ください。

「向いている仕事」がわからない場合、どうすれば良いですか?

支援機関の自己分析プログラムや、企業実習を通じて「実際に体験してみる」のが近道です。

頭で考えるよりも、1〜2週間の実習を1〜2社経験するだけで、「自分が思っていた職種より別の職種のほうが合う」と気づくことが多くあります。

エンラボカレッジでは、My Lab.プログラムを通じて『自分/支え方マニュアル』を作成し、自分の凸凹を言語化したうえで適性を整理する時間を設けています。

発達障害があると就職後にすぐ辞めてしまうのでは?

就労移行支援事業所を経由して就職した方の職場定着率は、一般経路での就職よりも高い傾向が報告されています。

定着率を上げるポイントは、「就職前の特性整理」「企業実習による適性確認」「就職後の定着支援」の3点セットを揃えることにあります。

ひとりで進めるよりも、支援機関の伴走を受けるほうが、結果的に長く働き続けやすい設計です。

親や家族にどう相談すれば良いですか?

「就職活動の話を切り出しにくい」「家族の理解が得られるか不安」と感じる方は、まず支援機関の見学に家族と一緒に行くところから始める道筋があります。

エンラボカレッジでは、ご本人だけでなくご家族からの見学・相談も多くお受けしており、家族の理解を深める時間としても活用いただいています。

就職活動中に体調を崩したらどうすれば良いですか?

無理に活動を続けるのではなく、いったん休止して主治医と相談することをおすすめします。

支援機関を利用している方は、支援員と「就職活動のペースの見直し」を相談できますし、ハローワークでも障害者向けの相談窓口を利用できます。

「期限を切られた就職活動ではなく、自分の体調に合わせた進め方」が、長く働ける道筋につながります。

グレーゾーンでも、就職活動に支援機関を使えますか?

使えます。

自立訓練・就労移行支援とも、診断が未確定の方や手帳のない方が利用しているケースは多くあります。

利用には「障害福祉サービス受給者証」が必要となりますが、自治体の判断で手帳がなくても受給者証が交付されるケースがあります。

詳しくはお住まいの市区町村の障害福祉課にご相談ください。

まとめ

発達障害のある方の就職は、「特性理解→雇用形態の選択→支援機関の活用」の3ステップで進めるのが基本です。診断名から逆算するのではなく、自分の強みと困りごとを具体的に言語化することから始まります。

次の行動として、まずは自分の特性を3〜5項目ずつ書き出し、雇用形態(一般雇用クローズ/オープン/障害者雇用オープン)を比較してみてください。いきなり就職活動が不安な方は、自立訓練(生活訓練)で土台を整えてから就労移行支援に進む道筋もあります。

エンラボカレッジでは、自分の特性整理から就職までの伴走を受けられます。「特性に合う働き方を相談したい」方は、お気軽にお問い合わせください。

ご見学・無料相談のご案内

エンラボカレッジでは、自立訓練(生活訓練)と就労移行支援の見学・無料相談を、神奈川・東京・大阪・宮崎の11拠点で随時お受けしています。

「発達障害があり、初めての就職に不安がある」「自分の特性を整理して、雇用形態を選びたい」「家族と一緒に話を聞いてみたい」――そうしたご相談も歓迎しています。

ご見学・無料相談のお申し込みは、エンラボカレッジ公式サイト、またはお電話(050-5538-0786/平日10:00-18:00)からお気軽にどうぞ。

事業所の雰囲気・プログラムの実際・通っている方々の様子を、実際に見てから判断いただけます。

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更新日:2026/05/30 公開日:2024/05/31

この記事について【作成・監修】

本記事は、自立訓練(生活訓練)事業所「エンラボカレッジ」を運営する株式会社エンラボの専門職スタッフが作成・監修しています。

【在籍資格】
精神保健福祉士・社会福祉士・臨床心理士・作業療法士・理学療法士

【現場での実践】
自立訓練(生活訓練)・就労移行支援などで、診断名・特性に合わせた個別支援を提供しています。

【運営会社】
株式会社エンラボ/設立2015年4月/神奈川県を中心に首都圏・関西・宮崎で11拠点運営

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