休職から退職を考える方へ|流れ・お金・次の進路の見つけ方
更新日:2026/06/03
休職を続けても体調が戻らず、「このまま退職したほうがいいのだろうか」「辞めたあとの生活はどうなるんだろう」と、一人で不安を抱えていませんか?
退職は決して「終わり」ではありません。すり減った心身を一度リセットし、自分に合った次の働き方を選び直すための、前向きな区切りです。
辞める前後はやることが多くて難しく感じるかもしれませんが、順序を追って進めれば大丈夫。本記事では、休職から退職までの具体的な流れをはじめ、知っておきたいお金(給付金など)の仕組みや、退職後の進路の選択肢を分かりやすく解説します。
休職から退職を考えるタイミングと判断材料
休職から退職を考えるタイミングは人によって異なります。すぐに決める必要はありません。まずは以下の「3つの判断材料」を参考に、現状を少しずつ整理していきましょう。
医師の診断と「自分の本音」にズレがないか
主治医の見立てと、あなた自身の体感(本音)は必ずしも一致しないことがあります。
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「医師は『復職できる』と言うけれど、自分はまだ不安が強い」
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「医師は『もう少し休もう』と言うけれど、焦って復職したくなる」
このようなズレがある時は、主治医に今の体感を率直に伝えてみてください。「もし復職したらどうなるか」のシミュレーションを一緒に考えることで、進むべき道が見えやすくなります。また、家族や産業医など、信頼できる人に話を聞いてもらうことも心の整理に繋がります。
休職期間の「満了時期」が近づいていないか
会社の就業規則で定められた休職期間の満了が近づくと、復職か退職かの判断を求められます。
多くの会社では、期間満了による退職は「自動退職」や「自然退職」という扱いになり、一般的な「自己都合退職」や「会社都合退職」とは手続きや位置づけが異なる場合があります。
通常、満了の1〜2ヶ月前から人事担当や産業医との面談が始まるため、早めにスケジュールを確認し、復職の可能性と「退職後の準備」を並行して考えておくのがおすすめです。
復職しても「同じ原因」で倒れるリスクがないか
医師から「復職可能」の診断が出たとしても、休職の原因となった職場環境(過重労働や人間関係など)が変わっていなければ、復職後に再休職してしまうリスクがあります。
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「同じ職場に戻ることを想像すると、動悸や涙が出る」
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「ストレスの元になった環境や人間関係がそのまま残っている」
このように感じる場合は、無理に元の職場に戻る必要はありません。産業医や人事との面談で「復職後の配慮や異動の可能性」を確認し、それが難しいようであれば、転職を視野に入れた退職も立派な選択肢です。
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休職満了で「自動退職」になるケースと就業規則の確認方法
休職期間が満了した時点で、会社のルール(就業規則)に基づき自動的に退職扱いとなる場合があります。まずは自分の会社がどのような規定になっているかを確認しましょう。
休職期間の上限は会社により異なる
休職期間の上限は法律で一律に定められているわけではなく、会社ごとに決められています。一般的には勤続年数に応じて「3ヶ月〜3年程度」の幅が設けられているケースが多いです。
【自分の休職期間を調べる方法】
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会社の「就業規則」(休職規定)を確認する
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休職時に会社から受け取った「休職通知書(命令書)」を確認する
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人事担当者や総務へ直接問い合わせる
「自動退職」と「解雇」の違いに注意
休職期間が満了したときの扱いは、就業規則にどう書かれているかで変わります。
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自動退職(自然退職): 「期間満了をもって退職とする」と規定されている場合。
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解雇: 「期間満了をもって解雇する」と規定されている場合。
この違いは、退職後の失業給付(雇用保険の基本手当)の受給条件(会社都合か自己都合か、給付制限期間があるかなど)に影響することがあります。
一般的に自動退職は「自己都合」に近い扱いになることが多いですが、病気やケガでやむを得ず退職した場合は、ハローワークの判断で「特定理由離職者(会社都合と同等の扱い)」と認められるケースもあります。満了が近づいてきた段階で、ハローワークへ事前に相談しておくと安心です。
休職中に自分から退職を申し出る基本の流れ
休職満了を待たずに、自分の意思で退職を決意した場合の具体的なステップです。体調を最優先にしながら、以下のポイントを押さえて進めましょう。
退職意思を伝えるタイミング
会社の就業規則(「退職の1〜3ヶ月前までに申し出る」など)に従うのが基本です。
民法上は「2週間前の申し出」で退職可能とされていますが、会社側での手続きや健康保険の処理などを考慮し、可能であれば退職希望日の1ヶ月前程度を目安に連絡するとスムーズです。
退職日の決め方と注意点
退職日は、あなたの希望と会社の状況をすり合わせて決定します。その際、以下の要素を一緒に確認しておきましょう。
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有給休暇の残り: 休職中に有給を消化して退職日を後ろにずらせるか
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社会保険料の負担: 月末退職か月中退職かで、その月の社会保険料の自己負担額が変わる場合がある(※一般的に月末日の前日までに退職すると、その月の社会保険料はかかりませんが、代わりに国民健康保険等への加入が必要になります)
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傷病手当金: 退職後も引き続き傷病手当金を受け取るための条件を満たしているか
引き継ぎ・私物整理の進め方
体調が悪く、出社して引き継ぎや私物の片付けをするのが難しい場合は、無理をする必要はありません。人事担当者に相談すれば、以下のような配慮をしてもらえるケースがほとんどです。
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業務の引き継ぎ: メールや書面(データ)での共有、あるいは体調次第では免除されることもあります。
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私物の整理: 会社のロッカーやデスクにある私物を、着払いで郵送してもらうよう依頼できます。
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書類のやり取り: 退職届の提出や保険証の返却なども、すべて郵送で行うことが可能です。
退職届・退職願の書き方と提出のポイント
退職届や退職願は、退職の意思を正式に証明する大切な書類です。休職中の場合は、以下のポイントを押さえて用意しましょう。
休職中の場合の文面(理由の書き方)
休職中の退職であっても、デリケートな健康上の理由を詳しく書く必要はありません。一般的な退職と同じく「一身上の都合」と記載するのが基本です。
【文面例】
「一身上の都合により、令和◯年◯月◯日をもって退職いたします」
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退職願: 「退職を願い出る(打診する)」ための書類(会社が承諾する前なら撤回可能)
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退職届: 「退職が確定した後に届け出る」ための書類(原則、撤回不可)
どちらを提出すべきかは、会社の慣例や人事担当者の指示に従いましょう。
郵送で提出する際の注意点
出社が難しく郵送で提出する場合は、トラブルを防ぐために「送付状(添え状)」を同封し、以下の方法で送りましょう。
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郵送方法: 普通郵便ではなく、ポスト投函や配達の記録が残る「簡易書留」や「特定記録郵便」を使う(会社に届いた証拠を残すため)。
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宛先: 人事部、または直属の上司宛てに送る。
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コピーの手元保管: 念のため、投函前に退職届のコピーを取って手元に保管しておくのがおすすめです。
休職から退職する場合の「お金」の話
退職後の生活を守るために、利用できる経済的な支援制度は必ず把握しておきましょう。
傷病手当金は「退職後」も受け取れる?
健康保険の傷病手当金は、退職後も以下の3つの条件を満たしていれば、引き続き受給が可能です。
| 受給を継続するための3つの条件 |
| ① 期間の条件: 退職日までに、継続して1年以上健康保険(※任意継続期間を除く)に加入していたこと |
| ② 退職日の状態: 退職日に病気やケガで動けない状態(労務不能)であり、出勤していないこと(※引き継ぎや挨拶のために1日でも出勤すると、以降の継続受給ができなくなるため要注意です) |
| ③ 退職後の状態: 退職後も引き続き、働くことができない状態が続いていること |
受給期間についての注意点
傷病手当金は、支給開始日から「通算して1年6ヶ月」まで受給できます。休職中にすでに受給している場合は、その期間も通算されます。(途中で一時的に体調が回復して支給されない期間があっても、その分はカウントされず、トータルで1年6ヶ月分受け取れます)
失業給付(基本手当)と「就労不能」の扱い
失業保険(失業給付)は、大前提として「今すぐ働ける状態にある人」が対象の制度です。そのため、退職時点でまだ病気が治っておらず「働けない状態(就労不能)」にある方は、すぐには受給できません。
ただし、ハローワークで「受給期間の延長申請」を行えば、本来1年である受給期限を最大4年まで延長できます。体調が回復し、働けるようになってから受給をスタートさせることが可能です。
注意:同時受給はできません
傷病手当金(働けない時期のサポート)と、失業給付(働ける状態の人のサポート)は同時に受け取ることはできません。
まずは傷病手当金を受給し、体調が回復した後に失業給付へ切り替えるのが一般的な流れです。
健康保険・年金・住民税の切り替え手続き
会社を辞めると、それまで会社が代行してくれていた税金や社会保険の手続きを自分で行う必要があります。
健康保険(退職後翌日から)
以下の3つの選択肢から、保険料の負担が少ないものを選びます。
- 任意継続:今の会社の健康保険を最大2年間継続する(保険料は全額自己負担になりますが、上限額があります)。
- 国民健康保険への加入:お住まいの市区町村の保険に加入する。
- 家族の扶養に入る:家族の健康保険の被扶養者になる(自身の年収に制限がありますが、保険料の負担はゼロになります)。
国民年金(退職後14日以内)
お住まいの市区町村の役所で、国民年金(第1号被保険者)への切り替え手続きを行います。収入が減少して支払いが難しい場合は、「保険料の免除・猶予制度」を申請できるため、窓口で相談してみましょう。
住民税
住民税は「前年の所得」に対してかかるため、退職して収入が減った時期にも請求が届きます。退職する月によっては、数ヶ月分が最後の給料から一括で引かれたり、後日自宅にまとまった額の納付書が届いたりするため、事前に少し予算を確保しておくと安心です。
自己都合退職と会社都合退職の違いと、休職からの退職の扱い
退職の扱いは「自己都合」と「会社都合」で異なり、失業給付の受給条件に影響します。休職からの退職がどちらに該当するかを確認しておきましょう。
失業給付の給付制限期間
自己都合退職の場合、失業給付の受給開始までに給付制限期間が設けられるのが一般的です(2025年4月以降は原則1ヶ月に短縮されており、過去に給付制限を受けたことがある場合等は3ヶ月となるケースもあります)。会社都合退職の場合は、給付制限期間がなく、待期期間(7日間)を経て受給が始まります。
給付日数も、会社都合退職のほうが長く設定される傾向があります。最新の運用はハローワークで個別確認することが推奨されます。
特定理由離職者になる場合
健康上の理由による退職は、「特定理由離職者」として扱われる場合があります。特定理由離職者に該当すると、給付制限期間が短縮されたり、給付日数が会社都合に近い扱いになる場合があります。
判定はハローワークが行い、医師の診断書などの提出が求められることがあります。退職前にハローワークに相談しておくと、必要書類を準備しやすくなります。
退職後すぐに再就職しない場合に使える「医療費・生活費の支援制度」
退職してしばらく療養に専念する場合、経済的な負担を減らすために以下のような公的制度が利用できる可能性があります。一人で抱え込まず、窓口に相談してみましょう。
自立支援医療制度(精神通院医療)
うつ病や適応障害、発達障害などの精神疾患で通院している場合、通院医療費の自己負担が原則「1割」に軽減される制度です。さらに、世帯の所得に応じて「ひと月あたりの自己負担上限額」が設定されるため、毎月の医療費をぐっと抑えられます。
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申請窓口:市区町村の障害福祉窓口
精神障害者保健福祉手帳(障害者手帳)
精神疾患により、日常生活や社会生活に制約がある方に交付される手帳です(1〜3級)。取得すると、所得税・住民税などの税制優遇や、公共料金・交通機関の割引、スマホ料金の割引などが受けられます。また、将来的に「障害者雇用」での就職活動にも使えます。
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申請の条件:その病気での初診日から6ヶ月以上が経過していること
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申請窓口:市区町村の障害福祉窓口
障害年金
病気やケガで日常生活や就労に支障がある場合に支給される年金です。精神疾患も対象となります。会社員時代に初診日がある場合は「障害厚生年金」、それ以外は「障害基礎年金」が対象です。
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申請の条件:その病気での初診日から原則1年6ヶ月が経過していること
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相談窓口:年金事務所、または社会保険労務士(社労士)
退職後の進路として検討できる5つの選択肢
退職後のゴールは、決して「今すぐ元の働き方に戻ること」だけではありません。あなたの体調やペースに合わせて、以下のような選択肢を検討してみましょう。
- 十分に休む
- 生活を整える(自立訓練)
- 働く準備(就労移行)
- 就職(一般・障害者雇用)
自分のペースで段階を踏むことが大切です
① しばらく休んで体調を整える(完全療養)
「すぐに次を決めない」というのも立派な選択肢です。傷病手当金などの制度を活用しながら、まずは焦らず心身をしっかり休めることで、長期的に安定した次の一歩が見えてきます。
② 自立訓練(生活訓練)で土台を整える
「就職ありき」ではなく、まずは生活リズムの安定、対人スキルの向上、自分の病気との付き合い方(自己理解)を身につけるための福祉サービスです。退職後すぐに就職活動をするのは不安な方や、まずは外出の習慣をつけたい方に選ばれています。
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③ 就労移行支援で就職の準備をする
原則2年以内の就職を目指し、PCスキルなどの職業訓練、面接対策、企業実習などを行う福祉サービスです。体調や生活リズムがある程度整っており、具体的に就職へのステップを進めたい方に向いています。
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④ 就労継続支援(A型・B型)でリハビリを兼ねて働く
障害や体調に配慮された環境で、作業や仕事を行う福祉サービスです。
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A型(雇用型):事業所と雇用契約を結び、最低賃金以上の給与をもらいながら働きます。
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B型(非雇用型):雇用契約は結ばず、体調に合わせた短い時間から作業を行い、成果に応じた「工賃」をもらいます。
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⑤ 転職活動(一般雇用/障害者雇用)
体調が十分に安定した段階で、求人に応募します。
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一般雇用:従来の転職活動です。働き方の自由度は高いですが、自己管理が必要です。
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障害者雇用:前述の「障害者手帳」を活用します。体調や通院に対する合理的な配慮(残業なし、定期通院の確保など)を得ながら、安心して働きやすい環境を選べます。
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退職後の進路として「自立訓練(生活訓練)」を選ぶ人が増えている理由
退職後の新しい進路として、近年「自立訓練(生活訓練)」を利用する方が増えています。なぜ、これまでの「すぐに就職・転職活動をする」という選択肢ではなく、この制度が多くの方に選ばれているのでしょうか?
その背景には、休職や退職を経験した方が直面しやすい課題に寄り添った、4つの大きな理由(メリット)があります。
「就職ありき」ではない、心のゆとり
よく比較される福祉サービスに「就労移行支援」がありますが、こちらは原則2年以内の「就職」を明確な目的とした制度です。そのため、利用開始の段階から「働くこと」を意識したカリキュラムが進みます。
一方で、自立訓練(生活訓練)のゴールは「生活と心の土台を整えること」です。 「次の働き方を急いで決めなくていい」「まずは傷ついた心身を回復させたい」と感じる方にとって、「就職」というプレッシャーを一旦脇に置き、自分のペースを取り戻すことに専念できる設計が大きな安心感に繋がっています。
休職中から「復職支援(リワーク)」として活用できる
自立訓練は、退職後だけでなく「休職中(在職中)」の段階から利用できるケースがあるのも大きなメリットです。
休職期間中に自立訓練に通うことで、会社へ戻るための「復職支援(リワークプログラム)」として活用できます。
自宅で一人で過ごしていると、復職への焦りや孤独感に苛まれがちですが、専門スタッフのサポートを受けながら、復職後に再休職しないための「ストレス対処法」や「セルフケア」を在職中からじっくり身につけることができます。
※休職中の利用には、自治体(市区町村)や主治医、会社の許可が必要となるため、まずは一度事業所へ相談してみるのがおすすめです。
週1日からのスモールステップで進められる
退職直後や休職初期は、これまでの緊張の糸が切れてしまい、起きる時間や食事のタイミング、睡眠のリズムがバラバラになってしまうことが少なくありません。体力が落ちている状態で、いきなり毎日・長時間の活動をスタートするのは再度の体調悪化リスクを伴います。
自立訓練では、例えば「週1〜2日、午前中だけ通う」といった非常に緩やかなスタートが可能です。スタッフと相談しながら、体調に合わせて少しずつ通う日数を増やしていくことで、無理なく生活リズムを再構築していくことができます。
通いながら「次の進路」をじっくり選べる柔軟さ
自立訓練の大きな特徴は、卒業先の選択肢が「就職」だけに限定されていない点です。
まずは通うことで心身の土台を作り、そのうえで「元の職場へ復職する」「別の会社へ障害者雇用で再就職する」「就労移行支援へステップアップする」「就労継続支援(A型・B型)でリハビリを兼ねて働く」など、自分の回復度合いに合わせた多様な道を選ぶことができます。
「とりあえず通ってみて、これからのことは通いながら考えよう」
そうした柔軟な選択ができる設計だからこそ、休職を経て退職を迎えた多くの方の「次の一歩」として選ばれています。
自立訓練でできること(8プログラム+4ステージ)
自立訓練(生活訓練)の「エンラボカレッジ」では、休職・退職からのスムーズな回復と次へのステップアップを支えるため、独自のカリキュラム設計を取り入れています。その具体的な内容をご紹介します。
自分のトリセツを作る「8つのプログラム」
カリキュラムは、心と体、そして社会復帰に向けた準備をバランスよく整える8つのプログラムで構成されています。あなたの状況に合わせて、重点的に取り組むものを自由に選べます。
| プログラム名 | 内容とメリット |
| 感情学 | 自分の感情のパターンを理解し、しんどくなる前の扱い方を学ぶ |
| コミュニケーション | 他者との心地よい距離感や関わり方を、無理のない範囲で練習する |
| My Lab.(マイラボ) | 自分の特性や、周囲に必要な配慮を言語化してまとめる |
| アクティビティ | 身体を動かしながら、楽しく気分転換と体力づくりをする |
| Life Lab.(ライフラボ) | 睡眠、食事、金銭管理など、毎日の生活の土台を整える |
| ソマティック Lab. | 自分の身体の感覚に耳を傾け、適切な体調管理を学ぶ |
| Social Lab.(ソーシャル) | 社会との接点(手続きや使える支援、福祉サービス)を学ぶ |
| スキルアップ | PCやビジネススキルなど、次の進路で役立つ実務的な準備をする |
次の職場で役立つ『自分/支え方マニュアル』
「My Lab.」プログラムでは、自分の得意・苦手・体調の波・必要な配慮をまとめたマニュアル(自分のトリセツ)を作成します。
卒業後の職場や支援者にこれを渡すだけで、「自分の状態を毎回イチから説明する負担」がぐっと減り、スムーズに理解や配慮を得られるお守りのようなツールになります。
焦らず段階を踏む「4つのステージ」
利用期間(最長2年)の中で、以下のように一歩ずつ階段を上るように進みます。現在の進み具合が可視化されるため、納得しながらステップアップできます。
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ステージ1(1〜6ヶ月目) 【土台づくり】 まずは通うことに慣れ、毎日の生活リズムを少しずつ再構築します。
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ステージ2(7〜12ヶ月目)【自己理解の深化】 自分の特性や、どんな時に体調を崩しやすいか(パターン)をじっくり整理します。
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ステージ3(13〜18ヶ月目)【応用と実践】 プログラムで学んだ体調のコントロール法や対面スキルを、日常の中で試していきます。
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ステージ4(16〜24ヶ月目)【次の進路への準備】 卒業後の選択肢を具体化し、それぞれの進路(復職、再就職、次の福祉サービスなど)に向けて動き出します。
退職から自立訓練利用までの流れ
「利用を検討してみたい」と思ったら、以下のような流れで手続きを進めていきます。
【利用開始までの流れ】
① 相談・見学・体験
② 事業所の決定
③ 役所の窓口で受給者証の申請
④ 利用開始!
※申請から発行までは1〜2ヶ月ほどかかる場合があります。
1. 相談・見学・体験(まずはここから)
まずは気になる事業所に問い合わせ、見学をしてみましょう。 実際の施設の雰囲気、どんなプログラムが行われているか、スタッフの様子をご自身の目で確認します。
半日〜数日間の「体験利用」をして、自分に合いそうかじっくり確かめるのが一般的です。相性を見るためにも、複数の事業所を見学して比較することをおすすめします。
受給者証申請の進め方
利用したい事業所が決まったら、市区町村の障害福祉窓口で「障害福祉サービス受給者証」の申請を行います。 障害者手帳を持っていなくても、医師の診断書や意見書があれば利用できるケースが多いです。その後、相談支援事業所に「サービス等利用計画」の作成を依頼し、行政の認定調査などを経て受給者証が交付されます。
スムーズにスタートするためのポイント
受給者証の申請から交付までには1〜2ヶ月程度かかる場合があります。
そのため、可能であれば退職前から見学などの動きを始めておくと、退職後の空白期間(自宅で一人で悩む時間)を短くでき、スムーズに通所を開始しやすくなります。
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よくある質問(FAQ)
退職を考えている方からよく寄せられる質問とその考え方を紹介します。
退職してすぐ自立訓練を使える?
退職と自立訓練の利用は、別の手続きとして並行して進めることができる場合があります。
受給者証申請には1〜2ヶ月程度かかるため、退職前から見学を始め、申請手続きと並行して進めると、通所開始までの空白期間を短くできます。
傷病手当金をもらいながら自立訓練に通える?
傷病手当金は「労務不能」の状態を支給要件としています。自立訓練の利用が「労務不能」の判断に影響するかは、加入している健康保険組合や協会けんぽの判断により異なる場合があります。
事前に健康保険組合に確認し、主治医とも相談したうえで、リハビリの一環としての位置づけが認められるかを確認することが推奨されます。
自立訓練の利用料はどれくらい?
自立訓練の利用料は、原則として総費用の1割を利用者が負担する仕組みです。
世帯の所得に応じて月額の自己負担上限額が設定されており、多くの方は無料または月額9,300円程度の上限内で利用できる場合があります。
詳細は市区町村の障害福祉窓口で確認できます。
自立訓練(生活訓練)エンラボカレッジ利用者の事例
エンラボカレッジには、休職や退職を経験し、「まずはここから立て直そう」と利用を始めた方がたくさんいます。背景や年齢、抱える課題は一人ひとり異なりますが、それぞれが自分のペースで土台を整え、新しい選択肢を見つけています。
ここでは、代表的な4つの歩みをご紹介します。
事例1:【適応障害・20代】休職を機に「感情の扱い方」を学び、復職を果たしたケース
利用前の状況:
新卒で入社した会社で人間関係や業務量に悩み、適応障害を発症して休職。自宅で療養するも、「会社に戻ることを考えると動悸がする」「また同じ状態になるのでは」と焦りと不安で身動きが取れなくなっていました。
エンラボでの取り組み:
休職中のリワーク(復職支援)として週2日の通所からスタート。「感情学」のプログラムを通じて、自分がどんな刺激に対してストレスを感じやすいのか、そのサイン(初期症状)と対処法を客観的に整理していきました。
その後の一歩:
生活リズムとメンタルの波が安定したことで、休職期間満了の前に元の職場へ復職。現在は、プログラムで作った『自分マニュアル』を上司に共有し、業務量を調整してもらいながら無理のない範囲で働き続けています。
事例2:【うつ病・ADHD・40代】退職後に「特性のトリセツ」を作り、安定した障害者雇用へ
利用前の状況:
長年、一般雇用でハードに働いていましたが、40代手前でうつ病を発症し退職。後にADHD(注意欠如・多動症)の診断も受けました。「自分の頑張りが足りないせいだ」と自分を責め、数年間ひきこもりがちな生活が続いていました。
エンラボでの取り組み:
まずは体力を戻すため、「アクティビティ」や「Life Lab.」で規則正しい生活の土台作りから開始。その後、「My Lab.」で自身のADHDの特性(ミスの傾向や集中力の波)を徹底的に分析し、それをカバーするための工夫や、周囲に求める具体的な「配慮」を言葉にしていきました。
その後の一歩:
2年間の利用を経て、自分の特性を深く理解した状態で障害者雇用での転職活動に挑戦。現在は、自分の得意な「データ入力や定型業務」を活かせる企業に就職し、大きな体調崩れもなく安定して勤務しています。
事例3:【双極性障害・30代】気分の波と付き合いながら、「就労継続支援」で働く
利用前の状況:
双極性障害(躁うつ病)を抱え、気分のハイな時期(躁状態)に無理をしてしまい、その後に深い落ち込み(うつ状態)が来て仕事を辞める……というサイクルを繰り返していました。次の進路を急ぎたい反面、「また長続きしないかもしれない」と恐怖を感じていました。
エンラボでの取り組み:
「ソマティック Lab.」などを通じて、「寝不足が続くと活動的になりすぎる」「言葉数が多くなったらブレーキを踏む」といった、自分の心身の波を予測するセルフモニタリング力を養いました。また、スタッフと一緒に「調子が悪い時の過ごし方のルール」を作りました。
その後の一歩:
「いきなりフルタイムの一般就労はリスクが高い」と自分で判断し、まずは福祉的就労である「就労継続支援A型」への進路を選択。現在は、自分の気分の波をコントロールしながら、短時間からステップを踏んで働くリハビリを続けています。
事例4:【未就労・ひきこもり傾向・20代】「自立訓練」から「就労移行支援」へステップアップ
利用前の状況:
大学を中退後、そのまま数年間自宅でひきこもり状態に。「働かなきゃ」という気持ちはあるものの、人と接することへの恐怖心が強く、ハローワークに行くこともできない状態でした。
エンラボでの取り組み:
最初は個室での面談や、週1日・30分の滞在からスタート。スタッフや他の利用者と「コミュニケーション」プログラムで少しずつ会話の練習を重ねるうちに、「ここは失敗しても責められない場所だ」と安心感を持てるようになりました。
その後の一歩:
1年半かけて毎日通える体力をつけ、次のステップである「就労移行支援」へとステップアップしました。現在は、数年後の就職を目指して、より具体的なパソコンスキルや資格取得の訓練に励んでいます。
業界全体の支援傾向|公的データと業界事例の参考
メンタル不調による休職・退職者は増加傾向に
厚生労働省が実施している「労働安全衛生調査」によると、過去1年間にメンタルヘルス不調によって「連続1か月以上休業した労働者」または「退職した労働者」がいた事業所の割合は、近年上昇しています。
いまや国内の約8〜10社に1社の割合で、メンタル不調による長期休職者や退職者が発生しているのが現状です。この背景には、ハラスメントや業務の高度化といった職場のストレス要因の複雑化に加え、「うつ病」や「適応障害」といった精神疾患への認知が広がり、無理をせず休療を選ぶ人が増えたことも関係しているとされています。
まとめ
休職から退職を考える場面では、手続き・お金・進路の3つの観点で情報を整理することが、判断材料を増やす助けになります。
退職は終わりではなく、生活と心身を立て直し、次の働き方を選び直すための区切りとして捉えることもできます。
退職後の進路としては、転職活動だけでなく、自立訓練(生活訓練)で土台を整える選択肢もあります。気になる方は見学・体験から始められます。
自立訓練(生活訓練)エンラボカレッジでは、随時相談を受け付けています。お気軽にお問い合わせください。
出典・参考
- 厚生労働省「労働安全衛生調査(実態調査)」
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)「傷病手当金について」
- ハローワーク(厚生労働省)「雇用保険受給資格者のしおり」 / 「基本手当について」
- 日本年金機構「国民年金への切替手続き」「保険料の免除・猶予制度」
- e-Gov法令検索「民法第627条(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)」
- 厚生労働省「障害者総合支援法の概要」
- 市区町村(各自治体)「自立支援医療(精神通院医療)の概要」 / 「精神障害者保健福祉手帳の交付申請」
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この記事について【作成・監修】
【執筆・監修:株式会社エンラボ 専門職チーム】 私たちは、休職や退職、ひきこもりなどで一度立ち止まった方が、焦らずに「自分らしい生き方や働き方」を整えていくための自立訓練(生活訓練)事業所です。
チームには、医療や福祉の専門スタッフ(精神保健福祉士・社会福祉士・臨床心理士・作業療法士・理学療法士など)が在籍しています。
「先のことはまだ分からないけれど、まずは生活リズムを整えたい」「心身のトリセツを見つけたい」という方の思いに寄り添い、多角的な視点から日々のサポートや情報発信を行っています。